組み込みアナリティクス究極のガイド: 組み込みBIのためのスターターキット
はじめに
Yellowfinを立ち上げたとき、ビジネスインテリジェンス (BI) を誰にとっても簡単にするというシンプルな前提から始め、設立当初はBIに対する一般的な企業のニーズに注力していました。
しかし、製品を市場に投入してみて初めて、そこには既存の製品にアナリティクス機能を組み込むことで、自社製品にさらなる価値を追加したいと考えるベンダーが数多く存在することに気が付きました。そこでYellowfinでは、この機会を全面的に受け入れ、その過程で膨大な気付きと専門性を身に付けてきました。
長年に渡り、既存のアプリケーションへのアナリティクスの組み込みを求めるソフトウェアベンダーをサポートし続けてきた結果、BIとは単純にコードを記述するようなものではなく、異なる専門的なアプローチが必要であることを学びました。ソフトウェアベンダーが備えている技術は、素晴らしいソフトウェアを開発することです。しかし、ソフトウェアを開発するためのアプローチは、優れた組み込みアナリティクスアプリケーションを構築するために必要なアプローチではありません。
Yellowfinではこれまでに、非常に成功したプロジェクトも、あまり上手くいかなかったプロジェクトも両方経験してきました。その過程で学んだことは、既存のアプリケーションへのアナリティクスの組み込みを成功に導くために、すべてのソフトウェアベンダーが従うべき重要なステップがあるということです。
本ガイドの使い方
• 本ガイドは、成功した組み込みアナリティクスプログラムの各フェーズについて解説しています。
• 各フェーズは必ずしも連続したものではなく、並行して進めることも可能です。
• 組み込みアナリティクスにあまり馴染みのない方は是非最初からご確認ください。もしくは、ご自身に最も関係のあるところから読み進めていただくこともできます。
組み込みアナリティクスとは
ビジネスインテリジェンス (BI) やアナリティクスの概念は、人それぞれに異なる意味合いを持ち、業界にはこれらの定義が溢れています。しかし、一般的にBIやアナリティクスと言えば、意思決定やパフォーマンスの改善と最適化を図るための情報へのアクセスとアナリティクスの実行を可能にするツールとインフラを含む広範な用語です。
Yellowfinにおいて、ビジネスインテリジェンスとは、データから実用的なインサイトを得ることであり、顧客やエンドユーザー、経営層など、あらゆるユーザーがより優れた意思決定やコスト削減、以下のような新しいビジネス機会を特定するために役立つものだと確信しています。
- 地域別、店舗別、販売担当別トップセールス製品の特定
- 競合他社の業績把握
- 良し悪しを問わず両方のトレンドへの対応
- 顧客、製品、価格、コストに関する情報を時系列で比較
現在スタンドアローンであれ組み込みであれ、あらかじめパッケージ化されたアナリティクスアプリケーションを既存のアプリケーションに組み込み、誰もがインサイトにアクセスできる最新レベルのBIを実現するという大きなトレンドが存在します。これは、セルフサービスアナリティクスと呼ばれています。このトレンドは、ソフトウェアベンダーやエンタープライズ組織にとって、既存の製品やコアビジネスアプリケーションに優れた価値を追加するだけではなく、顧客やユーザーに並外れた価値を提供できる大きな機会でもあります。このデータドリブンな時代において、最も成功している企業は、データに素早くアクセスして深いインサイトを引き出し、その情報をビジネス全体で簡単に共有して、それに基づき迅速かつ十分な意思決定を行っています。そのため、今このトレンドを探ることが重要なのです。
ありがたいことに、データやアナリティクスに個別にアクセスするのではなく、既存のビジネスプラットフォームにアナリティクスツールを直接統合して、顧客やユーザーに新しいインサイトを提供することは、益々容易になってきています。数多くのソフトウェアプロバイダーやエンタープライズ企業では、まさにこれを実施しており、彼らがアナリティクスを組み込む理由は以下のように様々です。
- 既存のアプリケーションからさらなる価値を引き出すため。
- 他社ソフトウェア製品との差別化を強化するため。
- 既存製品の使い勝手を向上させ、潜在的な収益を増加させるため。
このように、アナリティクス機能とデータビジュアライゼーションを別のソフトウェアアプリケーションに深く統合し、データをユーザーエクスペリエンス全体のより詳細な位置付けにすることを、組み込みアナリティクスと呼びます。リアルタイムのレポートやダッシュボードを組み込むことで、エンドユーザーはアナリティクスプラットフォームに組み込まれたソフトウェアアプリケーション内にあるデータを分析することができます。この分析により、エンドユーザーは課題を迅速に特定し、リスクを軽減して、機会の最大化に繋げることができます。このように、既存のソフトウェアにアナリティクスを組み込むことで、多くのメリットを提供し、ユーザーエクスペリエンスをより制御して、顧客価値を高め、より高い顧客定着率を生み出すことができます。
しかし、これは単純に一般的なアナリティクスソリューションを既存の製品に組み込むだけでは十分ではありません。プロジェクトを成功へ導くためには、誰が製品を使用し、彼らはどのような課題を解決しようとしており、そのためにどのような機能が必要で、それらのニーズを真に満たす組み込みアナリティクスソリューションをどのようにサポートできるのかを理解しなくてはいけません。
Yellowfinの豊富な経験から生み出されたこの組み込みアナリティクス究極のガイドは、独自のアナリティクスアプリケーションを統合して立ち上げるための手順を詳細に紹介しています。新しいパフォーマンスインサイトをもたらし、顧客満足度を高め、収益の増加を導くアナリティクスを既存の製品に追加することは、ビジネスで実現できる最も有益な改善策のひとつです。
セクション1: 成功への準備
1-1: ビジョン、目標、目的の定義
適切なビジョンの定義は、組み込みアナリティクスソフトウェアプロジェクトを成功へ導く第一歩です。
既存製品のアナリティクスモジュールの構築を本格的に開始する前に、まずはこのプロジェクトのビジョンや目標、成功の尺度を明確に定義し、社内全体で理解してもらう必要があります。
ビジョンを定義したら、モジュールの作成に最適なアプローチを特定することができます。
その際に「構築か購入か」という質問があります。自社で構築をするのか、それともプロジェクトの技術的・商業的ニーズを満たすBIベンダーにパートナー提携を要請するのか、ということです。
目標と影響
選択した方向性は、戦略や目的に大きな影響を与えます。
次の例を検証してみましょう。競合が素晴らしいアナリティクス機能を備えた製品をリリースしたことで、彼らの顧客は大いに満足しており、それに対して自社は市場に追い付こうとしているとします。このような場合、顧客が気に入るかどうか不明な機能を追加するために、必要以上のリソースを費やしたくはないでしょう。何が市場で受け入れられているのかを既に把握しているため、パリティ (同等の製品) の取得を求めています。このことが市場参入戦略を形成し、ソフトウェアスイートに組み込みアナリティクスを導入・実装することで達成しようとしている目的を定義します。
しかし、あなたは市場に隙間を見つけ、アナリティクス機能を追加することで、既存の製品に驚くべき価値を追加できると信じているかもしれません。こここそが目指すべき方向性と、このエキサイティングな新機能への投資に費やすリソースの量を選択する場面です。
より優れたデータビジュアライゼーションを求めていますか?
人工知能や自動分析および自動監視を活用したいですか?
ユーザーに文脈化されたインサイトを提供したいですか?
または、上記すべてでしょうか。
戦略には、事前にこれらの検討事項への回答が必要になります。
BIの専門家や製品責任者は組み込みアナリティクスの必要性を認識しているかもしれませんが、その具体的な利益や成果を正確に特定するのは難しいでしょう。
製品責任者や企業のリーダーとして、経営層からの購入許可を得るために、アナリティクスソリューションに投資する論理的根拠を明確に示すことができなくてはいけません。経営層にソリューションを売り込むには、望ましいビジネス成果「( なぜ」) と、対象となる関係者「( 誰のために」) に重点を置く必要があります。どのようなビジネスでも、利益を明確に示し、感情的にも理論的にも関係者の要望に結び付く強いビジョンが必要であり、製品や販売の関係者が協力して開発するのが理想的です。
また、製品責任者や企業のリーダーは、アナリティクスソリューションを組み込むことで得られる前向きな成果を明確にし、それをビジネス全体に理解してもらう必要があります。アナリティクスアプリケーションを組み込むことで、以下のように様々なメリットを得ることができます。
- 市場シェアの拡大
- 差別化された競争優位性の獲得
- 顧客ロイヤリティの向上
- データやレポートに関する顧客ニーズへの対応時間の改善
- 顧客が規制やコンプライアンス要件を満たすためのリスクを軽減
予算と投資収益率 (ROI) の確定
ビジネス事例を作成する場合、初期投資と継続的なサポートコスト (総所有コスト) が、期待される投資収益率 (ROI) の観点から正当でなくてはいけません。
必要な予算と期待される成果を明確に把握することで、予想される成果を効果的に伝えることができます。そこで、予算検討時には、以下のような基礎的な項目を考慮しましょう。
- 目標に対して予算は現実的であるか。
- 投資収益率はプロジェクトへの着手を正当化しているか。
アプリケーションの提供に関連するすべてのコストを確認しましょう。例えば、オープンソースのアナリティクスソリューションやグラフライブラリは、初めは魅力的に見えても、追加開発を行うにつれて、正味の利益がほとんどないか、むしろマイナスになる可能性もあります。
弊害や脅威の明確化
BIやアナリティクスソリューションの提供における課題は、技術面だけではなく、組織的、政治的、社会的な面もあります。新規ソリューションを進捗させるためには、これを妨げる恐れのある既知の原因を事前に明らかにしておく必要があります。
- データ品質の課題が未解決のままだと、データに対する信頼性が低いため、アナリティクスの導入を妨げる可能性があります。データ品質の課題は、ビジネスプロセスの根本的な問題を示すものでもあり、これに対処することでさらなる価値を提供することができます。
- 開発リソースのスケジュール作成は、開発チームと製品責任者の間に摩擦を生み出す可能性があります。
- 実験や学習のために割り当てられた時間やリソースが不十分であった可能性があります。
タイムフレームとプロジェクトロードマップの設定
プロジェクトを成功に導くうえで重要な要素は、現実的なタイムフレー ムを設定することです。これにより、アプリケーションの市場投入という最終目標に焦点を置き続けることができます。アナリティクスアプリケーションのリリース時は、主要な製品のリリースやユーザーカンファレンスとの同時開催を検討しましょう。これにより、迅速かつ効率的な製品の提供を促進します。チーム全体で、何が、いつ提供され、それがどのような影響を与えるのかを理解する必要があります。そのためには、以下の様な項目の提示が必要です。
- 重要なマイルストーンを記載した簡単なタイムライン
- ビジネス上のインプットが必要になる箇所の明記
- プロジェクトスタッフなど、必要なリソースのハイレベルな説明
- CEOから業務担当者まで、社内の一貫性確保に向けた組織全体でのビジョンと計画の 共有
意思決定
製品の方向性を早い段階で考えなくてはならないのは大変なことだと思われるかもしれませんが、意思決定をする際には基準になるような仕組みがいくつかあります。
顧客フィードバック: まずはこちらから着手しましょう。顧客はアナリティクスに興味を示しているでしょうか。彼らはアナリティクスソリューションから十分な利益と価値を得ることができるでしょうか。
競合分析: 競合は何を実施しているでしょうか。既に類似する機能を備えた競合が存在する場合は、差別化戦略を採用する意味がありません。
業界アナリストとのディスカッション: 市場を理解するのがアナリストの仕事です。彼らの知識やインサイトを最大限に活用して、自社のアナリティクスの目指すべき方向性の調整に役立てましょう。
内部ワークショップ: 社内の担当者は、日々製品や顧客と接しています。彼らは、外部の人々が語るよりも、市場や製品について確実に理解しているでしょう。最も詳しい人たちに計画の策定を依頼するのはどうでしょうか。
製品の位置付け
顧客には、完全にホワイトラベル化されたソリューション (顧客はサードパーティ製製品であることにまったく気が付きません)、グレーラベル化されたソリューション (自社製品としてブランド化しますが、サードパーティ製ツールであることを明確に示します)、または、サードパーティ製ツールのブランドを維持したソリューションの組み込みなど、様々なオプションを提供することができます。
各オプションにはそれぞれ、長所と短所があります。顧客に最高の製品を提供したいのであれば、これが自社製品であることを明確に示し、競合との差別化を図るためにホワイトラベル化 / グレーラベル化が最も有効な選択肢でしょう。サードパーティ製ツールのブランドを維持する場合は、顧客の自社製品への「こだわり」や「愛着」が失われ、顧客は「なぜデータにアクセスするためにアナリティクスツールを使うことができないのだろう」と、疑問に思うかもしれません。
さて、いよいよチームを編成します。
プロジェクトの遂行に必要なスキル、責任、権限を備えたクロスファンクショナルの関係者をすべて網羅するようにします。パリティソリューションを構築する場合、コアビジネスチームよりも、外部サポートがより必要になるかもしれません。競争力のあるソリューションを構築する場合は、社内で一からチームを作る必要があるでしょう。
組み込みアナリティクスチームの編成における主要な考慮事項
チームを編成する際には、以下の点に考慮する必要があります。
- クロスファンクショナルチームを編成し、ビジネス全体から専門知識を導入する。
- 構築するソリューションに応じて、どの程度のBIスキルが必要なのか。
- 自社のスキルギャップを把握する。
- ギャップを埋めるための計画とリソースの可用性を管理する。
クロスファンクショナルプロジェクトチームの編成
ビジネスへのアナリティクスの導入を成功へ導くには、アナリティクスアプリケーションの開発ライフサイクル全体にわたる、様々な人材やスキルが必要になります。プロジェクトを推進するスポンサーから品質保証チームまで、成功のためにはすべての人々が必要不可欠です。
製品スポンサーまたはチャンピオン
製品スポンサーは、プロジェクト全体の方向性に責任を持ち、それが企業の目標に合致していることを確認します。この役割は、日々の業務がプロジェクトの成功に左右されるような組織の上級管理職であることが望ましいです。製品スポンサーの役割は、製品がリリースされたら終わりというわけではなく、リリース後の活動やレビューに対しても責任を負います。
アナリティクスプロジェクト責任者
プロジェクト責任者は、プロジェクトチームの中で最も重要な役割を担います。彼らは、プロジェクトが計画通りに、予算範囲内で進行していることを確認する責任があります。彼らは、様々な関係者との関係性やリソースを管理し、チームのモチベーションを維持します。
製品開発責任者
製品開発責任者はプロジェクトに深く関わり、開発を率いる立場として、顧客が望むアナリティクス機能に必要なデータは何か、それを製品全体へどのように統合するかを把握し、開発スケジュールの推進に貢献します。
販売責任者
販売責任者は、想定されるターゲット (顧客、エンドユーザー、社内の経営層) へのアナリティクスの販売に責任を負うため、プロジェクトの開始時からチームに参画していなくてはいけません。結果としてプロジェクトの成功は、既存・新規に関わらず、顧客にどれだけ販売できるかで決まるため、販売責任者が最初から関わっているかどうかは非常に重要になります。
マーケティング責任者
マーケティング責任者は、(販売担当者と同様) 製品の位置付けとターゲットの定義に責任を持ちます。明確に定義されたターゲットや製品の位置付けは、製品リリースを成功させるために非常に重要です。マーケティングチームは、製品に「 最初の目」を向けさせる役割を担っており、販売チームと密接に連携してこれを進めていく必要があります。
アナリティクス開発者
アナリティクス開発者は、コンテンツ作成に責任を持ちます。彼らは、データを分析に使用できる形式にし、レポートやダッシュボードのような、ユーザーがデータセットを使用する際に、そのまま使用できるコンテンツを作成します。
ソフトウェア開発者
アナリティクスアプリケーションの組み込みを成功させるためには、アプリケーション開発者が大きく関与する必要があります。彼らは、アプリケーションとデータセキュリティ、およびデータのコンプライアンスを維持しながら、コアアプリケーションからBIモジュールへのシームレスなフローを確保するための統合開発 (API、JavaScript、その他のコネクターを介するかなど) に責任を持ちます。
QA/テスト
品質保証とテストチームは、製品の市場投入を成功させる重要な要素です。彼らは、開発された統合がシームレスに機能していることを確認し、コンテンツの正確性をテストしなくてはいけません。また、レポートやダッシュボードに顧客のデータが正確に反映されていることも確認する必要があります。
スキルアセスメント
一般的なソフトウェア開発者であれば、優れたエンジニアリングチームを既に構成しているかもしれませんが、だからといって、ワールドクラスのアナリティクスソリューションを既存のソフトウェアに組み込むための適切なスキルを持ち合わせているとは限りません。
BIに必要なスキル
BIプロジェクトを成功させ、既存のソフトウェアにアナリティクスを組み込むには、創造性や共通認識、可能な限りプロセスを簡素化する解決力が、特にブレインストーミングや初期のデータ分析フェーズでチームに必要になります。プロジェクトには継続的なもの (アプリケーションパフォーマンスの最適化) や、短期的なもの (ユーザーの依頼に応じた特定のレポートセットの作成) など様々ありますが、これらが効果的であるかどうか、という問題が付きまといます。複雑なビジネス上の意思決定を行い、ビジネスを前進させるための計画を設定するためには、ビジネスへの洞察力が非常に重要になります。
BIチームは、次の2つの役割を満たさなくてはいけませ ん。ひとつは、顧客が求めるコンテンツを作成するために、データを深く検証できる技術専門家としての役割、もうひとつは、開発しているアプリケーションの性質を理解し、技術者と非技術者の両方の要件を伝えることができるコミュニケーターとしての役割です。それでは、具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか。
統合とソフトウェア開発の専門性
アプリケーションの組み込みには、多大な開発労力が必要になります。開発チームには、選択したソリューションの組み込みに割り当てられるリソースと時間、開発の専門知識、QAやテストなどが必要です。開発チームの人数が少なく、個人に課される負荷が大きい場合は、アナリティクスベンダーや他のサードパーティプロバイダーの協力を得て、開発スピードを加速させることも検討しましょう。また、BIやアナリティクスソリューションの実装と管理を専任で行うサードパーティサービスを検討するのもよいかもしれません。
ビジネス要件とアナリティクスインサイト
BIはソフトスキルでもあります。何百万行ものデータをテーブルに読み込むスクリプトを記述することができても、それが何に使われるか分からなければ意味がありません。BI専門家は、アナリティクスを通してその価値を提供するために、アプリケーション開発の目的を把握しなくてはいけません。BIとは、価値を提供するために、技術面だけでなく、ビジネス面でも話ができるようになることです。そのため、以下の点を必ず確認しましょう。
- 顧客ビジネスの明確な理解
- アナリティクスの活用によりどのような付加価値が生まれるか
- ユーザータイプごとに異なるニーズを統合する能力
- ユーザー固有のコンテンツの開発に優先順位を付ける能力
データ準備
ほとんどのBIツールは、データベースに接続します。BI開発者は、顧客が求めるコンテンツを作成するために、これらの情報がどのように構築されているか、データのギャップはどこにあるのか、その情報をどのように構築できるかを理解しなくてはいけません。
- アプリケーション内で利用可能なデータを理解し、それが意図した用途をサポートしているかどうかを把握する。
- データの完全性を理解する - それは完全で、正確で、タイムリーなデータでしょうか。
- オンライン分析処理、または多次元分析機能を構築する。
ベストプラクティスコンセプトの理解
フィールドの固有な命名規則やプロンプトの制限、メタデータレイヤーの使用などに関する知識を得ましょう。これらを適切に理解することで、アプリケーションに組み込まれたBIコンポーネントの正しい設計と将来的なメンテナンスを通して、ユーザー使用率に大きな影響を与えることができます。
BIツールへの精通
BIチームが提携しているアプリケーションベンダーを熟知していたり、BIツールの使用経験がある場合は、これが成功への近道になるでしょう。パートナーは、アナリティクス導入プロセスの各段階が計画通りに進むよう、技術レベルで積極的に指導してくれます。
データアナリスト
顧客のニーズや質問を理解し、データを解釈して顧客に利益を提供するインテリジェントなインサイトを得るには、社内スキルが必要です。優れたアナリストは、誰もが予想していなかった答えを導き出したり、誰もが尋ねなかったことを質問したりすることができます。このように細部にまで注意を払うことで、データの新しい使用方法を発見し、顧客にメリットを提供する新しい方法を見つけることができます。
1-3: 技術的ギャップの解消
アナリティクス導入に向けて、必要なスキルセットを迅速に構築するには3つの方法があります。既存の開発者にBIのトレーニングを行う、新規正社員の雇用、そして短期契約社員の採用です。それぞれに長所と短所があるため、以下に詳細を確認していきます。
専門家との契約
迅速にスキルを構築するために、外部の専門家を採用するという選択肢があります。
最も重要なスキルは、上述のようにコアBIであり、採用者はアプリケーションに必要なアナリティクス、データベース、BI製品に関するスキルを持ち合わせていなくてはいけません。
アプリケーションの性質や統合レベルに応じて、SSO (シングルサインオン) やWeb サービス、APIに関する知識を持つ専門家が必要になる場合もあります。
専門家との契約時には、以下の質問事項を確認しましょう。
- 彼らは使用している製品や技術コンポーネントを知っているか。
- 彼らは組み込み導入の実績があるか。
- 彼らはソフトウェアベンダーとエンタープライズ間の固有のニーズを理解しているか。
- 彼らはアプリケーションの目的と、それが顧客にもたらす価値を理解しているか。
外部から専門家を採用するメリットは、長い開発サイクルを短縮し、技術的に可能な限り「最高」のアプリケーションを構築できることです。既存製品に精通した専門家は、これらの技術的コンポーネントを構築し、統合する最良の方法を把握しています。自己解決にかかる時間や関連コスト、再作業の可能性を考えると、市場投入を加速させるための外部コンサルタントの採用はすぐに正当化することができます。
ベンダーは、必要なスキルを直接、またはパートナーネットワークを通して提供することができます。
プロジェクトチームの強化
ここからは、プロジェクトチームにアナリティクス製品のトレーニングを行い、彼らがその機能を使いこなし、要件を満たしていることを確認する重要なステップになります。チームは、フロントエンドから技術・統合ニーズまで、製品のあらゆる側面に目を向け、その限界に挑む必要があります。
製品だけでなく、データビジュアライゼーションやダッシュボード作成など、ビジネスインテリジェンスのベストプラクティスにおいて、プロジェクトチームをどのように強化するかについても検討する価値があります。従来の開発者の中には、優れたコードを記述できても、ビジネスインテリジェンスの標準的なベストプラクティスコンテンツを構築するために必要な専門性が欠けている人もいるかもしれません。
専門家の採用
場合によっては、BIの専門家を採用し、開発チームを率いてもらうのが最良の選択肢になります。この人物は既存のスタッフを教育し、ギャップを埋めるための請負業者の採用をサポートし、一般的に、プロジェクトのすべての開発フェーズで適切な選択が行われるようにすることができるでしょう。最終的には、上述の組み合わせから選択することもできます。
1-4: 製品/ビジネスオーディエンスのためのデザイン
デザインにどれだけの労力を費やすべきでしょうか。これは、プロジェクトの目的に大きく左右されます。競争上の差別化を図るのか、競争力のあるパリティを達成したいのでしょうか。パリティを目標とする場合、コストを抑え、素早く市場に投入することを念頭に置きましょう。
CURATEDコンテンツは、それぞれのペルソナに応じて異なることを考慮する必要があります。すべてのユーザーが同じニーズを持つわけではありません。
このアナリティクスアプリケーションは、誰のために構築するのでしょうか。そのダッシュボードは誰が使用するのでしょうか。彼らに必要な情報は何でしょうか。彼らが既に把握していることは何でしょうか。彼らの経験や弊害は何でしょうか。貴重なリソースを使用してアナリティクスアプリケーションの開発を始める前に、オーディエンスを明確に理解する必要があります。そのためには、オーディエンスのペルソナを作成する必要があります。
エンドユーザーのタイプはそれぞれに異なるため、それに応じたニーズや要件も様々であることを覚えておかなくてはいけません。対象になるユーザーは、上級管理職から最前線の従業員まで、顧客からサプライヤーまで、エンジニアから販売担当者まで多岐に渡り、それぞれが異なるニーズと要件を持ちます。また、既存顧客の場合もあれば、初めて製品を手にする新規顧客である場合もあります。各ユーザータイプにはそれぞれ固有のニーズがあり、それに対応しなくてはいけません。
組み込みアナリティクスのためのペルソナの作成
オーディエンスを理解するための最初のステップは、アナリティクスアプリケーションを使用する各ユーザーのタイプ別にペルソナを構築することです。上級管理職からサプライヤーまで、製品を使用するすべてのタイプのユーザーを網羅したら、製品から最も価値を得るのは誰か、その要件がどの程度複雑であるかという順序に応じて優先順位を付けます。
ユーザーを真に理解するためには、ペルソナを構築し、そのニーズを詳細に把握する必要があります。ここで考慮すべきことは以下の通りです。
- ハイレベルな詳細: 役割や職種など
- 主な特徴: 業務上か戦略上かなど
- 目的: アナリティクスを活用して何を達成しようとしているか
- 不満: アナリティクスが解決しようとする、その人物が日々の業務で直面している困難と は何か、など
- ニーズ (レポート要件など) : 定期的に開催される取締役会に出席し、アナリティクスを 利用して意思決定を行うか、など
アナリティクスオーディエンスが最も考慮すべき事項と影響
アナリティクスの実装をエンドツーエンドで効果的に行うために、チームが特定して対応する必要がある重要な分野がいくつかあります。ここでは、オーディエンスについて考慮すべきいくつかの要因と、ダッシュボードデザインへの影響について説明します。
オーディエンスを決定: 3つの組み込みアナリティクスのペルソナ例
ペルソナがどのようなものであるかの例を以下に示します。
エグゼクティブユーザー
多くのエグゼクティブは非常に忙しいため、ビジネス戦略を決定するために一目で分かる答えを必要としています。彼らは、分析結果の構築方法に特に興味はなく、ビジネス戦略を決定するための情報を求めています。そのため、ダッシュボードやモデル、シミュレーションの使用を好みます。ダッシュボードは、モニタリングや差し迫った問題の早期警告を提供し、ユーザーがデータに関するコメントを共有できるようなコラボレーション機能を備えている場合もあります。このようなユーザーは、ハイレベルな視点から、文脈に沿った詳細なレベルを探求します。このユースケースをサポートするデータは、一般的に、データウェアハウスやデータマートに保存されます。指標の種類は通常、財務や集計された業績指標であり、データの更新頻度は他のダッシュボードタイプと比較して低い (月次) のが一般的です。
業務ビジネスユーザー
業務ビジネスユーザーは、日々の業務を遂行するために必要な情報を提供するダッシュボードを求めています。このような情報利用者は、様々なソースからのデータを含むレポートを必要とします。また、セルフサービス機能 (例: レポートやダッシュボード、スコアカードビジュアライゼーション) を使用し、販売統計や顧客情報を追跡します。彼らはよりインタラクティブなユーザーであり、ダッシュボードやスコアカードは、日々の活動を満たすために必要な基礎的な問題への重要なインサイトを提供します。このようなユーザーが使用するダッシュボードは、部門ごとに焦点を絞る傾向があり、より詳細な業務指標に依存し、頻繁に (毎日) 更新されます。一般的には、トランザクションレベルの詳細へ掘り下げることのできるソリューションを使用します。例えば、セールスダッシュボードでは、営業責任者にリアルタイム予測や、営業担当者の活動状況、パイプライン分析や個々のCRMレコードへのドリルダウン機能を提供しています。
パワーユーザー
情報の発信者であるパワーユーザーは、分析されるテクノロジーやビジネス課題を詳細に理解しています。彼らは積極的かつ適切に分析課題を追求し、より高度なアナリティクスツール (例: オンライン分析処理 (OLAP)、アドホッククエリー、モデリングなど) を使用して、売上変動やカスタマーエクスペリエンスの原因をより深く理解します。さらに、ダッシュボードやスコアカードを、自分たちのインサイトや分析を他の人が利用できるように公開するプラットフォームとして利用します。
データにもデザインが必要
ダッシュボードのデザインがそれぞれのペルソナのニーズに完全に対応し、問題の本質を捉えていることを確認しましょう。そのためには、主要な課題を特定します。セールスダッシュボードでは、「どうすればもっと効果的にリードをパイプラインに流すことができるか」を考える必要があるかもしれません。マーケティングダッシュボードでは、「どのようにすればマーケティング投資を最適化できるか」を考えるでしょう。これらの重要点を引き出すことで、余計な情報を排除するための論理と論拠を得ることができます。また、本当に重要な情報はトップページに配置し、付帯情報の表示は控えましょう。
ダッシュボードのデザインで最もよく見られる間違いのひとつが、すべての情報が等しく重要であるかのように扱うことです。また、ダッシュボードに含める情報の基準を、影響力のある人物が興味深いと思ったかどうかとする場合が多々見受けられます。しかしここでは、より厳しく、かつシンプルな条件を提案します。「その情報は生産的なアクションを引き起こすでしょうか」
以下は、適切なパフォーマンス指標を見つけるためのシンプルなフレームワークです。
データの焦点
ペルソナごとに利用可能にするデータの範囲を決める必要があります。データの範囲は主に4つの領域に分けられ、以下のようになります。
- 履歴: どのくらい過去のデータが必要なのか。
- 粒度: どこまで詳細に調べるか。
- 即時性: どの程度リアルタイムに近いレポート作成が必要か。
- セキュリティ: セキュリティ: どのようなアクセス制限が必要か。
履歴
ソフトウェアアプリケーションの計画時には、各エンドユーザーがどの程度過去のデータまで遡ってアクセスしなくてはいけないのかを把握することが非常に重要です。例えば、ユーザーが今年のYTD (year - to - date) と昨年のYTDを比較したい場合、少なくとも24ヶ月分の履歴を提供しなくてはいけません。なお、履歴データの大量保存はコストがかさむことを念頭に置き、エンドユーザーや顧客のペルソナのニーズを考慮しながら現実的に判断しましょう。
即時性
特定のペルソナのために、どれだけリアルタイムに近いレポート作成が必要か考えましょう。一般的に、役員クラスのエンドユーザーはリアルタイムの情報へのアクセスを必要としませんが、運用担当者には必要です。例えば、財務担当者は、最新のレポートを送信する必要があるかもしれません。一般的に、運用担当者は、アナリティクスアプリケーション内で提示されたデータに反応します。彼らは、日々の業務をこなすためにデータを使用します。業務では、数字を処理し、関連するタスクが完了したら、その数字の変化を確認します。例えば、ある日の未処理残高のレポートを閲覧したら、財務担当者はリマインダーを出したくなるかもしれません。これが完了し、基幹システムに取り込まれると、これらの変化はすぐにレポートに反映されるはずです。一方、経営層にとっては、一般的に傾向により興味があるため、リアルタイムデータや、その急激な変化の表示には特に価値がありません。とは言え、中には気まぐれにひとつのトランザクションを掘り下げようとする経営層がいることも重々承知しています。
粒度
粒度とは、どの程度細分化されたデータが必要かを示すものです。例えば、履歴データを保存する場合、トランザクションレベルの詳細が必要なのか、それとも、すべてのトランザクションを日次で集計することができるのでしょうか。ある程度データをまとめることができれば、レコードの総数を減らして、パフォーマンスを向上させることができるため、ユーザー使用率を加速させます。しかし、他のタイプのユーザーは、SKUと比較して特定の製品深度カテゴリーを必要としたり、郵便番号ではなく緯度経度座標を必要とするかもしれません。粒度を小さくすると、実行可能な分析の柔軟性が失われますが、一度データを集計してしまうと、集計前粒度のデータをレポート作成に使用できなくなります。もし、ユーザーにそのレベルの詳細なデータを求められた場合、それを元に戻すのは非常に難しくなります。なお、Amazon Redshift のような高速分析データベースを使用すれば、膨大な分析データを保存することもできますが、それに伴う追加コストが発生する可能性があることに注意が必要です。
セキュリティ
データセキュリティはアナリティクスアプリケーションの重要な要素です。まず、既存のソフトウェアに設定されたデータセキュリティは、シームレスかつ自動的にアナリティクスアプリケーションに反映されなくてはいけません。価値創造の大きな領域のひとつは、あるユーザーを他のユーザーに対してベンチマークする能力です。これは、顧客レベル、部門レベル、または店舗間の地域比較で行われます。この場合、自身のデータと他のデータを比較して表示するために、他のデータにアクセスできなくてはいけません。このような場合、粒度の細かいデータには標準的なセキュリティを設定し、集計されたエンティティには、オープンなアクセスを提供することが望まれます。
Yellowfinからの提案
ほとんどのダッシュボードは、常に更新される必要があることを心に留めておきましょう。ダッシュボードは、毎日最新のデータとともにユーザーに提供されなくてはいけません。しかし、更新頻度が低いダッシュボードも有用です (例えば、週次更新される場合など)。この場合、タイムスライダーのような何らかのインタラクション手段があれば、時間経過に伴う指標の変化を確認できます。ユーザーは、測定基準が異なれば、更新頻度も異なることを理解する必要があります。例えば、顧客満足度データは月次で更新されますが、セールスパイプラインインデックスのような指標は毎日更新されるかもしれません。
1-5: 機能性
ペルソナの定義が完了し、ダッシュボードのデザインをスケッチしたら、特定のペルソナの要件を満たすために必要な機能と特徴の検討を始めることができます。
すべてのユーザーができる限り多くの機能を求めていると想定するのは容易ですが、現実はそうではありません。必要以上に多くの機能を提供しても、ユーザーの混乱を招き、それがユーザー使用率の低下につながるだけです。また、機能が少なすぎる場合も同様に、アプリケーションでさらに多くのことを行いたいエンドユーザーの不満を招きます。
次の図は、BIの主要な機能と、それが最適なユーザーのタイプを示しています。多くのユーザーは表面をなぞる程度で問題ないですが、高度な分析機能を最大限に活用したいと望むユーザーもいます。
アナリティクスインタラクティビティ
ユーザーがデータを使用してビジネスを改善させるための独自の発見ができるようにしましょう。ビューをフィルタリングし、ドリルダウンして、基礎となるデータを検証できるようにします。ユーザーは、地域別や製品別にドリルダウンしたいのでしょうか。すべてを、ユーザーに任せましょう。彼らは自身が何を必要としているか、何を求めているかを誰よりも知っているからです。ユーザーが最も必要とする場所にデータを配置することで、より業務がしやすくなります。楽しく、魅力的で、インタラクティブな使用を演出しましょう。データを比較し、エクスポートして、アラートを設定したり、フィルタリングやドリルダウンをすることができます。データを通してインサイトを探求し、これを引き出すことは、ユーザーにとってとてもやりがいのある経験になります。
ペルソナが求めるダッシュボードの計画時には、次のインタラクションタイプを検討しましょう。
ドリルダウン/ドリルスルー: サマリー指標やビューから、より詳細な内容や細分化された情報を提供する追加的な詳細へ掘り下げる機能です。
フィルター: ダッシュボード内のデータ範囲をユーザーのニーズに合わせて定義できるようにします。フィルターはグローバル (ダッシュボード全体の範囲を絞り込む)、またはローカル (特定のグラフや数値、ビューに限定して範囲を絞り込む) のいずれかを適用することができます。
比較: データの2つ以上のサブセットを並べて表示する機能です。例えば、線グラフの場合、2つの異なる地域の情報を別々の線として表示することができます。
アラート: 前に設定された基準に基づいて情報を強調して表示します。ある指標が特定の閾値を超えた場合にアラートが有効化されることもあります。
エクスポート/印刷: ダッシュボードから情報を引き出すことができます。PDFではなく、ExcelやCSVなど、データをより活用できる形式にエクスポートできます。
セクション2: 技術的実行
2-1: 適切なアナリティクスプラットフォームの選択
プロジェクトを編成したら、次のステップは、既存のプラットフォームに組み込むべき適切なアナリティクスアプリケーションを確実に選択することです。これは、最終的なソリューションのビジョンに合わせて検討しなくてはいけません。基礎的なグラフライブラリであるべきか、それともアプリケーションに完全に組み込まれたシームレスな部分であるべきか。これらの質問に答えることができるのはあなただけです。そのため、目標に沿った最適なソリューションを評価し、決定するのに役立つ基準を作成する必要があります。
では、何から始めればよいのでしょうか。もちろん、機能や特徴、費用対効果は考慮すべき普遍的な要素です。また、成熟度やビッグデータの洪水に対応する機能や、顧客の要求に応じたスケールアウトについても考えてみましょう。これらすべて、顧客独自のビジネス要件に照らして検討する必要があります。以下の項目を参照してください。
選択基準の特定とランク付け
一般的に、組み込みに適したアナリティクスアプリケーションを選択する際には、いくつかの課題があります。具体的には以下の通りです。
選択基準: 従来のツール選択基準には、特徴や機能、コスト対効果分析などがありますが、ソフトウェアベンダーがビジネス目標を達成するためのアナリティクスソリューションの選択に役立つ分析成熟度や使用率、ビッグデータの活用などの評価基準は除外されています。
ビジネス目標への影響を理解: ほとんどのソフトウェアベンダーは、高度なアナリティクスがいつどこでビジネス目標に影響を与えるかを理解していないため、新しいソリューションを導入するタイミングが分かりにくく、価値の低い基本的なクエリーやレポート作成ソリューションを安易に初期設定にしてしまいがちです。
将来への備え: 現在だけでなく、将来的な要件にも合致することを確認します。アナリティクスプラットフォームの柔軟性は重要です。製品ロードマップが、新しい分析機能により達成可能であることを明確にします。
機能的な選択肢: 顧客のニーズに合わせて、アナリティクス製品に搭載されている機能を提供できることが重要です。コラボレーションBI、ロケーションインテリジェンス、モバイルBI、ダッシュボードなどの機能は、顧客に最高のユーザーエクスペリエンスを提供するために考慮すべき機能です。ただし、既存製品の新機能開発に注力すべきであり、顧客要件に対応するためのアナリティクスアプリケーションの開発に注力すべきではありません。
組み込み: BIベンダーがどのように組み込み機能を提供するかを把握しておくことは極めて重要です。また、製品ビジョンを達成するために、既存のアプリケーションにどのようにアナリティクスを組み込みたいのかも把握しておく必要があります。関係者と協力して、利用可能な組み込み機能のビジネスバリュー、コスト、メンテナンスの意味を理解します。
継続的な関係: アナリティクス製品の組み込みは単純な決定とは異なり、結婚に近いものがあります。そのため、一緒にプロジェクトに携わるベンダーを時間をかけて知ることが大切です。長期的なパートナーシップを築くために、彼らの文化が自分たちとうまく融合できるかを確認します。これは難しいことですが、セールスプロセスを評価し、技術チームと会話をして、彼らがどのように対応するのかを確認しましょう。彼らのセールスサイクルが遅く、こちらの負荷が大きいのであれば、重要なサポートが必要な局面で何ひとつ改善されない可能性が予測できます。
高幌なるベンダー一覧の作成: データアナリティクス業界は、多数のベンダーが台頭し、成長を続けています。ベンダーのウェブサイトや、オンラインビデオ、サポートサイトなどを通して、彼らが基準を満たしているかどうかを素早く判断しましょう。ベンダーとお互いを紹介する打ち合わせを行い、可能であれば、彼らの顧客とも話をしてみましょう。ベンダーとデモを実施し、要件に最も適合するベンダーを探します。
POCを実施し製品を選定: POCは、使用したいアプリケーションをテストする最高の機会です。しかし、POCは実際の導入を完全にテストするものではありません。POC はひとつ、または2つの製品に限定し、最初の製品が基準を満たさない場合は、すぐに次の製品の検討へ移行できるように準備しておきましょう。
ほとんどの場合、コストは最初の大きな検討事項のひとつです。総所有コスト分析では、以下の点に着目しましょう。
- ライセンス
- 初期および継続的な実装
- (時間とリソースを含む) 管理要件
- 開発とメンテナンス
- 統合の要件と費用
2-2: 魅力的なコンテンツの作成
ここから、ダッシュボードの外観と機能について検討を始めましょう。どのような形式や構造で、どのようにデザインされ、ユーザーが情報を操作するためにどのような機能が必要でしょうか。
これまでのステップでオーディエンスを理解し、ペルソナを作成して彼らのニーズを理解してきたことで、彼らに関連するコンテンツを作成することができるようになります。ここでの目標は、作成したコンテンツ (ダッシュボードやレポート) は、ユーザーがアプリケーションを使用する際に、より多くの時間を費やしたくなるような魅力的なものにすることです。これにより、使用率が高まり、推測ではなく情報に基づいてビジネスを推進することができます。
このデータドリブンな変革により、顧客はBI製品からすぐに価値を得ることができるため、ソリューション取得のために行った投資を正当化することができます。
優れた情報デザイン
エンドユーザーにとって、コンテンツはアナリティクスアプリケーションの最初で最後の印象を与えるものなので、確実に成功を導くためには優れた情報のデザインに注力しましょう。以下に、優れたアナリティクスアプリケーションをデザインするための重要ポイントをいくつか示します。
- エンドユーザーがアプリケーションを信頼するためには、提供されるデータが適切 (意味のある)、かつ正確 (信頼できる) である必要があります。
- アプリケーションのデザインは使いやすく、直感的で美しくなければならず、それによりユーザーはアプリケーションを使用し、対話するようになります。
- アプリケーションは、エンドユーザーの特定の役割に関連し、効果的でなければいけません。
- アプリケーションのデザインは、データの探索や発見を促し、それにより一担当者がそれぞれの業務範囲でヒーローになれるようにする必要があります。
もし、アプリケーションがこれらのニーズをすべて満たすことができなければ、プロジェクトは失敗に終わるでしょう。ユーザーがアプリケーションを使用することはないため、投資対効果は著しく低下します。
幸いなことに、これまでのペルソナ構築を通して、このステップの準備はかなり整っているはずです。必要な機能や必要なアナリティクスインタラクション、ユーザーに提供すべきデータについて十分に理解しなくてはいけません。あとは、デザインに注力し、それを魅力的なものへと昇華させるだけです。しかし、それはどのようにすればよいのでしょうか。よくぞ聞いてくれました!
デザインのガイドライン
ダッシュボードのデザインでは、シンプルであることが成功へのカギです。複雑なインターフェースは、技術者ではない一般的なユーザーを対象としたアプリケーションやソフトウェアには不適切です。デザインの核となる機能を絞り込むようにしましょう。理想のユーザーのためではなく、既存のユーザーのためのデザインです。つまりこれは、たとえ機能を犠牲にすることになったとしても、直感的で分かりやすいUIを構築すべきことを意味します。一般的なユーザーの立場に立って、アナリティクスインタフェースに何を必要としているのかを自問しましょう。
データの準備
まずは、データを分析に適した形式で準備します。トランザクションアプリケーションは、多くの場合、レポートや分析の負荷に最適化されません。ユーザーは、より大規模なデータセットや、時間の経過とともに集計されたデータへのアクセスを求めるようになるでしょう。そのため、コアアプリケーションのパフォーマンスに悪影響を与えることなくこの分析負荷をサポートするために、特別なレポートテーブルを構築したり、データウェアハウスを開発したりする必要が出てくるかもしれません。
データ品質の保証
分析負荷に対応するためにデータを変換する場合、高度なデータ品質の維持を保証しなくてはいけません。ダッシュボードやそこに含まれるグラフは、元になるデータの品質があってこそ、その良さを発揮します。データ品質の欠如は、アナリティクスプロジェクトが失敗する主な理由のひとつです。この罠にかかってはいけません。データソースや構築したダッシュボードのテストを繰り返して、品質に問題がないことを確認します。
レイアウトとデザインの提案
次に、優れたダッシュボードデザインの検討を始めるためのガイドラインをいくつか紹介します。これはあくまで出発点に過ぎません。Yellowfinのダッシュボードギャラリーなど、ユーザーにとって最高のアナリティクスコンテンツを構築するために役立つリソースが数多くあ ります。
- ダッシュボードのデザインはシンプルにします。ダッシュボードをレイアウトして、最も重要な情報が左側に表示されるようにします。これは、ほとんどのユーザーが情報を処理する方法であるためです。また、関連するビジュアライゼーションや比較が隣り合っていることを確認します。
- 人間が一度にたくさんの情報を処理するのは難しいので、ダッシュボードに情報を盛り込みすぎてはいけません。ユーザーはボーイング747のコックピットを必要としているわけではなく、飛行機を操縦するのに必要な4つの重要な飛行計器があればいいのです。
- ユーザーインターフェースは、A地点からB地点まで最もスムーズに最短距離で移動するための手段であると考えましょう。
- 管理職や経営層がデータを容易に把握できるように、使い慣れた形式のグラフを使用します。
- グラフもシンプルにします。グラフについては、情報がより少ない方が効果的です。目標は、視覚的なノイズをできるだけ少なくしてデータを伝えることです。
- マッシュアップ機能を使用して、プロセスモデルや建物のレイアウト、座席表などに、測定値や差異、ステータスフラグを重ね合わせることも可能です。実際、それ自体に意味がある表現は、文脈を効果的に伝えることにより、ダッシュボードが提供するデータをユーザーにとって現実的なものにするための非常に強力なサポートになります。
-
3Dグラフの効果は魅力的に見えるかもしれませんが、実際のところ、そこまでの機能は必要ありません。棒グラフのような二次元のグラフに3D効果を付けるのは、効果的なデータの比較を妨げるので、なるべく避けましょう。
- ダッシュボードのデザイナーは、バブルチャートのアニメーションを制作することに躍起になっています。これは美しい光沢を追加しますが、提示されたKPIを理解する過程では何の価値もありません。アニメーションの多用は、ユーザーがデータの傾向を確認したり、変化に気付いたりするのに役立つ場合にのみ使用しましょう。
- ダッシュボードでは、ユニークな部分に注意を引くために異なる色を使用し、2つの部分を結びつけるために類似する色を使用します。一般的に補色の配色は、ダッシュボードの魅力を飛躍的に向上させます。まとまりのある配色は、ダッシュボード全体に統一感をもたらし、よりプロフェッショナルな印象を与えます。効果的に色を使用することで、一歩抜け出す優れたユーザーインターフェースを構築することができます。一覧やフォーム、インターフェースのタブに至るまで、アプリケーションの様々な側面におけるステータス、重要性、タイプ、地域、価値、その他重要な特徴を伝えるために色を使います。なお、人口の6%の方々は赤と緑の区別ができない色盲であることを念頭に置いて、彼らに合わせたダッシュボードのデザインも必要です。
- ダッシュボードのデザインをする際には色だけに頼るのではなく、形、線、太さ、濃淡など、視覚を活用した処理を取り入れるとよいでしょう。例えば、円の大きさは売上や販売個数の相対的な大きさを表し、その形状の濃淡は利益などの別の指標を示すことができます。
2-3: 既存アプリケーションへの統合
プラットフォーム全体で一貫したエクスペリエンスを実現するために、アナリティクスコンポーネントが既存のアプリケーションの他の部分と同じであるように見えることが重要です。このプロセスは、ホワイトラベルアナリティクスと呼ばれています。
前述したように、完全にホワイトラベル化されたソリューション (顧客はサードパーティ製製品であることにまったく気が付きません)、グレーラベル化されたソリューション (自社製品としてブランド化しますが、サードパーティ製ツールであることを明確に示します)、または、サードパーティ製ツールのブランドを維持したソリューションを組み込むことができます。プラットフォーム全体で一貫したデザインを採用することで、セキュリティ、パフォーマンス、サポートなど、他の製品を使用する際にユーザーが抱く潜在的な懸念を抑えることができます。
ホワイトラベル化では、基盤となるアナリティクスプラットフォームのプロバイダーがエンドユーザーに明らかにされることはありません。すべてのラベルや、ユーザーメッセージ、エラーメッセージには、アナリティクスを提供するサードパーティについて言及する文言がないか、削除されています。もうひとつの選択肢として、ブラックラベル化があります。これはアナリティクスプラットフォームをエンドユーザーに明確に開示します (例: 提供Yellowfin)。
既存プラットフォームへのアナリティクスアプリケーションの統合方法を考える際には、以下のようにいくつかの選択肢があります。
1. 完全統合: 最も一般的な方法である完全統合は、既存のプラットフォームにアナリティクスアプリケーションを組み込み、シングルサインオンを実現することで、プラットフォーム全体の一貫性とセキュリティを向上させることができます。これは、既存のアプリケーションに統合するBIツールの完全なスイートを探している場合に最適な方法です。
2. 緩やかな統合: アプリケーションにアナリティクスを表示するために、JavaScript 統合を使用してレポートを組み込むというオプションがあります。しかし、この方法では、コラボレーション機能など、アナリティクスアプリケーションの他の機能にアクセスできないことがよくあります。そのため、既存アプリケーションへのレポート表示だけを検討している場合に最適な方法です。
3. 統合しない: もちろん、既存プラットフォームにアナリティクスアプリケーションを統合しないという選択肢もあります。この場合、アナリティクスアプリケーションと既存のプラットフォームは、それぞれ独立して機能することを意味します。これは、他のアプリケーションを単純に統合することのできないプラットフォームや、BIが独立した製品である方が、ユーザーがアナリティクスアプリケーションから得られる価値が高い場合に適しています。
統合における考慮点
既存の製品とアナリティクスアプリケーションを統合する場合、以下の領域でプラットフォーム間における統合の構築を検討するとよいでしょう。
アプリケーションとユーザーインターフェースの統合: 完全統合をする場合、ユーザーがアナリティクスモジュールに移動し、再び元に戻れるようにすることが最も重要です。ユーザーは、両アプリケーションの外観からシームレスなエクスペリエンスを求めています。両者は同じスタイルガイドラインや、ナビゲーション構造に従わなくてはいけません。また、Web サービスの統合により、アプリケーションに直接アナリティクスを統合することも可能です。これにより、外観を最大限に制御しながら、アプリケーションにレポートを配信することができます。
シングルサインオン: 複数のアプリケーションに都度ログインしたい人はいないため、アナリティクスアプリケーションにシングルサインオンする方法を開発する必要があります。
ユーザーとセキュリティの同期: アプリケーション全体のセキュリティを維持することは非常に重要です。そのための重要な要素が、既存のアプリケーションとBIプラットフォーム間のユーザー同期です。
アナリティクスアプリケーションが既存アプリケーションのデータセキュリティに抵触することなく、アナリティクスモジュールのユーザーが本来見ることのできないデータにアクセスできるようにならないようにしなくてはいけません。また、BIモジュール内のユーザーを、既存のアプリケーション内のデータ権限にリンクさせることで、アプリケーションが持つロウレベルセキュリティを複製する必要があります。
機能アクセス: すべてのユーザーがパワーユーザーというわけではないため、機能アクセスは、ユーザーの能力と責任のレベルに見合った適切なレベルの機能にのみアクセスできるようにする素晴らしい方法です。大部分のBIアプリケーションは、ロールに基づく機能を提供します。選択肢は多々ありますが、これらを簡素化し、必要に応じた機能を追加できるようにすることを推奨します。これによりユーザー管理プロセスが簡素化され、両アプリケーションでユーザーアクセスを定義する領域を一箇所に制限することができます。
マルチテナント: 既存のアプリケーションにマルチテナントが設定されている場合、クライアントベースをどのようにアナリティクスアプリケーションに複製するのかを検討しなくてはいけません。既存のアプリケーションに導入したマルチテナント設定を、アナリティクスプラットフォームがサポートしていることを確認しましょう。
オンプレミスへの導入: オンプレミスに導入する場合、アナリティクスアプリケーションをサイレントインストーラーとして既存のインストールプロセスにバンドルすることを検討します。これにより、ユーザーをシームレスにアップグレードし、インストールの一部としてパッケージ化されたレポートを提供することができます。
コンテンツの制御: せっかく素晴らしいコンテンツを開発しても、それをユーザーに編集され、壊されるのは困ります。ユーザーはコンテンツをコピーし、変更することはできても、提供されたコンテンツを削除できないようにするために、コンテンツを制御する戦略を立てましょう。
2-4: プロトタイプとベータテスト
ここまでのステップから分かるように、優れたアナリティクスアプリケーションをデザインするためには、数多くの事項が関係しています。
素晴らしく、達成可能な目標だとしても、始めからうまくいくことは非常に稀です。問題は、デザインに対する意見は人それぞれに異なるため、ここで取れる最善の手段は、あらゆる段階で (まず始めに) 顧客からフィードバックを収集し、(次に) 関係者からフィードバックを得るというプロトタイプのサイクルを繰り返し実施することです。
プロトタイプとベータテストを使用することで、何がうまく機能し、何がうまくいかなかったのかを評価します。ここでは、エンジニアリングのような単一の意見だけでなく、すべての関係者の目的と成功基準を考慮しなくてはいけない点に注意しましょう。
マーケティングのためのベータテスト
ベータテストは、技術的な検証のためだけに実施するのではありません。ベータテスト実施ユーザーへのインタビューを含め、マーケティングによる評価も重要です。アナリティクスコンテンツが満たそうとしているニーズを再度確認しましょう。エンジニアリングは、顧客から多くを学ぶことができます。ダッシュボードは今でも顧客のニーズに応えているでしょうか。製品にアナリティクスを統合することで、顧客が学んだ驚くべきインサイトとは何だったのでしょうか。ベータテストに参加する最も誠実な顧客を特定したら、彼らのポジティブな経験をリリース時に活かすことを忘れないでください。マーケティング、PR、アナリスト、ソーシャルメディア、その他様々な努力によって、彼らは成功を後押ししてくれるでしょう。
マーケティングのためのベータテストは3つのパートに分けて考えます。
パート1 - 検証: これは、マーケティングによるポジショニングとバリュープロポジションの検証、および新製品の技術的な検証を含みます。ベータフェーズのこのパートは、メッセージを洗練させ、ターゲットユーザーが適切であることを確認し、最終的に製品を日々使用することになるユーザーから検証することができます。これこそ、マーケティングチームが作り上げたハイプを実現するものです。
パート2 - フィードバック: アナリティクスコンテンツが満たそうとしているニーズを再度確認します。エンジニアリングは顧客から多くを学ぶことができます。ダッシュボードは今でも顧客のニーズに応えているでしょうか。製品にアナリティクスを統合することで、顧客が学んだ驚くべきインサイトとは何だったのでしょうか。この貴重な情報を、製品開発チー ムだけでなく、マーケティングチームにも共有しましょう。
パート3 - 参照性: ベータテストに参加する最も誠実な顧客を特定したら、彼らのポジティブな経験をリリース時に活かすことを忘れないでください。すべてのフィードバックを確認し、リリース素材として活用しましょう。様々なマーケティングキャンペーンに膨大な費用をかけることもできますが、顧客からの優れた意見がもたらす価値は、企業の成長にとってかけがえのないものです。マーケティング、PR、ソーシャルメディアなど、様々な活動の原動力になります。
セクション3: ビジネスアクティビティ
3-1: 適切な価格設定
価格設定は、製品リリースを成功に導く重要な要素です。そのため、製品のリリース前に、時間をかけてこちらのステップを適切に実施することが大切です。
ここで考慮すべき主なポイントは、購入しやすい価格設定にすることです。顧客が理解するのに何時間もかかるような分かりにくい価格モデルほど悪いものはありません。多くの場合、購入者が最初から価格モデルを理解していないときは、内部的に提示をする必要があります。
アナリティクスを選択肢のひとつに
この新しく優れたアナリティクスアプリケーションを、できるだけ多くの顧客に見てもらいたいと思うでしょうが、価格が高すぎたり、位置付けが悪かったりして、顧客がアナリティクスアプリケーションの追加を選択するのを妨げているとしたらどうでしょうか。実際にアナリティクス機能を見ることがなければ、顧客は得られる価値に気付くことがないため、アドオンとして選択する可能性は極めて低いでしょう。
顧客にアナリティクスの価値を紹介する方法はたくさんあります。無料評価版の試行や、限定された機能範囲内でのプレビューだけを得ることもできます。アナリティクスは、販売用パッケージの一部として、個人または限られたユーザーグループに提供し、人々がその価値を見出し始めたら、組織全体に普及させることもできます。
価格設定をシンプルにすることで、セールスチームは自信を持って製品を販売することができ、顧客も満足するでしょう。ここでの基本的なオプションは以下の通りです。
- モジュール価格 - アナリティクスアプリケーションに追加料金を課します。
- 基本価格 - 既存アプリケーションの基本価格を上げ、バンドルの一部としてアナリティクスを含めます。長所: ビルトイン、短所: 価格上昇
- 無料 - 課金をせずに関連コストを既存製品に包含します。
- 機能分割 - アナリティクスアプリケーションの各コンポーネントに対して課金をします。
- データ分割 - アクセスしたデータに対して課金をします。これは業務用には低く、戦略用には高くなります。
- コンテンツ分割 - コンテンツに対して課金をします (例: 経営層向けダッシュボード対運用ダッシュボード)。
組み込みアナリティクスソリューションの構築、維持、およびさらなる開発にかかる継続的な投資を常に考慮しましょう。特に、既存のアプリケーションの一部としてコストを包含することを計画している場合は、投資に対する明確なリターンが計画されていることを確認します。コア製品の潜在的な売上がアナリティクスへの投資を相殺するでしょうか。これを無料で提供することで、組織はアナリティクスを費用がかさむだけで収益を生まないアイテムであるとみなし、CFOが将来の開発のために投資を許可しない可能性があることに注意してください。
既存の価格モデル
既存の価格モデルを考慮し、これを新しいアナリティクスアプリケーションにも反映しましょう。既存の強みと、既に顧客が把握し、理解していることに基づきましょう。例えば、既存の価格モデルがフルタイム当量 (FTE) に基づいている場合、サーバーコアやデータ周りに価格モデルを設定すると、販売チームは混乱し、さらに重大なことに、顧客も混乱させてしまうことになります。
価格設定の最重要点は、顧客を混乱させないことです。顧客がどのアプリケーションを使用しているのかを把握しましょう。情報に基づく価格モデルの違いは、顧客が取引の選択肢から排除しかねない交渉ポイントを作ることになります。素晴らしい分析的価値を提供できる機会を、顧客が選択肢から外すのは避けたいはずです。既存顧客は、新規顧客としてアナリティクス製品を彼らの既存アプリケーションに統合することで、同等またはそれ以上の価値を得ることができます。情報に基づく意思決定を行うためにビッグデータを制御することが、今日の勝者を導きます。
使用状況の監視
製品導入の段階を考慮する場合、使用状況をトラッキングし、ユーザーがいつ次のレベルに移行したかを特定することが不可欠です。ユーザーベースの価格モデルであれば、これは非常に単純なプロセスです。ユーザーが次のレベルの機能を希望する場合、そのユーザーの権限を有効化し、それに合わせて請求額を調整します。
使用状況を監視することで、顧客がアナリティクスアプリケーションをどの程度使用しているのかを把握し、その情報に基づきアクションを起こすことができます。アナリティクスアプリケーションのパワーを理解するために追加でトレーニングが必要でしょうか。彼らは、他のユーザーの参考顧客になり得るパワーユーザーなのでしょうか。どのダッシュボードが使用されており、どれが使用されていないのでしょうか。似たような顧客は、利用していない機能から、よりビジネス利益をもたらす価値を得ているでしょうか。これらの情報は、顧客が製品を最大限に活用するために、どのようなサポートをすればよいかを把握するうえで、非常に重要な知識を提供します。
サポートサービス
オーディエンスを理解し、適切なコンテンツを構築するための調査を重ねても、あるレベルのカスタマイズや特別なサポートを必要とする顧客は必ずいます。サポートを提供する場合、まず誰がその作業を行うのかを理解しなくてはいけません。もし、自社でこれを実施する能力がないのであれば、信頼できるビジネスパートナーに、このようなサポートサービスを実行してもらい、組み込みソリューションに対する顧客満足を維持できるようにしていきます。
アナリティクス製品の階層化
ユーザーが決して必要としない、または使用しないかもしれない機能で混乱したり、圧倒されたりするのを防ぐために、製品の階層化を検討するのも良いでしょう。さらにこれは、ユーザーがアナリティクスパッケージを購入し、アップグレードや新機能など、それに付属するすべてのものを手に入れたというマインドセットを作り出します。
このステップは、ビジネスに必要な場合にのみ検討してください。例えば、製品の方向性が、顧客が必要なすべての機能にアクセスできることを確認することであり、それが競合製品と比較して有利である場合は、製品層が適切ではないかもしれません。
これがビジネス要件である場合は、ユーザーに基づき製品を階層化することを推奨します。企業レベルに基づきユーザーを階層化するのではなく、以下のような方法が考えられます。
初心者
ビジネスアナリティクスを始めたばかりのユーザーもいれば、日々の売上数値やレポートを閲覧するだけのユーザーもいるでしょう。彼らの職務は、積極的な分析課題の追及や、高度なアナリティクスツールの使用を必要としません。彼らは、データの詳細な掘り下げや試行に興味がありません。このような場合は、基本的な閲覧専用のダッシュボードや、限られた機能しか提供できないかもしれません。例えば、営業担当者は月次目標を達成できたかどうか、マーケティング担当者は特定のソーシャルメディアキャンペーンをクリックした人数を確認したいだけかもしれません。
中級者
中級ユーザーもまた、閲覧専用のダッシュボードを必要とするかもしれません。しかし、彼らに自信が付いてくると、より多くの機能や、事前に定義されたデータガバナンスルールとガイドラインに基づき、限定的にデータの試行を始めたいと思うかもしれません。例えば、使用率や、サポートコール数、リピート購入や、返品など、様々な変数に基づいて、顧客の満足度を確認したいと考えるかもしれません。
上級者
こちらの層は、テクノロジーや分析されるビジネス課題を十分に理解しているパワーユーザー向けです。彼らはアナリティクスの課題を積極的に追求し、アドホッククエリーを実行して、売上の変化やウェブサイトの傾向、全体的なカスタマーエクスペリエンスに紐づく根本原因の理解に注力します。また彼らは、自身のインサイトやアナリティクスを他のユーザーが利用できるように公開するためのプラットフォームとして、ダッシュボードやスコアカードを活用します。ユーザーは、それぞれの役割や自信の程度に応じて、これらの層の間を頻繁に移動します。彼らの継続的な使用を促すためには、彼らの使用パターンを測定し、エクスペリエンスを調整することで、彼らが業務で卓越できる手段が必要になります。
3-2: 運用における準備
新しい製品で営業担当者を沸き立たせる必要があります!
そのためには、マーケティングコミュニケーション、プロダクトマーケティング、セールスマネジメント、セールストレーニングスタッフ、セールスマネジメントの代表者からの全面的なサポートが必要になります。このプロセスは早い時期に開始し、これまでのステップと並行して実施しましょう。その際には、次のような厳しい質問を投げかけます。この新製品に適した販売チャネル (直販部隊、またはパートナーチャネル) はあるでしょうか。既存のチャネルパートナーや直販担当者は、この新製品を販売するために必要な知識を備えているでしょうか。もし不足している場合は、継続的に彼らをトレーニングする準備をしましょう。長期的な機能強化の積み重ねは、大きな製品変更につながる可能性があるため、まずはチャネルの準備が整っていることを確認しましょう。
現在の販売チャネルを評価
製品機能が変化したり、製品ラインが成熟・拡大したりすると、販売チャネルの能力を再評価し、販売に適したスキルセットを備えているかどうかを確認する必要があります。これは定期的に見直すべきことですが、特に新製品のリリース時には重要です。ほとんどのリリースは、単なる不具合改修やマイナーチェンジでない限り、少なくともある程度のトレーニングが必要で、より重要な改良や次世代製品の場合には、さらに多くのトレーニングが必要になります。製品の種類を増やす場合や、まったく新しい市場をターゲットにした製品をリリースする場合は、チャネルを完全に再評価することが適切です。このようにチャネルを率直に評価することは、製品リリース計画において最も見落とされがちな要素のひとつであり、現在の販売チャネルが新製品を「販売できない (販売しない)」という失望を招く可能性があります。
販売能力へのアクセス
製品が変化し、成熟し、拡大するにつれ、販売チャネルが販売に必要な知識やツールを備えているかどうかを、常に評価し続ける必要があります。このようにチャネルを率直に評価することは、製品リリース計画において最も見落とされがちな要素のひとつであり、現在の販売チャネルが新製品を「販売できない」という失望を招く可能性があります。ほとんどのリリースは、単なる不具合改修やマイナーチェンジでない限り、少なくともある程度のトレーニングが必要になります。また、製品の種類を増やす場合や、まったく新しい市場をターゲットにした製品をリリースする場合は、チャネルを完全に見直す必要があるかもしれません。
販売トレーニングの準備
現在の経済情勢では、企業はコスト抑制に重点を置いており、購買担当者は大規模な支出をする前にCFOの承認を得なければならないことが頻繁にあります。このような状況では、あるテクノロジーと他のテクノロジーとを比較した従来の特徴や機能レビューや競合分析が、そのレベルの経営層には伝わらない可能性があります。
今日、プロバイダーは、自社の製品がどのように顧客の問題を解決し、ビジネスの俊敏性を高めるのに役立つかを示さなくてはいけません。そのためには、機能や特徴の知識に加えて、ソリューションセールス、ペルソナ (購入者のプロフィール作成を含む、顧客セグメンテーションのより深い形態) の使用、ポートフォリオ全体のバリュープロポジションの確実な把握が必要になります。この課題は、間接チャネルが含まれるとさらに複雑化します。それは、チャネルのための販売トレーニングが間接的に行われることが多いためです。そのため、資料は自己完結型で自明でなくてはいけません。
直販するにしても、チャネルを通じて販売するにしても、あるいはこの2つを組み合わせて市場に投入するにしても、この新しい市場の現実の中で競争するために、製品を販売する人々をトレーニングしなくてはいけません。
セールスサポート/テクニカル (プリセールス)、プロフェッショナルサービスの準備
セールスサポート、プリセールステクニカルサポートチーム、およびプロフェッショナルサービスチームが徹底的にトレーニングを受け、リリースに向けて準備が整っていることを確認します。ベータプログラムを実施している場合は、実際のカスタマーエクスペリエンスや、問題の解決に関する重要なインサイトを得ることができます。また、(チャネルを含む) プリセールスチームや潜在顧客が、評価/デモ部門 (プロトタイプではなく製品部門) を利用でき、簡単にアクセスできることも確認します。これには、彼らをサポートするための、すべてのデモプログラムやスクリプト、付帯資料が含まれます。
運用準備の確認
製品の導入に関する最高のシナリオをサポートするインフラが整っていることを確認します。予期せぬ需要の高まりに対応する計画はあるでしょうか。システム (ウェブサイト、発注、サポートなど) は、あらゆるシナリオに対応できる堅牢性を備えているでしょうか。SaaS製品を提供している場合、クラウドサービスとサポートの両方に十分な人員を配置し、不具合による中断に対処しているでしょうか。また、インフラプロバイダーによる十分なバックアップや冗長システムを備えているでしょうか。サービスおよびサポートチームは、コンサルティング、評価、ワークショップ、インストール、メンテナンスなどのプロフェッショナルサービスを提供できる体制を整えているでしょうか。製品を成功させ、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供できるようにしましょう。
法務部門によるすべての必要要素への承認を確認
法務部門がリリースに先立ち、保証書、契約書テンプレート、ライセンス契約など、必要なすべての法的文書を確認し、承認が完了していることを確認します。すべての付帯資料やユーザードキュメントの完全なレビューが、法的基準に準拠して実施されたことを明確にします。これで、リリースに伴う準備は完了です。
3-3: サポートの準備
既存製品と新たに組み込まれたアナリティクス機能を組み合わせた製品をリリース後にサポートできるかどうかは、将来的なプロジェクトの成功において非常に重要です。
様々なサポートを提供できる準備を整えましょう。これには、一般的に専門家と話をする人的サポートと、Wikiやドキュメントなどのリソースから顧客が自分で答えを見つける非人的サポートがあります。
人的、非人的に関わらず、FAQなどのコンテンツを用意して、組み合わせたソリューションの利点を説明し、顧客が抱くであろう質問に答えられるようにしておかなくてはいけません。例えば、サポートスタッフはBIベンダーの開発サイクルを把握し、パッチがいつ提供され、これがいつ既存のアプリケーションに適用されるのかを顧客に通知できなくてはいけません。
サポートの種類
ユーザーに提供できるサポートの種類には、以下のようなものがあります。
人的サポート: 電話やライブチャットを通して、専門家と話をすることができます。製品のリリース当初は、サポートに関する問い合わせが最も多くなるため、対応できる体制を整えておきましょう。
非人的サポート: ウェブサイトのヘルプや、チュートリアルビデオ、製品ドキュメントやFAQなどを通じて行います。これらのリソースの長所は、いつでも自由に利用できることです。
サポートに関する問い合わせを、社内のより高いレベル、またはBIベンダーにエスカレーションする、シームレスな体制を確保しておきましょう。
SLA (サービス品質保証)
サポートに関するすべての問い合わせは、SLA (サービス品質保証) に裏打ちされたものでなくてはいけません。多くの顧客は、問題が発生した時に、合理的な期間内で解決することを企業側から約束されるように、SLAが設定されていることを想定しています。
コミュニケーションの明確化
BIベンダーと連絡を取る方法や頻度を明確に定義しなくてはいけません。サポートに課題が発生した場合には、必ずベンダーにエスカレーションしなくてはいけないため、そのプロセスを両者が理解していることが重要です。
トレーニング資料の作成
アナリティクスアプリケーションの新規ユーザーをトレーニングする場合、製品の使用率を向上させるために、できる限り簡単にできる方法を検討しなくてはいけません。そのためには、製品に関するトレーニングも可能な限り簡単にする必要があります。顧客にどのようなセルフトレーニングオプションを提供することができるでしょうか。以下は、その一例です。
- ビデオ
- 製品ドキュメント
- 製品wiki
- トレーニングウェビナー
- オンライントレーニングセッション
- FAQ
- コミュニティフォーラム
顧客にトレーニングを行う場合、50%は自社データを使用して構築したコンテンツを使用し、50%はさらなるコンテンツの構築方法をユーザーにトレーニングすることを考慮します。この比率を守ることで、ユーザーがすぐに使用できるコンテンツをトレーニングしてビジネスに迅速な価値を提供するだけでなく、将来的に価値あるインサイトを自ら作成できる能力もバランスよく身につけることができます。
ユーザーによっては、さらに詳細なトレーニングが必要な場合もあることを理解し、リソースを最大限に活用することが重要です。
3-4: マーケティングの準備
BIツールだけを販売しているのではないことを覚えておきましょう。市場には数多くの製品があります。そこで、既存アプリケーションと新しく実装されネイティブに組み込まれたアナリティクス機能との間の相乗効果を販売します。新しいツールの価値についてユーザーを教育することの重要性に留意しなければ、ユーザーがツールを使用することを保証できず、製品の価値と信頼を失うことにつながります。
そのため、既存プラットフォームに加えて提供できる付加価値に基づき販売しましょう。データ分析やデータドリブンなインサイトを既存の製品に組み込むことで、具体的なビジネス上のメリットが得られることを強調しましょう。
バリュープロボジション
アナリティクスアプリケーションが組み込まれたプラットフォームのバリュープロポジションを詳細に説明することは、マーケティングメッセージを定義する上で重要なステップです。この段階でバリュープロポジションを正しく理解することで、営業活動やマーケティングコンテンツ、需要の創出をより生産的に行うことができます。メッセージングが顧客のニーズを満たしていることを確認することが重要であるため、ペルソナに対する調査がここで極めて重要になります。
組み込みアナリティクスのバリュープロポジションを定義する際に、最大の差別化要因は以下の通りです。
- 既存製品とアナリティクスソリューションの統合
- そのまま使用できる事前に構築されたコンテンツ
- アナリティクスソフトウェアプロバイダーとの強固な関係
マーケティングコンテンツ
新製品のブランディングを十分に行うために、すべてのマーケティング素材を準備できたでしょうか。セールスチームは販売活動に必要なすべての資料を入手していますか。以下は、準備を考慮すべきマーケティング素材の一例です。
- 製品カタログ: 新しい分析機能や、新しいプラットフォームを使用することによる利点を詳しく紹介するデータシートです。
- 製品ロゴ: 新しいアナリティクスアプリケーションのブランディングは、新しい機能を市場に売り込むのに有効ですが、既存プラットフォームへのアドオンと捉えられる可能性もあります。ステップ 5で紹介した、製品の統合ポイントを考慮しましょう。
- プレスリリース: 新しいアナリティクスアプリケーションについてメッセージを発信しましょう。これは、一般的なブランド認知度の向上や、バリュープロポジションの明確化に最適な方法です。
- ホワイトペーパー: アナリティクス機能を備えることの利点や、この新しい機能を提供していることについて、ユーザーを教育する優れた方法です。
- ブログ / ビデオ / インフォグラフィック: 新しいアナリティクスアプリケーションについて、購入サイクルのすべての段階に関連する情報を簡単に理解することのできるコンテン ツです。
- プレゼンテーション資料: セールスチームが、セールスサイクルの中で新しい顧客に使用し、配置するためのテンプレートです。
キャンペーン
製品の認知度や興味を高めるためには、複数のマーケティングチャネルに渡り、ターゲットに向けたマーケティング活動を実施しなくてはいけません。キャンペーンとしては、以下のようなものが考えられます。
イベントの開催: リリースイベントの開催は、新規や見込み客に新製品を広く知ってもらう効果的な方法です。これにより、顧客と直接会って話をすることができ、新しいアナリティクス機能を待ち望む人々とつながることができます。
- イベントを開催するには費用がかかり過ぎたり、参加者に適していない場合は、ウェビナーを開催することもできます。直接顔を合わせる機会は失われますが、新しい製品を待ち望む人々とつながれることに変わりはありません。
- 常に既存の顧客を巻き込むようにしましょう。実際の利用者ほど優れたストーリーを語れる人はいません。
イベントスポンサー: これは、把握している世界の外側にいるターゲットに到達するための素晴らしい方法です。業界に関連するイベントのスポンサーになることで、その分野の知識を得たいと考えているオーディエンスに、ブランドをアピールすることができます。
- イベントは賢く選びましょう。多くの選択肢があり、多くの場合、大きな出費となります。
ウェブサイトの最適化: ほとんどの購入者が、まずはGoogle検索から調査を開始するため、検索上位にウェブサイトを表示させることは、リード生成やブランド認知の取り組みに大いに役立ちます。
- ターゲットとするユーザーが好む優れたコンテンツをオンラインで提供することは、SEO戦略にとっても非常に重要です。
- ブログは、オンラインでのプレゼンスを確立するためのスタート地点として有効です。これは、SEO対策に役立ち、オーディエンスに興味深いコンテンツを提供することができます。
ソーシャルメディア: 製品の認知度を高めるのに役立つ素晴らしいツールであるソーシャル メディアチャネルは、ターゲットとするユーザーに到達するために、企業によって益々活用さ れるようになってきています。
- オーディエンスがどのチャネルを利用しているのか調査し、そのチャネルに焦点を当て ましょう。
PRキャンペーン: PRキャンペーンを展開することで、ビジネスを初めて知るオーディエンスに、製品の認知度を広く浸透させることができます。魅力的なコンテンツやカスタマーストーリーを作成することで、オーディエンスの心に響くものになります。
- PR代理店と提携することで、適切なターゲットへコンテンツを届けることができます。
電子メールマーケティング: 電子メールマーケティングでは、ターゲットとなるユーザーを絞り込むことで、彼らが関わる準備を整えるまで、製品の存在を常に意識してもらうことができます。
-
創造的で教育的、かつパーソナライズされたマーケティングメールを作成することで、より良い反応と製品への関心を生み出すことができます。どのようなマーケティング活動でも、キャンペーンのパフォーマンスを追跡し、測定することで、どの戦術が有効であるかを確認することが基本です。見込み客が購入に至るまでには、様々なマーケティング活動からの相互作用が影響するため、キャンペーンの効果を測定することは困難です。また、マーケティング活動は、ビジネスにおける複数のインフルエンサーに到達する可能性が高いです。なお、中規模企業の平均的な購入検討委員会は6名であり、マーケティング活動は、これらの主要な関係者のいずれかに影響を与えた可能性があります。これらのレポートを管理することが、キャンペーンの効果を理解し、マーケティング費用をどこに費やすべきかを理解するための重要なポイントです。
カウントダウン: 新製品のリリースに向けてカウントダウンを行なうことで、リリースへの興奮や期待感を高めることができます。プレリリースウェビナーを開催したり、リリースまでのカウントダウンを告知したりするのも良いでしょう。このような活動に従業員を参加させることで、製品が根本的に変わり、データ分析機能が追加され、顧客に真の利益をもたらすようになるという話題と認識を高めることができます。
3-5: 販売準備
このプロジェクトの成功には、セールスチームの存在が不可欠です。彼らがトレーニングを受け、組み込みアナリティクスアプリケーションを販売するための適切な資料をすべて備えていることを確認することが、非常に重要になります。
もちろん、セールストークを正しく伝えるには、ちょっとした科学的な方法があります。例えば、40%の人は、文字で書かれた情報よりも視覚的な情報に反応をすることを知っていますか。
セールストーク
見込み客に説得力のある形式でバリュープロポジションを提供することは、多くの場合、最大の課題になります。セールスプレゼンテーションは、バリュープロポジションを伝え、アナリティクスアプリケーションが見込み客に最適である理由を実証する最高の機会です。
成功するセールストークには6つの重要な要素があります。この要素は様々な形式で再利用することができ、新製品の認知度を高めるためにメディアへの説明の基盤とすることができます。
- 魅力的なカバースライド: いくつかの事実と美しいイメージを含みます。
- バリュープロポジション: 見込み客に提供すると約束した価値と、見込み客があなたから購入すべき理由をまとめます。
- 強力なストーリー: 最も成功するプレゼンテーションの65%はストーリーです。あなたのストーリーとチームを紹介することで、会社を人間らしくし、好感度を高めます。
- ソリューションの詳細化: メリットや例を盛り込み、素早く簡単に理解できるようにします。
- 証拠の提示: これは、なぜあなたを信じなくてはならないのか、という質問に対する答えです。顧客の声、調査データ、製品の比較、経済的利益、マーケティング効果の向上、効率性の実証など、さらなるメリットを提供しましょう。
- アクションへの明確な道筋: 顧客にアクションを起こすように促す必要があります。次に何をすべきかを伝えましょう。無料評価版を依頼すべきでしょうか。それとも、セールスチームに問い合わせをするべきでしょうか。
デモンストレーション
新規顧客がソフトウェアを試行する際のプロセスを検討します。これは特に、アナリティクスアプリケーションに関連します。事前に作成されたコンテンツがあるため、顧客が自社のソフトウェアを使用して達成できる価値を素早く示すことができます。
セールスサイクル
セールスサイクルを定義する事で、セールスチームは新しいアナリティクスアプリケーションを顧客に紹介する時期を理解することができます。これは、製品の方向性と、新しいユーザーをターゲットにするのか、それとも既存のユーザーベースをターゲットにするのかに関連します。
間接的なモデルを検討し、パートナーのネットワークを通じて販売する場合、定義したセールスとマーケティングのメッセージングで、パートナーをトレーニングする方法を検討しなくてはいけません。彼らは会社の代表であり、彼らの成功があなたの成功を決定することになるため、パートナーに投資する時間が多ければ多いほど、目標を達成しやすくなります。アプリケーションにアナリティクスを組み込むことは、他の新製品と同様、既存のセールスサイクルとプロセスを根本的に変えることになることを覚えておいてください。セールスチームがこの変化を受け入れる準備が整っているか、必要な情報が提供されているかを確認します。また、ライセンス要件など、必要なすべての情報をBIベンダーから入手しましょう。
発注
チームが製品を販売したら、彼ら (すべてのチャネルパートナーを含む) が、製品の発注や配送のプロセスにおいて、次のアクションを把握しているかを確認しましょう。注文は会計チームに集約されるのでしょうか。それとも、セールスチームが発注書や請求書を発行するのでしょうか。後者の場合、そのプロセスや、規約と条件、問題が発生した場合の選択肢を理解しているかどうかを確認します。セールスチームは、これらすべてを新しい顧客に伝えることができなくてはいけません。
セクション4: アプリケーションのリリース
4-1: リリース戦略
製品リリースの目的は、市場にアナリティクス製品を紹介することであり、多くの場合これには、「リリース」という言葉が最も良く当てはまります。
製品は真空中に存在しませんし、製品リリースも同様です。製品リリ ースを計画する前に、このリリース計画が全体の中でどのように位置付けられるかを理解する必要があります。時期はいつになるでしょうか。リリ ースの規模や形式はどのようになるでしょうか。そして、これらの要素は全体像の中でどのように位置付けられるでしょうか。
この規模かつ重要度のプロジェクトでは、組織とコミットメントが不可欠です。こちらのステップでは、必要なすべての事前情報を収集し、リリースの大まかな目標を明確にして、これらの情報と目標に照らし合わせて販売チャネルを評価し、リリースにおける全社的なコミットメントを確認します。このステップは、経営陣や様々な部門からの情報とともに、リリース責任者が主な責任を負います。最終的には、すべての事前情報とその現状をまとめた準備マトリックス、リリースのタイミングと規模に関する明確な声明、プロジェクトに対する全社的なコミットメントを確認するチームレベルおよび管理レベルの承認となります。
それでは、計画プロセスを開始しましょう。
測定可能なリリース目標および成功指標の定義
マーケティングの観点から、測定可能なリリース目標と成功指標の定義からリリース計画を始めましょう。これらは、リリースプロセスを監視し、管理するためのツールとしてだけでなく、将来的なリリースにおける「全社的」な整合性を改善するための、リリース後の幅広いフィードバックとしても重要です。例えば、市場機会を逸した製品リリースの遅れは、リリース 敗の理由としてよく挙げられますが、これがデザイン変更や製造遅延によるものであれば、マーケティングリリースが非常にうまくいったことを覆い隠すかもしれません。
リリース計画の作成
これまでは、リリース責任者が最も積極的な役割を担いながら、すべての事前計画や準備を行ってきました。しかし、ここからは問題の核心である実際のリリース計画の作成に入ります。このステップでは、リリースチームのメンバー全員が積極的に参加し、時には周辺部門にも働きかけます。よくある失敗を避け、凡庸な製品リリースの歴史を繰り返さないためには、このプロセスに全体的なアプローチを取ることを目指します。従来のマーケティング活動からひとつずつタスクをこなしていくのではなく、製品に最も適した要素は何か、リリースを構成する各人が本当に必要としているものは何かを注意深く探ります。こちらのステップは、リリースの規模に応じますが、3 - 6か月程度をかかることが想定されます。
外部リリース計画の作成
製品のリリース準備が整ったら、次は外部リリースを詳細に計画します。多くの場合、この作業は販売準備と並行して行われます。最終的な製品仕様や、ベータ版試行のフィードバックの結果、洗練された最終的なポジショニングやベネフィット、バリュープロポジションに基づいてリリースメッセージを作成します。
4-2: リリースのタイミング
ソフトウェアベンダーとして、製品をリリースするタイミングにはいくつかの戦略的な選択肢が考えられます。また、最終的なリリース計画に影響を与える外的要因や内的要因は複数あります。
まず、リリースの目標を定めることから始めましょう。スケジュール通りにリリースする、予算を遵守する、販売準備を整えるなど、社内に焦点を当てた目標もあれば、顧客の認知度、メディアでの取り上げ、主要なカンファレンスなど、社外に焦点を当てた目標もあります。しかし、リリース時期を決定する主な要因は3つあります。それは、リリースカテゴリー、競合市場や環境などの外的要因、リリースを取り巻く特別な状況などの内的要因です。
市場の課題
リリース目標の優先順位を決め、外部の市場環境の潜在的な影響を特定するのは難しいプロセスですが、タイミングの観点から適切な対応を行えるよう、競合環境を理解しなくてはいけません。タイミングは、製品が「リリース」されたときに単に物流の準備が整っていることよりも複雑です。新製品は既存の製品にどのような影響を及ぼすでしょうか。キャッシュフローは非常に重要です。そのため、タイミングを間違えたり、コミュニケーションを誤ることで、中核となる収益に悪影響を及ぼすことは望ましくありません。
戦略的な重要性
すべてのリリースが同じように実施される訳ではありません。中には、戦略的に重要で、より多くの注意や活動を必要とするものもあります。リリースする製品の戦略的重要性、複雑さ、潜在的な差別化により、スタイルとトーンの大部分が決まります。製品によっては、準備が整えばいつでもリリースできる (例: 軽微な機能強化など) ことが理にかなっている場合もありますが、それを前提にするべきではありません。
外的要因の検討
リリース時には、外的要因も影響します。競合製品との位置づけはどのようなものになるのでしょうか。この機能強化は、競合の先を行くものになるのでしょうか、それとも、競合に追いつくためのものなのでしょうか。または、競合を凌駕するアーキテクチャーの進歩なのでしょうか。あるいは、広く知られるようになった買収の結果かもしれません。このように、リリースの規模や範囲は、これらの検討事項に影響されます。
特別な状況
外的要因に加え、特別な状況についても検討し、調整をしなくてはいけません。例えば、競合が類似の製品や機能でリリースを先取りしている (または先取りしようとしている)、自社の機能強化が遅れて市場に投入される、自社のリリースと同時に競合がメディアの注目を集めるような重大な発表を行うなどです。市場や競合の大きな発表を避けてリリースのタイミングを計ることが、成功か失敗の分かれ目となります。
それでは、どうすればよいでしょうか?
上記をすべて考慮し、組み込みアナリティクスガイドの数段落では、製品をとりまくすべての状況を網羅できないことを理解した上で、戦略的な選択肢は以下のようになります。
- 製品の準備ができた段階でリリースする
- 競合に勝つために早めにリリースする
- 市場が落ち着くまでリリースを遅らせる
- 特定の市場イベントに合わせてリリースする
- 市場を見極めるために段階的にリリースする
- 大々的に公表をすることなくリリースする
これらの選択肢を、特定の状況に合わせた組み合わせとして検討することもできます。また、ひとつの地域に絞ってリリースをしたり、地域ごとに異なる戦略を取ったりすることもできます。あるいは、最初は特定の市場や顧客に向けてリリースを行い、状況に合わせてそこから範囲を拡大していくことも可能です。
4-3: ロールアウト戦略
最初のステップは、ベータ版のリリース時期や、その後の提供範囲の拡大、そしてフィードバックを行うタイミングなど、主要なイベントがいつ行われるかを詳細に示すロールアウトタイムラインを構築することです。
このタイムラインを計画する最善の方法は、ロールアウトを段階的に行い、各ステージ間でユーザーからのフィードバックを得て、製品やプロセスに必要な変更を行う時間を確保することです。
ベータ版のロールアウト
このロールアウトでは、これまでに検討してきた製品リリースのあらゆる側面をテストします。これには、以下のように、組み込みアナリティクスアプリケーションのフィードバックが含まれます。
- 事前に作成されたコンテンツは、調査したペルソナの質問に正しく答えているでしょうか。コンテンツは適切でしょうか。さらに必要なものがあるでしょうか。
- ユーザーはコアプラットフォームとアナリティクスアプリケーションの間で、優れた体験をしているでしょうか。
- ユーザーはプラットフォームを使用するために十分なトレーニングを受けたでしょうか。
フィードバックはアナリティクスアプリケーションに対してだけでなく、オンボーディングやトレーニングプロセス、契約交渉など、関連するプロセスについても行わなくてはいけません。
リリース計画では、ユーザーからフィードバックを受けた後に必要な変更を行えるよう、十分な時間を確保することが重要です。変更は少ないに越したことはありませんが、最悪の事態を想定して計画を立てるのがよいでしょう。
ベータ版リリースには、どの顧客を選ぶべきでしょうか。すべての顧客を対象にした完全なリリースをテストしている場合は、すべてを網羅したいと考えるでしょう。そのため、技術的な限界に挑戦したいパワーユーザーと、アナリティクスニーズをあまり持たないライトユーザーの両方を含めることを検討しなくてはいけません。両方の視点を得ることで、全顧客を対象としたリリースの際に完全な視野を持ち、ユーザー全体を網羅できるようになります。
ベータ版のリリースでは、顧客数を少なくすることで、各ユーザーと協力し、フィードバックを受けて、必要な変更を修正する時間を確保しなくてはいけません。
段階的な一般ロールアウト
ベータ版を顧客に展開し、製品やプロセスに関するあらゆる問題が解消されたことを確認したら、次のステップとして、段階的なアプローチにより、残りの顧客へリリースを行います。推奨する方法は、残りの顧客を地域別、製品ライン別、またはランダムなグループに分けることです。
しかし、規模や売上で顧客をグループ分けするのは避けた方が良いでしょう。これは、顧客への展開に何か問題が発生した場合に、ビジネスへの潜在的なリスクを高める可能性があるからです。もうひとつ考慮すべきなのは、製品に馴染みのない新規顧客のグループ全体に展開するのを避けることです。これは、サポートチームに課題を生み出します。
このように、グループ分けをした顧客に対して段階的に製品をリリースする場合、どのように連絡を取るかを検討し、新しいアナリティクスアプリケーションで何が期待されるかを伝える必要があります。新しい機能やそのアクセス方法、問題が発生した場合の対処方法、予想されるダウンタイムや契約内容への影響についても伝える必要があります。これは重要なプロセスであるため、顧客との対応は適切な担当者により行われることを確認しましょう。
リリースにおける評価指標
製品のリリースが成功したかどうかを把握する方法を定義することは、プロジェクトが有意義であったのかどうかを理解するうえで非常に重要です。リリースに先立ち評価指標を設定することは、進捗状況を追跡し、成功を確認するうえで重要なステップです。これらを日々追跡し、この情報を社内の関係者と共有することで、プロジェクトのビジネス的な評価を高めることができます。
リリースにおける評価指標には、以下のようなもの があります。
- 新規顧客に展開するまでの時間
- 新製品を使用する顧客数
- 顧客からの問い合わせ数
- 顧客の使用状況 (既存コンテンツと新規コンテンツのどちらを使用しているかなど)
リリースにおける評価指標のもうひとつのオプションは、これらのKPIが適切なレベルに達していない場合に検知するアラートを設定することです。アラート検知後、これらの指標が達成されない場合のアクションの方針を決定できます。このようにアラートを設定する利点は、リリース後の段階的なレビューを待つことなく、何か重大な問題が発生した時点で即座にアクションを実行できることです。
プロジェクトマネージャーになることもできるリリースリーダーを選ぶことが有効であり、リリースプロセスを管理して、関連するチーム全体と常に連絡を取り合います。リリース準備の整っていないチームがひとつでもあれば、これをすべての部門に伝えるのがリリースリーダーの仕事です。すべてのチームがリリースに合意し、リリースリーダーが承認した時点でリリースを実施することができます。
テーマに磨きをかける
この段階では、ビジネス要件を明確にして修正し、分析出力の形式や配信方法を確認します。基礎となるデータに関する問題を解決し、導入のためのソリューション環境を準備します。
- ビジネスプロセスへの影響を評価
- ユーザー参加度の評価
- プロトタイプの準備 - 実用的なソリューションの開発
- 情報モデルやプレゼンテーションモデルの改良
- 開発したモデルのスモークテスト
- データ品質の改善
導入フェーズ
導入フェーズでは、ビジネスプロセス内に実用的なソリューションを実装し、継続的な運用、管理、ガバナンスのための環境を整えます。
- ビジネスプロセスの更新を適用
- 最終的なデータ出力を精選
- 運用ドキュメントの作成
- 本番環境へのリリース
4-4: リリース後活動
製品リリースが完了したらリラックスできると思ったら大間違いです!今こそ、リリースした製品やプロセスをどのように改善し続けられるかを考える時です。プロジェクトは目標を達成したでしょうか。この製品をさらに成長させることができるでしょうか。競合はその栄光に安住することなく、常にアナリティクス製品を改善し続けられるよう、その方法を模索していることを認めなくてはいけません。
収集と評価
リリース計画は、リリース後にそのプロセスと効果を総合的に評価することなしに完了しません。リリース後、関連するすべてのKPIから結果を収集します。これらの結果は、マーケティングオートメーションプラットフォームや、ウェブサイトの統計、セールスCRMなど、様々なソースから得ることができます。
レビュー
測定可能な評価指標を設定しましたが、プロジェクト開始時に設定した目標に対して、どのように追跡したのでしょうか。主要な関係者とともに、機能別にそれぞれの結果を確認します。関係者は、何が成功し、何が成功しなかったのかを全員で把握するために、マーケティングやセールス、運用や開発など、様々な部門の人々で構成します。そして、その知識を次のリリースのバージョン.01に反映させることができます。
資料と共有
常に最後に残されるか、多くの場合まったく対応されることのない重要なステップが、今後の参考のために、これまで学んだことを文書化することで、リリースを締めくくることです。マーケティングチームのメンバーは定期的に職を変え、プロジェクトマネージャーも交代していくため、次回の製品リリース時には、まったく新しいチーム構成になるかもしれません。また、これらの情報は、(だれかの「送信済み」フォルダーに残すのではなく) 誰でも利用できるように、共有の場所に残すようにします。
フィードバックループ
フィードバックは、製品リリース前、リリース中、そしてリリース後にも継続して実施していかなくてはいけません。これにより、さらに優れた製品を提供できるだけでなく、マーケティングや開発作業を促進することにもなります。
サポートに関する顧客からのフィードバック
継続的に改善を行い、顧客満足を保ち続けるためには、リリース後の継続的な顧客フィードバックが重要です。可能な限り多くのフィードバックを収集し、チームが可能な限り迅速に対応できるように、プロセスやシステムを確実に設定します。ソフトウェアなので、不具合は発生します。しかし、問題に最前で対応し、ユーザーとコミュニケーションを図り、フィードバックを求めることで、長期的な顧客アドボカシーを導くことができます。
マーケティングに関する顧客からのフィードバック
顧客が満足し、製品を使用しているのであれば、アナリティクスアプリケーションを使用することで彼らが得た価値を詳細に説明するカスタマーストーリーを作成する絶好の機会です。これは、マーケティングチームがキャンペーンの基礎となる確かな資料を作成できるだけでなく、セールスチームが見込み客と対話する時にも非常に役に立ちます。これにより、アナリティクスアプリケーションの使用により達成できる価値を、他の企業へ示すこともできます。
BIベンダーからのフィードバック
製品を市場に「投入」することで、顧客からのフィードバックをBIベンダーに報告することができます。ベンダーと強固な関係を築き、今後の製品展開方法についてオープンに話し合うことのできる、高レベルなコミュニケーションを確立しなくてはいけません。これには、不具合修正の迅速な対応や、顧客からのフィードバックを反映した製品の機能強化が含まれることもあるでしょう。
ケーススタディ
Plexure
複数の企業が、Yellowfin BIとアナリティクスを既存のアプリケーションに組み込むことで利益を得ています。Yellowfinは、導入パートナーであり、デリバリーおよびホスティングのスペシャリストであるToustoneと提携し、Amazon ウェブサービス (AWS) 上で完全に管理されたクラウドBIプラットフォームを提供し、顧客によりパフォーマンスに優れたアナリティクスを提供することができました。
Plexureの顧客は、消費者の高い関心を維持し、ビジネス成果を上げ続けるために、マーケティング活動の測定、反復、改良をサポートする適切なアナリティクスソリューションを必要としていました。Plexure Analyticsは、Plexureの顧客向けレポート作成ソリューションであり、ロウデータフィードおよび厳選されたインサイトとして提示される消費者の行動データを提供します。しかし、Plexure Analyticsは限界に達していることが明らかになっていました。
Yellowfinは、Plexureのアプリケーションに容易に統合され、プラットフォームの外部に共有、エクスポートされ、Plexureの製品スイート内に完全にホワイトラベル化されることで、Plexureの既存のブランドおよびユーザーエクスペリエンスに沿ったシームレスなカスタマーエクスペリエンスを実現しました。Toustoneは、Amazon ウェブサービス (AWS) を介してYellowfin ソリューションをホストし、Plexureが必要とする柔軟性、スケーラビリティ、セキュリティの提供を保証しました。Yellowfinはブラウザベースであるため、Plexureの顧客は必要なすべての分析やビジュアライゼーションに、どこからでもアクセスすることができます。
「YellowfinおよびToustoneとの連携により、Plexureは新しいアナリティクス機能の提供を加速させることができました」と、Plexure パートナーシップ責任者 Mark Baileyは言います。「データドリブンな意思決定を成功の基盤とする組織として、Yellowfinが提供するビジュアライゼーション機能は、お客様が当社のプラットフォームの能力を最大限に引き出す支援をする上で非常に重要です。」
North Tees and Hartlepool NHS Foundation Trust
Yellowfinは、North Tees and Hartlepool NHS Foundation Trustと提携し、病院スタッフ向けに完全に組み込まれホワイトラベル化されたアナリティクスソリューションを提供しました。ダッシュボードやレポートの作成に、表計算ソフトや競合する別のアナリティクスプラットフォームを使用していた同社は、ユーザーがエラーを起こしやすい時間のかかる手作業でのダッシュボード作成や、一部のスタッフしか使い方を知らない複雑なBIツールセットなど、これまで経験してきた多くの問題を軽減したいと考えていました。
NHS North Tees and Hartlepoolは、3年のライセンスで、スプレッドシートのダッシュボードデータをYellowfinに複製し、すべてのデータフローを自動化したところ、各部門がシームレスでスムーズにレポートを作成できるようになりました。「この1年で、わたしたちはこのプラットフォームでやりたいことの限界に挑戦し、ここまでやってきたことは驚くべきことです。わたしたちは、Yellowfinと常に必要な情報を交換し、お互いに学び合っています」と、NHS North Tees and Hartlepool ビジネスインテリジェンスマネージャー Keith Wheldonは言います。
North Tees and Hartlepool NHS Foundation Trustは、Yellowfinの自動化、組み込み、データストーリーテリング機能を活用することで、スタッフや訪問者のために病院全体のデータフローと、組織全体のBIツールの可用性を大幅に改善しました。
「以前のBIは完全に手作業のタスクで、問題やエラーが発生しやすく、時間だけでなく、プロセスに対するストレスや不満がありました」と、Keithは言います。「今ではレポートに必要な作業の90%をYellowfinで行い、残りの10%をアナリストが行います。すべてがスムーズで、簡単で、ストレスもなくなりました。」
まとめ
ここまで、目的の設定から、独自のアナリティクスアプリケーションをリリースするまでに必要なステップを確認してきました。これは、非常に大きな機会です。既存の製品に付加価値を与えるだけでなく、顧客にもさらに大きな価値を提供することができます。わたしたちは、このプロセスを通じて数多くの組み込みパートナーと協業してきたので、わたしたちが得たこれらの知識から多くを学んでいただけることを願っています。
製品にアナリティクスを追加することで、パフォーマンスに関する新たなインサイトを引き出し、顧客満足を高めて、収益を増加させることは、ビジネスに最も有益な改善のひとつです。わたしたちは、それを適切に実行できるようにサポートします。いつでもお気軽にご相談ください。
Yellowfinについて
今日の環境では、顧客はより多くのことを要求しています。彼らは、データへの簡単なアクセス、ダッシュボード、高度な分析やレポーティングを求めています。Yellowfinとパートナー提携をすることで、競合をリードしましょう。独自のパートナー価格体系、名前を出さないブランディング戦略、シンプルな統合プロセスにより、Yellowfinは顧客のニーズを満たすことができます。Yellowfinは、ビジネスインテリジェンスを既存のアプリケーションにシームレスに統合することで、新しいレベニューストリームを簡単に作ることができます。Yellowfinを使用することで、アプリケーションの機能を簡単に拡張し、迅速に顧客へ販売することができます。ビジネスインテリジェンスは、複雑である必要はありません。Yellowfinはこれを簡単にします。
Yellowfinを組み込むことで、以下を実現することができます。
- 収益の増加。Yellowfinは顧客に簡単に販売することができ、とても好評です。顧客のビジネスモデルに合わせてライセンスや価格体系を調整し、リスクを軽減して、販売提案を簡素化します。
- 独自ブランドの構築。Yellowfinは、既存の製品の外観を採用することで、既存のアプリケーションへシームレスに統合できます。Yellowfinを使用することで、わたしたちではなく、あなたの顧客の製品ロイヤリティを築くことができます。
- 市場参入を加速。Yellowfinの最大の強みはアナリティクスです。Yellowfinは、顧客がす ぐにセールスを開始できるよう、既存のアプリケーションに迅速かつ容易に統合するサ ポートをします。
Yellowfinのパートナー契約モデルは、信頼できるパートナーとして共に働くことで、顧客のアナリティクスソリューションを迅速に市場へ投入し、将来に渡って継続的にサポートをし続けることです。これは、Yellowfinが顧客の市場参入戦略へ積極的に関与することを意味します。パートナーはそれぞれに異なりますが、一般的なアプローチと具体的な手順は、すべての組み込みパートナーに共通します。
世界中の主要な地域や業界に渡り、何百もの組み込みパートナーシップを成功へ導いてきたことから、Yellowfinが顧客の統合されたアナリティクスソリューションを市場に投入するための知識と経験があることをお約束します。
Yellowfin 組み込みアナリティクスをお試しください
Yellowfinが、独自のビジネスユースケースのために、既存の製品に完全にカスタマイズされホワイトラベル化された組み込みアナリティクスエクスペリエンスを提供する方法をご確認ください。