データ分析基盤とは?構成要素やメリット、選び方まで分かりやすく解説
データ分析を進めていく上では様々なツールがあります。膨大なデータを処理する上でデータ分析基盤は大きな役割をになっています。本記事では、そのデータ分析基盤の概要からメリット・構築や選定のポイントを解説しました。
データ分析基盤とは、データを蓄積し、そのデータを分析しやすいように加工をした上で、分析を行う流れを一気通貫で行う技術的基盤のことです。データの量が少ない場合は、手動で収集した上でExcelやCSVファイルにまとめて分析を行えます。しかし、ビッグデータを扱うようになると、大量のデータを一貫して扱えるデータ分析基盤が必要不可欠です。自動的にデータ収集から加工・分析まで行える基盤が無ければ、データを活かせません。データ分析基盤には、下記の4つの働きがあります。
- 集める
- 貯める(データレイク)
- 加工する(データウェアハウス)
- 保管する(データマート)
それぞれがどのような役割をはたしているのかを解説します。
集める
データの分析を行うためには、十分な量のデータを収集する必要があります。大量のデータを手動で集めることはほぼ不可能であるため、自動的にデータを集められる仕組みが必要です。データ分析基盤では、専用のソフトなどを用いて、Webサイトやアプリケーションから自動的にデータを収集できるようします。これによって、人の手を介さずに必要なデータを集められるようになります。データを自動的に収集する際のソフトの例は下記の通りです。
- talend
- fluentd
- Embulk
貯める(データレイク)
データ分析基盤の2つ目の要素は、収集した生のデータを「データレイク」に貯めることです。集めてきたデータは貯める必要があります、データレイクは非常に大容量のため、加工されていないさまざまな生のデータを入れておけます。実際にデータの分析を行う際は、この中にある生のデータを加工して使用します。雑多にデータを入れられますが、必要なデータはすぐに取り出せるような仕組みを作ることが大切です。
加工する(データウェアハウス)
データレイクに貯められたデータは、分析しやすいよう加工した後にデータウェアハウスに保管します。データレイクにあるデータは雑多でそのままだと使いにくいものですが、ETLというツールを使ってデータを用途に合わせて加工します。加工済みデータをデータウェアハウスに格納しておくことで、幅広いデータソースから分析を行う際にもスムーズな分析が可能です。とくにデータが膨大なときに必要な要素です。
保管する(データマート)
データマートは特定の用途や分析に必要な加工済みデータを保管する場所です。データウェアハウスの中にあるデータは、加工されているものの、目的別に分けられていません。そこで、目的や用途に合わせて、それに必要な加工済みデータだけを目的別に保存します。ただし、分析に必要なデータのみを収集していた場合は、データウェアハウスを置かずに、データマートだけでデータ分析基盤を構築することもあります。
データ分析基盤を構成するメリット
ここまでデータ分析基盤に必要な要素について解説してきましたが、データ分析基盤を構成することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。データ分析基盤を構成するメリットを2つ解説します。
スムーズなデータ分析が可能になる
データ分析基盤を設計しておくことで、データの収集から加工や保管、分析までワンストップで管理できるため、データ分析に必要な過程を簡略化し、スムーズにデータ分析を行えます。データ分析を行うにあたって、複雑な集計作業を行ったり、データの抽出をする手間が省けます。また、同一の基盤の中で複数のデータの分析が可能なので、複数の分析結果を複合した観点での評価がしやすいことも特徴です。
データの質を担保できる
データ分析基盤では、すべてのデータを一元管理できるため、分析に用いるデータの質が高まります。たとえばExcelシートなどでデータを管理していた場合、データソースが分からなくなることや、生のデータなのか加工済みデータなのか分からなくなることがあります。この状態のデータは低品質なデータと言えるでしょう。データ分析基盤では、データソースの記録はもちろんのこと、生のデータと加工済みデータが区別されています。さらに個々の分析に必要なデータを区別して保管できるため、非常にデータの質が高くなります。その結果、信頼性の高いデータ分析が可能となるのです。
データ分析基盤を構築する際の4つのポイント
ここまで、データ分析基盤の構成要素や、データ分析基盤のメリットについて解説しました。ここでは、実際にデータ分析基盤を構築する際に注意すべき4つのポイントについてご紹介します。
データの活用目的を明確化する
まずはデータの活用目的を明確化しましょう。目的に応じて収集すべきデータの中身はもちろんのこと、量やソースが異なります。目的を明確化せずにデータ分析基盤を構築してしまうと、必要な機能が抜け落ちてしまう恐れもあります。データの活用目的を明確にした後に、データ分析基盤構築のプランニングや人員のアサインを行いましょう。
データアセスメントを実施する
データ分析基盤を構築する際に、収集する予定のデータの質を確認しましょう。データ分析基盤が精度の高いものであっても、データそのものの質が低ければ分析や加工をしても成果は得られません。データの質のほかにも、本当にデータの収集が可能であるのかも確認すべきです。Web上からデータを収集する場合は、プライバシーポリシーの関係でデータを手に入れられないことがあります。
データソースと連携できるかを確認する
データ分析基盤がデータソースと連携できるかを確認しましょう。たとえばWebサイトからデータを収集するとします。しかし、データ分析基盤とWebサイトを連携して、自動的にデータを収集できなければ、データソースと考えないようにしましょう。このようなことを防ぐためにもデータ分析基盤の構築の際に、データソースと連携できるような仕様にすることを心掛けましょう。
データの流れを一方通行にする
データの流れは一方通行にすることで、データの管理が簡単になり、エラーへの対処がしやすくなります。データの流れを一方通行にすることで、エラーが起きた時にもデータの流れを遡っていけば原因が見つかります。一方通行でなければ、データの移動が複雑化してしまい、原因を探すことも、解決することも困難です。データを扱う際も、一方通行の方がシンプルで分かりやすいでしょう。
データ分析基盤を選ぶ際の4つポイント
現在、多くのデータ分析基盤が販売されているため、自ら構築する必要があることは滅多にありません。そこで、既存のデータ分析基盤を用いる際に選ぶポイントを4つご紹介します。
複数名で活用できる
1人に依存しないデータ分析基盤を用いることが、長期的なデータ分析には重要です。データ分析基盤を使える人が1人では、メンバーの脱退や不慮の事態に対応できません。その結果、データ分析を継続することが困難になります。分析用途に合わせて、複数人で管理できるデータ分析基盤を選びましょう。
オールインワンであること
データ分析基盤は、データの収集から加工・保管・分析までオールインワンでできることが大切です。データ分析基盤があるにも関わらず、別のソリューションを用いる必要があるとデータ分析の効率が下がります。また、予期せぬエラーが発生する可能性もあります。必要な機能、これから必要になると考えられる機能がすべて入ったデータ分析基盤を選びましょう。
日常的に扱うデータも対象にできること
データの中には、CSVのような分析することを前提としたものがある一方で、音声ファイルやPDFと言った日常的に使うデータもあるでしょう。データ分析基盤の中には後者のデータは取り入れられないものもあります。その場合、日常的なデータを一度、構造化されたデータに変える必要が生まれ、非常に手間がかかります。必ず日常的なデータも対象にできるデータ分析基盤を選びましょう。
可用性が高いこと
後からリソースを追加しやすく、機能の拡張が簡単なデータ分析基盤を選ぶことも大切です。現代において、ますます世の中のデータの量は莫大になっていくとともに、扱うデータの量も増えていきいます。また、事業の拡大に伴って必要なデータ量の増加や、新たな分析手法が必要になることも考えられます。それらに備え、可用性が高く継続的に使い続けられる基盤を選びましょう。
まとめ
本記事では、データ分析基盤の構成要素から、実際に運用する際のポイントについて解説しました。マーケティングにおいて、データの活用が必要不可欠になっています。その中でデータ分析の効率化は必要不可欠です。データ分析基盤を構築することで、データの収集から加工、実際に分析を行うまでを、一貫して行えます。本記事で解説したポイントをもとに、データ分析基盤を構築・選定してデータ分析を効率化しましょう。