良質なデータ分析のための設計を6つのプロセスで解説!設計後の流れも紹介
現在、多くの企業ではDX化への取り組みと同時に、企業に長年蓄積しているデータを活用することが求められています。データ活用のイメージがすでにあり、課題がわかっている場合、最適な設計でのデータ分析が可能です。しかし、そうでない場合、どのようにデータ活用を進めていいのか、わからないままデータ分析してしまうと、本来の目的が達成できないことが懸念されます。データ分析は、はじめるにあたり、どこから手を付けるべきなのか見極めることが難しいとも言えます。
本記事では、データ分析の設計の基本的な説明・設計のプロセス・設計後の流れを解説します。
データ分析に欠かせない設計とは?
データ分析に欠かせない設計とは、分析対象の課題を洗い出した上で、何を可視化するのか、分析の手法や計算方法はどうするかなど、分析の前に検討すべき事項をあらかじめ明確化することを言います。
目の前のデータに対して、ただの興味で分析した場合、得た結果が正当であると判断できません。たとえ高度な解析手法・ツールを導入しても、データ分析の設計ができていないと、不適切な分析に終わる懸念があります。
最終的にどのようなアウトプットを出したいのかという目的を、データ分析を始める前に明確にすることで、必要なデータ・ツール・手法が定まってきます。そのため、まず目的を明確にし、どの分析手法が適切かを検討します。
設計してからデータ分析をすることで、自社に蓄積した大量のデータから変化を生み出し、ビジネスで効率よく成果を高めることが期待できます。
データ分析の設計の6つのプロセス
データ分析を始める前に、分析概念図という設計図を作成しておくことが重要です。分析概念図では、「要因」「評価軸」「課題領域」を設定します。要因とは評価したい内容を指し、評価軸とは要因をどのような軸で評価するかの基準を言います。課題領域は、要因を評価軸で評価を行った結果決めたい施策です。
データ分析の設計は、以下のプロセスで分析概念図の作成を進めていきます。
- STEP1:課題領域を決定する
- STEP2:評価軸を決定する
- STEP3:言語化する
- STEP4:要因を挙げる
- STEP5:要因の取捨選択を行う
- STEP6:分析概念図化する
1つずつ解説します。
STEP1:課題領域を決定する
データ分析の設計のプロセスのSTEP1は、課題領域を決定することです。
課題は通常、下位概念から上位概念にまで領域が多層になっています。下位概念とは「すでに具体的にある課題」であり、上位概念とは「なぜその課題を解決する必要があるのか」を問うものです。
解決したい課題を明確化するだけではなく、なぜ解決する必要があるのかがわかるまで、「なぜ」を繰り返して真因を探ることをおすすめします。課題はまず解くことよりも解決策を見極めることが重要です。
STEP2:評価軸を決定する
データ分析の設計のプロセスのSTEP2は、評価軸を決定することです。
評価軸を決定する場合、「具体的なことを抽象化する方法」と「抽象化されたことからさらに抽象的なことを連想する方法」の2つがあります。
たとえば、具体的なことを抽象化する方法では、テーマが「どこにどのようなタンクを導入するか」の場合「安全性」という評価軸を決定します。この「安全性」という評価軸から、安全性の追求が必要な要因を、以降のSTEPで決定していきます。
また、抽象化されたことからさらに抽象的なことを連想する方法では、「安全性」を評価軸とした場合、安全性だけではなく経済性・デザイン性・機能性も重要な可能性がある、というように芋づる式に引っ張り出して考えていきます。
いずれにしても、何をもって評価するかという基準の明確化がここでの目的になります。
STEP3:言語化する
データ分析の設計のプロセスのSTEP3は、言語化することです。
課題領域と評価軸が決まったら、分析方針を言語化することが大切です。言葉で表現する過程で行き詰まる場合、課題領域と評価軸のいずれかが十分に決定できていない可能性があり、前工程での完成度が低いと言えます。
言語化することで、自社の課題が担当者の中に落とし込めているのかを知ることができ、目的に沿ったデータ分析の設計が進んでいるかの確認になります。
STEP4:要因を挙げる
データ分析の設計のプロセスのSTEP4は、要因を挙げることです。
分析方針を言語化したら、次は要因を挙げていきます。要因はまず、思いつくままに列挙していくことが大切です。この段階では質より量を重視すると良いでしょう。似たような要因であってもダブりを恐れずモレを防ぐことを意識します。
定めた評価軸から要因として思い浮かんだものを、妥当なのかは判断せずにとにかく書き出していきます。
STEP5:要因の取捨選択を行う
データ分析の設計のプロセスのSTEP5は、要因の取捨選択を行うことです。
列挙した要因から、解決すべき課題を明確にするための要因の選択を行います。要因を選択するときは、重要度と答えの導きやすさを軸にマトリックスを作成し、要因を並べると整理しやすいでしょう。まずは重要度でランクを分けて、次に答えの導きやすさから考えることがおすすめです。
最終的には、重要度・答えの導きやすさがともに高い要因に対して分析を行い、データ分析を進めます。
STEP6:分析概念図化する
データ分析の設計のプロセスのSTEP6は、分析概念図化することです。
要因同士や要因・評価軸の関係を整理しながら、分析概念図を完成させます。最終的に、分析概念図が自社の目的に合っているかを確認し、目的が達成できる図になっていれば、正しい設計ができていると言えます。
データ分析の設計後の流れとポイント
データ分析の設計後の流れとポイントは、以下の3つです。
- データ収集と分析を実行する
- 解決策を実践する
- 検証する
1つずつ、解説します。
データ収集と分析を実行する
データ分析の設計後の流れとポイントの1つ目は、データ収集と分析を実行することです。
設計したデータ分析方法に基づいたデータ収集を行います。集めるデータは多岐にわたりますが、設計した内容に沿って進めることで、迅速かつ効率よくデータを集められます。
データが収集できたら、分析を進めます。データ分析は、知識や経験値によって、迅速性や精度が変わると言われています。しかし、設計図によってあらかじめポイントを押さえることで、初心者であっても十分な成果を期待できます。
解決策を実践する
データ分析の設計後の流れとポイントの2つ目は、解決策を実践することです。
設計図に沿ったデータ分析を行い、自社の現状と明確になった課題に対して、解決策を講じて実践します。データ分析の結果を活用することで、自社が解決すべき課題に対する効果的な対策を打つことが可能となり、改善が進みます。詳細な設計図から導き出された解決策であれば、課題の打ち手としての効果が高いと言えます。
検証する
データ分析の設計後の流れとポイントの3つ目は、検証することです。
実践した解決策で課題が解決したときに最も重要なのが、最初に定めた目的が達成できたかを検証することです。目的の達成が確認できたら、正しいデータ分析の設計ができたと判断でき、次回のデータ分析に同じパターンを用いることができます。
検証のときに、目的とのズレがないか、1つ1つの工程で都度確認していくことが大切です。