組み込みアナリティクスの成熟度曲線 – あなたのソフトウェアやアプリケーションはどこに位置していますか?

組み込みアナリティクスの成熟度曲線 – あなたのソフトウェアやアプリケーションはどこに位置していますか?

本ブログでは、組み込みアナリティクスの成熟度モデルを定義し、詳細に説明をすることで、既存のソフトウェアへの組み込みアナリティクス機能の導入および改善に役立つフレームワークを提供します。これにより、現在のアプリケーションのどこにアナリティクスの機会があるのかを理解することができます。

優れた組み込みアナリティクスの提供は、適切な戦略とフレームワークに支えられており、明確なビジョンから始まります。データ資産の価値を最大化するためには、製品のBI成熟度レベルを向上させる必要がある箇所を認識し、それに対処する必要があります。

そのためには、既存のアナリティクスの開発機能およびツールが、どこに位置しているのかに注目しましょう。

組み込みアナリティクスの成熟度曲線は、エンドユーザーにとってのアナリティクスの価値と、5つのステージにわたるアナリティクス開発作業の集中度を示しています。現在曲線のどこに位置しているのかを理解することで、次の新たなステージがアプリケーションのアナリティクスエクスペリエンスに何をもたらすのかを把握できます。

組み込みアナリティクスの成熟度曲線(簡略版)

組み込みアナリティクス:ステージ 1 - 機能なし

組み込みアナリティクスの成熟度曲線の最初のステージにあるソフトウェアベンダーは、新しいアプリケーションのための最初の実用最小限の製品(MVP:Minimum Viable Product)を構築し、市場に参入する準備を整えることに注力しています。

ダッシュボードやレポート生成などのレポート作成機能がMVPに含まれることはほとんどありません。多くの場合、このステージのソフトウェアベンダーであれば、将来的に組み込みアナリティクス機能を追求するために、この段階ではアナリティクス機能をまったく備えることなく製品を出荷することを選択します。

このように成熟度が低いステージでは、組み込みBI機能を導入してから最新化しようとすると、厳しい制約を受ける可能性があります。

ステージ1から開始した場合、後のステージでアナリティクスを導入するのは困難ですが、成熟度の低いベンダーは、より成熟度の高い組織から素早く学ぶことで、既存の組み込みアナリティクス機能の最新化を加速させることができます。

この段階には、既存のデータアナリティクス機能を次のレベルに引き上げる機会がまだたくさんあります。

アナリティクスの価値 = なし

 

組み込みアナリティクス:ステージ 2 - データエクスポート

これは、顧客やエンドユーザーが、日常的な意思決定のために、何らかの形式のレポート作成やその使用の必要性を認識したことで、既存の業務アプリケーションに保存されたデータを分析する機能を要求し始める、組み込みアナリティクスライフサイクルのステージです。

通常このステージにあるベンダーは、単純なCSVダウンロードや、APIアクセスを提供してユーザーが好むツールでのデータ分析をできるようにすることで、これらの初期要求に対応していたかもしれません。

しかし、このステージの主な制限は、ベンダーとしてすべての分析をゼロから構築しなくてはいけない点です。これは、顧客に時間と専門知識の負担を残すことになります。

最終的に、これは広範なレベルのアナリティクス機能を提供することがありません。そのためユーザーは、彼らのBIニーズを満たすために、サードパーティ製のスタンドアローンレポート作成ツールを使用するようになるかもしれません。

アナリティクスの価値 = 非常に低い

将来的なシナリオ:最終的に、独自のレポート作成ソリューションを提供したい場合は、移行に関する膨大な苦労に直面するため、これに対処する必要があります。これは、顧客が使用している様々なサードパーティ製レポート作成ツールと同等の機能を提供しなくてはいけないからです。

 

組み込みアナリティクス:ステージ 3 - 基礎的なレポート作成

このステージにあるソフトウェアベンダーは、多くの場合、社内で開発したソリューションの結果として、アプリケーション内で基礎的なパラメーター主導型レポートを作成する機能を提供できます。しかし、レポートやダッシュボードのセットは制限されているため、ユーザーは独自のカスタム分析を作成することはできません。

この段階で直面する課題は、意思決定を促進するためのより優れたインサイトに対する顧客のニーズが急速に拡大していることです。多くの場合、これは開発者がタイムリーに対応できる速度より、また新しいレポート作成機能に対するユーザーのリクエストよりも早いです。

最終的には、製品開発者はユーザーエクスペリエンスを向上させ、ビジネスにメリットを追加し、アプリケーション全体の価値を高めることができるコアソリューションの付加価値機能を開発するのではなく、ユーザーからのレポート作成要求を満たすことに行き詰まることになります。

代わりに、分析負荷の大部分は、顧客から開発者へと移行します。

アナリティクスの価値 = 低い

将来的なシナリオ:顧客のレガシーな製品(自社開発のBIなど)を新しい製品(組み込み)へ移行するニーズは、統一された移行エクスペリエンスにより、すべての顧客のエクスペリエンスを同時に向上させる機会を提供します。より多くの機能が追加されると想定することで、現在の機能を現在のコストで満たすことができ、新しく改善された機能をアップセルすることで、顧客ごとの平均取引サイズを増加させることができます。

 

組み込みアナリティクス:ステージ 4 - スタンドアローンのダッシュボードおよびレポート作成モジュール

これは、ベンダーが今日の組み込みアナリティクスのベースラインを達成するステージです。

このステージにいる場合、エンドユーザーは、ソフトウェアを使用してセルフサービスレポート作成や分析を実行することができます。また、そのまま利用できるダッシュボードやレポートにより、定義済みでセキュアなデータセットからユーザーフレンドリーなツールを使用し、ユーザー独自のアナリティクスコンテンツを作成することもできます。

組み込みアナリティクスコンポーネントは、スタンドアローンモジュールとしてアクセスされるため、ユーザーはデータにアクセスしやすくなり、開発者は独自レポートを作成する必要がなくなります。BIはこれまでのどのステージよりもセルフサービスや豊富な機能が充実し、ユーザーフレンドリーになります。

組み込みアナリティクスを使用して最新化し、アナリティクス成熟度曲線のこのステージに到達することの利点には、次のようなものがあります。

 

  • 顧客に優れたアナリティクスエクスペリエンスを提供
  • 開発リソースをレポート作成依頼ではなくコア製品の向上に注力
  • 新しいアップセルおよび収益獲得の機会
  • 持続可能な競争優位性

 

このステージではベンダーに多くの実証済みメリットがもたらされますが、組み込みアナリティクス自体が、ユーザーをソフトウェアの最適な使用に導くことは容易ではありません。

それはなぜでしょうか。これは、ユーザーのワークフローや意思決定は、依然としてデータによるインラインサポートなしに行われるからです。そのため、ユーザーがインサイトにアクセスするには、コア製品のワークフローからコンテキストを切り替える(ウィンドウを切り替え、アプリケーションの外部を参照する)必要があり、これによりワークフローが中断されます。

この残されたひとつの制限が、文脈的アナリティクスという5番目の新しいステージを生み出しました。

アナリティクスの価値 = 中 - 高い

将来的なシナリオ:顧客のニーズが変化したり、競合他社がステージ5のソリューションを市場に投入したときに、既存の製品がステージ5をサポートしていない場合、ソフトウェアベンダーは、このソリューションの提供を継続して市場に遅れをとるか、完全にリプレイスをするかのいずれかを選択できます。現在のバージョンへの投資や作成されたすべてのコンテンツは、次に移行する必要があります。または、ひとつは文脈的アナリティクス、もうひとつはセルフサービスBIのとして、2つのソリューションの提供を検討することもできます。

 

組み込みアナリティクス:ステージ 5 - 文脈的アナリティクス

これが最終目標であり、今日必要とされる組み込みアナリティクスの最新で最高の形式です。

文脈的アナリティクスとは、洗練された自動分析やコンテキスト内レポートおよびダッシュボードを、ソフトウェアアプリケーションのワークフローに直接組み込むことのできる機能です。これにより、ユーザーは製品の最適な使用を実現し、製品のビジネス上のメリットを向上させることができます。

これは、ブレンドされたアナリティクスと双方向のワークフローを組み込むことで実現され、エンドユーザーおよび開発者両方にとって、最小限の作業量でBIをよりシームレスにします。

文脈的アナリティクスにより、エンドユーザーはアナリティクスから遥かに大きな価値を引き出すことができます。それはなぜかというと、エンドユーザーのインサイトディスカバリープロセスは、全体的なソフトウェアアプリケーションエクスペリエンスにより導かれ、シームレスで動的なものになったからです。分析負荷の多くが事前に定義、または自動化されているため、エンドユーザーおよび開発者双方の労力も大幅に削減されます。

長期的な将来性を保証し、高度に差別化されたアナリティクスユーザーエクスペリエンスを提供するために、文脈的アナリティクスは、現在の組み込みアナリティクスモデルの中で最も優れた製品です。アナリティクスをコアワークフローに深く統合することで、文脈的アナリティクスは、アプリケーション内のインサイトとアクションを組み合わせた新しいエクスペリエンスとワークフローをもたらし、コアソフトウェアアプリケーションの使用を最適化し、それを使用することで、誰もが得られるビジネス上のメリットを増加させます。

文脈的アナリティクスの最も優れた点は、Yelowfin BIのような最新の組み込みアナリティクスプラットフォームを使用することで、誰でもアクセスできるようになったため、もはやデータ専門家だけの領域ではなくなったことです。

アナリティクスの価値 = 非常に高い

 

組み込みアナリティクス成熟度モデルの理解:次のステップ

ソフトウェア所有者が組み込み成熟度モデルを移行し続けることで、エンドユーザーに提供される分析機能のレベルが大幅に向上することは明らかです。そのため、より優れた機能へのアップグレードをできる限り早く計画する必要があります。

これらのステージは相互に排他的ではありませんが、特にステージ4と5では追加的になるため、エンドユーザーは、スタンドアローンのレポートおよびダッシュボードから、文脈的アナリティクスに至るまで、既存のトランザクションアプリケーション内から必要なデータにアクセスするための様々なメカニズムを利用できます。

これまで多くのベンダーは、その時点では古くなったBIプラットフォームには理解できる制限があるため、成熟曲線の初期段階に留まっていました。しかし、それは変わりました。今日では、ユーザーのアナリティクスエクスペリエンスを向上させ、彼らがより優れた意思決定を行うために必要なリアルタイム情報を提供することが、これまでよりも容易になりました。これは、最新のBIベンダーのおかげです。

ホワイトペーパー:文脈的アナリティクスとは何か?

まだ確認されていない場合は、今が成熟度曲線における自分の位置を特定し、最新かつ最高のステージへのアップデートを計画するのに最適なタイミングです。文脈的アナリティクスについて学び、組み込みBIを次のレベルへ引き上げる方法を、こちらのホワイトペーパーでご確認ください。

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