開発者向け文脈的アナリティクスガイド
ソフトウェアアプリケーションの価値とユーザビリティを高める文脈的アナリティクスの実現は、想定しているよりもはるかに簡単です。
組み込み分析の専門的で成熟した形態として、文脈的アナリティクスは、開発者が製品を完全に再設計することなく顧客のユーザーエクスペリエンスをさらに強化しようとしているソフトウェアベンダーにとって、ゲームチェンジャーになります。
文脈的アナリティクスは、ユーザーが意思決定に必要とするデータを、ソフトウェアのインターフェースやトランザクションフローのような、日常業務の場に直接組み込みます。ダッシュボード、レポート、グラフ、テーブル、アラートなどのアナリティクスコンポーネントがコアワークフローに組み込まれるため、これらの便利なツールを個別のソリューションとして使用することはなくなります。
最も重要なのは、ユーザーの作業に応じて重要なデータがコンテキストに提供されるようになったことで、より優れた意思決定をサポートできることです。ユーザーは、アナリティクスを異なるアプリケーションやスタンドアローンモジュールで確認することなく、同じ画面から必要なインサイトを得ることができます。
嬉しいことに、文脈的アナリティクスやそこから得られるメリットは、開発者の既存のスキルを使用して、比較的少ない労力で実現できます。今回は、開発者がその作業に着手する方法について、詳しく紹介します。
文脈的アナリティクスは組み込みBIを置き換えるのではなく強化する
まず始めに、文脈的アナリティクスは、製品のアナリティクス機能を向上させます。
その目的は、既存のソフトウェアに既に備わった分析機能を置き換えることではなく、これまで実現されなかった方法でデータやツールをエンドユーザーに近づけることにより、アナリティクスエクスペリエンスを向上させるソリューションです。
重要なことに、これは開発者が既存の製品を再設計する必要がないことを意味します。
文脈的アナリティクスには、様々な要件に対応するための異なるレベルの実装も含まれています。これは、既存のソフトウェアに簡単に組み込むことができます。例えば、ユーザが探索しているときにインライングラフを表示したり、完全に統合された自動インサイトや、ユーザーの作業中にリアルタイムで変化を通知する組み込みダッシュボードを表示したりできます。
統合の範囲はチームの判断に委ねられますが、高度なAPIを含めることでゼロから再構築する必要がなく、迅速に実装できます。つまり、文脈的アナリティクスのメリットを活用するために、長い年月はかからないということです。
文脈的アナリティクスが導入する高度な機能の中には、複雑に見聞きされるものがあるのは理解できます。そこで、まずは文脈的アナリティクスとは何かについて説明した、こちらのブログを確認してください。文脈的アナリティクスが、既存のソフトウェアにどれだけのメリットをもたらすのかを理解してもらうために、明確なユースケースを紹介しています。
それでは、文脈的アナリティクスを製品に組み込む計画を立てる際に、どこから着手したらよいのでしょうか。
文脈的アナリティクスエクスペリエンスを構築する3つのシンプルなステップ
製品開発者の構築プロセスにおいて考慮する要素はいくつかありますが、その中でも最も重要な考慮点を3つのステップに分けました。これは、既存のソフトウェアに文脈的アナリティクスソリューションを構築する前に定義しなくてはいけません。
#1 - コンテンツの特定
アプリケーションのワークフローに組み込むコンテンツを、時間をかけて正確に特定します。通常これはインラインダッシュボードやグラフになりますが、特定のユースケースには、自動アラートやデータストーリーテリング機能などの他のコンテンツも含まれます。UXデザイナーは、アプリケーションフローの各段階でユーザーを最もサポートする情報を理解し、それをサポートするために組み込むことのできる既存のコンテンツを特定するか、その特定の目的のために新しいコンテンツを構築します。Yellowfinでは、文脈的アナリティクスのために構築されたコンテンツは、Yellowfin内で使用されるコンテンツと同様にドラッグ&ドロップを使用して作成されます。Yellowfinの場合、シグナル、自動インサイト、ストーリーやプレゼンテーションなどのすべてのコンテンツは、シンプルなビジュアルインターフェースを使用して、コーディングをすることなく、カスタマイズおよびスタイル設定が可能です。
#2 - 組み込みの着手
これは、文脈的アナリティクスを既存のアプリケーションに実装するための、実際の統合または組み込みプロセスです。Yellowfinでは、関連するコンテンツの埋め込みリンクをアプリケーションやウェブページにカット&ペーストするだけで、またはYellowfin JavaScript APIを使用してコンテンツを動的にロードする数行のコードを使用することで、これを実現できます。この時点で、既存のアプリケーションにコンテンツが組み込まれ、完全に機能して、ドリル、フィルター、自動インサイトやエクスポートなどを含む、顧客が分析に必要とするすべての対話性や操作性を備えます。
#3 - 文脈的リンクを作成
最後に、文脈的リンクを作成します。これは要求される統合のタイプに応じて、非常にシンプルなプロセスになります。例えば、アプリケーションでユーザーが特定のイベント(表の行をクリック、ページのフィルタリング、ボタンをクリックなど)を開始すると、コンテキストが生成され、それをページに組み込まれたYellowfin コンテンツに渡すことができます。ユーザーが従業員の休暇バランスの表をクリックすると、選択した従業員の組み込みグラフに自動的にフィルターが適用されます。従業員IDは、組み込みグラフに数行のコードとともにフィルターとして渡され、グラフが更新されます。
文脈的アナリティクスエクスペリエンスのカスタマイズ
文脈的アナリティクスを使用して、よりカスタマイズされたエクスペリエンスを構築したい開発者のために、Yellowfinのような最新のソリューションは、強化された高度なAPI、包括的なドキュメント、コードサンプルやハウツーガイドなどを提供することで、これをサポートします。
カスタマイズされた文脈的アナリティクスのエクスペリエンスは、一般的に、より複雑な形式の統合を要求するため、追加のコーディングが必要になる可能性があることを覚えておいてください。例えば、Yellowfin ISVデモで表に表示されるシグナルのアイコンは、Yellowfin REST APIのシンプルな呼び出しからシグナルデータを取得します。その後、数行のコードを使用してアプリケーションテーブルのデータと一致させることで、適切なアイコンを表示します。
リブランディングを含めて、文脈的エクスペリエンスをシームレスにするには、他のテクニックを使用する必要があります。これは、アナリティクスと既存のアプリケーションのコンポーネントを視覚的にブレンドするために行われます。Yellowfinのホワイトラベルツールセットを使用して、既存のソフトウェアのルック&フィールをYellowfinの文脈的コンポーネントに簡単に合わせることができます。図形やテキスト、イメージをグラフやレポートと合わせて使用することで、各コンポーネントを直感的で美しく作成し、非常にユニークで最適化されたデザインを実現できます。
また、Yellowfinや大部分の最新ソリューションに含まれているシングルサインオン機能を使用することで、アプリケーションユーザーが組み込みBIソリューションにアクセスするために再度ログインをする必要がなくなり、コアアプリケーションとコンポーネントが互いに安全に連携して動作します。
文脈的アナリティクス:Yellowfinで始めていきましょう
文脈的アナリティクスは、ソフトウェアベンダーが既存のソフトウェアにアナリティクスを組み込む方法を再構築し、ユーザーが業務をしながらデータと関わり、そこから価値を引き出す方法を変革することを目指しています。Yellowfinのようなソリューションを使用することで、開発者たちは、これを簡単に始めることができます。
すべてのビジネスや技術的考慮点に配慮して実装することで、ユーザーに高度に差別化された独自のアナリティクスエクスペリエンスを提供し、ソフトウェアを使用する際の効率性や有効性を大幅に向上させることができます。
既存のソフトウェアアプリケーションのアナリティクスはどの程度成熟していますか?
ビジネスに文脈的アナリティクスの導入を計画する場合、アプリケーションの現在のBI機能と、ユーザーが現在何を求め、何を必要としているのかを、詳細に評価しなくてはいけません。組み込みアナリティクスの成熟度曲線について学び、既存のソフトウェアがどこに位置しているのかを把握することで、文脈化されたインサイトを明らかにするための第一歩を踏み出しましょう。