業務分析でおさえておきたい概要・メリット・具体的な方法を徹底解説!
業務の問題点がつかめない
業務改善の具体的な方法がわからない
課題が大きすぎて困っている
業務プロセスに問題点があることはわかっていても、具体的に何が課題なのかがわからないというケースはよく見られるのではないでしょうか。また、業務効率が悪くても、業務上でなにかトラブルが起きたわけではないため、業務プロセスの振り返りをせずに、そのまま放置しているといった場合もあるかもしれません。
業務分析は、日々行っている業務を改善するために業務の実態を可視化し、課題を把握するプロセスのことを指します。ここでは、業務分析の概要からメリット、具体的な業務分析の手法やフレームワークを解説していきます。
これから業務分析を行おうとしている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ここでは、業務分析について解説します。
業務分析とは、日々行っている業務には何があるのかを細分化し、業務の手順や方法などの課題を特定することで効率化をはかるプロセスのことです。業務分析を通じて自社の業務の実態を解像度高く可視化することで、潜在化していた課題をも把握し改善することが可能になります。
業務分析を行うことで、業務の効率化・社内の生産性向上につながり、顧客に向き合えるリソースを増やすことができるようになります。
業務分析の目的と必要性
ここでは、業務分析の目的と必要性について解説します。
業務分析の目的は、現在の業務の実態を可視化し課題を把握することです。全ての人が業務の実態を把握しているわけではありません。業務分析を行うことで各業務の重要性・利益のポイントなどを把握でき、効果的な業務改善につなげることが可能になります。業務のムダ・ムリ・ムラを見つけ出し、不要な業務をやめて効率的な業務プロセスに洗練していきます。
また、一見業務が滞りなく進行しているように見えても、実は作業が重複していたり、業務プロセスが複雑すぎていたりする、通常では見えない問題点を浮き上がらせることができるのが業務分析の特徴です。
日常的に遅滞なく行えている業務であっても、あえて業務分析することで課題を把握し、さらなる業務効率化・サービスの高付加価値化につなげることが可能です。
業務分析のメリット
ここでは、業務分析のメリットについて解説します。
・課題の把握がしやくすなる
・業務の属人化防止
・客観的なデータに基づく判断が可能
・業務効率化・生産性向上
それでは、1つずつ解説します。
課題の把握がしやくすなる
業務分析のメリットの1つ目は、課題の把握がしやすくなることです。業務分析を行うことで、誰にどのような業務が集中しているのかがわかり、無駄な作業の有無を確認することが可能です。業務の内容・手順・ボリュームを知り、課題の把握を行うことができれば改善施策も検討できます。また、課題を共有することで業務にかかわるメンバーの意識改善にも寄与します。
業務の属人化防止
業務分析のメリット2つ目は、業務の属人化防止です。業務分析をすることで各業務内容が可視化できます。そのため、担当者の急な異動や退職があったとしても「どのような業務を行っていたのかわからない」という状況を回避することが可能です。
客観的なデータに基づく判断が可能
業務分析のメリット3つ目は、客観的なデータに基づく判断が可能なことです。業務分析によって業務プロセスが可視化されると特定の業務でミスが続いた場合に、人数不足によるものなのか・業務プロセス自体に問題があるのかなどの原因究明が、定量的なデータに基づいて可能になります。また、業務分析によって把握した業務工数からも改善すべき業務の優先順位をつけていくことができるようになります。
業務効率化・生産性向上
業務分析のメリット4つ目は、業務効率化・生産性向上です。業務分析を行うことで、部門・部署・チームなどの業務の実態が可視化されます。それに伴い、技術的な進歩・その時々のニーズに合わせて業務プロセスを改善していくことで業務はより効率化され、組織全体の生産性向上につながります。たとえ、業務自体は問題なく進んでいても、技術の進歩などによって業務プロセスの改善の余地というのは生まれてくるため、定期的に業務プロセスを見直すことは必要です。
業務分析を行う上で必要な業務プロセス可視化7つの方法
ここでは、業務分析を行う上で必要な業務プロセス可視化について下記の7つの方法を解説します。
・マニュアルの確認
・業務体系表・業務内容表の確認
・業務分担表の確認
・業務フロー図の確認
・業務量調査票の確認
・業務日報の確認
・アンケート・ヒアリング調査の実施
それでは、1つずつ解説します。
マニュアルの確認
1つ目は、マニュアルの確認です。業務分析を行うまえに、現在の業務の実態が分かる資料のインプットが必要になります。マニュアルは、各部門・部署で業務内容の引継ぎのために作成されていたりするため、確認しておくとよいでしょう。マニュアルを把握することで各業務がどのようなタイミングで実施されているのか把握することが可能です。
業務体系表・業務内容表の確認
2つ目は、業務体系表・業務内容表の確認です。全ての業務内容を確認するための業務の棚卸は非常に時間がかかります。そのため、業務体系表・業務内容表を使用します。業務体系表は、組織単位でどのような業務があるのか大分類・中分類・小分類にわけて記載します。業務体系表は、各業務の内容・発生頻度・業務時間・業務量などを記載します。
業務体系表・業務内容表からは、多くの時間を割いている業務内容がわかるため業務の効率化を図る項目の優先順位を決める際に活用できます。
業務体系表・業務内容表の確認は業務の可視化を行うための重要ステップになりますので、あらかじめ作成が必要です。
業務分担表の確認
3つ目は、業務分担表の確認です。業務分担表は誰がどの業務を担当して、どの程度の時間を割いているのか、業務内容表をもとに細分化して作成します。特定の従業員に業務が偏っている状態があるのか確認でき、業務分担の効率化や業務時間の改善対象業務を選定するのに役立ちます。
業務フロー図の確認
4つ目は、業務フロー図の確認です。業務フローを確認することで組織間や組織メンバー間の業務の流れを可視化することが可能です。誰が・いつ・何を・どのように行っているのかを可視化することで、ムラ・ムリ・ムダが発生していないか確認することが可能です。
業務量調査票の確認
5つ目は、業務調査票の確認です。業務調査票は、主要な業務の業務量を調査分析することが可能です。部門によって業務量を測る尺度は異なり、営業であれば顧客数であったり、バックオフィスであればデータ入力量など様々です。これらの業務のボリュームを部門単位だけではなく各個人にまで落とし込み、月別・日別に分けて分析することでどこに多くの負荷がかかっているのか確認できます。
業務日報の確認
6つ目は、業務日報の確認です。業務日報を確認することでマニュアルに記載されているオペレーションとの乖離や、マニュアルに記載されていない業務内容がないかを確認することができます。また、日ごろ発生しているお客様からのクレームなどから業務改善の糸口を探ることが可能です。
アンケート・ヒアリング調査の実施
7つ目は、アンケート・ヒアリング調査の実施です。機械的に業務分析のために作成をした業務分担表などではわからない課題をみつけるのにアンケート・ヒアリング調査は効果的です。現場の従業員の声を拾うことで、不明確になっているルールや業務を遂行する際に障壁になっている各部門の伝統・慣習を確認したりするのに適しています。
業務分析に活用可能なフレームワーク3選
ここでは、業務分析に活用可能なフレームワークの下記3つを解説します。
・BPMN
・バリューチェーン分析
・MECE
それでは、1つずつ解説します。
BPMN
1つ目は、BPMNです。BPMNは、Business Process Model and Notationの略で、業務プロセスをわかりやすく図で表現するフローチャート手法のことです。多くの業務は部門をまたがっており、複雑な構造になっている場合があります。その業務プロセスを誰がみてもわかりやすく図式化することで、理解できるようにすることを目的としています。
BPMNの記号は国際標準で定められており、誰が読んでも同じ意味で伝わるようになっております。業務改善をする上で無くてはならないものになっています。
バリューチェーン分析
2つ目は、バリューチェーン分析です。バリューチェーン分析は各活動ごとに細分化して業務を分析をし、どの過程で一番高付加価値を生み出しているのか、問題点がある過程はどこなのかなどといったことが可視化できるフレームワークです。
各工程でどのくらいの予算がかかっているのか、どうやって後続業務につながっていくのかなどを把握することは、業務改善において必要です。バリューチェーンはその助けになる有用なフレームワークと言えるでしょう。
MECE
3つ目は、MECEです。MECEは、Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字をとった用語です。互いに重複せず、全体として漏れがない意味をさします。モレなく、ダブりなくというMECEの考え方は業務分析においては重要です。業務設計上、重複している業務があれば違う担当者で同じ作業をすることになり無駄が発生します。
業務分析を行う場合は、MECEを意識して進めるようにしましょう。
BPMツールを活用した業務分析
ここでは、BPMツールを活用した業務分析について解説します。
BPMは、Business Process Managementの略で、ビジネスプロセスを管理することです。つまり、業務プロセスを可視化し業務改善を支援するツールがBPMツールになります。BPMツールを使用することで業務フローの図式化が簡単にできるようになります。業務分析を行うために残業している本末転倒な状態を改善するのに有用です。
業務分析のポイント
ここでは、業務分析のポイントについて解説します。
業務分析のポイントは、「業務分析を行うことが目的にならないようにすること」だと言えます。業務改善につながる分析になるためには、状況を丁寧に振り返りながら慎重に業務分析を進めていくことが必要です。業務改善につながらない分析は時間と人件費といったコストを無駄にしてしまうため注意するようにしましょう。
業務分析をエクセルで行う場合の注意点
ここでは、業務分析をエクセルで行う場合の注意点について解説します。
業務分析を行う場合に汎用性の高いツールであるエクセルで行う場合もあるかと思いますが大量のデータを処理する場合には向かない場合が多々あります。また、業務分析を行う際に一部の作業の自動化も必要だと感じる場面も出てくるかもしれません。そのような場合は、エクセルで進めるのではなく専門ツールの検討を開始すると良いでしょう。
まとめ
ここまで、業務分析の概要から基本的な業務分析の進め方やフレームワークについて解説してきました。業務プロセスの改善は、今は必要ないように思えても意外と業務プロセスを可視化するとムリ・ムラ・ムダがあったりするものです。また、技術や現場社員のニーズの変化にあわせ、適宜業務の見直しをすることが必要です。
業務分析は、業務の効率化・社内の生産性向上のきっかけになる課題を把握するのに役立ち、業務改善につながる糸口を見つける手段です。
業務改善につながれば、顧客に向き合うリソースも増え、売上・利益の拡大にも直結します。業務分析は十分な時間をかけて丁寧に行うようにしましょう。