データ分析と解析の違いとは?概要から目的、手法やメリットについても徹底解説
データを分析すべきか、もしくは解析する方がいいのかを迷ったことはありませんか?企業が管理する膨大なデータを役立つ形式に変換するための手法として、分析か解析どちらが適しているのかは目的によって変わります。本記事では、データ分析と解析の違いをはじめ、それぞれのメリットや注意事項についても詳しく触れていきます。これからデータを活用される企業ご担当の方にぜひ読んでいただきたい内容です。
データ分析とデータ解析の手法の違い
手法から見た違いについて、以下を説明します。
- データ分析の手法
- データ解析の手法
それぞれ、解説していきます。
データ分析の手法
まずはデータ分析手法の代表的なものとして、以下10つを簡単に説明します。
1. バスケット分析
バスケット分析とは、データマイニングの解析手法の一つです。特定の商品を定めて、それに組み合わせて購入されることの多いものは何かを分析します。スーパーで買う商品など、マーケットデータとして用いられることが多いです。
2. アソシエーション分析
アソシエーション分析とは、もしこうならば次はこうなるだろう、という関連性を見つける手法です。例えば買われた商品のデータを見て、購買者の行動の関連性を探す等に使われます。
3.クロス集計分析
クロス集計分析とは、設問と設問をかけ合わせて、集計・分析する手法のことです。アンケートで集めたデータに対して属性毎に分類する、などに使われることも多くあります。
4.決定木分析
決定木分析とは、予想や判別のためのデータマイニング手法の一つです。データを細かくしてパターンや構造を抽出して、ツリーの形に表します。決定木分析は、データ解析でも使われる手法です。
5.ABC分析
ABC分析とは、パレード分析とも呼ばれており、分析フレームワークのことを指します。重要度の高いものからA・B・Cのように、優先度を決めて分類します。在庫管理などで使われています。
6.因子分析
因子分析とは、多変量解析の手法のひとつです。複雑な事象の根本的な原因や、前提条件を特定することができ、消費者の心理を理解するために使われることが多いです。
7.ロジスティック回帰分析
ロジスティック回帰分析は、因子分析と同じく多変量解析手法の1つです。質的確率を予測し、目的変数と説明変数の2つを用います。説明変数から、どのくらいの確率で目的変数が起こるのか予測値を算出します。データ解析でも使われる手法です。
8.クラスター分析
クラスター分析とは、膨大なデータから、似たもの同士を集めてグループに分ける分析手法です。マーケティングのターゲット分析などに用いられます。性別などの外的基準がはっきりとしていないデータに対して使われることが多いです。データ解析でも使われる手法です。
9.主成分分析
主成分分析とは、統計学上の解析手法の一つです。膨大なデータから、全体のばらつきを確認することに役立ちます。顧客満足度、商品やサービスの評価などに使われます。
10.グレイモデル
グレイモデルとは、過去の数値データを使って、次はどのような数値が続くのかを予測する分析手法です。トレンド分析などに利用されます。グレイモデルは他の分析手法と組み合わせて使われることが多いです。
データ解析の手法
データ解析に用いられる主な手法として、以下8つを簡単に説明します。
1.決定木分析
決定木分析は、データ分析にも使われる手法で、予想や判別のために使われます。パターンや構造を抽出したツリーの形から、原因を特定していきます。
2.RFM分析
RFM分析とは、顧客分析の一つで主にマーケティング手法として使われます。顧客を3つの指標「Recency(直近の購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」を使って、顧客をグループ分けします。
3.回帰分析
回帰分析とは、統計的手法の一つで、説明変数から目的変数の値を予測します。因果関係の推定にも使われます。データ分析で使われるロジスティック回帰と名前は似ていますが、ロジスティックの方は目的変数になる確率を判別する手法であり、使われ方が違います。
4.クラスター分析
クラスター分析はデータ分析にも使われる手法で、膨大なデータをグループ化する分析手法です。必ず何らかの主観や視点に基づいて分類され、データマイニングにも多く利用されています。
5.アソシエーション分析
アソシエーション分析は、もしこうならば次はこうなるだろう、という関連性を見つける手法で、データ分析にも使われています。データマイニングにも使われており、ビッグデータから、それぞれの関連性を探し出します。
6.バートレット検定
バートレット検定とは、統計学的検定法の一つです。3つ以上のデータを見て、それぞれの分散が均一かを確かめます。統計量やP値などを計算します。
7.ランダムフォレスト
ランダムフォレストとは機械学習モデルの一つです。決定木の集合から予測を行なっていきます。複数の決定木から複数の学習器を用いることで、データ解析の精度を高めていきます。
8.SVM(サポートベクターマシン)
SVMとは教師ありで、学習可能な機械学習アルゴリズムです。主に音声や画像認識など、多くの分類を行い、信号処理医療アプリケーションなどに活用されています。
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データ分析と解析のメリット
データ分析と解析の違いを、メリットから見ていきます。
- データ分析のメリット
- データ解析のメリット
それぞれ、解説していきます。
データ分析のメリット
データ分析のメリットは、確度の高い現状分析と将来予測が可能なことです。正しく分類されたデータは、元のデータの状態の精度を保っているため、信頼性が高く、データ活用時のスピーディーな意思決定に繋がります。
データ解析のメリット
データ解析のメリットは、ビッグデータへの活用が有効であることです。データマイニングにも役立てており、一つのデータからの活用範囲が広がります。なぜそのデータを導いたのか原因を探るため、次のステップである効果分析も容易に行えます。継続的にデータ蓄積するため、リアルタイムな情報を提供でき、データ分析にかかる時間を少なく済ませることが可能です。
データ分析および解析における注意事項
これまで、データ分析と解析の違いについて見てきました。ここでは、それぞれを実施する際の注意事項について、以下4点を説明します。
- 膨大な情報の扱い
- セキュリティ対策
- 目的の明確化
- 結果の考慮
それぞれ、解説していきます。
膨大な情報の扱い
データ分析もしくは解析を実施する際の注意事項の1つ目は、膨大な情報の扱いです。企業のシステムには様々なデータが蓄積されており、全てを合計すると数えきれないくらいの膨大な量となります。そのため、目的にそぐわないデータも多く含まれていることを認識しておかなければなりません。また、特にチェックもなく蓄積されているデータは信頼性が低く、誤表記や重複・欠損が非常に多いです。データを扱う際は、分析・解析前に、それぞれの目的に合わせた標準化やクレンジングが必要になります。
セキュリティ対策
データ分析もしくは解析を実施する際の注意事項の2つ目は、セキュリティ対策です。特にビッグデータを扱う場合、蓄積されたデータには、顧客情報を含む、企業の機密情報が多く入っていることでしょう。データを扱う前に、リスクを最大限回避する運用を検討する必要があります。例えば、分析・解析ツールを使う場合、「そのツールは安全なのか」「どのようなセキュリティ対策がなされているか」を確認することが必要です。また、ネットワークや担当者間で問題が発生しないかや、データをやりとりする流れなどについて、確認を徹底することが大切です。
目的の明確化
データ分析もしくは解析を実施する際の注意事項の3つ目は、目的の明確化です。そもそも企業が何を目的として何をどう解決したいのかによって、どのようなデータが必要になるか、どのような分析・解析手法を行うべきか変わってきます。目的や手法が合致しないと、思うような結果を得られなく、やり直しとなる場合も出てくるでしょう。データ分析・解析を行う目的をしっかりと定めてから、実施することが大切です。
結果の考慮
データ分析もしくは解析を実施する際の注意事項の4つ目は、結果の考慮です。分析や解析から結果が出ても、それが終わりではありません。結果データから何をするべきかをしっかりと人が考えていく必要があります。また、予想と異なる分析結果が出た際にも、次にどのような対応をするのかを決めていかなければなりません。結果の判断は、AIに任せるのではなく何が最適なのか、最終的な判断は人間がするようにしましょう。
まとめ
データ分析と解析は、同じ手法を使うものもありますが、そもそもの目的が大きく異なります。誤って違う方を選び進めてしまうと、結果として得られたデータを活用できずに終わる、もしくは分析や解析からやり直しになる、といったケースも避けられません。何のために行うのか目的を明確にしてから、分析・解析どちらが出来しているかを選択しましょう。