小売業にデータ分析をどう活かす?方法・理由と実施の流れを分かりやすく解説
昨今世間でよく耳にするようになったデータ分析という言葉。一見小売店との関係をすぐに結びつけることは難しいですが、小売店店舗にデータ分析を活用することは経営の効率化や売り上げの改善に重要です。本記事では小売でデータが必要な理由や、分析の種類、流れなどを解説していきます。
小売業において、各店舗ごとの目標達成のため、データ分析は欠かせません。上手く活用することができれば多店舗との相乗効果も得られるでしょう。
例えば、売り上げ金額を目標として設定している際には、現状と目標の差を埋めるためにどのような施策が有効的か分析することができます。
ただがむしゃらに店舗を経営するのではなく、データ分析を活用して効果的な戦略を立てることで売上アップの目標に寄与するでしょう。
小売業でデータ分析を行う前に確認すべきこと
まず何よりも、現状の課題と分析が必要な背景の把握です。
無論、データさえあれば分析を行うことは可能ですが、課題を把握した上での改善点を理解・どうしたいのかを設定しないと、分析結果に正しい意味を持たせる・自分が知りたいことを知ることはできません。
また大きくデータ分析といっても、様々な手法が存在します。正しい手法を持って分析を行うにも現状把握とゴール設定は欠かさないようにしましょう。
小売業で使えるデータ分析方法
先に述べたように、データ分析の手法は一つではなく多岐に渡ります。
複数ある中から現状課題の解決・目的にあった手法を選択すると良いです。本記事ではクロス分析、商品カテゴリー分析、購買ランキング、ABC分析、メトリクス分析を紹介していきます。
以下で紹介する以外にも分析の手法はまだまだ多く種類はありますが、まずは以下のものを抑えるのがお勧めです。
クロス分析
一つ目は最も一般的かつ基本的なクロス集計です。この手法は、性別や年齢などといった限られた指標だけでなく、来店頻度や満足度など幅広い指標をもって集計を行います。
これにより属性別の需要を正確に把握することができ、その属性に合わせた販促活動ができます。クロス集計でどのような属性の人が商品を購入したいのかを知って、効果的な販促方法により各店舗の施策を立てるのが良いでしょう。
ただ、属性を増やしすぎると細分化され過ぎてしまうので注意が必要です。本当に関連のありそうな属性は何かを考えて、適切な物を選択してください。
商品カテゴリー分析
2つ目は商品カテゴリー分析です。これは、消費者データを用いて、顧客が店舗にある商品をどのようにカテゴライズしているか分析するものです。
顧客目線で製品がどうカテゴライズされているかを知ることで、同カテゴリーの商品を同じ棚に陳列するなどができ、購入してもらえる可能性が高まります。逆に売れ行きの悪い商品の品揃えを改善にも寄与します。
また、取り扱う商品を細かくカテゴライズすることにより、各店舗の強みも見えるでしょう。それにより独自の戦略が立てやすくなります。
購買ランキング
3つ目は購買ランキングです。こちらは名前通り、商品を売れている順にランキング化するもので、既に多くの小売では行っているものではないでしょうか。
データには商品コード、数量や単価、金額などを記入して、月ごとの売れ筋商品や、売れた理由・売れなかった理由を分析していきます。多店舗展開の小売店であれば、地域別・支店別など、自店舗以外のランキングも同時に分析することでそれぞれの店舗条件に合わせた戦略を練ることが重要でしょう。
ABC分析
4つ目はABC分析です。これは、複数の指標から重視するものを選択し、優先順位をつけて管理する手法です。最も重要度が高いのがAランクになります。
より具体的にはAランクの商品は人気が高いため、品切れを起こさないようにする、などです。逆にCランクの商品は仕入れを減らす・やめるといった施策が考えられるでしょう。
似た製品の中でのラインナップを再検討したい際などに使える手法です。
メトリクス分析
最後にメトリクス分析です。こちらは、集めたデータに計算や分析を加えることで分かりやすく可視化する手法です。
販売データ分析の基本ともいえる方法で、プロジェクトの進捗管理などにも多く用いられますが、目標と達成期限が明確な場合には小売店でも有効です。これにより定量化したデータで物事を表すことができ、現状を可視化して現状把握を正確にします。
例えば、売り上げが予定よりも伸びていない場合、キャンペーンを実施するなどといった具体的な対策が取れるでしょう。
小売業のデータ分析の流れ
これまで、5つの手法を紹介してきました。下記では、小売業のデータ分析の流れを説明します。下記の5つの手順でデータ分析を行いましょう。
- 目標を明確にする
- 仮説を立てる
- データ分析の手法を決める
- データを集める
- データの分析を行う
以下で具体的に書く手順について見ていきましょう。
目標を明確にする
最も重要で欠かせないのは、始めにデータ分析の目的を明確化することです。
目的を立てるというのは、具体的にはデータ分析を行う理由、現状把握です。現状を理解して目標を明確にすることで、データを集める準備段階を効率的に進められます。
適切なデータを集めて適切な手法で分析を行うために、ゴールの設定は必ずしましょう。ただ、データ分析が目的にならないよう注意が必要です。
仮説を立てる
目標を明確化することができたら、次に仮説を立てます。
例えば、商品同士の関係について、「商品Aが買われたら商品Bもよく買われる」、天気と売り上げの関係について、「雨の日は売り上げが落ち込む」などです。こうした仮説が本当に自店舗で成り立っているのかを実証することがデータ分析の目的です。
ゴールと仮説があって初めてデータ分析は成立するので、仮説は必ず立てましょう。一つの仮説が成り立たなかった場合、この仮説に立ち返って分析をすることが重要です。
データ分析の手法を決める
仮説を立てたら、次にどの分析手法を使用するか決めましょう。手法により必要なデータの種類は異なってきます。
一方で、手法を選んだとしても欲しい指標は収集していなかったなど、現実的にある手法を選ぶのが難しい場合もあるでしょう。その際は、存在するデータの中で極力目標を達成するのに現実的で適切な手法を選びましょう。
データを集める
ここまで決まれば、あとは必要なデータを集めます。分析を行うには、一定以上のデータ量、言い換えればサンプル数が必要になります。
普段の業務もありますが、日頃から必要なデータの収集と整理を意識しましょう。ここで注意が必要なのは、集める前にどのようなデータが必要かを整理し、それに基づいてデータを収集することです。既にデータがある場合は次のステップに移って問題ありません。
データの分析を行う
必要なデータが十分に集まったら、データを整理してから実際に分析を始めます。
データを整理するというのはなかなかイメージが湧きにくいかもしれませんが、正しくデータ分析を行うには欠かせない工程です。
この準備をとばしてしまうと、分析が終わったと思った段階でミスや取りこぼしに気づくことも多々あります。収集したデータを分析しやすいように整理し、選んだ手法で分析しましょう。
上手くいかなかった場合は、仮説の見直しや手法の再検討も考慮します。あとは最後に目標が達成できる形で分析が行えたか評価を行うとよりその後につながります。
まとめ
本記事ではデータ分析をする理由、分析手法、データ分析の流れを説明してきました。小売店でデータ分析を行う必要性や手順などの概要を把握できたでしょうか。小売業においてデータ分析は一回したら終わりというわけではなく、状況の変化に合わせて適時分析をし続ける必要があります。BIツールを活用することで、分析の作業に時間を使うのではなく、本来やるべき分析結果を活かすための作業に時間を使えるようになります。