データ可視化のメリット・実施のポイントと実装方法を解説
現在企業は、顧客データや商品・人事など、あらゆる業務に関連する膨大なデータを保有しています。これまでは必要なデータを取り出し分析をしていましたが、近年は保有する膨大なデータを全て活用し、総合的な戦略を立てる重要性が増しています。
そこで必要になってくるのが、保有しているデータを可視化することです。今回はデータの可視化の概要からどうやってデータを可視化するかという手法までを解説していきます。
データの可視化とは、数字のみでは確認が難しい何らかのデータを、グラフや図、表などを用いて別の形で表現することです。
数字の羅列だけでは情報の理解に時間がかかるものを一目見れば情報が得られるようになるため、「見える化」とも言えるでしょう。これにより、存在するデータの理解が格段に早まります。
また、店舗ごと・時期ごとの売上などを集計された形で確認できるので、データから課題を抽出することが容易になるため、業績の改善にも寄与します。
データを可視化するメリットは、主に三つ挙げられます。
- 現状と課題の把握による迅速な対応が可能
- データの共有による作業の効率化
- 蓄積データを活用した予測・分析で先手を打てる
以下では、それぞれのメリットを具体的な例を用いながらご説明していきます。
現状と課題の把握による迅速な対応が可能
まず何よりも重要なメリットはやはり、データが即座に理解できるため現存する課題を迅速かつ明確に認識できることでしょう。
現状と課題が容易に把握できることで、課題への対策も立てやすくなります。
例えば、データを可視化しておけば、ある日の急激な売り上げの落ち込み具合などが一目でわかるため、即座に対策を検討する段階に入れます。
より詳細な例を挙げると、売り上げの落ち込みは天候が原因だったのか、はたまた棚の陳列に問題があったのかなどです。また逆に、ある日の売り上げが急激に伸びた場合にも何が要因でそうなったのかを分析することができます。
このように課題の把握は勿論、何がプラスに働いたのかといったポジティブな要素を知るのにも、データの可視化はメリットがあります。
データの共有による作業の効率化
二つ目のメリットは、データ共有による作業の効率化です。
数字のみのデータでは、数字が苦手といったことから認識しているデータの内容の深度まで、個々人の理解に差が出てくるでしょう。
しかし、データを可視化することは内容の認識を容易にして一義的な理解を助けるため、チームメンバーの間での共通理解の深度が深まります。別の言い方をすれば、属人的なスキルに依存する場面が大幅に減るため、素人でも簡単にデータへのアクセスができるようになります。
ただし、それでも何らかの認識のズレが出てくることを考慮して、データの見方や編集・保存方法については共有する人の間で一定のルールを設けるのが良いでしょう。特にデータの収集に関してはズレが大きいと分析の精度を下げてしまうので要注意です。
蓄積データを活用した予測・分析で先手が打てる
データ可視化の最後のメリットとして、蓄積データを活用した予測・分析で先手が打てることが挙げられます。数字の推移の傾向が目に見えて分かるので、着地予測がしやすくなります。
今まで体感で感じていた傾向を、数字という形で明確に分析・説明をすることは、社内決裁は勿論のこと、業績の改善にも確実に繋がります。
一定量以上のデータが蓄積されれば、より精度をあげて過去の傾向をもとにした分析を行え、その後の戦略策定に役立てることができます。
さらに進めば、重要なデータを集めて機械学習にかけることで、より膨大なデータをもとにした分析が可能になります。
ただしデータを集める際はやはり一定のルールを事前に決めておくべきでしょう。後から足りないデータを埋めることは難易度が高くなります。
データを可視化する際のポイント
ここまでで、データ可視化のメリットをご説明してきました。
以下ではデータを可視化するにあたって欠かせないポイントをご紹介していきます。これからデータの可視化に取り組む方や、これまでの方向性に疑問がある方は参考にされてください。
目的を明確にする
まず一つ目のポイントとして、データ可視化の目的を明確にしましょう。
データを可視化する際は、データを閲覧する人は誰かということを起点にし、その対象の人がどういったデータを求めかつ使用を検討しているのかを考えることが欠かせません。
例えば、対象者が一般人の場合は専門的な数字を極力減らしてグラフのみでわかりやすく表示するのが効果的になりますが、一方ビジネスの場では詳細な数字が求められます。
データの収集という最初の段階から分析まで一貫して対象者とその目的を念頭に置いてください。
対象者の関心に一番沿う形で、過不足なくデータを可視化して分かりやすく伝えること、これに尽きるでしょう。まずは需要をしっかり理解することです。
対象データの意味を理解する
二つ目に、「ここにおいてこの数値はどういった意味を持つのか」「どの指標が重要なのか」といった、対象データの意味を深く理解することも重要なポイントです。
データの全体像から詳細まで把握していなければ、それぞれの数値が持つ意味をはじめ、数値間の関係を掘り出して意味を持たせることができなくなってしまいます。
昨今ビジネスで欠かせなくなっているビッグデータは情報が膨大なため、数値間の関連や意味づけは非常に重要です。それができて初めて対象者にとって本当に重要な情報を見つけて可視化することができます。
勿論データの全てを抽出して可視化することは困難なので、先ほど挙げた対象者の目的に合わせて肝要な情報をピックアップしましょう。
客観的に結果と向き合う
三つ目のポイントは客観的に分析結果と向き合うことです。
ビッグデータの分析においては何らかの工程でつまずくこともあるでしょう。その際、過去の経験や自分の勘に頼ってしまいがちです。
しかし、データを活用する場面で過去の経験と全く数値が同じ・状況が同じといったことはあり得ません。
一見近しい状況のように見えたとしても、対象者が求める情報というのは全く同じにはならないはずで、主観を入れるとどこかで方向性や認識のズレが生じてしまいます。
ですので、誤った判断をしないためにも対象者とうまく連携をとりながら客観的にデータと向き合うことをお勧めします。
ここでも分析・データ可視化の目的を思い出しましょう。
データを可視化する手法3選
データを可視化する手法は主に3つ考えられます。
グラフによるデータの可視化
画像・イラストを使ったデータの可視化
面積と大きさによるデータの可視化
です。それぞれの特徴を詳細に見ていきましょう。
最初に注意していただきたいのですが、データの可視化を結果として残す際に適切な手法を用いることは非常に重要です。
グラフによるデータの可視化
まずグラフによるデータの可視化です。
ここでは、棒グラフ・折れ線グラフ・レーダーチャート・積み上げグラフをご紹介します。円グラフはまた少し違った特徴があるので、後でご紹介します。
一つ目に考えられるのは棒グラフです。棒グラフは同じ尺度を持つ情報を複数並べて表示する場合に適しています。
何が何と同じか、もしくは異なるのかがひと目で認識できるようになります。縦でも横でも構いませんが、売り上げ結果などの指標の比較をする際によく用いられます。
二つ目が折れ線グラフです。こちらは数値の時系列を軸にした変化の傾向を表示するのに適している手法です。
主な例として売上や人口の推移が挙げられるでしょう。棒グラフとともに組み合わせて用いることもあります。
三つ目はレーダーチャートです。こちらは、5種類以上のデータから特性を見る際に使われます。性格の適正調査などが当たるでしょう。ビジネスにおいては品質評価などにも向いています。
四つ目は積み上げグラフです。こちらは複数の構成比を見ることに優れています。これまでに紹介してきた三つのグラフを一つにまとめたい場合にも積み上げグラフは有用です。
こちらでご説明した各グラフの基本的な種類と特徴を押さえながらメリット・デメリットを理解し、データ活用の可視化に役立てていきましょう。
画像・イラストを使ったデータの可視化
画像やイラストを使ったデータの可視化として挙げられるのはヒートマップです。
ヒートマップは、データの数値を色の濃淡を用いて表現します。実際の地図を使用するものも多くありますし、特に気温を表現するときに頻繁に使われます。
ヒートマップの利点は、視覚的な情報の認識ができることです。アイキャッチとして使用すると効果が高まりますが、多用する際は極力シンプル・かつわかりやすい表現を心がけましょう。
またヒートマップとまでは行かずとも、異なる意味合いを持つ数値を、画像・イラスト・アイコンを用いて色別で表現するなども有用な手法ですので、活用してみてください。
色に変化をつけるだけで、数値の差の認識は容易になります。
面積と大きさによるデータの可視化
面積と大きさによるデータの可視化として代表的なものは円グラフです。
円自体をデータの全体として、そこにおける構成比を扇型で示すものです。扇の面積で数値の大小・恒星がひと目で認識できます。
円グラフの中心をくり抜いて重要な要素をおけばドーナッツグラフになります。特定の数値を面積によって比較することができます。
その際、横に比率や数値を計算するのは欠かせません。一方、円グラフは比較にはあまり向かないので、やはり上記で紹介しているものと組み合わせながらうまく活用しましょう。
まとめ
ここまで、データ可視化の重要性や実際にデータ可視化を行う際のポイント、具体的な手法についてご紹介してきました。
これからデータ分析・データの可視化に取り組んでいく、もしくは適切なツールを探しているという方は、BIツールを導入しましょう。
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