ウォーターフォールチャートでキャッシュフロー分析

ウォーターフォールチャートでキャッシュフロー分析

Yellowfinには、ウォーターフォールチャート(滝グラフ)が備わっています今回は、ウォーターフォールチャートを活用して、企業のキャッシュフロー分析を行ってみました。

 

ウォーターフォールチャートでの分析

ウォーターフォールチャート(滝グラフ)とは? 

ウォーターフォールチャートは、開始時点と終了時点の間で、数値がどのように増減したかを、棒の長さや色を使って可視化する目的に使われます。滝が流れる様子に似た形状から、滝グラフとも呼ばれています。

数値の増減が一目で把握できるため、プレゼンテーション資料や企業の決算発表資料などでしばしば使用されます。

 

ウォーターフォールチャートの使用例

お金の流れを示すことに適しています。例えば、稼いだ収益から、どのような費用が差し引かれて、結果として利益がどの程度手元に残ったかを視覚的に示した例がこちらです。増減の色を明確に分けると、より分かりやすくなります。

毎月の会員数の増減傾向を示すことなどにも活用が可能です。伸び率の増加、鈍化、減少などの様子が一目で把握できます。

ウォーターフォールチャートの作成

ウォーターフォールチャートを作成するためには、軸が一つ、開始時点の数値、軸項目ごとの数値が必要となります。先の「収益、費用、利益の流れ」の例では、各費用項目を示す軸、開始時点として収益の数字、各費用項目に対する数値、の3点が必要となります。「会員数の増減傾向」の例では、月を表す軸、開始時点(前年末)の会員数、各月の会員数の増減に関する数値、の3つが必要です。

 

テスラの業績を可視化して分析

現地時間の2022年7月20日に、テスラ社の2022年第二四半期(4-6月)の決算発表がありました。同四半期間のキャッシュフローの動きをウォーターフォールチャートで可視化して分析してみます。

まずは全容を確認すると、期初時点(3月末)で手元キャッシュが180約4,000万ドルだったものが、当該四半期中に約8.5億ドル上積みし、期末時点(6月末)では188億8,700万ドルまで増加したことが分かります。

キャッシュを変動させた要因を、営業、投資、財務の3面から確認します。

 

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフローの増加に大きく起因した要素は税引き前利益で、22億6,900万ドルの増加でした。第2四半期はテスラにとって、上海工場の長期閉鎖や原材料高という問題を抱えた時期であったにもかかわらず、本業で多くのキャッシュを生み出したことが把握できます。販売台数は前期310,048台から254,695台と約18%減少したものの、値上げによる売上単価の上昇により、利益の減少が多少緩和された側面もあるようです。自動車以外の業務領域が拡大している側面もあります。なお、会計上の営業利益は24億6,400万ドルで、両者の差異がさほど大きくないことが分かります。

会計上は費用として計上されている償却費や株式報酬ですが、実際にはキャッシュの流出を伴っていないため、それぞれ9億2,200万ドルと3億6,100万ドルのプラスとして扱っています。

営業資産・負債、業務再編で、13憶4,600万ドルのキャッシュが支払われました。営業活動に対して積極的な投資姿勢が見受けられます。

投資キャッシュフロー

全キャッシュフロー項目の中で、最も大きな流出額を示すのが設備投資で、13億4,600万ドルでした。カリフォルニア、上海、ベルリンに加え、4か所目の製造拠点として今年テキサスにオースティン工場を開設し、現在フル稼働に向け設備を整えている最中です。こうした設備に対する積極的な投資姿勢が数値にも表れています。

デジタル資産の売却として9億3,600万ドルのキャッシュが増加しています。これは、第二四半期に、保有しているビットコインの75%を売却し9億3600万ドルの現金を確保したことに起因します。

財務キャッシュフロー

借入金をはじめとする負債の返済などにより、4億600万ドルのキャッシュが流出し、資本構成における負債の比率に幾分かの影響を与え得ます。2019年末時点では20%を下回っていたテスラの自己資本比率ですが、2022年9月2日時点で54%を超えています。今後、継続的な設備投資が見込まれる中で、テスラの資本構成にも注目したいところです。

その他

その他、為替差損として2億1,400万ドルのキャッシュが減少した様子です。

最後に

以上、ウォーターフォールチャートの活用例をご紹介しました。キャッシュフローの動き以外にも、営業利益や収益・費用などお金の動きを分かりやすく表現する場面や、人口や会員数などの増減を明示する場合など、数値の動きを可視化して説明する場合に便利なものです。プレゼンテーションやIR資料にもよく登場します。

上記以外にも、様々な場面での利用が想定できるチャートです。是非Yellowfinのウォーターフォールチャート(滝グラフ)を様々な用途に活用してみてください。

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