経営改善とは？具体的な流れとフレームワーク・経営改善支援・事例について一挙公開！
経営改善について知りたい
経営改善が必要となる場面について知りたい
経営改善をするための流れとフレームワークについて知りたい
経営改善は、長期的に会社を継続させるために悪化した経営を改善させる行為のことをさします。ただし、悪化したときに経営改善をすればいいのではなく、長期的な視点に立った時に現時点で問題がなかったとしても、数年後先に問題が出てくるのであれば早めに経営改善を実行していく必要があります。
その経営改善に関して、誰しもがどのように進めていけばいいのか悩むところではないでしょうか。経営改善には、戦略面・財務面・管理面によって使用するフレームワークも異なります。
そこで、今回は経営改善に関して概要を解説した後に、具体的な流れとフレームワーク・事例について、わかりやすく解説します。
経営改善とは？
経営改善とは、企業の経営状態を改善するための手法や方針のことです。これには、費用削減、生産性の向上、収益の増加などが含まれます。経営改善には、経営戦略の見直し、組織改革、ビジネスプロセスの改善などが含まれます。
会社を継続するために悪化した経営状況を改善することが経営改善になるわけですが、M＆Aや事業継承をスムーズに行う上でも、必要となります。
経営改善が必要な場面
ここでは、経営改善が必要な場面について解説します。
- 経営悪化における改善
- 長期経営計画のための改善
それでは、1つずつ解説します。
経営悪化における改善
経営改善が必要な場面の1つ目としては、経営悪化における改善です。例えば、企業が競争力を失っている場合や、収益が低下している場合、市場の変化に対応できていない場合など、経営が悪化している場合に経営改善が必要になります。また、組織が複雑化しすぎて運用が困難になっている場合や、コストが高すぎる場合、経営改善が求められることもあります。
長期経営計画のための改善
経営改善が必要な場面の2つ目としては、長期経営計画のための改善です。長期経営計画は、今が業績として調子が良くても策定しておかないと、売上高の停滞がいずれ起こってしまったり、商品やサービスが市場とのニーズが合わなくなる可能性が出てきます。
長期経営計画を作成することで、企業のミッションや目標、戦略、活動計画、予算などを統合し、企業が将来的に目指す方向を明確にすることで、経営改善に向けた取り組みを効果的に進めることができます。
経営改善の流れ
経営改善の流れには様々な方法がありますが、一般的には以下のような流れになります。
- 現状分析： 企業の現状を把握し、経営上の問題点を特定する。
- 目標設定：改善したい経営上の問題点に対して、具体的な目標を設定する。
- 改善策：目標達成のための改善策を立てる。
- 実行：立てた改善策を実行する。
- 結果の評価：実行した改善策が目標達成につながっているかを評価する。
- 改善の継続：改善継続のための新たな取り組みを立て、継続的に経営改善をする。
この流れは繰り返し適用され、経営改善をしていきます。なお、改善策は実現性の高いものを策定するようにしましょう。実現可能性が低い改善策を検討し実行しても経営改善ができずに、悪化するだけです。
経営改善の3つの種類
ここでは、経営改善の3つの種類について解説します。
- 戦略面における経営改善とSWOT分析
- 財務面における経営改善と損益分岐点
- 管理面における経営改善とKPI
それでは、1つずつ解説します。
戦略面における経営改善とSWOT分析
経営改善の種類の1つ目は、戦略面における経営改善です。戦略面での経営改善とは、企業が競争上の優位性を確保し、長期的な成長を実現するために、戦略の立て直しや新たな戦略の開発を行うことを指します。
たとえば、市場の成長が低調であり、会社の業績が芳しくない場合は、抜本的な経営改善が求められます。この改善には、SWOT分析を活用します。SWOT分析により、会社の強み・弱み、市場の機会・脅威を知ったうえで適切な経営改善を行うことが可能です。
財務面における経営改善と損益分岐点
経営改善の種類の2つ目は、財務面における経営改善です。企業の財務状態を改善するための手法や方針を指します。これには、費用削減、収益の増加、資金調達などが含まれます。
財務面の経営改善の手法としては、損益分岐点分析があります。これは、企業が収益を上げるために必要な最低限の売上高を計算する手法です。損益分岐点は、どの程度の売上高により収益が赤字から黒字に転じるかを示します。この情報を元に、目標利益の設定・販売数量の設定を客観的に設定をすることができます。
管理面における経営改善とKPI
経営改善の種類の3つ目は、管理面における経営改善です。管理面における経営改善とは、企業の組織運営や管理体制を改善するための手法や方針を指します。これには、組織改革、人材育成、組織運営の最適化などが含まれます。
KPIは、管理面において経営改善に欠かせない手法のひとつです。KPIは、企業が達成したい目標に対して有効かつ適切な指標を選定し、それを定期的に評価し、改善に向けた取り組みを行うことで、経営のパフォーマンスを測定し、改善することができます。KPIは、生産性、効率性、顧客満足度など様々な領域に適用することができます。
管理面での経営改善は、企業がスムーズかつ効率的に経営を運営するために重要です。KPIを使って、組織運営や管理体制を最適化することで、経営のパフォーマンスを向上させることができます。
中小企業庁の経営改善支援について
ここでは、中小企業庁の経営改善支援について解説します。
- 経営改善計画策定支援事業
- 早期経営改善計画策定支援事業
それでは、1つずつ解説します。
経営改善計画策定支援事業
中小企業庁の経営改善支援の1つ目は、経営改善計画策定支援事業です。中小企業庁は、中小企業を支援するために、様々な支援プログラムを提供しています。その中でも、経営改善計画策定支援事業は、中小企業の経営改善を支援するために重要なプログラムのひとつです。
この事業では、中小企業が経営改善を行う上で特に借入金返済などの財務上の助けが必要な企業に対して課題を克服するためのアドバイスを行います。専門家が中小企業と共に経営計画を策定し、実行に向けた支援を行うことで、中小企業の経営力の向上を支援します。
なお、上限200万円までであれば、経営改善計画の策定にかかる費用の2/3を国が補助してくれる制度になっています。
早期経営改善計画策定支援事業
中小企業庁の経営改善支援の2つ目は、早期経営改善計画策定支援事業です。早期経営改善計画策定支援事業は、中小企業が早期に経営上の問題を解決するための支援を行うものです。この事業は、経営上の課題を早期に発見し、迅速かつ効率的に対応することで、中小企業の経営状態の改善を図ることを目的としています。
この事業では、専門家が中小企業の事業状況を分析し、経営上の問題点を特定します。そして、経営計画の立て方や実行方法の提案、組織改革やビジネスプロセスの改善に関するアドバイス、KPIの設計などを行い、中小企業の経営を改善するための戦略を立てます。
財務が悪化する前に、悪化の予兆があるのであれば対策をとれるよう支援するのが早期経営改善計画策定支援事業です。計画策定までにかかった費用の2/3を上限20万円の範囲内で国が補助してくれます。
出典：中小企業庁：早期経営改善計画策定支援
経営改善事例
ここでは、経営改善事例について解説します。
- 病院
- 飲食店
それでは、1つずつ解説します。
病院
経営改善事例の1つ目は、とある病院の事例です。病床の稼働が悪く経営が悪化していた病院があったが、救急受け入れについて、救急車対応についてのインセンティブ制度を設け、医師に周知した事例があります。結果として、医師の意識も高まり、何も考えずに救急受入れを断る医師は少なくなり、増設した病床の稼働率も高まり、経営改善につながりました。
飲食店
経営改善事例の2つ目は、とある飲食店の事例です。外見がバーのように見えないということもあり、新しいお客様の来店が少ないということがこの飲食店の悩みでした。新規顧客がとれないと長期の経営を考えると売上が先細りする可能性があります。
そこで、バーであることが一目でわかるように軒先のシャッターを白色の壁に変更し、お店の外にはおしゃれな看板を設置しました。結果、新しいお客様も入りやすい雰囲気になり新規顧客獲得が増えました。
まとめ
ここまで、具体的な経営改善の流れ・活用できるフレームワーク・中小企業庁の経営改善支援について解説してきました。経営改善は、改善手法を知るだけでは不十分であり、実際に改善施策を実行し、PDCAを回すことでよりよい経営をすることが可能となります。
自社のみで経営改善が難しいと感じた場合は、中小企業庁のように相談窓口を設けているので、財務が悪化してから相談するのではなく、外部の専門コンサルタントに話をするようにしましょう。