見える化の本当の意味とは?可視化との違いからメリット・注意点をわかりやすく解説!
見える化と可視化は同じだと思っている方
見える化と可視化の違いを知りたい方
見える化をするメリットと注意点を知りたい方
業務の見える化・可視化という言葉を聞いたことがある方は多いかと思います。しかし、見える化と可視化の意味が実は違うということを知っている方は少ないのではないでしょうか。
また、業務の見える化を目的を明確にせずして実施をしても、見える化するまでの労力に対して業務改善が見込めない可能性があります。
今回は、見える化の意味を可視化との違いを踏まえてわかりやすく解説していきます。見える化のメリットや注意点、具体的な見える化の方法についても解説しますので、業務改善に取り組んでいる企業のご担当者様も是非一度ご一読いただければと思います。
見える化とは?
見える化は、目に見えにくいものを見える状態にしたうえで、かつ強制的に目に入る仕組みにすることを言います。
見える化が初めて言葉として使用されたのは、トヨタの生産ラインの異常を知らせる「アンドン」というランプができてからと言われています。生産ラインで何か異常があれば「アンドン」の色が変わるため、従業員は常に目で見て自分の業務を管理できるようになりました。このように、見える化は、誰が見てもわかりやすく、全員が同じ認識ができ、かつ否応なく目に入る仕組みのことを言います。
見える化と可視化の違いは?
見える化と可視化は、見えないもの・見えづらいものを目で見える状態にするという広義の意味では共通です。しかし、実際の意味としては異なるものとして扱われます。たとえば、可視化は、データを見やすい形にして新たな課題を把握しやすくする行為をさします。
一方、見える化は、可視化と異なり、見たいと思わない時でも強制的に見える仕組みになっている点が異なります。また、シンプルで伝わりやすく見た人が同じ認識を持ち、改善のためのアクションやフィードバックを継続的に行えるものが見える化です。
見える化のメリットとは?
ここでは、見える化のメリットについて解説します。
- 業務効率化につながる
- 業務の属人化防止・ノウハウの共有
- 組織力の強化
それでは、1つずつ解説します。
業務効率化につながる
メリットの1つ目は、業務効率化につながることです。見える化されることで、業務上の問題を早期に発見することが可能となり、業務の改善を図ることができます。そのため、業務効率化につながります。また、業務が滞っている社員がいれば、社員同士で連携してカバーに入ることで、業務を推進することができるようになります。
業務の属人化防止・ノウハウの共有
メリットの2つ目は、業務の属人化防止・ノウハウの共有です。業務の見える化が進むことで、ベテラン社員や業務を効率的に行っている優秀な社員のノウハウの共有が若手社員にも可能になり、効率的に業務を進めることができるようになります。
また、業務のマニュアルが無かった場合でも、業務が見える化されていればマニュアル作成の役に立てることができます。
組織力の強化
メリットの3つ目は、組織力の強化です。見える化ができるものとしては、業務自体の見える化だけではなく、会社のビジョン・目的も見える化をすることができます。会社の方針・ビジョンが常に現場社員まで浸透するように共有されるような体制であれば、社員同士の連携も自然と生まれ、組織力の強化につながります。見える化は、会社の方針・ビジョンといった価値観の共有もできるのです。
見える化の注意点
ここでは、見える化の注意点について解説します。
- 全ての情報の見える化は避ける
- 見える化の目的を明確にする
それでは、1つずつ解説します。
全ての情報の見える化は避ける
1つ目の注意点は、全ての情報の見える化は避けることです。全ての情報を見える化してしまうと、経営者にとっては良い面はあるかもしれまんが、現場社員としては全ての行動を監視されている印象を受け、社内に閉塞感が生まれてしまう可能性があります。
たとえば、営業成績をオフィスに掲示することをあまり良く思っていない社員もいるかもしれません。仮に営業成績が芳しくなかった場合、モチベーションを下げることになります。
自由な発想やアイデアが生まれやすいように、社員がプレッシャーを感じない程度の範囲で、情報の見える化を進めることが良いでしょう。
見える化の目的を明確にする
2つ目の注意点は、見える化の目的を明確にすることです。目的がないまま業務の見える化をすると、業務改善するという本来の目的を見失い、見える化すること自体が目的になってしまう可能性があります。これでは、本末転倒です。
また、業務を見える化することで終わりではなく、会社全体に見える化する目的を共有することが重要です。目的を共有しておけば、全員が同じ認識を持ち、業務改善のアクションをとることができるようになります。
そして、業務の見える化したあとは、PDCAサイクルを回して業務の改善がされているのかを都度確認するようにしましょう。
見える化の具体的な方法
ここでは、見える化の具体的な方法を解説します。
- マニュアル作成
- グラフ・チャートの活用
- BIツールなどの専用ツールを活用
それでは、1つずつ解説します。
マニュアル作成
見える化の具体的な方法の1つ目は、マニュアル作成です。業務内容全体を把握するためには、実際に業務を担当していないと把握することは難しいものです。そのため、業務工程を図や文字に起こして書き記したマニュアルを作成することが大切です。
マニュアルを作成するときは、誰が読み手なのかを意識したうえで、担当ではない人が見てもわかりやすいものを作成するように意識します。マニュアル作成時は、ただ単に業務工程を記載するだけではなく、画像や番号を使用しながら、なぜその作業をするのかまで言語化しておくことがわかりやすく良いでしょう。
グラフ・チャートの活用
見える化の具体的な方法の2つ目は、グラフ・チャートの活用です。数字だけでは、なかなか伝わりづらい場合がありますので、グラフ・チャートに変換したり、図形や画像を活用して一目でわかるようにしておくと良いでしょう。
その他、ガントチャートやヒートマップなど条件に応じた色分けをし、業務の進捗を可視化し、トラブルが起きていないかの確認をしておくと良いでしょう。
なお、グラフ・チャートを作成するために、専用ツールを活用しなくとも、既にパソコンに備わっているパワーポイント、エクセルなどのツールを活用すれば、数値をグラフ化することも容易にできるため、誰でも実践可能です。
BIツールなどの専用ツールを活用
見える化の具体的な方法の3つ目は、BIツールなどの専用ツールを活用することです。パワーポイント、エクセルも使いこなせる人でなければ、業務の見える化の活用にうまく活かすことができません。そのため、BIツールなどの業務を見える化するための専用ツールを活用することを検討しても良いでしょう。
BIツールなどの専用ツールであれば、直観的に図やグラフにして業務の見える化を進めることができます。
また、今までアンドンのランプ点灯で生産ラインの異常を知らせていたものを、製造装置からの出力データを随時BIツールに送り、指定した異常値が出た場合に、担当者にアラートを送るような製造のモニタリングもできる機能があるため、幅広く業務の見える化に対応することが可能です。
関連記事:製造現場が抱える生産管理やデータ分析の課題をBIツールの導入で効果的に解決
まとめ
ここまで、見える化について、可視化との違いや見える化することのメリット、見える化するための具体的な方法について解説してきました。見える化は、業務すべてをやみくもに見える化すれば良いものではありません。必ず、なぜその業務を見える化するのか目的を明確にすることが必要です。そして、会社全体に目的の共有をしながら進めていくと良いでしょう。
業務の見える化をするにあたっては、BIツールなどの専用ツールもあるので、目的に応じて導入を検討していくようにしましょう。