売上予測とは?重要な理由から具体的な計算方法・精度の高め方・ITツールを一挙に紹介!
売上予測が重要な理由について知りたい
売上予測の計算方法について知りたい
売上予測を効率的に計算する具体的なツールについて知りたい
どの企業も日々、前年比と比較して売上がどのくらいまで達成しているのかを注視しながら営業活動を行っているかと思います。その中で、営業のマネージャーや経営者の方は、来期の売上がどの程度になるのか先を見ながら人員の配置、生産すべき数量などの在庫の管理、適正な予算管理を行っていることでしょう。
ただ、皆様の中には、売上予測をどうやって計算するのか具体的に改めて知りたいと思ったり、感覚で決めてしまっているので客観的なデータにもとづいた計算ができないものか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、売上予測の概要をはじめ、具体的な計算方法や効率的に売上予測が計算できるツールのご紹介をしますので、是非、ご一読いただければと思います。
目次
売上予測とは?
売上予測は、個人の感覚で売上を予測したものではなく、業界・市場動向・前年同月の売上データなどの客観的なデータを基に、将来的な売上の予想を立てることを言います。この売上予測は、企業の経営戦略や営業戦略を検討する際に、必要な情報です。また、売上予測には、期待や目標の意図は含まないようにしていることが特徴と言えます。
売上予測が重要な理由
ここでは、売上予測が重要な理由について解説します。
- 商品の生産・適正な在庫管理のために必要
- 人員配置を適切に行うために必要
- 予算管理を適切に行うために必要
- 適切な企業経営と資金繰りのために必要
それでは、1つずつ解説します。
商品の生産・適正な在庫管理のために必要
1つ目の理由は、商品の生産・適正な在庫管理のために必要だからです。企業は、売上予測のデータを参考にしながら、販売計画や生産計画を作成し、具体的な生産数や在庫数を決めます。仮に、この売上予測が大幅に外れてしまった場合は、ある製品を製造するために必要な原材料を過剰に抱えてしまったり、製品そのものが売れ残ってしまい在庫が過剰になり、経営に悪い影響が出る可能性があります。
逆に、売上予測よりも商品が多く売れてしまった場合、製造が間に合わない場合は欠品、在庫不足になり、せっかくの販売機会を損失することになります。
売上予測が正確にできれば、過剰な在庫をかかえることや欠品による機会損失を防ぎ利益を最大化することができます。トヨタのように、必要なものを必要な量だけ生産するJIT(Just In Time)方式も参考にするとよいでしょう。
人員配置を適切に行うために必要
2つ目の理由は、人員配置を適切に行うために必要だからです。新店舗の出店にあたり、人員をどの程度配置するかは、今後の売上予測をもとに人員を決めていくことになります。また、売上を拡大するために、営業の人員を増やす場合も、売上予測に基づいて何人人員を増やすのかを検討します。コールセンターの人員に関しても、売上規模に応じて人員の数を決めていくことになるため正確な売上予測を行う必要があります。
予算管理を適切に行うために必要
3つ目の理由は、予算管理を適切に行うために必要だからです。新商品を発売するにあたって、広告費用をどの程度投下するのかは、売上予測をもとに決めていきます。300万円の売上予測の商品に対して、300万円以上の広告費用はかけられませんし、仮に広告費用が少なすぎる場合は、PR不足で販売機会を失う可能性が出てきます。
売上予測という客観的なデータに基づいた予算管理をすることで、利益を最大化させるための広告費用の目安などを考えることができます。
適切な企業経営と資金繰りのために必要
4つ目の理由は、適切な企業経営と資金繰りのために必要だからです。お金の借り入れをする際に、売上予測による数値をもとに金融機関に対して返済計画の話をしなければ、数値に説得力がなく借り入れすることが難しい場合があります。また、売上予測が大きく外れてしまった場合、資金繰りの悪化による経営破綻につながる可能性がありますので、注意が必要です。
売上予測をする時の悩み
ここでは、売上予測をする時の悩みについて解説します。
- 売上予測を計算する時間がない
- 売上予測の計算方法が不明確
それでは、1つずつ解説します。
売上予測を計算する時間がない
1つ目の悩みは、売上予測を計算する時間がないことです。売上予測をする方に多いのは、経営者や営業のマネジャーとしての役職を与えられている方が多いです。営業のマネジャーとして、組織のマネジメント並びに自身も営業活動を行うようなプレイングマネージャーの場合、多忙で売上予測に手が回らないこともしばしばあるでしょう。
また、産業能率大学が実施をした100人以上の組織で部下を1人以上持つ部長を対象にしたアンケート調査で96.9%の方がプレイングマネージャーであるという結果が出ています。目標達成に向けた戦略立案と並行して、営業成績も出す能力を問われる状況は、かなりハードであると言えます。
しかしながら、売上予測を立てなければ、売上目標もかかげることができなかったり、適切な人材配置・在庫管理もできなかったりするため、仕事の優先順位を決めてITツールを活用するなどして、売上予測を効率的に算出できる環境を作る必要があります。
出典:上場企業の部長に関する実態調査(第2回) 2022/02/08
売上予測の計算方法が不明確
2つ目の悩みは、売上予測の計算方法が不明確であるということです。営業マネージャーの方が仮に、売上予測の重要性を理解していても、計算方法がわからず感覚で予想してしまっていては、適切な人材配置・在庫管理もできません。
画一的な計算方法があるわけではなく、さまざまな計算方法がありますが、どれも客観的な数字をもとに売上予測の計算を行います。具体的には、前年の成長率に基づいて今期の売上を予測したり、市場でのシェアに基づいて売上予測を計算したりする方法があります。
自社にとって、どの客観的なデータで予測するのがよいかを検討したうえで売上予測を考えると良いでしょう。
売上予測・売上目標の違い
売上予測と似た言葉で売上目標があります。売上予測は、企業や商品・サービスの取り巻く環境を考慮し、前年比の売上の成長率などの客観的なデータをもとに算出される一定期間の売上額の予測です。一方で、売上目標は、その売上予測をもとに売上げたい目標を定めた指標のことです。
売上予測は、客観的なデータに基づく予測であり正確性が求められますが、売上目標は、営業組織の希望がその中に含まれます。
売上予測の計算方法
ここでは、売上予測の計算方法について解説します。
- 過去の売上データを活用
- 営業パイプラインを活用
それでは、1つずつ解説します。
過去の売上データを活用
1つ目の売上予測の計算方法は、過去の売上データを活用することです。過去の売上データを活用する計算は、さまざまあり、わかりやすいものだと、前年同月の売上に対して、年間平均成長率を掛け合わせて計算する方法があります。
たとえば、2年前の売上が1,000万円、1年前の売上が1,500万円だとすると成長率は50%になり、今年も市場の環境を考慮して同様の成長率が見込める場合、単純計算で2,250万円の売上予測が立てられるわけです。
その他、エクセルの予測シート機能などを使用して計算する方法もあります。いずれにしても過去の売上をもとに計算する場合は、過去に同じ商品・サービスを販売している場合に適しているもので、新規事業の場合は不向きなため、その点は注意するようにしましょう。
営業パイプラインを活用
2つ目の売上予測の計算方法は、営業パイプラインを活用することです。営業パイプラインは、初回アポイントから受注するまでの営業の一連の流れのことです。問い合わせ→ヒアリング→初回訪問→見積提示→受注といったプロセスを分析して売上予測を計算します。具体的には、今月の初回訪問数を過去の平均値から予測し、初回アポイントを獲得して訪問に進むまでの割合、初回訪問して見積提示ができる割合、見積提示をして受注に至るまでの割合をもとに、売上予測を立てる方法です。
この営業パイプラインを活用することで、仮に新規事業案件の場合で過去実績をもとに売上予測ができない場合であっても、精度の高い売上予測ができる点にメリットがあります。
また、この営業パイプラインを活用した分析をするためには、営業活動の可視化をする必要があります。営業パイプラインの各フェーズごとの通過率や受注するまでにかかる日数を把握できるような環境の整備をすることも念頭に置くようにしましょう。
売上予測の精度を高めるポイント
ここでは、売上予測の精度を高めるポイントについて解説します。
- 組織内で売上予測に対する理解をする
- 売上データをリアルタイムに一元管理
- ITツールの導入
それでは、1つずつ解説します。
組織内で売上予測に対する理解をする
売上予測の精度を高めるポイントの1つ目は、組織内で売上予測に対する理解をすることです。客観的なデータにもとづいて正確な売上予測を立てるためには、多様で多くのデータでかつ正確なデータをもとに計算する必要があります。
その正確なデータをもとにするためには、各現場の営業が売上予測の重要さを自覚し、社内のルールに従って日々の成果を記録することや、通常10万円で販売する方針の商品を勝手に5万円に値引きして売るようなことがないようにすることが大切です。
売上データをリアルタイムに一元管理
売上予測の精度を高めるポイントの2つ目は、売上データをリアルタイムに一元管理することです。売上予測を計算する営業マネージャーが部下の営業活動を日々把握できている状態ではないと、精度の高い売上予測を計算することはできません。いつ・どこで・何をしているのか、営業の日々の訪問数・見積提示から受注数や受注額含めて一元管理できるような仕組みを整備しておくことが必要です。
ITツールの導入
売上予測の精度を高めるポイントの3つ目は、ITツールの導入です。現場社員も含めて売上予測を立てる重要性や、そのために必要な日々の営業活動の正確な情報入力ができたとしても、膨大な情報を手作業で処理していては、効率はあまりよくありません。そこで、SFAツール、BIツールなどを活用して、必要な情報を集約して売上予測をたてることができるITツールを駆使するのも1つの手段です。
売上予測に活用できるITツール
ここでは、売上予測に活用できるITツールについて解説します。
- エクセルの活用
- SFAの活用
それでは、1つずつ解説します。
エクセルの活用
1つ目は、エクセルの活用です。一般的にWindowsのパソコンであれば、エクセルを使用することが多いかと思いますが、その中に予測シート機能があるため、予測シート機能をもとに売上予測を計算することが可能です。メリットとしてはMicrosoftOfficeを利用しているのであれば、新たにツールを導入するわけではないので、追加費用もかからないのと、操作方法も簡単なところです。
SFAの活用
2つ目は、SFAの活用です。SFAは、「Sales Force Automation」の略で、営業活動を支援するツールで、商談開始から受注に至るまでの情報を一元管理できるようになっています。そのSFAツールを活用することで、各営業が日々の営業活動をSFAツールに登録することになり、リアルタイムに営業活動の状況を把握しながら売上予測を計算することが可能です。
まさに営業パイプラインによる計算による計算も可能であり、商品ごと、チームごと、担当者ごとの売上予測を計算することも簡易にできるため、時間がない営業のプレイングマネージャーの方にも適していると言えます。
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まとめ
ここまで、売上予測の重要性・売上予測の計算方法・売上予測の精度を高める方法・具体的に活用できるツールについて紹介してきました。企業が長期的に安定した経営を続けるためにも、精度の高い売上予測は必要です。理由としては、売上予測にもとづいて、今後の事業計画や資金繰り・在庫管理・人員の整理などを計画していくことになるためです。
また、営業のマネージャーは部下の管理だけではなく、プレイングマネージャーとして自身の営業実績も残して行く必要があるため、時間がない中でいかに効率的に売上予測を計算しながら目標を達成するための戦略を考えていく必要があります。
今後を見据えて、SFAツールやBIツールと言ったITツールも駆使しながら、売上予測に関して改めてどのように計算していくのか検討していくべきでしょう。