すべての自然言語クエリ (NLQ) モデルが同じとは限らない: パート3 – Power BI Q&A

すべての自然言語クエリ (NLQ) モデルが同じとは限らない: パート3 – Power BI Q&A

本シリーズのパート1では、Yellowfin ガイド付きNLQの進化について紹介し、競合とは一線を画すガイド付きNLQの側面に焦点を当てました。パート2では、ガイド付きNLQを、Sisenseの同等のNLQソリューションであるSisense Simply Askと比較しました。

パート3では、別の競合が提供するNLQ製品である、Microsoft Power BIとそのQ&A機能について深掘りします。

Yellowfin 対 PowerBIの比較概要

 

Power BIは、バンドル戦略と魅力的なエントリーレベルの価格設定により、BI市場を席巻するようになってきました。これは他のMicrosoft製品との親和性が高く、Microsoft プラットフォームおよびデータベースで動作するように最適化されています。他のプラットフォームもサポートされていますが、多くの場合使用に制限があります。多くのMicrosoft製品同様、Power BIはユーザビリティの問題に悩まされており、最大手のソフトウェアベンダーが開発しているにも関わらず、その機能はイノベーションに欠けることが多々あります。10年近く前にリリースされたQ&A機能も例外ではありません。以下に、いくつかの制限事項を挙げて詳しく見ていきましょう。

 

レポートまたはダッシュボードにリンク

Sisense Simply Askと同様に、Power BI Q&Aは、ダッシュボードまたは個別のレポート内での使用に限定されています。ダッシュボードではデフォルトでQ&Aが有効になっており、ユーザーはダッシュボードにリンクされている任意のデータセットについて質問することができます。また、Q&AウィジェットやボタンをPower BIレポートに追加することもできますが、ユーザーが質問できるのはそのレポートのデータセットのみに限定されています。

前回紹介したように、Yellowfin ガイド付きNLQは、Yellowfinでモデル化されたあらゆるデータソースに関する質問に答えることができ、さらに、Yellowfin UIやYellowfinが組み込まれている任意のアプリケーションから起動することができます。

これにより、ユーザーはアプリケーション内のどこからでも、任意のデータについて自由かつ柔軟に質問することができます。

より詳細な情報はこちら: Yellowfin ガイド付きNLQの紹介:ガイド付きNLQとは?

 

使用が複雑

ユーザーの入力が特定の有効な選択肢に限定されるYellowfinのガイド付きアプローチとは異なり、Q&A ユーザーは検索バーに何でも自由に入力することができます。

Q&Aはその過程で候補を提示しますが、最終的にシステムはユーザーが何を入力しても解釈しようとします。これは一見究極の柔軟性を提供しているように見えますが、ユーザーからのフィードバックによると、これには当たり外れがあるようです。Q&Aは入力された内容を解釈しようとし、認識される用語、ユーザーが解決する必要のある曖昧な用語、ユーザーが変更する必要がある認識できない用語を強調表示します。

管理者には、より広範な用語を認識できるようにQ&Aをカスタマイズするオプションが用意されています。Teach Q&Aなどこれらのオプションの一部は、デスクトップ型のPower BIでのみ使用することができ、(ライブデータセットではなく) インポートされたデータに対してのみ機能します。Q&A言語スキーマを作成および編集することでさらなるカスタマイズが可能になりますが、管理者は、Visual Studioなどの開発者ツールを使用して.yamlファイルを編集しなくてはいけません。

Yellowfinでは、ユーザーは有効で既知の選択肢からしか選択できないため、質問への解釈は行われませんし、ユーザーが無効な質問をすることもありません。そのため、ユーザーが入力できる内容には多少の制限がありますが、あらかじめ定義された有効な選択肢のセットへ誘導されるため、回答の速度が向上します。さらに、Yellowfin メタデータモデルのカスタマイズは、シンプルなUI主導の構成オプションにより行われます。

 

複雑なクエリーに対するサポート

Q&Aには広範な用語辞書が用意されていますが、ユーザーに頻出の質問に対するサポートがありません。これらの質問は簡単ですが、生成されるクエリーは複雑であるため、ほとんどのBIベンダーはこれに対するサポートを提供していません。以下は、Q&Aではサポートされていないガイド付きNLQの例です。

成長(Growth)/衰退(Decline): ビジネスでよく聞かれる質問として、昨年よりも今年の方が売上を上げているブランドはどれかというものがあります。SQLでこのようなクエリーを作成するには、UNION、MINUS、INTERSECT、あるいはサブクエリーのなどの高度なSQL手法を使用しなくてはいけません。Yellowfinでは、これらの質問はWITH句 (with more, with less, with growthなど) を用いて簡単に行うことができます。

 

強調(Highlight): ユーザーは、傾向線の追加など、レポート上の特定の項目を強調表示したい場合がよくあります。ガイド付きNLQでは、強調キーワードを使用することでこれを追加することができます。強調には傾向 (線形回帰、多項式、n期間における移動平均)、平均、目標線などがあります。

クロス集計(Crosstabs): クロス集計レポートは、2つ以上のディメンション (次元) にまたがるメトリック (数値) を確認する非常に単純なメカニズムを提供するため、ビジネスユーザーが求める最も一般的なレポートのひとつですが、大部分のNLQツールでは作成できません。ガイド付きNLQでは、クロス集計キーワードを使用することで、クロス集計レポートを明示的に得ることができます。

 

その他の制限

組み込み: Q&Aはウェブページやアプリケーションに組み込むことができますが、質問はひとつのデータセットに対してのみ行うことができます。Yellowfinでは、任意のデータセットに対して質問を行うことができ、ユーザーは質問するデータを動的に選択することができます。

サポートされているデータベース: Q&Aは、SQL ServerもしくはAzure Analysis Service用のPower BIデータセットにインポートされたデータに制限されています。Direct Queryモードは現在「プレビュー」であり、SQL Server 2019、Azure SQL、およびSynapseに限定されています。ガイド付きNLQは、Yellowfinがサポートする広範なデータベースタイプのいずれに対しても有効にすることができます。

 

まとめ: Yellowfin ガイド付きNLQ 対 Power BI Q&A

NLQは、企業BIプラットフォームへの強力な追加や、アプリケーションへの組み込みとして使用することができます。これは、ビジネスユーザーに真のセルフサービスを可能にし、組織におけるデータドリブンな文化の推進を支援します。すべてのBIベンダーが何かしらのNLQソリューションを提供しているわけではありませんが、これまで見てきたように、すべてが同じように構築されているわけではありません。その違いを見つけるためには深掘りをする必要があり、その違いがユーザビリティやユーザーの取り込みに大きな影響を与える可能性があります。

 

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