ダッシュボード成熟のための3つのステージ
ダッシュボードは、BIとアナリティクス業界で30年以上にわたって支配的な存在であり、あらゆる分析ソリューションの中核的な要件になっています。ビジネスユーザーが自身のビジネスをモニタリングし、理解するために役立つデータ表示のデフォルトになりました。ダッシュボードの目標は、セルフサービス分析の提供により、ビジネスを強化することでした。
しかし、現在のダッシュボードのデザインや使い方は、基本的に初期のビジネスインテリジェンス(BI)から変わっていないため、その結果、ビジネスユーザーのニーズの変化に対応できていません。つまり、完全に成熟はしていません。
ダッシュボードの成熟には、3つのステップがあります。それはコミュニケーション、分析、アクションの実行です。
今回は、これら3つのステップがどのようなものであるか(そして、なぜ第3ステージまで急いで到達する必要があるのか)について、紹介します。
1. コミュニケーション
ダッシュボードは、データの抽出に複雑なBIツールを使わなくてはいけなかったアナリストチームが、分析の実行時に作成していたため、ひとつのレポート作成に何日もかかっていました。そこから、経営陣が利用しやすい形式でデータインサイト(気づき、洞察)を提供するために、複数のレポートをまとめてひとつのシートに配置し、概要を一目で把握できるようにしました。データの複雑さから、ダッシュボードやデータインサイトはアナリストの担当領域でした。これらは、コミュニケーションのためだけにデザインされており、分析やアクションのためではありませんでした。
現在も従来のダッシュボードは、依然として成熟度の第一段階であるコミュニケーションツールとして存在し、KPIや、その他集約された上位層の数字を伝えます。また、フィルターやドリル機能を使用することで、より詳細な分析を行うことができます。理想的には、このコミュニケーションは一目で完了することが望ましいです。ダッシュボードは、分かりやすく、グラフィカルにデータを表示する方法ですが、それだけで終わってはいけません。そこから、さらなる価値を得ることができます。
2. 分析(自動化を備えた分析)
ドリルやフィルター機能を備えることで、現在のダッシュボードは、成熟の第二段階である分析を提供します。しかし、分析プロセスは面倒で、時間がかかるため、一般的なビジネスユーザーには使いづらいでしょう。
しかし、機械学習やAIの新しい波により、自動言語クエリーや、自動インサイトなど、より優れたデータディスカバリーのオプションを利用できるようになってきました。これらは、ダッシュボードから直接アクセスでき、手動では時間がかかるデータの変化を明らかにするのに役立ちます。
このタイプの自動化技術は、分析すべきデータ量が膨大すぎるため、マシンパワーなしでは特定することがほぼ不可能なデータの変化を明らかにすることができます。加えて、例えば、ダッシュボードに表示される集約された合計の小さなサブセットで、ビジネスデータに変化が発生することがあります。これらの変化がダッシュボードに表示される場合がありますが、このタイプの拡張分析により検出することが可能です。
現在、多くのダッシュボードプラットフォームで、こういったタイプの自動分析オプションが提供されています。しかし、(「実用的な」 ダッシュボードという宣伝文句にもかかわらず、)第三段階である -アクションの実行- については、まだはっきりしないままです。
3. アクションの実行
従来のダッシュボードや、自動インサイト、機械学習ベースの検索クエリー機能を持つダッシュボードでさえ、インサイトを引き出した後は、通常それを導入するためにはアプリケーションの切り替えが必要です。ダッシュボードから直接アクションを起こすのは困難です。これにより、スムーズなワークフローが崩れます。
ダッシュボードが、アクションを促進するという、第3ステージの成熟度に到達するために、最新のダッシュボードは、ワークフローにシームレスに組み込まれてなければいけません。これは、アプリケーションにダッシュボードを組み込むのではなく、アクションをダッシュボードに組み込むということです。
eコマースの小売業を想像してみてください。購買者は、ダッシュボードで在庫量を確認し、ある新製品が売り切れ寸前であることに気が付きます。今までにないほどの売上の急増が、この急激なニーズを引き起こしていました。ダッシュボード上の製品在庫レポートの横にあるボタンをクリックすると、発注システムに製品番号や量などの発注情報が送信され、発注が完了します。つまり、ダッシュボードを離れることなく、インサイトからのアクション実行が可能になります。
JavaScriptとドラッグ&ドロップベースGUIの組み合わせで、ボタンやフォーム、その他アクションのコーディングができます。ダッシュボードキャンバスにボタンやフォームをドラッグし、コードモードを使用して、その機能をコーディングします。
ここまで到達してダッシュボード成熟の第3ステージの完了です。
そして、崩れたワークフローを修復しましょう。
Yellowfinでは、ダッシュボードの背後にあるコードにアクセスすることができます。これにより、社内開発者はダッシュボードにアクションをコーディングできるようになり、ユーザーはクリックをするだけでインサイトを活用できるようになります。
インサイトに紐づくアクションが起こることで、データは意味を成します。
ダッシュボード上のボタンクリックだけで、Salesforceのフォーム入力ができたり、Google広告のキャンペーンを停止したりできるようになれば、わたしは定期的にダッシュボードを使用することでしょう。
ダッシュボードを、日々のワークフローにシームレスに組み込んでいくことこそ、みなさんも期待されていることではないでしょうか。ぜひ、ダッシュボードの成熟度を第3ステージまで到達させましょう。ダッシュボードを真に実用的にするのです。
ダッシュボードでのアクションの自動化
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