顧客視点での BI 導入と展開
はじめに
メーカー側と顧客側の両立場から ITシステム導入に関わった経験のある人間として、筆者の経験をもとに、顧客側の目線でBIの導入と展開について述べたいと思います。
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部分最適
BIは部分最適が進みやすい仕組みです。各業務部門が主導して、特定業務や用途毎に、仕組みを導入することがよくあります。特に、管理会計、販売管理、生産管理、品質管理、稼働管理などの分野で個別に検討がなされることが多く、部門や用途ごとに異なる BIツールが導入されていることもよく聞かれる話です。結果、BIが乱立しがちです。
予算
部内予算
各部門で導入を検討する場合、部内決済で賄える金額内で導入したいとする思惑が働きます。部内決済の上限額は各社バラバラで、100万円未満のところから、数百万円近くと、各社で大きな差がみられます。さらに高いところもあるかもしれません。なお、外部業者とのやり取りで優位性を保つために、部内決済の上限額は普通公表しません。決済金額の中には、BIのライセンス料やサブスクリプション費用に加え、仮想マシン利用料金、運用アプリ関連費用、作業費用なども含まれます。
稟議
部内で賄える予算を超えてしまった場合、多くの企業で、稟議を通す必要が出てきます。導入ベンダーに稟議を通すための情報を提供してもらうなどして、迅速に稟議が通せるようにします。
BIは、基幹システム、セキュリティ対策、コンプライアンス対応などと比較して、優先度が下げられることが一般的です。BI単独での導入が難しい場合、タイミングにもよるのですが、業務システム導入時に、業務システムの機能の一部として、BIを紛れ込ませてしまうやり方もあります。例えば、生産管理システム導入時に、生産管理データを可視化する機能が必須ということで、BIツールも導入費用の一部に含めてしまうなどの方法です。BI単独での導入と比較すると、稟議は格段に通りやすくなるでしょう。
ボリュームライセンス契約の一環で、追加費用を支払うことなく使用できる BIもあります。Power BIがその典型です。この場合、追加費用を支払うことなく使用できるツールがあるのに、敢えて追加費用を支払ってまで導入が必要な理由を説明する必要があります。
全社共通データ分析基盤
全社共通のデータ分析基盤を構築する動きが各社で盛んです。乱立した BI環境を整備する目的以外にも、データをビジネスに活用しようとする動きが盛んであることもその一因です。特に、Snowflake、AWS Redshift、Azure Synapse Analytics、Google BigQueryなどのクラウドサービスにデータを集約しようとする動きが加速しています。全社で共通して使用する基盤の導入ということもあり、情報システム部門が主幹となり、基盤の導入を進める場面が多いように見受けられます。
上記トレンドが、BIツール選択にも影響を与えます。某IT調査会社のレポートによると、データがクラウド上のデータウェアハウスやデータレイクに集約される流れとともに、これらのデータを可視化するためのBIにも、その役割の比重が移ってくるだろうとの見通しを示していました。つまり、インメモリ型BIもその必要性は中期的には継続されるとは思いますが、長期的にはダイレクトクエリー型BIに需要が集約されると考えられます。ダイレクトクエリー型BIとは、BI自身はデータを持たず、外部のデータソースにクエリーを投げ、その結果を可視化する仕組みのことで、Yellowfinもダイレクトクエリー型に区分されます。
エンドユーザーへの分析の浸透
これまでのBIの運用は、管理部門が作成したダッシュボードを社員が閲覧できるように公開する、というのが一般的でした。あるいは、CSVでダウンロードしたデータを、エンドユーザーが個々にExcelで加工するような運用もしばしばみられます。
今後はDX人材の育成に伴い、エンドユーザーが自ら必要な分析ダッシュボードを構築し、分析を行うような場面も多く出てくると思われます。導入の目線も変わってくる可能性があります。
最後に
以上の内容は、筆者の過去の業務経験に基づく内容であり、各論に関しては諸説あることをご了承ください。
個人の意見とはいえ、経験に基づく持論を共有することは意義のあることだと思い、上記内容を記述いたしました。
チャートの作成方法や本記事に関する詳しい説明を聞きたい方はお気軽にお問い合わせください。
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