不動産業界でもデータ分析が定着!活用されている領域から自社での実施・分析方法まで解説
昨今、データ分析がますます重要性を帯びてきていますが、不動産業界でも欠かせないものとなってきています。
不動産業界は元来より関連するデータが非常に多く、最近では不正融資の問題などと言った背景もあり、データを活かす
本記事では、不動産業界でどのようにデータ分析が行われているのかをご紹介していきます。
不動産業界でデータ分析が活用されている背景
昨今の不動産業界では、スルガ銀行による不正融資を発端として、様々な問題が散見されています。
それを受けて、不動産マーケットを丁寧に分析・精査する重要性も増してきています。
また、REITの拡大など、金融業界が不動産ビジネスに入り込むことでデータの可視化・分析のニーズは高まっています。
これらの背景に伴い、不動産業界ではこれまでよりますますデータ分析が活用されるようになってきています。
不動産業界でデータが活用される領域
不動産業界でデータが活用される領域は主に四つあります。
- 不動産の価格査定
- 不動産投資の将来予測
- 不動産の営業効率化
- 与信管理
です。以下では、それぞれ詳細にご説明していきます。
不動産の価格査定
不動産業界でデータが活用される領域の一つ目は、不動産の価格査定です。
不動産業界は情報の非対称性がある業界として有名です。一般消費者が類似物件の情報を参考にするなどは限界がありました。
そこで、ビッグデータを用いて、条件の近しい取引の実績や賃貸の相場などをもとに、参考価格を表示するサービスが出てくるようになりました。
これにより、消費者自身で不動産の価格の妥当性を判断できるようになってきているのです。価格査定サイトなどがその一つですね。
不動産投資の将来予測
不動産業界でデータが活用される領域の二つ目は、不動産投資の将来予測です。
こちらは、ビッグデータをAIに学習させ、収益性の高い投資物件情報を提供するものです。
不動産投資で重要なのは、利回りや賃料など、その物件でどれくらいの収益が得られるか、ということです。
価値の高い物件に投資するには、多くの物件を入念に比較・検討する必要があり、労力と時間がかかってしまいます。
データをもとにその物件がどれくらいの利益を得られるかということをAIで予測させるのです。
サイト上で物件の条件を入力して情報を得ることができるなど、時間をかけずに希望に沿った物件の候補をリストアップできます。
これにより業務効率の改善にもつながります。
不動産の営業効率化
不動産業界でデータが活用される領域の三つ目は、不動産の営業効率化です。
賃貸物件の賃料と言うものは、築年数や構造、立地や広さなど、あらゆる条件があって決まります。
経験豊富な担当者であれば査定はスムーズに進むかもしれませんが、全ての担当者がそうではありません。
ビッグデータを活用すれば、適切かつ迅速に賃貸物件の賃料査定を行えたり、オーナーへの改善を提案したりもできます。
また、大量の顧客データを活用すれば、顧客の潜在的なニーズや適切な営業のタイミングを知ることもでき、効率的かつ短時間で成果を上げることができるようになるでしょう。
与信管理
不動産業界でデータが活用される領域の四つ目は、与信管理です。
空室のリスクや、賃料単価の下落リスクを提示することで、融資リスクを見える化できるようになるのです。
人口減少といった社会現象や、アパート空室問題など、金融機関は融資の際に多くの悩みを抱えています。
データ分析により融資の際のリスクをある程度把握・予測することができれば、リスクが許容範囲なのかどうかを把握できるため、リスクを抑えつつ融資を行えるようになります。
不動産業界でデータ分析を行うためのステップ
先に不動産業においてデータが活用される領域についてお話ししてきました。
次に不動産業界でデータ分析を行うためのステップをご説明していきます。
- 分析目的の明確化
- 不動産データの収集
- 不動産データの可視化・分析のステップ
なお、この手順は不動産業会に限らずデータ分析を行う際の最も基本となる手順です。以下、詳細を見ていきましょう。
分析目的の明確化
不動産業界でデータ分析を行うための一つ目のステップは、分析目的の明確化です。
データ分析では、様々な課題に対してアプローチすることができ、それにあった手法も数多く存在しています。
そのため、何よりもまず分析目的を明確にしておく必要があります。分析目的がぶれてしまうと、分析の途中で方向性が分からなくなってしまい、最初からやり直しということにもなりかねません。
例えば、空室率の要因を分析したいのか、物件の価格は適正なのかなどがあります。目的によって手法も変わってくることが通常ですので、一番最初の段階で必ず目的は明らかにしておきましょう。
不動産データの収集
不動産業界でデータ分析を行うための二つ目のステップは、販売データの収集です。
自社で蓄積しているデータに加えて、シンクタンクなどが保有するデータも有用です。
不動産の場合、自社のデータだけでは適切な判断ができず、過去の取引データや毎年の路線価など、外部のデータを活かすことが重要です。
自社の目的に合わせて必要な情報を整理しましょう。
不動産データの可視化・分析
不動産業界でデータ分析を行うためのステップ3は、販売データの可視化・分析です。
実際に分析を行っていく上では、事前に仮説を立てて進めていくことが大切です。どういった結論になるのかを想定しながら、分析を進めることで必要な分析を効率的に行うことができます。
また、データ分析の結果を可視化することも大切です。分析をした本人は数字から意味を見出せても、多くの人はその意味を理解できなかったり、時間がかかってしまいます。
そのため、グラフや表を活用して可視化することも大切です。
不動産業界で行われるデータ分析
データ分析の手順をご説明しましたが、次は不動産業界で行われるデータ分析の手法をご紹介していきます。
特に不動産業界では、AIの活躍が大きく期待されています。各手法を網羅して、ビックデータを掘り下げてより有益な情報にしていきましょう。
- 不動産マーケット分析
- エリアマーケティング分析
- 空室分析
- 営業分析
ここでは、上記の四つを詳細にご紹介します。
不動産マーケット分析
不動産業界で行われるデータ分析の一つ目は、不動産マーケット分析です。
先に述べた通り、不動産業会におけるトラブルを受けて、融資業務においては該当する物件だけでなく、不動産マーケットを十分に考慮する必要性が増してきました。
具体的には、空室率や賃料の推移や利回りなどと言った居住賃貸分析や、店舗・事務所等に関するオフィス市場分析などがあります。
こうした不動産マーケットを綿密に分析することによって、顧客の業務改善を進めることができます。
エリアマーケティング分析
不動産業界で行われるデータ分析の二つ目は、エリアマーケティング分析です。
昨今は、スマートホンやスマートウォッチなどの普及により、様々な行動データが溢れる社会になってきました。
証券分析においても単なる出典戦略だけでなく、様々な業態での利用が日常となってきています。
ビッグデータを消して分析することで、業種や業態にあった商圏を分析できます。
例えば、高級車を取り扱うカーディーラーであれば、ターゲット層である富裕層の多いエリアなどに開店する、などです。データの数が増えれば増えるほど、精度の高い分析ができるようになるはずです。
空室分析
不動産業界で行われるデータ分析の三つ目は、空室分析です。
不動産においては、収入や経費、利回りなどと言った多くの情報を収集して適切な数値を設定して収益評価が行われています。
その中でも、賃貸住宅の収益評価を行う際に重要なのが空室率です。
空室分析を行うことにより、なぜある部屋が空室になっているのか、空室でない部屋と何が違うのかを把握できます。
そうした空室の要因を知ることで、空室の部屋の指標を改善につながります。
それに加えて、どう言った人が入室しているのかなども組み込めば、ターゲット層を絞って分析することもできるでしょう。
営業分析
不動産業界で行われるデータ分析の四つ目は、営業分析です。
言わずもがな、ビッグデータが益々身近になっている昨今、様々な場面で大量のデータをもとにした有益な情報の収集が求められています。
営業においてもそれは変わりません。各顧客の情報をデータとして収集するため、非常に地道な作業が必要にはなりますが、どのような顧客にどう言った営業をかけたときに成約率が高いのか、どのタイミングで営業をかけていくのが効果的なのかを把握することができるようになるのです。
また、顧客ニーズや市場動向といったあらゆる情報の取得も容易になるので、顧客に対して有益な情報を提供していけるでしょう。
まとめ
本記事では、不動産業界でどのようにデータ分析が行われているのかを紹介しました。
昨今、データ分析がますます重要性を帯びてきていますが、不動産業界でも欠かせないものとなってきています。
不動産業界は関連するデータも多いので、BIツールなどを用いて、効率的・かつ適切に分析を行うことがおすすめです。
データ分析を取り入れることで、不動産業会における売上や成約率のアップを目指していきましょう