営業のためのデータ分析を基本からわかりやすく解説!成績向上のポイントをご紹介
営業成績が思ったように伸びない
営業部門としてどこに問題があるのかわからない
顧客のニーズがどこにあるのかわからない
営業成績が伸び悩んでいるときに、明確な打ち手がなく悩むこともあるかもしれません。場当たり的に目についた問題点を改善しても根本的な改善にならない可能性もあります。そこでまずやるべきことはデータを活用した営業分析です。本記事では、営業分析が必要な理由から営業分析の具体的な手法・フレームワークなどを解説していきます。この記事を読んで営業分析の大枠をつかみ、成績向上のポイントをつかみましょう。
ここではデータを活用した営業分析が必要な理由を解説していきます。
そもそも営業分析とは営業活動にかかわるデータ(営業成績、案件内容、顧客データなど)を統合し分析することです。
- 勘や経験だけではない顧客ニーズの把握
- 営業スキル・ノウハウの属人化防止
- 営業活動の生産性向上
それでは、1つずつ解説していきます。
勘や経験だけではない顧客ニーズの把握
データを活用した営業分析には、顧客ニーズを把握することが重要です。たとえば、各クライアント様への販売価格が営業担当者ごとの裁量で決めることができる場合、経験や勘をもとに販売価格を決めてしまっている場合があります。いくらで価格を設定すれば買ってもらえるのか、そもそもどの顧客がどの商品を買う傾向にあるのか等、顧客ニーズを把握しないことには勘や経験で決められるものではありません。データに基づいた営業分析をすることで、顧客ニーズを的確にとらえ、業績アップにつながる営業施策を検討することができます。
営業スキル・ノウハウの属人化防止
従来の営業活動では担当社員の勘や経験に基づく営業が多いため、優秀な営業のスキルやノウハウが属人化してしまうこともありました。安定して成績を残している営業社員の活動量や活動内容をデータ化し、ノウハウに落とし込み組織全体に共有することで、営業組織全体のスキルアップにつながります。
営業活動の生産性向上
データを活用した営業分析には、営業活動の生産性を向上させることも必要です。定量的なデータがない状態で組織全体の営業活動の改善を図ろうとすると、立案者の経験や勘・思いによって左右されることになります。
仮に改善施策が間違ったものだと実行したあとにわかれば営業組織のモチベーションダウンにもなります。また、数字の責任を常におっている営業社員からすれば感覚的な改善施策は納得感が得られず、組織全体の生産性向上につながりません。一方で定量的なデータに伴う改善施策には客観性があり納得感が得られやすいものになるため、営業活動の生産性向上につながる可能性があります。
データを活用した営業分析3つの手法
- 動向分析
- 要因分析
- 検証分析
それでは、1つずつ解説していきます。
動向分析
1つ目の手法は、動向分析です。動向分析は、自社がいる市場の動向をグラフなどを用いて可視化する分析手法のことです。自社の売上の変動と共に市場全体のトレンド、季節要因、他社状況を把握し分析することで、自社の立ち位置を把握することができます。ただし、動向分析は市場全体の潮流をおさえるために使われる手法で、顧客に適した商品・サービスを把握するといった細かいところまではおさえられません。そのため、次の要因分析、検証分析をすることで綿密な営業分析をしていく必要があります。
要因分析
2つ目の手法は、要因分析です。要因分析は、動向分析で判明した結果の要因を仮説を立てながら分析する手法です。、A社がある月に売上が急増したと動向分析によって判明したとしましょう。同業界の市場全体では売上が急増していないのにもかかわらず、A社の売上だけが伸びた要因を探ったときに、「他社が開拓していないエリアへの新規出店やマス媒体やWeb広告への出稿が業績につながった」とわかるかもしれません。
要因分析ではこうした動向分析で得られた動きに対して、なぜその動きが起きたのかを考えることで要因が見えてきます。ただし、あくまで仮説の域は抜けませんので次の検証分析をする必要があります。
検証分析
3つ目の手法は、検証分析です。検証分析は、動向分析や要因分析から得られた仮説を検証する分析のことです。たとえば、動向分析によりA社の売上が急増している月があるとわかり、要因分析により「有名人によるPR施策」「マス媒体の大きな出稿」「他社未開拓エリアの新規店舗開店」といくつか仮説があれば、それを自社の予算に応じて同様の施策を実施をして検証していきます。この検証分析を経て、初めて確かな分析結果を得ることができるようになります。
データを活用した営業分析の具体的なフレームワーク
ここでは、データを活用した営業分析の具体的なフレームワークを解説していきます。具体的にどのような営業データを分析すればいいのかをここでは紹介します。
- KPI分析
- エリア分析
- 行動分析
- 営業のパイプライン分析
- 商談分析
- 顧客分析
- クラスター分析
それでは、1つずつ解説していきます。
KPI分析
フレームワークの1つ目は、KPI分析です。KPI分析は、KGI(経営目標達成指標)を達成するために定められている「KPI」のスコアを見ながら、改善施策を見出す分析手法です。営業部門には、それぞれ新規商談件数や営業訪問件数・売上数字・アポイント件数などそれぞれKPIが数字として設定されています。この数字をもとにトップセールスと比較してどこのアクションで差が出ているのかを分析します。仮にアポイント件数に差は出ていないのにクロージング件数で差が出ている場合は、クロージングに的を絞って問題点を洗い出すようにします。
エリア分析
フレームワークの2つ目は、エリア分析です。エリア分析は、地域ごとに住んでいる人、働いている人の属性・嗜好などを洗い出し販売戦略を立てる分析です。具体的には、国勢調査や専門的にエリアデータを分析している企業の公表データを使うなどして、エリア分析を進めていきます。エリア分析を行うことで、その地域に適した宣伝、商品・サービスの提供ができるようになります。
行動分析
フレームワークの3つ目は、行動分析です。行動分析は、営業一人ひとりの行動を把握し営業成績の良いメンバーのノウハウを細かく分析していく手法です。成績の良いメンバーと成績が悪いメンバーの比較をし、データをもとにその差を分析します。この行動分析により、営業成績の良いメンバーのナレッジを共有することで組織全体の営業力強化が可能になります。また、ある特定の顧客層に高いパフォーマンスを残しているメンバーがわかるため、適切な人員配置をすることにも役立ちます。
営業のパイプライン分析
フレームワークの4つ目は、営業のパイプライン分析です。営業のパイプライン分析は、初回訪問→ヒアリング→プレゼンテーション→見積提示→成約→リピートと言った工程を、パイプラインに見立てて分析する手法のことです。顧客への初回訪問からクロージング・リピートまでの項目を洗い出し、各段階での顧客数が下がるボトルネックはどこなのかを把握できるようになります。最終的なクロージングの件数が悪ければ営業のプレゼンスキル不足があるかもしれません。単に数字が悪いというのではなく、どこの工程に課題があるのかを把握する必要があります。
商談分析
フレームワークの5つ目は、商談分析です。商談分析は、商談時の話す内容や提案資料を見直したり、案件ごとの優先順位の決め方を分析したりする手法です。
- 安さ重視、品質重視のどちらの提案にしていたのか
- 営業メンバーの提案に対しての顧客の反応
- 顧客の行動に対してのフォロー有無、フォロー内容
上記のような項目で商談分析を行うことで、顧客属性に合わせた提案資料やトークスクリプトなどを作成しナレッジ共有をすることが可能です。また、案件の優先順位が決められずに受注角度の高い案件を逃してしまっていないかの確認も行います。
顧客分析
フレームワークの6つ目は、顧客分析です。顧客分析は、性別や年齢・居住地などの属性の他、顧客の来店頻度・購入頻度などを分析して、効率的な営業活動につなげる分析手法のことです。ターゲットとするべき顧客のペルソナが明確になってくるため、自社製品を販売するべき優良顧客層に対して効果的な営業アプローチをかけることができるようになります。
クラスター分析
フレームワークの7つ目は、クラスター分析です。クラスター分析は、性質の異なるものから共通項を見出して意味のあるセグメントに分類する手法です。たとえばWebマーケティングツールの販売会社の成約率が高い顧客には、アパレル関連の方が多かったとします。これだけでは、この業界に支持されているということまでは言えません。しかし、クラスター分析をすることにより、実はECサイトを運営している顧客からの成約率が高かったことが判明する場合もあります。このようにクラスター分析をすることで効率的な営業ターゲットを特定することも可能です。
データを活用した営業分析における具体的なKPI指標
ここでは、データを活用した営業分析における具体的なKPI指標について解説していきます。営業分析をするにしても注視すべき指標がわからないと分析ができません。
- 新規リード数
- 見込み案件数
- コンバージョン率
- 営業案件数
- 平均取引額
- セールスサイクル
それでは、1つずつ解説していきます。
新規リード数
具体的なKPI指標の1つ目は、新規リード数です。広告の出稿、イベントなどのマーケティング活動により獲得した新規見込み顧客数のことを言います。
見込み案件数
具体的なKPI指標の2つ目は、見込み案件数です。見込み度の高い案件がどのくらいあるのかがKPI指標になります。なお、見込み度の高さは見積提示数、訪問数などで判断します。
コンバージョン率
具体的なKPI指標の3つ目は、コンバージョン率です。コンバージョン率は、「成約数/見込み度が高い営業案件数」の計算式で算出します。営業活動の効果、見込み客の品質を確認するための指標になります。
営業案件数
具体的なKPI指標の4つ目は、営業案件数です。各営業担当が抱えている案件数のことです。少ない場合は新規リード数を増やす検討が必要です。
平均取引額
具体的なKPI指標の5つ目は、平均取引額です。取引総額÷成約数で算出します。平均取引額を一定に保たないと成約数が上がったとしても、優良顧客も減少する可能性があります。
セールスサイクル
具体的なKPI指標の6つ目は、セールスサイクルです。セールスサイクルは、マーケティング活動を経て獲得した新規見込み顧客が契約を受注するまでの期間のことです。セールスサイクルが平均日数よりも長くかかっている場合は成約可能性が低くなります。
営業データ分析ツール
ここでは営業データ分析ツールの解説をしていきます。
- エクセルシート
- BIツール
- CRM・SFAツール
それでは、1つずつ解説していきます。
エクセルシート
営業データ分析ツールの1つ目は、エクセルシートです。エクセルシートは、普段の業務で使用されている方も多く、ピボットテーブルなどを使えば売上推移の傾向などもまとめることが可能です。まずはエクセルシートから始めて、更に大きなデータを扱っていく際に限界を感じるようでしたら、次に説明する「BIツール」を使用するなど段階を踏んで検討してみてもよいでしょう。
BIツール
営業データ分析ツールの2つ目は、BIツールです。BIツールは、膨大なデータから必要な情報を引き出し売上拡大のために分析しレポーティングすることが可能です。また、リアルタイムにデータの収集・分析が行われるため、最新の分析結果をもとに顧客に人気の高い製品の特性や、現在の優良顧客層が明確になり、製品開発・営業手法の改善を図ることが可能です。
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CRM・SFAツール
営業データ分析ツールの3つ目は、CRM・SFAツールです。CRMは、顧客管理支援ツール、SFAは営業支援システムのことで、どちらも顧客情報の管理システムの機能をもっています。CRMは顧客情報をまとめたデータベースをもとにメール配信から問い合わせ管理も含めたコミュニケーションまで対応しています。一方でSFAは営業活動を通して得られた顧客情報をもとに営業活動の効率化を支援するシステムです。いずれにしても、自社の目的に応じてどのシステムを導入するのか検討することが大切です。
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まとめ
ここまでデータを活用した営業分析の必要性から営業分析の分析方法、フレームワークの解説をしていきました。営業分析を通して経験や勘だけで営業を進めるのではなく、客観的な数字をもとに組織マネジメントをしていくことで営業成績が伸びていく可能性があります。また、営業データ分析をするにあたっては、エクセルシートでの分析では手間がかかる可能性があるため、BIツールの検討をしていくことも選択肢として有効です。目的に応じた営業分析を行い、営業分析ツールを選択するようにしましょう。