「ビジョナリー」製品を作り出す方法 – 製品デザインの観点
先日発表したように、Yellowfinは、2020年 Gartner アナリティクスおよびBIプラットフォームのマジッククアドラントで、ビジョナリー(概念先行型)に選出されました。これは、Yellowfin チーム全体にとって非常に大きな成果であり、これにより、世界最大のプレーヤーたちと同じ土俵に立つことができました。
この成果を特に際立たせているのは、Yellowfinがメルボルンを拠点とする個人出資企業でありながら、テクノロジー業界の大手と渡り合っていることです。これは、「谷」に支配された世界で、オーストラリアのテクノロジーイノベーションがその行く末をリードする、優れた(そして語られていない)ストーリーです。
Gartner マジッククアドラントに6年連続で選出されたこと自体が、既に優れた成果ですが、オーストラリアの大部分の都市よりも大規模な製品デザイン・開発チームを持つ組織に対して、「実行能力とビジョンの完全性」を評価され、ビジョナリー(概念先行型)に選出されたことは、資金と規模が前提条件ではないことを示しています。
それでは、世界に挑戦しようとしている他の地域のデジタル製品企業は、わたしたちの経験から、他に何を学ぶことができるでしょうか。わたしは、特定の資金モデルやビジネス、セールスや、スタートアップ戦略について詳細には語れませんが、今ではビジョナリーに選出された製品を構築するために、わたしたちに何が必要だったのかについて紹介しましょう。
ビジョナリーCEO
まずは、トップから始めましょう。Yellowfinには、非常に製品志向のCEOがいて、将来何が起きるのかについて「話をする」準備ができているだけでなく、ビジョンの背後に組織全体を置くことで、彼の言葉を代弁しています。これには、以下が含まれます。
- 競合よりも非常に早期の段階から自動化に投資
- データアナリストだけでなく、エンド(ビジネス)ユーザーのニーズに注力
- ダッシュボードパラダイムから脱却
競合の大部分が考えもしていないことを実現するために、これまで取り組んできたすべてを実行に移すことは、リスクが高く、勇気が必要です。純粋に数字に基づき会社を経営するCEOも数多く存在しますが、製品企業は、日々優れた製品の構築を求める人物によりリードされるべきだと思っています。
真の「ライトハウス(灯台)ブランド」の精神
Yellowfinは、あらゆる意味で世界の「ライトハウス(灯台)ブランド」になっています。これは、行く末をリードしようと努力し、競合に追随するのではなく、真の破壊者として行動し、カテゴリーの大部分が実行することから逸脱することを意味します。この精神は、マーケティングキャンペーンで使用する文言や、重要な外部投資の延期決定を含むビジネス戦略、そして最も重要なことに、投資を選択した製品と機能など、わたしたちが実施するすべてのフィルターになります。ライトハウスアプローチにより、誰もが異なる方法で物事を実行できるようになります。
迅速に変化し、適応して、失敗から前進しようとする組織
「ビジョナリー(概念先行型)」への道のりは、決して平坦ではありません。革新的かつ先見的であるための一貫した推進力がある一方で、時には深夜の学習や「アハ体験」後に、大幅にビジョンが進化しなかったことを意味するわけではありません。これは、素早く焦点を移し、新しい場所へ移動するという変化を、組織が受け入れている場合にのみ機能します。小さいながらもわたしたちのチームは、変化する要求に素早く対応し、ビジョンに貢献する優先事項に集中することができています。
多様で、協力的で、緊密な製品デザインおよび開発チーム
成功しているクリエイティブチーム(たとえば、チームで作曲など)と同じように、製品チームの主要なプレーヤー間の関係が、うまく機能していなくてはいけません。ギブアンドテイク、賛成と反対、決定しなくてはいけない瞬間が山ほどあります。各プレーヤーに独自性があり、それぞれが個別に動いていたら達成できないと思われる方法でアイデアを構築します。
(新機能における)完全性の奇跡
新機能のすべてが、前もって実現されるわけではない、という認識は、わたしたちが最も取り組んでいるコンセプトです。わたしたちは、一貫性の無さや、未完成のデザイン、完璧ではないUXが嫌いです。しかし、誰もが挑戦していないことを実現するときには、その機能のコア機能の提供に集中しなくてはいけません。
自動化や、データストーリーテリング、拡張アナリティクスへ注力することで、わたしたちは、新しく複雑な機能が構築されるまで、それがどのように動作するのか(どのように使用されるのか)を、まったく把握していませんでした。この状況下で適切なUXの構築は非常に困難ですが、参考にできるベンチマークもありません。わたしたちは、(ただ優れているだけでなく)、まったく新しい「ビジョナリー」体験を創出し、それがわたしを痛めつけるのと同じくらい、反復的なMVP製品開発の世界に生きていました。この状況において、わたしたちは、UXとその後のデザインを進化させました。
製品デザインと経験の観点から、イノベーションおよび「新しい」ことを実行するためのスピードや機敏性には、費用と完璧性が伴います。しかし、ボタンがどのように動作するのかではなく、その正確な配置場所にすべての時間を費やしているのであれば、素早い対応ができないか、チームへの要求が大きくなりすぎて、物事をペースダウンさせます。これでは、すべてのものが「完璧」になる頃には、その機能はもはやビジョナリーとは言えなくなっているでしょう。重要なのは、これはデザインシステムとプロセス、そしてデザインチーム外でのデザインカルチャーの構築と育成が実際に作用する場所であり、少なくとも高速で反復的な作業方法が生み出す「損傷」を制限します。
最後に、コアに注力
ビジョナリーであることは、わたしたちのコア製品であるダッシュボードへのアプローチを反映していると思います。
Yellowfin 最新のダッシュボードリリースは、非常に革新的で、柔軟性や拡張性、使いやすさの境界を押し広げました。しかし、わたしたちが採用しようとしていた既存のデザインパラダイムがあったため、作成しようとしていたものを、より正確に表現することができました。
ユーザーエクスペリエンスとデザインは妥協せず、デザイン詳細とエクスペリエンスのリリースを意図的に遅らせ、真にワールドクラスの製品を作成しました。これは、完璧さの追求が、MVPの原則よりも優先されていたアジャイルから抜け出ることを意味していました。最終的にわたしたちは、コア製品に妥協がないことが非常に重要だと確信しました。
大規模で煩雑な組織であることに煩わされることなく、「ビジョナリー(概念先行型)」に選出されたYellowfinの軌跡を振り返ることで、この成功に大きな影響を与え、貢献したと考えられる主な要因を特定できました。もちろん、要因は他にも多数あります。