AI NLQとは?AIによる自然言語クエリーの仕組みを解説
自然言語クエリー(NLQ)技術の進化により、最新のビジネスインテリジェンス(BI)および分析プラットフォームは、これまで以上に多くの企業でデータ探索や分析の効率化、そしてインサイトへのアクセスの民主化を実現しています。もはや、データの専門家だけがデータを扱う時代ではありません。
しかし、どのような技術にも共通する課題として、利害関係者や顧客にその価値を実感してもらう必要があります。データに問い合わせ、有益な答えを得る力があっても、ユーザーが「何を」「どうやって」質問すればよいのか分からなければ、その力を十分に引き出すことはできません。
そこで登場するのが、AI対応の自然言語クエリー(AI NLQ)です。AI NLQは、ユーザーに代わって適切な質問の構築を支援し、クエリプロセスそのものをよりスマートに進化させることで、明確な価値を提供します。
本記事では、AI NLQとは何か、従来のNLQとの違い、そしてエンタープライズソフトウェアや製品に導入することで得られる主な機能やメリットについてご紹介します。
目次
AI NLQとは?
AI NLQは、最新の生成系人工知能(Generative AI)、特に大規模言語モデル(LLM)の技術を活用した、新しいタイプの自然言語クエリーツールです。Yellowfinが提供するガイド付きNLQを強化する専用機能として提供されるAI NLQでは、ユーザーはガイド付きNLQの検索バーに自由な文章で質問を入力するだけで、AIの力によって自動的にクエリが構造化され、即座に回答を得ることができます。
AI NLQは、検索ベースのNLQや従来のガイド付きNLQとはいくつかの点で異なります。AI対応のNLQモードを有効にすると、ユーザーは必要なデータが含まれている列名を知っておく必要がなく、特定の構文ルールに従わなくても、データの探索を始めることができます。代わりに、AI NLQがユーザーに代わって適切な構文を自動生成し、質問を構造化。さらに、その結果をベストプラクティスに基づいたデータビジュアライゼーションや表形式レポートとして提示します。
AI NLQは、Yellowfin 9.15リリースの一環として登場し、データクエリーのプロセスをよりスムーズにし、より多くの人がデータへのアクセスとインサイトを得られるようにすることで、企業規模を問わず、ISV(独立系ソフトウェアベンダー)やエンタープライズ企業が真のセルフサービス分析を実現し、拡張ユーザーという新しいコンセプトの浸透を後押しします。
そして何より重要なのは、AI NLQが、OpenAIのような外部AIモデルの力を活用するYellowfinの新機能群の第一弾であるという点です。実際の操作感をご覧いただくには、以下に埋め込まれたAI NLQのウォークスルー動画の視聴をおすすめします。
ガイド付きNLQとAI NLQ:何が違うのか?
Yellowfinは2022年に「ガイド付きNLQ」を初めて導入しました。これは、従来の検索ベースのNLQが抱えていた課題を解決する新しいアプローチで、ユーザーがデータをクエリーする際に、クエリーの組み立て方や絞り込みの方法について動的にガイダンスを提供する機能です。ガイド付きNLQの詳細は、紹介ブログ「ガイド付きNLQとは?」をご覧ください。
AI NLQは、このガイド付きNLQの基盤の上に構築されており、Yellowfin BIにおける自然言語クエリー体験をさらに向上させます。これにより、ユーザーはデータの手動分析や探索に関する前提知識がなくても、より複雑な質問を投げかけたり、分析コンテンツを作成・共有したりすることが、これまで以上に簡単になります。
AI NLQはどのように動作するのか?
Yellowfinの組み込み分析機能を活用したソフトウェア製品やエンタープライズアプリケーションにおいて、AI NLQは、Yellowfinダッシュボードの「作成」メニューから「自然言語クエリー」を選択し、表示される「AIを有効にする」ボタンをクリックすることで有効になります。このボタンは、ガイド付きNLQのユーザーインターフェース右上に配置されており、簡単にアクセス可能です。
以下のように、標準のガイド付きNLQモードとAI対応NLQモードは、ユーザーのデータクエリーの目的に応じて簡単に切り替えることができます。
AI NLQの主な要件とは?
AI NLQは、LLM(大規模言語モデル)や外部のAIモデルを活用しているため、新しいガイド付きNLQ機能を使用するには、OpenAIアカウントとの接続が必要です。
ユーザーの質問とともに、列名・データ型・参照コード・ビューの説明といったメタデータがAIモデルに送信されます。ただし、実際のデータの中身は送信されませんので、セキュリティ面にも配慮されています。
AI NLQは、実データを一切外部のAIモデルに送信しません。また、AI NLQ機能はロール (役割) 単位で細かく設定できるため、管理者はデータガバナンスやロールベースのアクセス制御を徹底し、必要なユーザーのみに機能を提供することが可能です。
AI NLQの主な機能とは?
自由な文章で質問を入力し、AIが自動的に正しい構文でクエリーを構築してくれる機能に加え、AI NLQでは新たに「質問の例」というサブ機能が導入されました。この機能は、ガイド付きNLQのユーザーインターフェース右上にあるボタンをクリックすることで利用できます。
「質問の例」では、Yellowfinの自然言語クエリーユーザーが、AIに対して役立つ質問のリストを生成するよう依頼できます。これにより、ユーザーがデータ探索を始めやすくなるようガイドし、インスピレーションを提供します。生成される質問は、対象データセットに設定されたメタデータ (列情報やビュー設定など) をもとにしています。
提案された質問のいずれかをクリックすると、選択されたクエリーが自動的にガイド付きNLQの検索バーに読み込まれます。ユーザーはそのまま質問を実行することも、必要に応じて内容を編集することもできます。その後、AI NLQが正しい構文に自動変換し、ユーザーが自由入力で質問した場合と同様に即座に結果を生成します。
AI NLQの利点とは?
AI NLQは、Yellowfinが先駆けて提供してきた「ガイド付きNLQ」の強力な基盤の上に構築されており、組み込み分析環境において、一般的な業務ユーザー (非技術者) と上級ユーザー (アナリストや開発者) の両方が、より簡単にデータ探索を始められるように設計されています。
AIを活用してユーザーにとって最適な質問を動的に構築・提案し、より正確な回答を引き出すことができる点で、多くのメリットがあります。
以下に主な利点をまとめます:
データクエリーのハードルを下げる
AI NLQを使えば、ユーザーは自然言語で自由に質問を入力するだけで、AIが自動的に正しい構文でクエリーを構築します。技術的な用語や構文ルールを事前に知っておく必要がないため、NLQやガイド付きNLQの利用障壁が大きく下がり、より多くの人がすばやくインサイトを得られるようになります。
データ探索をガイド
AI NLQの「質問の例」ボタンを使えば、ユーザーはワンクリックで役立つ質問のリストを取得できます。生成された回答は、さらなる探索や独自のクエリー作成の出発点として活用でき、分析の幅を広げます。
分析コンテンツの作成を加速
AI NLQは、エンドユーザーが重要な業務データを探索し、意思決定に必要なインサイトを発見し、分析コンテンツを作成する際の専門知識や労力を大幅に削減します。
ガイド付きNLQやAI NLQによって生成されたベストプラクティスに基づく回答やインサイトは、Yellowfinのダッシュボード、ストーリー、プレゼンテーション内で簡単かつ迅速に共有・活用できます。また、上級ユーザーであれば、生成された結果をもとにさらなるカスタマイズやフィルタリング、ドリルスルー分析を行うことも可能です。
重要なインサイトへのアクセス向上
AI NLQは、Yellowfin BIの組み込み分析スイートにおける「セルフサービス分析」を推進する強力なツールのひとつであり、より多くの人がデータやインサイトにアクセスできるようにすることを目的としています。
その使いやすさと高いアクセシビリティにより、関係者・顧客・ユーザーが組み込み分析の価値を実感しやすくなり、BI投資に対する利用率と定着率の向上につながります。
AI自然言語クエリー:次のステップ
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