製造現場が抱える生産管理やデータ分析の課題をBIツールの導入で効果的に解決
・製造現場での生産性を向上したいが方法がわからない
・製造業で現場にデータだけは蓄積されているが活用ができていない
・工場の稼働状況などを可視化したいが仕組みができていない
近年、製造業では工場のコスト低減や、生産性の向上が大きな課題になっています。
そして、製造現場には様々なデータが蓄積されているにも関わらず、それらのデータを活用できていないケースも多くみられます。
IoT(IIoT:Industrial Internet of Things)を製造現場に導入し、データを分析するためには、BIツールを活用する方法があります。
今回は、世界で約29,000社以上にBIツールを提供しているYellowfinが、生産管理などの現場でデータを分析し、生産性が向上するために知っておきたい情報などについてお伝えしていきます。
製造業では、様々な事業部や部門で組織されていて、その業務は様々です。 製造業では、顧客のニーズを把握するためのマーケティングからはじまり、商品の新規開発や評価、商品を製造するための生産活動や営業活動、発注や在庫管理、顧客に対するカスタマーサービスなど多くの部署が関わってきます。
しかし、多くの製造業では、これまでの業務を通じて得た"経験"や"勘"を頼りにビジネスを行っていく傾向が高い現状があると言われています。
同じ組織内でも、経理部においてはデータ活用などが進んでいるにも関わらず、工場では全くデータを活用できていないという状況も多くみられます。
しかし、生産管理を徹底し、工場の生産性を上げるためには、データ分析をおこない、ダウンタイムの削減や設備異常を早期に発見するなど、製造業においては今後ビジネスを成長させていく上で必要な課題であると言えます。
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生産管理が必要な製造現場でデータ分析ができていない理由
近年は、企業で必要な意思決定の際、働く人の勘や経験を元にするのではなく、データとその分析結果を元に判断し、実行することが求められる時代です。
しかし、従来の製造業の多くは、未だに経験と勘に基づいて業務の判断をおこなっています。その理由は何があげられるでしょうか?
理由1 データドリブンの成功やリスクが測れない
データドリブン(Data Driven)とは、データとその分析結果を元に様々な意思決定の判断を下し、実行することを指します。
従来の製造業の多くは、経験と勘に基づき経営判断を行ってきましたが、データドリブンな環境では、様々な情報をビッグデータとして蓄積し、複雑なアルゴリムを用いて分析していきます。
しかしながら、長年人材の経験や勘で現場判断をおこなって業務を遂行してきた製造現場では、そもそもそれらが実現したときの成功イメージがわきにくかったり、リスクを事前に想定しにくいという課題が上がったりします。
理由2 ツール、インフラなどについての課題が多い
工場の生産では、コンピュータ制御による自動化などが採り入れられていますが、制御だけでなく、センシング技術を備えた生産、製造、評価機器を導入することでデータドリブンに活用できる様々なデータが蓄積できるようになります。
センサーを使用する事で数値データだけでなく、実際の組立状況やテスト状況などが視覚的に捉えられる画像や動画データが蓄積できるようになります。
センシング技術によりあらゆるセンサーを通じて情報が収集できるのがIoT技術ですが、それらの環境をしっかりと整えていくためには、様々な課題があり、企業が導入を躊躇する要因にもなっています。
理由3 データドリブンを活用できる人材がいない
多くの企業では、マーケティングや営業管理、顧客情報などにおいては、IT化が進んでいる企業も多いかと思います。
しかし、製造現場についての知識も豊富で、データ活用についても知識や経験がある人材というのは、なかなかいないのが現状です。
多くの課題がありながらも、今後競争力を高めていくためには、製造業であってもデータに基づく判断ができる組織づくりをしていくことが不可欠な時代にきているといえます。
製造現場や生産管理で分析をする具体的内容例
製造現場で生産管理についてデータを分析した方がよいとは思っていても、そもそもどのようなデータを分析したりそれによって何がわかるのかが想像できないという声も多く聞かれます。今回はそれらを具体的にみてみましょう。
予実分析について
予実分析とは、売上や製造数量、コストなどの目標や予算と、実績データなどを比較して今後の戦略を決定するための分析です。
構成比分析について
売上や利益、生産数、販売数や時間などを細かくわけて、どのような要素がどのような構成比で存在しているのかを分析する方法です。
不良率分析について
生産した商品のなかで、不良品の割合を分析することです。不良率が高いと、ラインの稼働や追加部品も増えるためコストが上がる要因となります。
生産管理におけるデータ分析ツールの導入効果
生産管理について、データ分析ツールなどを導入することで現場の業務効率を上げることができます。
例えば、生産部門で、ラインごとに部品生産数のばらつきが大きいことが判明場合などは、予実分析などが効果的です。
全体のラインごとで生産数にばらつきが発生する理由を探るために、ライン別の予実分析をBIツールのダッシュボードを用いて分析。
グラフを確認すると、目標達成の基準値を下回る部門が多くあることが判明。これらは、全体の部品生産数だけみているときには気づくことができないケースが多くあります。
生産管理におけるデータ分析の事例
工場におけるデータ分析の事例として、どのようなものがあるかみてみましょう。
生産管理とデータ分析事例1 労務管理にかかる工数削減
トランスミッションやブレーキ、エンジン関連部品など、総合自動車部品メーカーとしてグローバルにビジネス展開をしているアイシン精機株式会社。
アイシン精機が国内に構える工場の一つ、工機工場で労務管理にかかる工数の削減、および同工場で働く従業員全員の総労働時間の見える化をするため、BIツールのYellowfinを導入し、2018年の年明けより運用を開始しました。
労務管理にかかる時間は年間で600時間削減が見込まれ、今後は原価管理や不良管理などさらなる分野に活用することで働き方改革にも貢献できるツールだと期待が高まっています。
生産管理とデータ分析事例 2 生産性や品質向上に貢献
カーナビゲーションをはじめとするインフォテインメント機器、電子制御機器、衝突安全・予防安全機器、テレマティクス機器の製造、販売を手掛けているカーエレクトロニクスメーカー、デンソーテン。
同社の生産現場では製造装置から出力される様々なデータを、データベースに蓄積されていますが、そのデータを活用した業務改善がうまく進んでいませんでした。
しかしYellowfinのBIツールを導入したことにより、装置から出力される様々なデータをリアルタイムで可視化し、現場の社員がモニタリングすることが可能になりました。
装置ごとに閾値を設定することで、不具合の発生を未然に見つけ出すことはもちろん、品質改善、生産性向上に貢献しています。
まとめ
製造業における様々な課題や現状、そしてIoTなどを導入することによる有用性などについてご紹介してきました。
データドリブンな環境やIoTの導入は製造現場に大きな変革をもたらしてくれますが、それらのプロジェクトをリードする人材や経営者の高い意識も必要になってきます。
今後、製造業における競争力を高めるためには、データ分析についての高いスキルを備えた人材が必須と言えるかもしれません。