【DX事例】株式会社TDモバイル

【DX事例】株式会社TDモバイル

Yellowfin導入で全社の業務DXを図り、生産性向上に貢献

<概要>

国内大手通信キャリアの販売代理店として、全国に約300店舗のキャリアショップを展開しているTDモバイル。携帯電話の販売代理店業を営む企業の多くは、キャリアが展開する販売施策の多様化、変化スピードの速さにシステムとして対応するのが難しくなっていた。

TDモバイルでは経年により業務基幹システムが老朽化・陳腐化していたこともあり、Yellowfinを導入し、全社の業務DX(デジタルトランスフォーメーション)を図った。キャリア手数料を深掘り分析できる仕組みや、計上精度の向上、得意先への請求書自動生成化等、全社の生産性向上に貢献している。

携帯電話販売代理店事業を取り巻く環境

総務省の調査によると、TDモバイルが設立された2009年度末の普及率は約90%で、携帯電話の普及率は2011年に100%を越えました。「その頃まではキャリアが重視していたのは回線契約数でした。」と株式会社TDモバイル コーポレート本部 経営企画部 業務管理グループ グループリーダーの古田光平氏は振り返ります。ですが、2023年9月末の携帯電話の普及率は約170%と、もはや1人1台以上は携帯電話を所持している時代となりました。そのような背景の中、各通信キャリアのサービスも年々多様化し、キャリアショップでは、端末・回線とその付帯サービスの販売だけでなく、光回線、金融商品・サービス、各種スマートライフ商材の販売、さらにはスマートフォン教室の開催等、地域のICT拠点として、お客様ひとりひとりのニーズに合わせた様々な取り組みが求められる時代になりました。

TDモバイルが抱える3つの課題

このような複雑化する携帯電話販売事業において、TDモバイルには頭を悩ませる3つの課題がありました。

第一の課題は、「キャリア手数料は、1つ1つの取り組みに対する対価だけでなく、総合的な取組結果(店舗評価)に対する支援金もあり、年々複雑化してきています。店舗評価を構成する指標は毎月変動するため、そのような複雑化しているキャリア手数料を素早く、正確に分析できる仕組みの導入が必要でした。」(古田氏)

第二の課題は、計上精度の向上です。「Yellowfin導入当時の月次決算の締め日は、毎月5営業日。一方で、月次決算に必要なキャリアから提供される精算データは、一番遅い場合5営業日の午前中。Yellowfin導入前は、締め日までに確定計上をすることができなかったため、見積計上(翌月の月次決算で、前月見積の取り消しを行い、確定データで計上する運用)を実施。店舗評価制度が導入される前は、キャリア手数料も単純明快だったため、見積精度はほぼ正確だったものの、キャリア手数料の複雑化に伴い誤差が年々拡大し、正しい経営分析にも影響が生じていたため、見積計上の運用を廃止し、5営業日までに確定計上できる仕組みの導入が必要でした。」(古田氏)

第三の課題は各事務担当者が手作業で実施している得意先への請求書作成業務を自動化することです。「Yellowfinを導入するまでは、事務担当者が得意先1社1社に毎月手作業で請求書を作成していた。事務担当者の作業プロセスは、それぞれ属人化してしまっており、ジョブローテーションや引き継ぎを困難としている状態。また、得意先への請求書の提供時期も毎月月末であったため、得意先から早期に請求書を提供してほしいという要望もあった。そのため、事務担当者の業務内容を標準化し、かつ、作業時間を大幅に短縮できるような仕組みが求められていました。」(古田氏)

変化に柔軟に対応できるようBIツール導入を決定

これらの課題を解決するため、当初は同社独自の業務基幹システムの改修を検討。「既存システムの改修を試みるも、当社が求める要件を実現しようとすると新規構築規模の費用が必要になり、また将来のキャリアの施策変更の度に中規模な改修が必要となる可能性があったため、既存システムの改修は断念しました。自社構築の考えを捨て、世にあるBIツール導入の検討を本格的に始めました。」と古田氏は明かします。2020年4月頃よりツールの検討を開始。数あるBIツールの中からYellowfinを選んだのは、「第一に当社の要件を満たす仕組みであること。第二に使い勝手です。当社にとってYellowfinは業務基幹システムの位置づけとなりますので、ITスキルが高くないユーザーでも直感的に使えるような使い勝手であることは重要な決め手でした。」と古田氏は話します。2020年末よりYellowfinの運用を開始しました。

各システムの連携イメージ

Yellowfinを導入、得られた3つの効果


Yellowfinを導入したことで、すでに大きな効果が出ています。第一にキャリア手数料の分析ができる仕組みを実現したことです。「これまでは端末売買益、継続手数料、その他保守料と、固定化された科目でしか予実管理できない仕組みでしたが、Yellowfinの導入により主要なキャリア手数料を様々な視点で深掘り分析できる仕組みを構築することができました。」と古田氏は語ります。

第二に毎月5営業日までに当月確定計上が実現し、見積計上を廃止することができたこと。見積計上の廃止により、データが本来あるべき姿(誤差のない決算データ)となり、毎月6営業日から正しい決算データで、正しい経営分析が可能になりました。

財務会計システムへのインポートデータ(Yellowfinレポート)

第三の効果は、得意先への請求書自動生成化が実現したこと。得意先への請求書をYellowfinレポートでフォーマット化したことにより自動生成化を実現させました。その際に事務担当者の作業プロセスを属人化させないような単純明快な仕組みにし、業務フローもシンプルで少ない手数となるような工夫もしました。その結果、各事務担当者の業務工数が90%近く削減できました。具体的には、毎月10営業日ほど費やしていた作業日数を2営業日程度まで大幅短縮することができ、得意先への請求書送付までの時間も短縮、事務担当者の負担軽減に大きく貢献できました。さらには本業務の標準化ができたため、事務担当者のジョブローテーションも行うことができました。

得意先向け請求書発行レポート(Yellowfinレポート)

YellowfinによるDX実現で、同業他社からも問い合わせが届く

「Yellowfinの導入によって、当社の基幹業務のDXが進みました。この取り組みは、同業他社の間でも関心を呼び、問い合わせも複数来ています」と古田氏は明かします。

Yellowfinの導入にかかった期間は約11カ月。導入までには「苦労もありました」と古田氏は吐露します。一つは担当者へのヒアリングの難しさ。「業務を標準化するため、担当者の独自業務を棚卸するためヒアリングを実施したのですが、それにはかなり時間と手間をかけました。」(古田氏)

業務標準化の合意形成にかけた時間は約1年。これはYellowfinの導入を決定する前に実施したそうです。

Yellowfin導入により基幹業務のDXが実現したTDモバイル。今後はYellowfinで実現したデータ分析機能を駆使してキャリアの手数料変化に追随し、同社ならではの店舗施策を企画し、店舗評価を向上させ、売上アップへとつなげていくことも計画しています。

人口減少が続く日本において、携帯電話販売事業の競争はさらに激しくなっていくことが予想されます。そのような状況の中でキャリアにも消費者にも満足していくビジネスを展開するには、データを駆使し、業務の生産性を高めていくことが不可欠です。その強力なツールとしてYellowfinを導入し、いち早くDXを実現したTDモバイル、今後とも同社の成長には大きな期待があります。

“Yellowfinの導入により主要なキャリア手数料を様々な視点で深掘り分析できる仕組みを構築することができました”

株式会社TDモバイル

コーポレート本部 経営企画部 業務管理グループ

グループリーダー

古田 光平 氏

株式会社TDモバイル

本社:東京都港区浜松町1丁目30番5号

トヨタグループである株式会社デンソーと豊田通商株式会社それぞれの携帯電話事業を源流とし、2009年4月に統合設立。2023年10月に更なる事業の拡大を目指しビックカメラグループの一員に加わったモバイルコミュニケーション・情報通信サービスの専門企業。通信事業者の販売代理店として、コンシューマ向けにはキャリアショップの運営。法人顧客向けには、携帯電話の販売に加えてモバイルソリューションやIoT商材の開発・提供を展開している。

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