組み込みアナリティクスの隠れたコスト: 価格の比較
高度なビジネスインテリジェンス ((BI) およびアナリティクス機能を既存のソフトウェアアプリケーションに統合することの価値を認識する組織が様々な業界にわたり増えているため、組み込みアナリティクスソリューションは近年益々普及しています。
このようなソリューションにより、データからより深いインサイトを得て、より多くの情報に基づいた意思決定を行うことができます。しかし、このような高度なソリューションを検討する際には、予想外に高額な価格に驚くのを避けるために、特定の組み込みアナリティクスオプションに関連する隠れたコストを認識しておくことが重要です。
本ブログでは、Yellowfinと他ベンダーの価格体系を比較します。
目次
Yellowfin BIの価格体系とは?
Yellowfinの価格体系は、自社製品にアナリティクスをホワイトラベル化できる拡張可能なアナリティクスソリューションを求めている独立系ソフトウェアベンダー (ISVs: Independent Software Vendors) やOEM業者に最適です。Yellowfinは、顧客独自の市場参入モデルに沿うように特別に設計されており、隠れたコストや想定外の事態の発生しない予測可能性および拡張性を保証します。
Yellowfinは「シンプルで予測可能な上に拡張可能」であることをモットーに、組み込みアナリティクスソフトウェア製品の価格設定に取り組んでおり、価格パッケージを次の2つのプランに分けています。
1. (ソフトウェアベンダー向け) 組み込みアナリティクス
開発者に最適なこのプランは、3つのシンプルなモデルに分類されています。
- 整合性のあるユーティリティモデル: ユニットあたりの価格 – 価格はアナリティクスの使用量と販売方法に基づいて決定されます。Yellowfinは、顧客の価格体系に合わせて当社の価格体系を調整します。例: サイト別、アプリケーション別、デバイス別など
- レベニューシェアモデル: 価格はアドオンアナリティクスのサポートに基づいており、アドオンアナリティクスモジュールからの収益に基づいて決定されます。
- サーバコア: 価格はサーバの規模に基づいており、サーバコア (例えば、4コアのデプロイ) に基づいて固定価格が設定され、デプロイの規模に応じてのみ拡張されます。
Yellowfinには、ビジネスニーズに合わせて異なる料金プランを採用している顧客が複数存在します。例えば、大規模企業のサポートを専門とする電子カルテシステム (ERS: Electronic helth Records Systems) のソフトウェアベンダーは、レベニューシェアモデルが自社のビジネスモデルに最適であることを発見しました。このモデルでは、Yellowfinがサービスプロバイダーの顧客へのすべてのデプロイに対して、売上の一定割合を得ることができます。
2. エンタープライズBI
大規模なデプロイや組織に最適なこの料金プランは、次の3つのシンプルなモデルに分類されます。
- 指名ユーザー – 価格はアクセス可能な指名ユーザーの数に基づいており、中小規模へのデプロイに適しています。
- サーバー – 価格は必要なCPUコアに基づいており、大規模なデプロイに適しています。
- ユーザー層 – 価格は必要なユーザーの種類である、Writers (データソースへの接続、データの準備および分析、ダッシュボードやレポートによるビジュアライゼーションの作成および共有を行うユーザー)、またはConsumers (公開されたデータソースや既存のダッシュボードからのアクセス、対話、データビジュアライゼーションの作成を行うユーザー) に基づいており、組織固有のデータニーズに基づいた柔軟性を提供します。
さらに、Yellowfinは、拡張やホスティング、データベース選択にオプションを提供します。
アナリティクスプラス: Yellowfin アナリティクス機能に加え、Yellowfin シグナルによる自動ビジネスモニタリングをご利用いただけます。指名ユーザー、サーバー、カスタム価格体系で利用できます。
セルフマネージドまたはフルマネージドサービス: オンプレミスまたはクラウドで独自のデプロイを自己管理するか、完全管理サービスを利用してYellowfinを安全にホストするかを選択できます。
分析データベース: オンプレミス、クラウド、またはその両方で、高性能なインメモリアナリティクスデータベースの比類ないパワーを活用できます。プラットフォーム、ベンダー、アーキテクチャーのロックインはありません。
Yellowfin BIの価格概要
価格プランに加えて、Yellowfinはテクニカルエキスパートによる無料のライブデモを提供しており、購入前にサンプルデータセットを使用して製品をテストすることもできます。また、概念実証 (POC) も無料で提供しています。一部の価格プランは、19米ドル (月額) からご利用いただけます。
全体として、Yellowfinは、市場で入手可能な最高かつ最も手頃な価格の組み込みアナリティクスソリューションを購入しようとしている組織に対して、シンプルで拡張性の高い多くのオプションを提供しています。
Microsoft Power BIの価格体系とは?
MicrosoftのアナリティクスソリューションであるPower BIの価格体系には、無料と有料のプランがあります。無料版は魅力的ですが、データ容量の制限やコラボレーション機能の欠如などの制限があります。高度な機能を必要とする組織は、2つの階層がある有料プランにアップグレードする必要があります。
1. Power BI Pro
Power BI Proのユーザーあたりの価格は15米ドル (月額) で、主にアナリティクスやダッシュボード/データビジュアライゼーション機能を個々のユーザーにライセンス供与したい組織向けです。例えば、20人のユーザーがレポートの作成をしたり、作成したコンテンツを無制限に使用 (閲覧) できるようにするには、Power BI Proが20ライセンス必要です。
Yellowfin 対 Power BIの詳細な比較については、こちらをご確認ください。
2. Power BI Premium
Power BI Premiumのユーザーあたりの価格は29.90米ドル (月額) で、主にビッグデータのためのデータ準備やエンタープライズレベルの管理およびデプロイなど、同社のアナリティクス製品の高度な機能を個人ユーザーにライセンス供与したい組織向けです。
Power BI Premiumには、容量あたり7,475.30米ドル (月額) の価格設定もあり、ビジネス全体でPower BIの高度な機能セットにアクセスできるようにしたい組織向けです。ライセンスには、ユーザー、データセット、およびコンテンツが含まれます。
Power BIの価格概要
Power BIは、Microsoft 365およびMicrosoft Azure Cloudのエコシステムと密接に結びついているため、インフラおよびデータのニーズに対してMSソフトウェアのみと完全に統合したい組織にとって魅力的です。最後に、Microsoftは、通貨、国、および地域の変動が、ユーザーまたは組織ごとの最終的な価格設定に影響する可能性があることに言及しています。
Tableauの価格体系とは?
Tableauの価格体系は、Creator、Explorer、Viewer ユーザータイプで構成され、様々な程度で機能を提供しています。
1. Tableau Creator
Tableau Creatorのユーザーあたりの価格は月額75米ドル (年払い) で、主に1人のユーザーに高度な管理、ガバナンス、データ準備、コンテンツ認証およびコラボレーション機能 (例: 管理者、アナリスト、マネージャーなど) を備えたライセンスを供与したい組織向けです。この階層には、Tableau Desktop、Tableau Prep Builder、およびTableau CloudのCreator ライセンス1つがバンドルされています。
2. Tableau Explorer
Tableau Explorerのユーザーあたりの価格は月額42米ドル (年払い) で、主にセルフサービスアナリティクスおよびダッシュボード/データビジュアライゼーション機能を、個人ユーザー (例: 組織内の通常のアナリティクスユーザー) にライセンスを供与したい組織向けです。この階層には、Tableau CloudのExplorer ライセンスのみが含まれます。
Yellowfin 対 Tableauの詳細な比較については、こちらをご確認ください。
3. Tableau Viewer
Tableau Viewerのユーザーあたりの価格は月額15米ドル (年払い) で、主にダッシュボードや
データビジュアライゼーションの基本的なインタラクションを使用する個人ユーザー (例: データコンテンツの作成は行わず、使用のみを行う非正規ユーザーまたはエンドユーザー) にライセンスを供与したい組織向けです。この階層には、Tabelau CloudのViewer ライセンスのみが含まれます。
Tableauの価格概要
Tableauは価格にある程度の柔軟性を提供していますが、ユーザーの需要増加や高度な機能に対応するためにCreatorやExplorer ライセンスをより多く割り当てる必要がある場合に、隠れたコストが発生する可能性があります。
さらに、コンサルティングサービス、トレーニング、サポートに関連する潜在的なコストに注意する必要がありますが、これらはTableauの価格ページで明示的に概説されていません。
SisenseおよびQrveyの価格体系とは?
SisenseとQrveyはそれぞれ、各組織の個別のニーズに基づいたカスタマイズ価格や、SaaSベースの成長モデルを宣伝しており、現在両社ともウェブサイトに具体的な価格や製品パッケージを掲載していません。
このアプローチは柔軟性と拡張性を売りにしていますが、競合が提供するソリューションにまだ精通していない組織にとっては、隠れたコストが発生する可能性があります。例えば、Qrveyのリスト価格には、Amazon ウェブサービス (AWS) の価格が含まれていないため、顧客はこれを認識し、考慮する必要があります。
ユーザー数、データ量、希望する機能などの追加要素は、アナリティクスソリューションの価格設定に大きな影響を与える可能性があるため、予期せぬコストを回避するために、組織は要件を十分に評価し、価格交渉をする必要があります。
考慮すべきその他の潜在的な隠れたコスト要因
誤ったビジネス上の判断: BIがデータリテラシーの低いユーザーによって生成される場合、欠陥のあるアナリティクスに基づいている場合が多いです。これには、基になるデータが
妥当性基準を満たしていない、選択されたディメンション (次元) が意味を成さない、定義やその他のメタデータがよく理解されていないなどの理由が考えられます。例えば、毎月の収益と年間の費用を比較すると、誤解を招く結論につながる可能性があります。レポートやダッシュボードの正確性や関連性を確保するためには、エンドユーザーがどのようなソリューションと対話し、どのようなアウトプットを生成しているかを常に把握しておくことが重要です。さもなければ、BIソリューションの認識価値や、データ全体の重要性が低下してしまいます。
データの有効性に関する懸念: ユーザーは、基幹システム以外からデータをインポートしたり、古いデータや無効なデータに依存したりすることもあります。そのようなデータを利用することで、アナリティクスが不正確になり、その結果としてビジネス戦略に欠陥が生じ、長期的なコストの増加につながる可能性があります。
生成AIによる幻覚: Microsoftが使用しているOpenAIのCopilotのようなAIシステムとBIツールが統合されている場合、不正確なデータの使用がAIの幻覚 (AIが誤解を招くような、または誤った提案を生成する状況) につながる可能性があります。これにより、前述の問題がさらに悪化することがあります。
これらの問題は以下につながる可能性があります。
- 信頼の低下: アナリティクスが常に間違っていたり、誤解を招いたりすると、組織内の信頼が損なわれます。すべてを信用できなければ何も信用できないため、これはデータへの信頼度が低い文化につながります。チームはすべてをダブルまたはトリプルチェックし始め、これが遅延や非効率、時間の浪費につながります。
- サポートコストの増加: 不正確なデータを使用すると、ユーザーがデータチームに説明を求めるため、サポートチケットが増加します。これは運用コストを増加させるだけでなく、データチームをより戦略的なタスクから逸らすことにもつながります。
- IPリスク: 上記のようなAIの幻覚に加えて、Copilotやその他の生成トランスフォーマーが使用するデータがIP (知的財産) であるリスクもあります。特に生のままコピーし取得できるわけではありませんが、データは他のユーザーのためにトランスフォーマーからの出力を形成するトレーニング材料として使用される可能性があります。
ベンダーロックイン
Microsoft Power BIのような特定のソリューションは、ベンダーの既存のソフトウェア製品やエコシステム (この場合は、Microsoft Azure Cloud) に大きく依存しており、データプラットフォームに関連するビジネスニーズの進化に柔軟に対応できないというコストが発生します。BIとデータインフラに対する不可知論的なアプローチには、このような潜在的な隠れたコストはありません。
アナリティクスの価格の評価: まとめ
新しいデータ分析機能を既存のソフトウェアに統合することを決定する際には、組み込みアナリティクスソリューションの価格体系に関連する隠れたコストを考慮することが重要です。基本価格が妥当に思えたとしても、組織はサポートやメンテナンス、トレーニングなどの追加コストを検討する必要があります。これらのコストはベンダーに応じて大きく異なります。例えば、Tableauはテクニカルサポートとトレーニングを追加オプションとして提供しており、これには追加料金が発生する可能性があります。
さらに、組織は各ソリューションの拡張性を考慮する必要があります。ビジネスが成長し、ニーズが進化するにつれて、使用量の増加や新しいユーザーの追加によって価格がどのように変化するかを理解することが不可欠です。例えば、Yellowfinの組み込みアナリティクスパッケージ向け整合性のあるユーティリティモデルは、アナリティクスの使用量の変化や販売方法 (サイト別、デバイス別、アプリ別など) に合わせた柔軟な価格設定を提供し、組織のコスト管理を強化します。
結論として、組み込みアナリティクスソリューションを評価する際には、当初の価格設定だけでなく、隠れたコストや長期的な影響を考慮することが重要です。組織の具体的なニーズや予算を徹底的に分析することで、目標に沿った情報に基づく意思決定を行い、隠れたコストや予期せぬ事態を最小限に抑えることができます。
Yellowfinの価格設定: 顧客に合わせて柔軟に対応
Yellowfinの価格設定はシンプルで予測可能なうえ、拡張可能です。組み込みアナリティクスおよびエンタープライズBI向けの柔軟な料金プランの詳細をご確認ください。
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