漸進的なイノベーションの時代に一歩踏み込んだ変化を作る

漸進的なイノベーションの時代に一歩踏み込んだ変化を作る

すべてのプロダクトデザイナー、ビルダー、オーナーは、自分が作る製品に「ああ、これだ!」という瞬間を作り出そうと努めています。では、この漸進的イノベーションが主流の時代に、どのようにそれを実現したらいいのでしょうか。Yellowfinのデザイン&デジタル担当GMのTony Prystengがその経験を語ります。

 

プロダクトデザインにおいて、憧れの「ああ、これだ!」と思える瞬間は、本当に特別なものです。

それは、誰かが製品に触れて足を止め、真のイノベーションに気づき、世界が何らかの形で変わってしまい、もう元には戻れないと気づいた時です。

技術や経験が新しい何かを可能にし、すべてを受け入れるのです。

私の経験を話すと、私の「ああ、これだ!」の瞬間はApple製品で起きました。初めてiPadとiPhoneを購入した時(ウォークマンを購入した時も覚えています)、これらの画期的なデバイスを手放すことができませんでした。

デジタルだけを考えると、初めてAirbnbで予約をした際に、慎重にキュレーションされたデジタル工程を思い出します。飛行機に搭乗したり、スマホを使ってコーヒーを買ったり、Eventbriteを使ってイベントの開催や管理をしたり。Covidのパンデミック中にショッピングセンターに行って初めてチェックインしたことでさえ、「イノベーション」の瞬間があったのです。

 

しかし、現実は、ユーザー体験を大きく飛躍させるチャンスはほとんどありません。デジタル製品に関わる私たちの仕事の多くは、より良い、より簡単な、より直感的な(あるいは収益性の高い)結果を得るために、製品の動作に少しずつ手を加えるという、大きな分岐点ではなくほんの少しの改良を伴うものです。

特に、既に完成された製品を持つ大きなチームの場合、エンドユーザーとの間に一歩踏み込んだ変化をもたらす機会はほとんどありません。よほど製品が酷いレベルじゃない限り、製品の改良は気づかれないことが多いのです。iPhone13のリリースに言及しますが、私たちは現在「漸進的なイノベーション」の時代に生きていると思うと、興味深いものがあります。

 

では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

大規模な製品で巨大な製品チームがある場合、動きがかなり遅くなりがちです。

製品規模を拡大した主要なイノベーションは、製品の中心に位置し、競合他社との立ち位置によっては、シフトすることに躊躇してしまうのです。カテゴリーをリードする製品では、漸進的な変化が一般的であるため、その傾向は顕著です。リーダーはすべてを失うことも多いので、「リスク」を取りたがらないことが多いのです。

過去の漸進的な変化を越えて進化しようとしない場合、もっと優れた人が現れ、自分たちが大きく取り残されるリスクの方が大きいのです。

デザイナーやUXに関わる方は、SketchやInVisionがどれだけ早くFigmaにシェアを奪われたか考えてみてください。資金力、規模、奥行きがなければ、破壊的な挑戦者を打ち負かすことも、買収することも、素早く引き剥がすこともできません。Facebookがどのようにイノベーションに対応したか見てください。

カテゴリーのチャレンジャー製品(Yellowfinがアナリティクスになったように)であれば、大規模な製品革新に全力で取り組むことで得るものはあります。それは、小さなチームや リソース、さらには予算が少ないからです。

しかし、そこに強みがあります。小さいということは、合理的で早く新しいイノベーションを開発し市場に送りだす能力があり、ボタンの半径を変更するのに20回ミーティングをし複数のプロダクトチームを必要とする大きな競合他社を圧倒するはずです。

競合他社が行っていることと全く同じことをしている場合、「IBMを買ったことでクビになった者はいない(no one ever got fired for buying IBM)」という格言を思い出してください。同じような製品があった場合、人は大手の安全なものを選ぶ傾向があります。これが、大手が新しいことに挑戦することに躊躇し、「壊れていないなら、直す必要はない」という領域にとどまる理由です。しかし、これが製品イノベーションのためには大きなことを考えなければならないという動機付けになります。

 

問題を認識する

素晴らしいイノベーションは、問題から始まります。競合他社がその問題に気づかず認識していない場合は、なおさらチャンスです。その問題は、マイナーなUXの問題ではなく、カテゴリーを越えて明らかなもの、もしくは多くの顧客に一環しているものではくてはなりせん。

Sketch/InVision vs Figmaを例にすると、共同デザインが面倒で、機能セットも限定されていました。カテゴリーのリーダーはこの問題を認識せず、問題の解決とそれに応じた製品のイノベーションをほとんどしませんでした。その後、Sketch/InVisionは、瞬く間にシェアを失いました。これは、決してでっち上げられた問題ではなく、フォーラム、ユーザーグループやRedditのスレッドで、ユーザーが抱えている不満や問題が明確に分かるものが無数にありました。

しかし、成功した立場にいる場合、自分の製品やカテゴリーに問題があることを認めることは簡単ではありません。正直さと透明性が必要になります。よくある会社の方針で、最終的に「無謀な選択をしない」ことがあるため、時には実行するのが非常に難しいことがあります。

より大きな製品イノベーションのための材料

革新的な文化:大きな問題を解決する上で、社内・社外の問題に正面から向かって認識し、行動を起こす意欲と能力がある組織文化が必要です。既に成功している製品の問題点について、顧客を失望させたくない、認めたくないと思ってリスクをとらないでいることは、イノベーションを完全に疎外することになるのです。

独裁色の強い小さなチーム:「世の中にあるアイデアを潰したければ、委員会を立ち上げて取り組め」と言われていますが、これは、大手の競合他社がつまずいたところを、小さくてまだ新しい挑戦的な製品がイノベーションできることを意味しています。だからと言って、レガシー製品を持つ大企業がイノベーションを起こせないというわけではありません。

問題解決に専念するための権限、能力、プロセス、ビジョンを持った小さなチームを設立し、組織の障害を突破するようなイノベーションを実現するために、「リーダー」を配置する必要があります。この「リーダー」は、先見性のあるCEO、あるいは信頼のおけるプロダクトオーナーのような存在かもしれません。

製品の市場適合性:顧客のニーズに沿っていないものを公開しても意味はなく、さらに顧客が抱えていない問題を解決するための、思い付きの解決策を作っても意味がありません。ビジネスとマーケットのニーズに沿った解決策が必要です。多くの人が(スティーブ・ジョブスのおかげで)イノベーションは顧客の要望を聞くことからではなく、先見的な思考から生まれると信じていますが、顧客が抱える問題をよく理解して裏付けされていなければいけません。製品の市場に合っていなければ、イノベーションはユーザー体験を混乱させ、最終的に製品を複雑化させ使われない機能となります。Stravaは、Strava Labsの一環として、コアフィットネスアクティビティのプラットフォームの周辺機能を見事に導入しています。時折、これらの機能がコアプラットフォームに導入されることもありますが、多くの場合、最終的には段階的に縮小されます。

 

ボタンを動かすか、ビジネスを動かすか

常に改良を続け、そのイノベーションなしで以前はどうやって生活していただろうかと考えさせられるような破壊的瞬間を作り出す製品に大きな敬意を表します。

さらに、それが定評のあるレガシー製品の場合はなおさらで、そのままにしておく方がはるかに楽なのに、実現するためにどれだけの気力と努力、そして多くのリスクがあったかを容易に想像できます。

楽な道を選んだ代償は悲惨なものです。Sketch、Flickr、Blobkbuster、Kodakに聞いてみてください。

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