データビジュアライゼーション単体ではデータストーリーテリングにならない理由
長年の間、ほとんどの競合を含むアナリティクスおよびビジネスインテリジェンス (BI) 業界の大部分では、グラフやダッシュボードという形式のデータビジュアライゼーションを「データストーリーテリング」と曖昧に呼んできました。
このような対応をすることで、ベンダーは、BIツールの実践および機能の両面において、これが 「データストーリーテリング」 であるという期待を業界内に設定しました。公平を期すために言うと、確かにデータビジュアライゼーションはデータを使用してストーリーを伝えます。しかし、果たしてそれは本当にデータストーリーテリングなのでしょうか。以下の質問を問いかけてみてください。
- それはコンテキストを提供しますか?
- それは数字内で何が起きているのか、または何が起きたのかを理由とともに説明していますか?
- データセットやビジネスに馴染みのない人でも、その変化や意味するところを明確に理解し、ビジュアライゼーション自体から情報に基づく意思決定を行うことができますか?
- データ内の 「ストーリー」 やインサイトは、自由な解釈の余地があったり、偏見がかかっていたり、適切な専門知識のない人々により誤って理解されたりする可能性はありますか?
これらの重要な質問を念頭に置くことで、わたしはグラフやダッシュボード、データビジュアライゼーション自体は、本当の形式での 「データストーリーテリング」 ではないと主張します。グラフやダッシュボードは単なるビジュアライゼーションです。これ自体もストーリーを伝えますが、そこには様々な解釈の余地があります。
言葉のない絵本や、コンテキストのない最も単純なグラフでさえ、閲覧者がデータに自分の世界観や偏見、知覚を加えることで誤って解釈される場合があります。過去数十年間の経済的繁栄を振り返ってみましょう。多くの企業が順調に業績を伸ばし、会社のダッシュボードには成長以外のものは表示されないこともありました。そして、その数字を見た誰もが、その成長を実感できたのではないでしょうか。
「これは広告効果のおかげだ!」と、マーケティングチームは言います。
「これは優れたセールスプロセスのおかげだ!」と、セールスチームは言います。
「これは新機能のおかげだ!」と、製品チームは言います。
しかし実際には、まったくの外部要因、あるいは上記すべての要因が重なって需要が生まれたのかもしれません。
コンテキストやナラティブがなければ、グラフは何が原因で値が上がったり下がったり、または変化がなかったりするのかを十分に理解していない人々にとっては、ただのきれいな絵に過ぎません。
しかし、その両方を組み合わせることで、グラフは新しい価値を持つことになります。
信頼できるデータおよび専門家によるナラティブ = データストーリーテリング
ビジネスアナリティクスやBIの世界から少し離れて、現代の偉大なストーリーテラーたちについて考えてみましょう。
ニューヨーク・タイムズやガーディアンなどの出版物やその分野における多くの専門家は、言葉とデータを組み合わせて複雑なストーリーやインサイトを伝えることに長けています。読者は、オーストラリアにおける新型コロナワクチンの配給状況から、アメリカにおける薬物過剰摂取による死亡者数、バンドは全員一緒に活動すべきか、それともソロになるべきかなど、様々なトピックに触れることができます。
業界やトピックの専門家による文章での説明にサポートされた、このように透明性の高いデータ分析は、閲覧者が新しいことを簡単に吸収して学び、異なる視点を確認して、必要に応じてより多くの情報に基づいた意思決定を行うことを可能にします。つまり、効果的なデータストーリーテリングとは、信頼性の高いデータビジュアライゼーションと専門家によるナラティブの両方を組み合わせたものです。
ジャーナリズムの世界では実績のある手法として、これら2つの要素がビジネスの世界でひとつになることで、組織のデータ採用に変革をもたらす効果があります。これまでそのメリットに気付かなかったわけではありません。BIの機能およびビジネスにおける実践の両側面で、データストーリーテリングへの注目が高まっているのはそのためです。実際Gartnerは、2025年までに、データストーリーが大部分のビジネスユーザーがデータを消費する方法になるだろうと予測しています。
それはなぜでしょうか。人々はそれぞれ異なる方法で情報を吸収しますが、データストーリーテリングは、複雑なデータを消費しやすい形式にすることで、誰もが理解できるようにすることができます。洗練されたグラフやビジュアライゼーションは、データを調べたり解釈したりする方法を把握している少数のデータアナリスト以外の多くを遠ざけてしまう可能性があります。
わたしたちの個人的な経験、偏見、理解度は、ナラティブがなければ、視覚化されたインサイトを見逃したり、誤って解釈したり、理解したりする可能性があることを意味しています。しかし、より多くの人々に開かれた形式でデータを提示することで、重要なインサイトの共有を民主化し、データが信頼できるものであり、ストーリーがその詳細を把握している人により提供される限り、データを組織の中心に据える上で重要な役割を果たします。
データストーリーテリングとはどのようなものなのか
わたしたちは、データが意思決定の中心にあれば、人々はより優れた意思決定を行い、組織はさらなる成功を達成できると信じています。そのため、Yellowfinは長期にわたり、データストーリーテリングに注力してきました。これが、ストーリーおよびプレゼントを開発した理由です。
ストーリーおよびプレゼントは、Yellowfinのデータストーリーテリング専用のモジュールであり、プロフェッショナルや経験豊富なアナリストが、信頼できるデータを使用してインサイトに満ちたストーリーを共有し、データディスカバリーやインサイト共有プロセスを誰にでも開放することができます。ダッシュボードやグラフに加えて、Yellowfin ユーザーにはコンテキストが提供されます。詳細はこちらのギャラリーをご確認ください。
データストーリーテリングとは何か、なぜそれが実践およびBI機能として重要なのかを問うストーリーは、文章によるデータストーリーテリングを可能にし、プレゼントはスライドプレゼンテーションにナラティブを持たせることができます。どちらも組み込まれたデータビジュアライゼーションによりサポートされており、セールスやパフォーマンスレポートから部門の最新情報まで、組織内で重要な情報を共有するための最良の方法として急速に普及しています。
ビジュアライゼーションからナラティブ主導のデータストーリーへ
迫り来る「データストーリーテリング」の動きに対応するため、BIソリューションは、豊富なメディアやデータビジュアライゼーション、文章によるナラティブ分析を組み合わせることのできる適切なタイプのナラティブツールをプラットフォームの一部として備えていなくてはいけません。
データストーリーをエンドユーザーに提供するためにアナリティクスプラットフォームの採用に着手する前に、以下の基準を考慮してください。
- 信頼できるデータを使用してデータストーリーを簡単に作成し、共有することができますか?
- 社内の専門家がデータの変化に貢献し、コラボレーションをすることで、社内全体に配信できるナラティブを提供し、誰もがそのインサイトから学ぶことができますか?
- そして最後に、これらのデータストーリーの閲覧者は、異なる見解や説明を追加するために、データをさらに掘り下げることができますか?
もし、上記の答えが「ノー」であるならば、ビジネスの大部分は、業務のやり方を変革することができる貴重な学びやインサイトを見逃している可能性があります。
Yellowfin ストーリー: 社内のデータフローを変革する5つの機能
データストーリーテリングが、エンドユーザーやリーダーがコミュニケーションをとり、組織全体でインサイトを共有する方法をどのように向上させるのかを学びましょう。そのニーズに応えるために、Yellowfin ストーリーがどのようにして構築されたのかをご確認ください。