データ分析ツールとは?主な機能とおすすめ10選や比較のポイントも紹介
- データ分析ツールとは何か?
- データ分析ツールの比較ポイントを整理したい
- おすすめのデータ分析ツールを知りたい
近年のビジネスシーンでは、データ活用が急速に進んでいます。ただ、データが多すぎて従来のアナログな手法やExcelでは限界を感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで活用したいツールが、データ分析ツールです。これを活用することで、既存のツールでは分析できないほど大量かつ多種多様なデータを速やかに分析し、それに対しアウトプットできます。その結果、これまでにないほど自社のビジネスにデータを活用できるでしょう。ただ、データ分析ツールは様々なベンダーが提供していて、どれがいいかお悩みの方もいるかもしれません。
この記事では、データ分析ツールの意味やメリット、比較ポイントに加え、おすすめツール11選を紹介します。
データ分析ツールとは
データ分析ツールは、データ分析作業を効率化するITツールです。近年のデジタル化に伴い、多くの企業で導入が進められてきました。これを使うことで、従来の経験や勘に頼った意思決定から、データに基づく客観的な判断が可能です。また、分析結果はサービス改善や顧客満足度向上にも活用できることから、今注目度が高まっているツールです。
ここでは、データ分析ツールの種類を6つ紹介します。
- DMP:インターネット上のデータを一元管理し、ターゲティング広告やマーケティング施策に活用
- DWH:大量のデータを整理・保管し、BIツールなどと連携して分析
- ETL:異なるシステムのデータを抽出・変換し、DWHやBIツールに適した形にする
- ELT:データベースにデータをロードした後に変換し、リアルタイム分析やビッグデータ処理に最適
- MA:顧客データを活用し、マーケティング施策を自動化・最適化
- BI:データをグラフや表で可視化し、データドリブンな意思決定を支援
それでは、それぞれ1つずつ紹介します。
DMP(Data Management Platform)
データ分析ツールの種類の1つ目は、DMP(Data Management Platform)です。
DMPは、企業が保有する問い合わせ内容、購買履歴、Webサイトのアクセスデータ、広告の反応など、インターネット上の膨大なデータを一元管理できるツールです。これにより、データの蓄積・統合・分析を行い、ターゲットに適したマーケティング施策の最適化を支援します。
DMPには大きく分けて2種類あり、自社で保有するデータを活用する「プライベートDMP」と、複数の企業が共有できる「パブリックDMP」があります。マーケティング戦略の立案や広告のターゲティング精度向上に役立つのが特徴です。
DWH(Data Warehouse)
データ分析ツールの種類の2つ目は、DWH(Data Warehouse)です。
DWHは、大量のデータを整理・統合・長期保存し、必要なときにすぐ取り出せるように管理するためのツールです。異なるシステムやデータベースから集めたデータを、分析用に最適化した形で保管することで、業務効率化や意思決定のスピード向上に貢献します。
DWHの大きな特徴は、データの履歴管理や集計機能が充実していることです。そのため、過去のデータを活用した予測分析や、BIツールと連携してのレポート作成などにも活用されます。
関連記事:ETLやDWH(データウェアハウス)を用いたBIツールの活用方法
ETL(Extract・Transform・Load)
データ分析ツールの種類の3つ目は、ETL(Extract, Transform, Load)です。
ETLは、異なるシステムやデータベースからデータを抽出(Extract)し、必要な形に変換(Transform)し、最終的に保存先にロード(Load)する処理を行うツールです。これにより、企業内のさまざまなデータを統合し、分析に適した形に整理することが可能になります。
例えば、売上データ・顧客データ・マーケティングデータを統合し、DWHに保存してBIツールで可視化する際などに活用されます。データをクレンジング(整理)することで、一貫性のあるデータ活用ができるのもETLの強みです。
ELT(Extract・Load・Transform)
データ分析ツールの種類の4つ目は、ELT(Extract, Load, Transform)です。
ELTは、ETLと同様にデータの統合を行いますが、データを一旦データベースにロード(Load)した後に変換(Transform)を行う点が異なります。
この方法は、大規模なデータ処理が必要な場合に適しており、クラウド環境やビッグデータ分析において特に効果的です。例えば、データをHadoopやクラウドDWH(BigQuery、Snowflakeなど)にロードした後で変換処理を行うことで、スケーラブルなデータ分析が可能になります。
ETLに比べてデータ処理の柔軟性が高く、リアルタイム分析にも適しているのがELTの特徴です。
MA(Marketing Automation)
データ分析ツールの種類の5つ目は、MA(Marketing Automation)です。
MAは、顧客データを収集・分析し、見込み顧客(リード)の育成を自動化するツールです。Eメールマーケティング、Webサイトの訪問履歴のトラッキング、SNS広告の配信最適化などを行い、マーケティング活動の効率を高めます。
特に、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)において重要な役割を果たし、「どの顧客がどの段階にいるのか?」を明確にし、最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。
BI(Business Intelligence)
データ分析ツールの種類の6つ目は、BI(Business Intelligence)です。
BIは、企業内の膨大なデータを集計・分析し、グラフやダッシュボードなどの可視化ツールを使って分かりやすく表示するツールです。これにより、データを基にした迅速な意思決定が可能になります。
BIツールは、DWHやETLと連携してリアルタイムで分析を行うことが可能で、営業・マーケティング・経営判断など、さまざまな業務に活用されます。
また、Yellowfin のようにそれらのデータを自社のツール・サービスに組み込んだり、AIを活用して対話型のインターフェイスでデータを加工できるツールもあります。
関連記事:BIツールとは?おすすめ10選比較と活用事例10社・無料版のメリットとデメリット・ポイントまで徹底解説
データ分析ツールを用いるメリット
ここでは、データ分析ツールを用いるメリットを3つ紹介します。
- 分析精度の高さ
- 現状把握の容易さ
- 迅速な意思決定
それでは1つずつ紹介します。
分析精度の高さ
データ分析ツールを用いるメリットの1つ目は、分析精度の高さです。
データ分析ツールは分析精度が高く、これを活用することで今まで整理・統合が困難だった情報も、より正確に細かく把握できます。各データの因果関係や関連性を分析すれば情報の不確実性を低減し、より確実な将来予測ができる上、売上拡大につながる戦略立案も可能です。
現状把握の容易さ
データ分析ツールを用いるメリットの2つ目は、現状把握の容易さです。
データ分析ツールで社内外のデータを分析することで、組織や事業の現状を可視化し、必要な情報を効率的に収集できます。これにより、組織全体や個々の従業員が抱える問題点を明確に特定し、その解決に向け具体的な仮説を立案できるでしょう。
迅速な意思決定
データ分析ツールを用いるメリットの3つ目は、迅速な意思決定です。
データ分析ツールは、Excelなどの表計算ツールよりも短時間で分析結果を導き出せます。そのため、企業が直面する様々な課題に対し素早くデータを分析・提供でき、経営層の意思決定を効果的にサポートできます。
関連記事:データドリブンによる意思決定とは?必要な理由・メリット・実行するためのステップまで詳しく解説!
データ分析ツールの主要機能
ここでは、データ分析ツールの主要機能を4つ紹介します。
- レポーティング
- OLAP分析
- データマイニング
- プランニング
それでは1つずつ紹介します。
レポーティング
データ分析ツールの種類の1つ目は、レポーティングです。
レポーティング機能は、データ分析結果をグラフなどでリアルタイムに可視化する機能です。ダッシュボードは日々の速報値確認に適していますが、レポーティングは月次などの長期的な傾向分析や出力に適しています。これにより、経営判断のスピードアップが可能です。
OLAP分析
データ分析ツールの種類の2つ目は、OLAP分析です。
OLAP分析機能は、多次元のデータを高速で処理し、必要な分析結果を迅速に提供する機能です。例えば売上データ1つを取っても、購買日時・店舗・商品・顧客属性など、多角的な視点からデータを分析できます。そのため、OLAP分析を活用すれば、企業の成長に役立つ有益な情報を素早く得られます。
関連記事:OLAP分析とは?DWHやOLTPとの違いの理解がBIツール活用の鍵
データマイニング
データ分析ツールの種類の3つ目は、データマイニングです。
データマイニング機能は、大量のデータから特定の傾向やパターンを見出す機能です。例えば、顧客の購買行動を分析することで、商品の売れ行きを予測できます。その結果に基づき、生産量の最適化も可能です。このようにデータマイニングは、ビジネスニーズの把握と対応に効果を発揮します。
関連記事:データマイニングとは?データを活用して経営に役立てよう!
プランニング
データ分析ツールの種類の4つ目は、プランニングです。
プランニング機能は、過去のデータ分析と将来予測に基づき、具体的かつ実現可能性の高い経営計画を立案する機能です。管理職・経営層は経営戦略や予算編成を行いますが、その際にプランニング機能を活用すれば、確かな根拠に基づき意思決定ができます。
データ分析ツールの比較ポイント
ここでは、データ分析ツールの比較ポイントを4つ紹介します。
- 目的に沿った機能の有無
- 操作のしやすさ
- 費用対効果
- サポート体制
それでは1つずつ紹介します。
目的に沿った機能の有無
データ分析ツールの比較ポイントの1つ目は、目的に沿った機能の有無です。
企業や部署ごとに分析ニーズが異なることも多いですが、それらのニーズをすべて満たせるか確認しましょう。社外向けの売上分析や顧客満足度の向上など、自社でデータ分析ツールを導入することで実現したい具体的目的を事前に明らかにします。その上で、選定するツールの機能や強みが合致しているか見極めることがポイントです。
操作のしやすさ
データ分析ツールの比較ポイントの2つ目は、操作のしやすさです。
利用者のスキルに合わせ、どの従業員もそのツールを操作しやすいか確認しましょう。様々な部門のスタッフがそのツールを使用すると想定し、できれば製品デモや無料プラン、あるいは無料トライアルでの使い勝手を試しておくと安心です。
費用対効果
データ分析ツールの比較ポイントの3つ目は、費用対効果です。
初期費用だけでなく、月々の維持費用を含めて費用対効果を検討しましょう。データ量に応じた料金変動やオプション費用なども考慮し、複数シミュレーションを行うことがポイントです。
サポート体制
データ分析ツールの比較ポイントの4つ目は、サポート体制です。
操作方法の問い合わせやトラブル対応など、継続的サポートの質と範囲を重点的に確認しましょう。IT人材が不足している組織では、セミナーの開催や分析アドバイスなど、充実したサポートサービスを提供しているツールが特におすすめです。
データ分析ツールのおすすめ10選一覧(無料あり)
ここでは、おすすめのデータ分析ツールについて、以下の10点を紹介します。
- Yellowfin
- Excel
- Tableau
- Microsoft Power BI
- Domo
- Looker Studio
- Dr.Sum
- MotionBoard
- NodeXL
- QlikSense
- Talend
それでは1つずつ紹介します。
Yellowfin
Yellowfinは、Yellowfin社提供の組み込みBIツールです。クラウドとオンプレミスの両形態で導入可能で、クライアントの希望に応じて決定できます。データ分析のワークフロー全体を最適化し、データ分析から可視化までスムーズです。自社サービスへの組み込みや生成AIを活用した機能など、常に進化し続けています。
ダッシュボードは見やすく、操作も簡単です。分析の自動化も可能なので、素早く分析結果を得られるでしょう。
Yellowfinの特長
- 世界中29,000を超える企業で採用実績
- 充実のプログコンテンツ
- 無料トライアルあり
詳細はこちら: https://yellowfin.co.jp/
Excel
Excelは、Microsoft社提供の表計算ソフトです。多くのユーザーにとって普段使い慣れている表計算ソフトですが、小規模なデータに対してであればデータ分析ツールとしても使えます。
計算式を表に入れ込んで数値計算を行うことや、グラフを作成することも可能ですが、よりハイレベルなデータ分析を行う場合にはアドインやマクロの活用がおすすめです。
Excelの特長
- 多くのユーザーにとって使い慣れている
- Excelによるデータ分析の教材・書籍は豊富
- Windowsユーザーなら無料利用可能
詳細はこちら: https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/excel
Tableau
Tableauは、Tableau社が提供するセルフサービス型BIツールです。マウス操作だけで簡単にデータ分析を実行でき、素早くきれいなレポートやダッシュボードを作成できます。
簡単な操作で分析結果におけるグラフの並び替えなどができるため、データ分析結果から新しい発見を得やすくなります。様々なデータベースと構築できるので、大規模データの分析にもおすすめです。
Tableauの特長
- メルマガあり
- 充実のAI機能
- 無料トライアルあり
詳細はこちら: https://www.tableau.com/ja-jp
Microsoft Power BI
Microsoft Power BIは、Microsoft社提供のBIツールです。AIも駆使して、連携したデータ全てについて、分析結果を出力します。
毎日利用するアプリにその分析結果をインプットすれば、データに基づきより合理的な意思決定をしやすくなるでしょう。レポートテンプレートも豊富なので、見やすいレポートを容易に作成できるでしょう。
Microsoft Power BIの特長
- 学習用コンテンツが充実
- ホームページ上にチャットボット
- 無料プランあり
詳細はこちら: https://www.microsoft.com/ja-jp/power-platform/products/power-bi
Domo
Domoは、Domo社提供のAI搭載プラットフォームです。
データ分析だけでなくデータ統合・自動化など、データに関するあらゆる作業をこれ1つで実行できます。
暗号化やアクセス制御などセキュリティ対策も豊富なので、機密性が高いデータを取り扱いたい場合も安心です。ビジネス価値を産み出す力も高く評価されています。
Domoの特長
- 1000以上の外部ツールと連携可能
- Gartnerなど外部機関より高い評価
- 無料トライアルあり
詳細はこちら: https://www.domo.com/jp
Looker Studio
Looker Studioは、Google社提供のクラウドBIツールです。
Google社のサービス以外でも様々なデータソースに接続することで、それらのデータをまとめて分析できます。
円グラフや棒グラフなど様々なグラフを作成できるため、データの種類に応じて最適なグラフを選択しましょう。
Looker Studioの特長
- Googleアカウントがあれば利用可能
- テンプレートが豊富
- クリエイターや閲覧者は無料利用可能
詳細はこちら: https://cloud.google.com/looker-studio?hl=ja
MotionBoard
MotionBoardは、ウイングアーク1st株式会社提供のBIツールです。クラウドオンプレミス両方に対応しています。
データ分析だけでなく業務アプリの開発も可能で、DXの推進にうってつけです。BIツールでデータ分析・可視化を行ったら、その結果を踏まえてレポートだけでなく日報に反映させてもよいでしょう。その日報もMotionBoard上で作れます。
MotionBoardの特長
- 導入実績3,500社以上
- 金融機関や大学でも導入実績
- 体験デモあり
詳細はこちら: https://www.wingarc.com/product/motionboard/
NodeXL
NodeXLは、データ分析に役立つオープンソースExcelテンプレートです。
無料利用可能ながら、ネットワーク図などでデータ分析を実施できます。エクセル上で操作できるため、ITツールに慣れていない方でも安心です。
分析方法は複数試せるため、目的に応じて最適な分析方法を選択しましょう。
NodeXLの特長
- 対応できる処理が豊富
- 指示通りで簡単インストール
- 無料プランあり
詳細はこちら: https://nodexl.com/
QlikSense
QlikSenseは、Qlik社のデータ分析ツールです。
直感的な操作が可能ですが、分析機能は強力で、大量のデータを高速で分析できます。拡張アナリティクス機能を活用すれば、より深いデータ分析を実現できるでしょう。
また、アクションの自動化により分析の手間を削減できます。対話型のダッシュボードなので、経営層など現況をこまめに把握したいユーザーにもおすすめです。
QlikSenseの特長
- 世界 40,000 社以上の実績
- AI機能あり
- 無料トライアルあり
詳細はこちら:https://www.qlik.com/ja-jp/products/qlik-sense
Talend
Talendは、Qlik社のデータプラットフォームです。
データ分析に留まらず、データ統合やデータガバナンスなどあらゆるシーンで活用できます。オンプレミスとクラウド両方で利用可能です。
AWSやMicrosoft Azureなどともパートナーシップを結んでおり、多くのツールと連携させてデータを取り扱えます。
Talendの特長
- ホームページにチャットボットあり
- 製品デモを利用可能
- 無料トライアルあり
詳細はこちら:https://www.talend.com/jp/
まとめ
この記事では、データ分析ツールの意味やメリット、比較ポイントに加え、おすすめツール11選を紹介しました。
データ分析ツールはデータ分析作業を効率化するITツールで、BIやDMPなどがあります。これを用いることで、高精度でデータ分析を実行し、レポーティング機能などで意思決定に活用可能です。
データ分析ツールは様々なベンダーが提供していますが、目的に沿った機能の有無や操作のしやすさなどを考慮して比較しましょう。まずは、今回紹介した11選から比較することをおすすめします。