ビッグデータの活用最前線!ビッグデータの概要からメリット・活用事例まで総まとめ
ビッグデータと一口に言っても具体的にわからない
ビッグデータを活用することで何がいいのか知りたい
ビッグデータの具体的な活用事例を知りたい
ビッグデータの活用は業界によってさまざまですが、業務の効率化・売上向上・コスト削減などの効果が見込まれます。しかし、ビッグデータの活用という言葉をよく聞くようになっても、ビッグデータの概要や具体的に何がメリットなのか、わからないことも多いのではないでしょうか。
今回は、ビッグデータの活用について、概要や業界ごとの具体的な活用事例を踏まえて解説します。ぜひ、ビッグデータの活用に関して知見を深めたい企業担当者の方は、ご参考にしてみてください。
ここでは、ビッグデータについて解説します。
・ビッグデータの特徴は3つのV
・ビッグデータの定義及び範囲
それでは、1つずつ解説します。
ビッグデータの特徴は3つのV
1つ目は、ビッグデータの特徴についてです。ビッグデータは、さまざまな形式・種類を持つ巨大なデータのことで、動画・画像・音声などの非構造化データも含むものです。また、ビッグデータは、データ量(Volume)、処理速度(Velocity)、情報の多様性・データの種類(Variety)の3つの要素から成り立っていると言われています。
技術的な進歩により、一度に膨大な種類や量のデータを扱うことを即座にできるようになったため、ビッグデータの活用が注目されています。
出典:Definition of Big Data – IT Glossary | Gartner
ビッグデータの定義及び範囲
2つ目は、ビッグデータの定義及び範囲についてです。総務省が公表している「情報通信白書」では、ビッグデータは大きく分けて下記の4つに定義及び範囲決めされています。これらは、主にデジタル技術の発展により扱えるようになった情報の集合体です。
・国、地方公共団体が提供する「オープンデータ」
・身の回りに存在するさまざまなノウハウをデジタル化・構造化したデータ(知のデジタル化)
・M2Mデータ(機器同士の直接通信から得られるストリーミングデータ)
・パーソナルデータ(個人の属性・行動・購買履歴など)
出典:情報通信白書(平成29年版)「ビッグデータの定義及び範囲」 | 総務省
ビッグデータの活用で実現できること
ここでは、ビッグデータの活用でできることについて解説します。
・データに基づいた判断
・高精度な予測
それでは、1つずつ解説します。
データに基づいた判断
1つ目は、データに基づいた判断です。ビッグデータを用いることで顧客のニーズを把握でき、勘や経験ではなくデータに基づいてビジネスにおける意思決定をすることが可能です。いわゆるデータドリブンと言われる、客観的なデータをもとに施策立案や経営判断を行うため、周囲の納得感も得ながらアクションを起こせる点が特徴になります。また、PDCAもビッグデータを活用しデータに基づいて行うことで、次のアクションも精度を高めて決めることが可能です。
高精度な予測
2つ目は、高精度な予測です。ビッグデータを用いることで過去の実績から傾向をつかみ、客観的なデータをもとに精度の高い予測が可能です。たとえば、在庫管理では、商品と顧客の需給バランスを過去データから傾向を予測することで、過剰な在庫を抱える心配を減らせます。ムダな製造コストも抑えられるため、業務効率化にもつながります。また、ビジネスの分野だけではなく、ビッグデータによって事故・犯罪・病気などの予測も、高い精度で実施できるようになってきています。
ビッグデータ活用のメリット
ここでは、ビッグデータの活用のメリットについて解説します。
・サービスの質の向上
・マーケティングへの活用
・商品・サービス開発での活用
それでは、1つずつ解説します。
サービスの質の向上
1つ目のメリットは、サービスの質の向上です。顧客の行動履歴・購買履歴・満足度の調査などのさまざまな種類の膨大なデータを蓄積したビッグデータを分析することで、現在の顧客ニーズに応じたサービスを整備できます。また、新しく何か施策を実施した後にデータをもとに効果検証をすることで、サービスの質の向上を図ることが可能です。
マーケティングへの活用
2つ目のメリットは、マーケティングへの活用です。ビッグデータの活用により人々の行動予測も可能になるため、マーケティング施策を考えるときに相性がよいとされています。事業収益を上げるための経営戦略を立てるのに、ビッグデータを用いて現在の課題を把握しながら、効率よく事業を進める土台づくりに役立ちます。
商品・サービス開発での活用
3つ目のメリットは、商品・サービス開発での活用です。事業活動を通して得られたデータをもとに、顧客のニーズを分析することが可能です。そのため、新規事業や新製品の開発の際にビッグデータを用いて検討するといった非常に有効な方法がとれます。商品・サービスを開発して実際に販売し、その結果を再度分析すれば、より良い商品・サービスづくりに役立ちます。
ビッグデータ活用における注意点
ここでは、ビッグデータ活用における注意点について解説します。ビッグデータはさまざまな情報の集合体であるため、中には個人情報が含まれている場合があります。もし、扱い方を間違って個人情報が外部に漏えいしてしまうと、プライバシーの問題だけでなく、不正利用や詐欺といった被害が出る恐れもあるため、厳重な注意が必要です。
また、ビッグデータを活用すれば経営判断がすべてうまくいくわけではありません。勘や経験に基づく判断よりも信頼性が高い場合が多いですが、過信は厳禁です。データを蓄積してきた時期と現在の状況が大きく変わっていたりする場合は、ビッグデータの分析結果だけでは正しく判断できないこともあります。
ビッグデータの活用方法
ここでは、ビッグデータの活用方法について解説します。ビッグデータの活用方法は、以下の3ステップです。
1.データ収集・蓄積
2.データ可視化
3.データの分析
それでは、1つずつ解説します。
データ収集・蓄積
1つ目は、データ収集・蓄積です。ビッグデータの活用をするためには、データの収集・蓄積をする必要があります。もし、社内で部門ごとに使用しているシステムがあれば、各部門に散在しているデータを集約するために、そのシステムと連携をとって顧客情報などを収集し、蓄積していく必要があります。
データ可視化
2つ目は、データ可視化です。ビッグデータの活用をするためにデータの収集・蓄積ができても、単なる情報の羅列だと何が課題なのかわかりづらいものです。そのため、収集・蓄積したデータをグラフ化するなどして可視化し、一目でわかるようにしておくとよいでしょう。
データの分析
3つ目は、データの分析です。顧客情報の性別・年代・住所などの属性に分けてクロス集計するなどしてデータを分析し、その結果から変化や傾向を導き出します。ビッグデータの分析をする際にBIツールなどを導入すれば、データ分析の専門家がいなくとも組織内でデータ分析をすることが可能です。そのため、ビッグデータの分析に役立つツールの導入も検討してみるとよいでしょう。
ビッグデータの活用事例
ここでは、ビッグデータの活用事例について解説します。
・医療
・教育
・交通
・製造業
・コンビニエンスストア
・防災
・農業
・銀行
・新型コロナウイルス感染症
・自治体
それでは、1つずつ解説します。
医療
1つ目は、医療に関しての事例です。日本医師会がまとめた「日本の医療ビッグデータの利活用」では、患者が治療を受けた問診情報・検査結果・処方箋などのリアルタイムのデータを蓄積することで、類似する症状の病気の判定のサポートや治療などに役立つとされています。人工知能(AI)を使用してレントゲン・CTの画像データを分析する際に、過去の患者のデータをもとに似たような症状を探し出し、病気の早期発見にも活用が可能です。
教育
2つ目は、教育に関しての事例です。ベネッセでは、通信教育の進研ゼミで蓄積した260万人の会員の情報をもとに、解答を間違えた苦手な問題を克服するための問題を自動作成しています。また、タブレット端末と人工知能を活用し、学習タイプに沿ったメッセージ配信を行います。新学期から頑張れる子どももいれば、ゴールデンウイークの時期から頑張る子どももいるといったことをログイン情報などから把握し、そのデータを活かしたコミュニケーションの取り方も模索できます。
出典:新たな教育を生み出す源流260万人のビッグデータ | ベネッセホールディングス
交通
3つ目は、交通に関しての事例です。近年、ETC2.0車載機の普及により、走行履歴・挙動履歴を収集・分析できるようになりました。この交通関連のビッグデータ情報をもとに急ブレーキが多い潜在的に危険なエリアを特定し、交通事故が起きないようにハンプ(ゆるやかな丘のような隆起物)・狭さく(車道幅を狭める道路構造)などの設置をすることで事故防止が可能になりました。
出典:ビッグデータを活用した生活道路の交通安全対策について | 内閣府
製造業
4つ目は、製造業に関しての事例です。従来コピー機の故障に関しては、連絡がきてから対応をしていました。ですが、富士フイルムビジネスイノベーションでは、コピー機のパフォーマンスデータを随時把握することで、故障になりそうな機器を事前に把握できるようになりました。また、コピー機のパフォーマンスデータをもとに、事前に準備を行って現場に向かえるようになり、業務効率化にもつながりました。
出典:複合機管理サービス | 富士フイルムビジネスイノベーション
コンビニエンスストア
5つ目は、コンビニエンスストアに関しての事例です。セブン-イレブン・ジャパンでは、21,000店舗のPOSデータをリアルタイム収集・分析できる「セブンセントラル」の構築をし、適切な販促活動の実施・ムダのない在庫管理などができるようになりました。全店舗のデータ取得の時間も短縮され、業務効率化にもつながっています。
出典:セブン‐イレブン、2万1000店舗のPOSデータをリアルタイムで収集分析するデータ基盤「セブンセントラル」を構築 | IT Leaders
防災
6つ目は、防災に関しての事例です。ウェザーニュースでは、独自の気象予測、国土交通省などによる低位地帯情報・浸水想定区域データ、2018年7月に起こった西日本豪雨で起こった浸水被害と気象データをビッグデータとして解析をし、浸水リスクを予測するサービスを開発しました。一刻も早い避難を促し、安全の確保に役立つサービスです。
出典:96時間以内の浸水被害のリスクをピンポイント予測、アプリで提供開始 | Weathernews Inc.
農業
7つ目は、農業に関しての事例です。農家が安定的な収入を得られるようにするためにも、ビッグデータの活用が重要です。ビビッドガーデンでは「食べチョク」という生産者から食物を直接買うことが可能なオンラインサービスと、「Agri Palette」という農業に必要な土壌・気温・日照量などを記録し農作物の品質をコントロールできるサービスを連携しました。これにより、顧客からの評価と栽培データを統合でき、栽培データをもとに収穫できるであろう農作物の評価をシミュレーションし、収入の予測がつけられるようになりました。
出典:センサリングサービスとの連携第一弾。農作物ごとの顧客評価と栽培データの統合を通して、予め収入を予測できるデータドリブン農業を構築。|(株)ビビッドガーデン
銀行
8つ目は、銀行に関しての事例です。千葉銀行では、顧客の購買履歴・属性情報などのビッグデータを資産運用提案で活用しています。顧客のデータをもとに金融商品の購買予測をたてることで、営業活動の効率化につながりました。
出典:ビッグデータ分析に基づく金融商品購買予測モデルの本格導入について | 千葉銀行
新型コロナウイルス感染症
9つ目は、新型コロナウイルス感染症についての事例です。世界各国で、国民の行動履歴や新型コロナウイルス感染者との接触状況などのデータを収集し分析することで、新型コロナウイルス感染症の予防対策に活用しています。位置情報・行動履歴のパーソナルデータになるため、プライバシーに配慮したデータの取り扱いが必要になっています。
出典:令和2年版 情報通信白書|データの取扱いに関する課題 | 総務省
自治体
10つ目は、自治体についての事例です。川崎市では、ナビタイムジャパンから走行実績データを提供してもらいユーザーを匿名化したうえで、急ブレーキがよく踏まれるエリアや渋滞が起きやすいエリアを特定しました。その情報をもとに交通安全や交通渋滞を改善する取り組みを実施しています。
出典:自治体初!!ナビタイムの交通ビッグデータを活用して交通安全対策や渋滞対策等に関する取組を推進します|ナビタイム
まとめ
ここまで、ビッグデータの活用に関して、ビッグデータの概要から活用事例まで解説してきました。ビッグデータの活用は経営判断をする上で欠かせないものではありますが、過信はよくありません。また、ビッグデータにはパーソナルデータも含まれることが多いので、個人情報の漏えいといったことにも配慮する必要があります。
また、ビッグデータの活用はビジネスだけではなく、災害防止・交通渋滞の緩和といった幅広い分野で必要とされています。活用の幅が広いからこそ解決したい課題を明確にして、ビッグデータの活用を検討してみるとよいでしょう。