ビジネスインテリジェンスとは?代表的機能やメリットをまとめて解説
- ビジネスインテリジェンスとは何か?
- ビジネスインテリジェンスの代表的機能を整理したい
- ビジネスインテリジェンスの導入事例を知りたい
ビジネスでは多種多様なデータを入手でき、それらのデータを効果的に使えるかが、ますます企業活動において重要になっています。
データ分析・活用はエクセルなどでも可能ですが、データの量や種類が増えるとエクセルだけでは高度な分析はできません。そこで活用したいのがビジネスインテリジェンスです。ビジネスインテリジェンスを活用すれば、多種多様な社内データを一元管理し、データ分析で経営判断に資する知見を得られるでしょう。
この記事では、ビジネスインテリジェンスの意味やデータの参照元、導入目的や注意点などを紹介します。
目次
ビジネスインテリジェンスとは
ビジネスインテリジェンスとは、企業が持つ様々なデータを分析し、得られた知見をビジネスに活かすための仕組みです。企業はこの分析を通じて、より効果的な意思決定を行って競合との差別化を図れるでしょう。ここでは、ビジネスインテリジェンスが取得するデータの参照元を3つ紹介します。
- 基幹系システム
- 情報系システム
- 戦略系システム
それでは1つずつ紹介します。
関連記事:BIツールとは?おすすめ10選比較と活用事例10社・無料版のメリットとデメリット・ポイントまで徹底解説
基幹系システム
ビジネスインテリジェンスが取得するデータの参照元の1つ目は、基幹系システムです。
基幹系システムは、企業の中核業務を管理する業務システムです。生産管理システム・購買管理システム・勤怠管理システム・ERPなどが該当します。
情報系システム
ビジネスインテリジェンスが取得するデータの参照元の2つ目は、情報系システムです。
情報系システムは、社内のコミュニケーションと事務作業の効率性向上を目的としたツール群です。チャット・グループウェア・DWHなどが該当します。
戦略系システム
ビジネスインテリジェンスが取得するデータの参照元の3つ目は、戦略系システムです。
戦略系システムは、企業の営業活動や顧客戦略を強化するためのデジタルソリューションです。代表例には、CRM・SFA・MAなどがあります。
ビジネスインテリジェンスの代表的な機能とは
ここでは、ビジネスインテリジェンスの代表的機能を4つ紹介します。
- レポーティング
- OLAP分析
- データマイニング
- プランニング
それでは1つずつ紹介します。
レポーティング
ビジネスインテリジェンスの代表的機能の1つ目は、レポーティングです。
レポーティング機能は、企業における多様なデータを一画面にまとめて表示するダッシュボード機能です。会計・顧客・業務・成長など複数の視点から業績指標をグラフ化し、単一のデータだけでは見出せなかった課題や問題点を可視化できます。直感的で分かりやすい表現ができるため、初心者でも複雑なデータを理解しやすくなるでしょう。
OLAP分析
ビジネスインテリジェンスの代表的機能の2つ目は、OLAP分析です。
OLAP(Online Analytical Processing)分析は、データベースに蓄積された大量のデータを多次元的に分析・集計する機能です。単なる結果の把握に留まらず、問題の根本原因を深く掘り下げて検証できます。例えば営業部門では成約率の背景を、マーケティング部門では市場状況と自社の施策を関連付けて分析できます。このように、レポーティングで可視化されたデータを、より詳細に探求できる高度な分析手法です。
関連記事:OLAP分析とは?DWHやOLTPとの違いの理解がBIツール活用の鍵
データマイニング
ビジネスインテリジェンスの代表的機能の3つ目は、データマイニングです。
データマイニングは、レポーティングとOLAP分析で発見された課題から新たな考察を生み出す機能です。様々なデータを分析することで、これまで気づかれていなかった「未知のデータ」を抽出します。例えば通販企業が季節や天候と売上の関係性を発見し、それに基づいたキャンペーンを展開して新たなビジネスチャンスを創出したのが、データマイニングの活用事例です。
関連記事:データマイニングとは?データを活用して経営に役立てよう!
プランニング
ビジネスインテリジェンスの代表的機能の4つ目は、プランニングです。
プランニング機能は、企業の意思決定にとって前提となる計画の立案を支援する機能です。為替変動や需要予測などのデータより、売上や利益の伸び幅をシミュレーションすることで、予算編成に具体性と確実性をもたらします。これにより、経営層の意思決定プロセスを効率化し、決定にかかる時間を大幅に短縮できる点がメリットです。
ビジネスインテリジェンスを導入する目的とは
ここでは、ビジネスインテリジェンスを導入する目的を3つ紹介します。
- 意思決定の最適化
- データから課題の特定
- 効率的な経営戦略の立案
それでは1つずつ紹介します。
意思決定の最適化
ビジネスインテリジェンスを導入する目的の1つ目は、意思決定の最適化です。
ビジネスインテリジェンスを使えば、今まで複数のシステムに散在していたデータを一か所に集約し、グラフなどで可視化できます。その結果、数値データを見やすくして、データに基づく意思決定が容易になるでしょう。また、システムを横断してデータを取り込み、それらのデータを分析することで今まで気づかなかった発見が可能になり、より優れた意思決定ができる可能性があります。
関連記事:データドリブンによる意思決定とは?必要な理由・メリット・実行するためのステップまで詳しく解説!
データから課題の特定
ビジネスインテリジェンスを導入する目的の2つ目は、データから課題の特定を行うことです。
ビジネスインテリジェンスを使えば、売り上げなど各種データをグラフなどでわかりやすく可視化できます。そこから、自社ビジネスの現状を把握して、これまで気づいていなかった課題を明らかにできるでしょう。課題が特定できれば、後は課題の解決方法を立案・実行するだけです。
効率的な経営戦略の立案
ビジネスインテリジェンスを導入する目的の3つ目は、効率的な経営戦略の立案です。
グローバル化とIT化が進展する現代において、企業間競争は一層激化しています。そのような状況では、各部門責任者や経営者にとって迅速な意思決定が欠かせません。ここで、ビジネスインテリジェンスを使えば、さまざまなデータを一元管理して専門家を介さず直接分析できます。その分析結果を活用することで、スピード感ある経営戦略の立案と、対応が可能になるのです。
関連記事:事業戦略の立て方とは?基礎的な知識から立て方の方法や具体的なフレームワークを総まとめ!
ビジネスインテリジェンスを導入するメリットとは
ここでは、ビジネスインテリジェンスを導入するメリットを2つ紹介します。
- 社内データの集約
- 現状の可視化が容易
それでは1つずつ紹介します。
社内データの集約
ビジネスインテリジェンスを導入するメリットの1つ目は、社内データの集約ができることです。
社内に散在する膨大なデータを集約する課題は、ビジネスインテリジェンスによって効率的に解決できます。従来社内に散在する膨大なデータを集約するには、各システムからCSVなどでデータを出力し、Excel上で手作業にてデータ結合・分析を行ってきました。ただ、これには相当の手間がかかる上、手作業では入力ミスや記載漏れのリスクを防ぎきれません。しかし、ビジネスインテリジェンスがあれば、複数部署のデータを簡単かつ迅速に一元管理できます。その結果、データベース化のプロセスを大幅に簡略化し、工数と時間を削減できるでしょう。
関連記事:データの収集・蓄積から分析までのステップと効果を解説!ツール選定のポイントも紹介
現状の可視化が容易
ビジネスインテリジェンスを導入するメリットの2つ目は、現状の可視化が容易であることです。
各部署の現状を可視化する作業も、ビジネスインテリジェンスによって革新的に変化します。これまで、現状の可視化にはデータ集計・加工・分析に多くの時間を費やしてきました。しかし、ビジネスインテリジェンスを使えばリアルタイムで状況把握が可能です。素早くデータ収集して多方向から分析することで、組織全体の透明性を高められるでしょう。その結果、部門間の情報共有と意思決定のスピードを大幅に向上させられます。
関連記事:データ可視化のメリット・実施のポイントと実装方法を解説
ビジネスインテリジェンスを導入する際の注意点とは
ここでは、ビジネスインテリジェンスを導入する際の注意点を3つ紹介します。
- 適切なツール選定
- 追加コストが必要なケースの多さ
- 使いにくいと作業量が増える恐れ
それでは1つずつ紹介します。
適切なツール選定
ビジネスインテリジェンスを導入する際の注意点の1つ目は、適切なツール選定が欠かせないことです。
自社にとって最適なツール選定を行わないと、ビジネスインテリジェンスツールで求めていた機能が不足している、あるいは反対に機能を十分に使いこなせない事態になりかねません。以下のポイントに注意し、自社にとって最適なツール選定が必要です。
▼ビジネスインテリジェンスツール選定時にチェックしたいポイントの一例
- そもそもデータ分析で解決したい課題は何か
- データ分析の目的に合致した機能を使えるか
- 自社でどのようにビジネスインテリジェンスツールを運用するか
- 操作しやすいか
- コスト面は予算内に収められるか
追加コストが必要なケースの多さ
ビジネスインテリジェンスを導入する際の注意点の2つ目は、追加コストが必要なケースの多さです。
ビジネスインテリジェンスツールの多くは、利用人数や使える機能によって料金が変わってきます。よって、利用の過程で追加コストが発生するケースも珍しくありません。利用目的や人数を事前に把握しておき、あらかじめ料金の想定をしておきましょう。また、ビジネスインテリジェンスツールの料金体系はユーザーライセンス型とサーバーライセンス型の2つに大別されます。両者の特性も覚えておくと、より正確に料金を想定できるでしょう。
▼ユーザーライセンス型とサーバーライセンス型の違い
ユーザーライセンス型 | ユーザー数で課金され、利用者が増えるほどコストがかかる |
サーバーライセンス型 | ビジネスインテリジェンスツールをインストールするサーバー数に応じ課金 |
ビジネスインテリジェンスを導入する際の注意点の3つ目は、使いにくいと作業量が増える恐れがあることです。
使いにくい製品を導入すると、かえって作業が非効率化して作業量が増えるかもしれません。それを防ぐには、操作がシンプルで分かりやすい製品を選ぶことがポイントです。できれば、導入前に各部門の従業員に無料トライアル・無料プラン・製品デモのいずれかで使い勝手を試してもらいましょう。
ビジネスインテリジェンスの導入事例とは
ここでは、ビジネスインテリジェンスの導入事例を3つ紹介します。
- NTTドコモ様
- アイシン精機様
- 三井住友DSアセットマネジメント様
それでは1つずつ紹介します。
NTTドコモ様
ビジネスインテリジェンスの導入事例の1つ目は、NTTドコモ様の事例です。
NTTドコモ様のビジネスインテリジェンス導入事例では、今まで業務の空き時間でデータ分析を行っていました。しかし、業務で本格的にデータ分析を行うため、人材確保だけでなくビジネスインテリジェンスツールの導入も決定したのです。ビジネスインテリジェンスツールとしてYellowfinを選んだのは、既存DWHの「Amazon Redshift」に対し接続サポートがあったためでした。データ分析では、「スゴ得コンテンツ」や「dアニメストア」の利用者分析を通じて、ユーザー特性を明確にしました。そこから理想的なユーザー獲得のための施策を立案した結果、解約者が減少してコンテンツの稼働率を大幅に向上させることに成功したのです。
関連記事:【導入事例】株式会社NTTドコモ様
アイシン精機様
ビジネスインテリジェンスの導入事例の2つ目は、アイシン精機様の事例です。
アイシン精機様では、労務管理業務で大きな負担が発生していたことが課題でした。そこで、ビジネスインテリジェンスツールの導入を検討しました。30以上の製品について使いやすさ・セキュリティ・コストを比較した結果、最適なツールとして選ばれたのがYellowfinでした。Yellowfinで労務管理ダッシュボードを作成した結果、各職場において勤怠状況をまとめる作業を年間552時間も削減できました。現在は、労務管理以外にも金型製作工数管理・原価管理・不良管理の分野でもYellowfinを活用しています。
関連記事:【導入事例】株式会社アイシン
三井住友DSアセットマネジメント様
ビジネスインテリジェンスの導入事例の3つ目は、三井住友DSアセットマネジメント様の事例です。
三井住友DSアセットマネジメント様では、データの所在や管理方法が不透明であることが課題でした。そこで、初期費用が少なく使いやすいビジネスインテリジェンスツールとしてYellowfinを採用し、分散するデータの一元管理を図りました。データ管理委員会を設置して、データ管理に関するルールを決定しつつYellowfinの活用を進めた結果、データを探す手間が大幅に削減されたのです。また、ユーザーがほしいと思っているデータをすぐ取得できるように、Yellowfinを設定したため、レポート依頼も減少してデータの再利用が進んでいます。
関連記事:【導入事例】三井住友DSアセットマネジメント株式会社
まとめ
この記事では、ビジネスインテリジェンスの意味やデータの参照元、導入目的や注意点などを紹介しました。
ビジネスインテリジェンスとは、企業が持つ様々なデータを分析し、得られた知見をビジネスに活かすための仕組みで、基幹系システムなどがデータの参照元です。レポーティングなどの機能があり、意思決定の最適化や社内データの集約などを行います。
ビジネスインテリジェンスツールは多数ありますが、機能や使いやすさ、コストなどから最適なツールを選択しましょう。また、ビジネスインテリジェンスの導入事例を参照すれば、自社でどのように活用するかイメージできます。