YellowfinのZチャートを使って移動合計による売上実績を分析
Yellowfinには、Zチャートが備わっています。今回は、Zチャートを活用して移動合計による売上実績の分析を行ってみました。
Zチャートの概要と分析例
Zチャートとは?
Zチャートとは、単月のデータだけでは把握しづらい数値の推移や傾向を、単月、累計、移動合計の3つのデータを使って示すチャートです。売上、顧客数、生産数などの数値の推移を把握する目的などに使われます。
横軸には基本的に時系列の軸を配置します。月次売上分析の場合には、月を軸として設定します。縦軸には、売上、客数、生産数などの数値を配置します。
下記の例で説明すると、青色で示されている線が単月の売上です。黄色の線が、該当年度の年初からの売上累計を示します。緑色の線が移動合計と呼ばれるもので、当該時点からある一定期間の合計のことを意味します。この3つの線で描かれる形がアルファベットのZに似ていることから、Zチャートと呼ばれています。
移動合計
“移動合計” の考え方を簡単に紹介します。先述の通り、移動合計とは、当該時点からある一定期間の合計のことを指します。年次の場合、該当月を含む過去12か月分の合計のことを指します。この場合、移動年計とも呼ばれます。四半期の場合、該当月を含む過去3か月分の合計を意味します。移動合計を用いることで、単年度の数値だけではつかむことができない大きな傾向を把握することができます。
移動合計を実際のZチャートで確認してみます。左は売上実績を単月で見ている折れ線グラフです。月ごとの上下動が激しく、大きな傾向をつかむことができません。
これをZチャートで表示すると、右のようになります。単月の売上は上下動があるものの、移動合計と合わせて確認すると、大きな傾向としては横ばいにあり、売上推移は安定していることが分かります。
Zチャートのタイプ
Zチャートのタイプは大きく分けて3種類あります。
- 成長:移動合計が右肩上がりの傾向を示します。事業や企業が成長期であることを示します。
- 横ばい:移動合計が水平に近い傾向を示します。事業が安定期に入ったことを示します。
- 衰退:移動合計が右肩下がりの傾向を示します。何らか抜本的な見直しが求められる時期です。
Zチャートの作成と分析
YellowfinでZチャートを作成するためには、軸と集計値がそれぞれ1つずつ必要です。例えば、年月と売上の2列で構成される情報があれば、月次の売上情報を取り扱うZチャートを描くことが可能です。加えて、会計年度や事業領域など、絞り込みに必要な情報があると、チャートがより活用しやすいものになります。
例えば、下記の表は、2018年度から2021年度の4年度分の月次の売上実績を示すものです。月ごとの数値の上下動が激しく、表を観ただけでは傾向をつかむことが難しいと感じます。
この情報を元にYellowfinでZチャートを描いて、実際に分析してみます。
2019年度 「成長期」
2019年度は、事業立ち上げ年度の翌年度であった事実も起因し、移動合計の数値が右肩上がりに伸びています。一般的に「成長」と呼ばれる形態で、前年度と比較して大きく売り上げを伸ばしている傾向が見受けられます。
2020年度 「横ばい期」
2020年度は「横ばい」と呼ばれる形態で、事業が安定期に入ったことが分かります。月次の売り上げが大きく上下に振れているものの、移動合計の線を見てみると、横ばい傾向であることが把握できます。
2021年度 「衰退期」
2021年度は「衰退」と呼ばれる形態で、移動合計の線が右肩下がりの傾向を示し、事業が衰退期に入ったことが分かります。
最後に
以上、YellowfinでのZチャート活用例を紹介してきました。多角的に事業を展開する企業や、多くの製品やブランドを取り扱う企業の場合、各事業のライフサイクルや製品・ブランドの位置づけを説明するために、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントなどと併用して、Zチャートを用いることも一案かと思います。また、事業を展開する上で、ステークホルダーに対してデータを分かりやすく可視化することも重要です。事業や製品などのライフサイクルを可視化するために、是非YellowfinのZチャートを活用してみてください。
チャートの作成方法や本記事に関する詳しい説明を聞きたい方はお気軽にお問い合わせください。Yellowfinを試してみたい方は右上の無料評価版ボタンから。