ITSMツールとは?メリット・デメリット・ツールの種類・導入する際のポイントについて詳しく解説!
ITSMツールについて知りたい
ITSMツールが必要な理由・メリットについて知りたい
ITSMツールの機能や選定するポイントについて知りたい
ITサービス管理を効率化し、業務品質を向上させるために、ITSMツールの導入を検討している企業や組織が増えています。ITSMは、ITサービスの利用者がいつでも快適に利用できるように環境を整備する活動全般のことを指します。また、そのITサービスを継続的に改善するための活動のことを意味するわけですが、いざITSMについて質問を受けてもすぐに回答できる人も多くはないかもしれません。
本記事では、ITSMツールの導入にあたってのポイントや、効果的な運用方法について詳しく解説します。導入を検討している方はもちろん、すでに導入している方も、ツールの活用方法を見直したいという方も必見です。
目次
ITSMツールとは?
ITSMツール(ITサービスマネジメントツール)は、ITサービスの提供、運用、管理を効率的かつ効果的に行うためのソフトウェアツールです。ITSMは、ITサービスをビジネス価値に変換し、組織のニーズに合わせてサービスを最適化することを目的としています。
主な機能としては、インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理、構成管理、サービスカタログ管理、サービスレベル管理などがあります。これらの機能を利用することで、ITサービスの品質を向上させることができ、組織全体の効率を高めることが期待できます。
例えば、インシデント管理機能では、システム障害や問題が発生した際に、迅速かつ効果的に対応できるように、インシデントを記録し、解決までのプロセスを追跡・管理することができます。また、変更管理機能では、システムやサービスの変更が円滑に行われるよう、変更の計画、承認、実施、評価を一元的に管理することができます。
これらの機能を統合したITSMツールを活用することで、ITサービスの運用管理が効率化され、組織のIT戦略をサポートすることができます。
ITSMツールが必要な理由
ここでは、ITSMツールが必要な理由について解説します。
- 業務プロセスの標準化
- 管理負荷の軽減
それでは、1つずつ解説します。
業務プロセスの標準化
1つ目の理由は、業務プロセスの標準化です。ITSMツールを導入することで、情報システム業務をマニュアル化しやすくなり、ITサービスに関わる業務の均質化が図れます。
ITSMツールは、ITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)などの業界標準フレームワークに基づいたプロセスを提供します。これにより、組織内で標準化されたプロセスが導入され、業務のマニュアル化が容易になります。
また、インシデント管理や変更管理などの業務プロセスを自動化する機能を持っています。これにより、業務の効率化が図られ、均質なサービスが提供できるようになります。その他、ナレッジベース機能を提供し、過去のインシデントや問題解決の情報を蓄積・共有することができます。これにより、同じ問題が発生した際に迅速に対処することができ、サービス品質の均質化が実現します。
このように業務プロセスのパフォーマンスを測定し、改善のためのデータを提供します。これにより、業務の効率化や品質向上の取り組みが継続的に行われ、組織全体のITサービスの均質化が達成されます。
管理負荷の軽減
2つ目の理由は、管理負荷の軽減です。ITSMの進捗は、Excelなどの表計算ソフトウェアで管理することができますが、作成や管理に手間がかかるため、専用のツールを導入することが良いと言えます。
例えば、ITSMツールは、インシデント管理、問題管理、変更管理などの業務プロセスを自動化する機能を持っています。これにより、業務の効率化が図られ、Excelで手動で作成・管理するよりも迅速かつ正確な情報が得られます。
また、ITSMツールを導入することで、組織内のITサービスに関する情報を一元的に管理することができます。これにより、情報の散逸や重複を防ぎ、データの整合性が保たれます。
その他、業務プロセスのワークフローを可視化する機能を提供しています。これにより、進捗状況や問題点を把握しやすくなり、効果的な改善策を立てることができます。
ITSMツールの導入メリット
ここでは、ITSMツールの導入メリットについて解説します。
- ITサービスの品質向上・顧客満足度向上
- 早期問題発見・解決
- 属人的な運用の排除・情報の一元管理
それでは、1つずつ解説します。
ITサービスの品質向上・顧客満足度向上
1つ目のメリットは、ITサービスの品質向上・顧客満足度向上です。
ITSMツールは、ITIL(ITインフラストラクチャライブラリ)などの業界標準フレームワークに基づいたプロセスを提供します。これにより、組織内で標準化されたプロセスが導入され、業務の品質が向上します。
また、インシデント管理、問題管理、変更管理などの業務プロセスを自動化する機能を持っています。これにより、業務の効率化が図られ、ITサービスの品質が向上します。
ナレッジベースの活用で、過去のインシデントや問題解決の情報を蓄積・共有することができ、仮に同じ問題が発生した際に迅速に対処することができ、サービス品質の向上並びに顧客満足度向上につながります。
早期問題発見・解決
2つ目のメリットは、早期問題発見・解決です。
ITSMツールを利用することで、発生したインシデントの情報が記録され、ナレッジベースに蓄積されます。これにより、同様のインシデントが再発した際に、過去の対応履歴を参照し、迅速かつ効果的な対処が可能となります。なお、インシデント管理は、ITサービスで発生した障害や問題に対処するプロセスのことです。
問題管理は、インシデントの根本原因を特定し、再発を防ぐためのプロセスです。ITSMツールにより、問題解決の過程で得られた知見や解決策がナレッジベースに蓄積され、今後の問題解決に役立てられます。
これらの管理フレームワークを通じて、ナレッジベースにはITサービスに関する様々な情報が蓄積されます。組織内でナレッジベースを共有・活用することで、業務の効率化やサービス品質の向上が期待できます。
属人的な運用の排除・情報の一元管理
3つ目のメリットは、属人的な運用の排除・情報の一元管理です。
ITSMツールにより、組織内で標準化されたプロセスが導入され、個人のスキルや経験に依存しない運用が可能となります。また、ナレッジベース機能を通じて、過去のインシデントや問題解決の情報が共有され、同じ問題に対して迅速かつ適切な対応ができるようになります。
また、インシデント管理、問題管理などのITサービスに関する情報を一元的に管理することができます。これにより、情報の散逸や重複を防ぎ、データの整合性が保たれ、関係者間のコミュニケーションが円滑になり、情報共有が効率化されます。
ITSMツールの導入デメリット
ここでは、ITSMツールの導入デメリットについて解説します。
- コストが増える可能性がある
- メンバーのモチベーションが低下する場合がある
それでは、1つずつ解説します。
コストが増える可能性がある
1つ目のデメリットは、コストが増える可能性があることです。
ITSMツールの導入には、ライセンス料や初期設定費用など、一定のコストがかかります。また、組織の規模や要件によっては、カスタマイズや追加機能の導入が必要となり、それらにも費用が発生します。
また、ITSMツールの維持・運用には、システムアップデートやセキュリティ対策、バックアップなどの管理業務が発生します。これらの業務には、人的リソースや専門知識が必要となり、継続的なコストがかかることがあります。
そして、ITSMツールを効果的に活用するためには、関係者に対する教育・研修が欠かせません。新たなツールの導入に伴い、スタッフの研修やトレーニングにも費用が発生することがあります。
メンバーのモチベーションが低下する場合がある
2つ目のデメリットは、メンバーのモチベーションが低下する場合があることです。
新しいツールやプロセスが導入されることで、従来の方法から変化が生じます。変化への適応が困難であったり、従来の方法にこだわるメンバーは、新しいシステムに対して抵抗感を持つことがあります。このような状況が、メンバーのモチベーション低下につながる場合があります。
また、ITSMツールを使いこなすためには、一定の習熟期間が必要です。メンバーがツールの操作方法や機能に慣れるまで、一時的に作業効率が低下することがあります。これがストレスとなり、モチベーションが低下することがあります。
ITSMツールを導入することで、一部のコミュニケーションがツールを通じて行われるようになります。これにより、直接の対話が減り、人間関係が希薄になることが懸念される場合があります。対人関係が重視されるメンバーにとっては、モチベーションが低下する原因となることがあります。
これらの問題を解決するためには、組織内でのコミュニケーションや教育が重要です。ITSMツール導入の目的や効果をメンバーに理解してもらい、変化への適応をサポートすることが求められます。また、ツールを適切に活用しつつ、直接の対話や人間関係を大切にすることで、メンバーのモチベーションを維持・向上させることが可能です。
ITSMツールを利用するにあたり理解しておきたいITIL
ここでは、ITSMツールを利用するにあたって理解しておきたいITILについて解説します。
- ITILとは?
- ITIL:サービスストラテジ(戦略)
- ITIL:サービスデザイン(設計)
- ITIL:サービストランジション(移行)
- ITIL:サービスオペレーション(運用)
- ITIL:継続的サービス改善
それでは、1つずつ解説します。
ITILとは?
ITILとは、「Information Technology Infrastructure Library」の略で、ITサービスマネジメント(ITSM)のベストプラクティスをまとめた一連のフレームワークです。ITILは、イギリス政府が1980年代に開発を開始し、その後、世界中の企業や組織で普及しました。現在は、ITILの普及・啓蒙活動や認定制度を運営するAXELOS社が管理しています。
ITILは、ITサービスの提供に関わるプロセスを効率的かつ効果的に実施するための手法やガイドラインを提供しています。
ITIL:サービスストラテジ(戦略)
ITILのサービスストラテジ(戦略)は、ITサービスマネジメントの中で最も重要なフェーズの一つであり、ITサービスの方向性や目標を策定し、組織のビジネス戦略と連携させる方法について述べています。サービスストラテジの目的は、ITサービスがビジネス価値を最大化し、組織全体の目標に貢献できるように計画することです。
サービスストラテジには、以下の主要なプロセスが含まれます。
主要なプロセス | 内容 |
サービス戦略管理(Service Strategy Management) | 組織のビジネス戦略に対応したITサービス戦略を策定し、継続的に見直し・改善するプロセスです。 |
サービスポートフォリオ管理(Service Portfolio Management) | 提供されるITサービスを一覧化し、各サービスのコスト、価値、リスク等を分析・評価し、適切なサービス提供を維持・調整するプロセスです。 |
資源管理(Financial Management) | ITサービスのコスト管理や予算策定、投資評価など、財務面での管理を行うプロセスです。 |
需要管理(Demand Management) | 顧客のITサービスに対するニーズや要求を分析し、サービス容量やリソースの最適化を図るプロセスです。 |
ビジネス関係管理(Business Relationship Management) | 顧客とのコミュニケーションや信頼関係の構築、ニーズや期待の把握・管理を行うプロセスです。 |
これらのプロセスを通じて、サービスストラテジは組織のビジネス戦略とITサービス戦略を緊密に連携させることを目指します。これにより、ITサービスがビジネス価値を創出し、組織全体の競争力向上に寄与できるようになります。
ITIL:サービスデザイン(設計)
ITILのサービスデザイン(設計)は、ITサービスの設計や改善を行い、サービスの品質やパフォーマンスを最適化する方法について説明しています。サービスデザインの目的は、サービスストラテジジで策定された目標を実現するために、新しいサービスや既存サービスの変更を計画し、実装することです。
サービスデザインには、以下の主要なプロセスが含まれます。
主要なプロセス | 内容 |
サービスカタログ管理(Service Catalogue Management) | 提供中のITサービスの一覧を作成・維持し、顧客やステークホルダーに情報を提供するプロセスです。 |
サービスレベル管理(Service Level Management) | 顧客とのサービスレベル契約(SLA)を策定し、サービス品質の監視・改善を行うプロセスです。 |
容量管理(Capacity Management) | ITサービスのパフォーマンスや容量を監視し、需要に応じて適切なリソースを割り当てるプロセスです。 |
可用性管理(Availability Management) | ITサービスの可用性や信頼性を維持・向上させるための戦略やプロセスを策定するプロセスです。 |
ITサービス継続性管理(IT Service Continuity Management) | 災害や障害が発生した際に、ITサービスの運用を継続・回復させるための計画や手順を策定するプロセスです。 |
情報セキュリティ管理(Information Security Management) | ITサービスに関する情報資産の保護やリスク管理を行うプロセスです。 |
サプライヤー管理(Supplier Management) | サードパーティのサプライヤーとの契約やパフォーマンス管理を行い、サービスの品質を維持・向上させるプロセスです。 |
ITIL:サービストランジション(移行)
ITILのサービストランジション(移行)は、新しいまたは変更されたITサービスを運用環境に導入する際のプロセスや手順を提供しています。サービストランジションの目的は、サービスデザインで設計されたサービスを、効果的かつ効率的に運用環境に展開し、ビジネスへの影響を最小限に抑えることです。
サービストランジションには、以下の主要なプロセスが含まれます。
主要なプロセス | 内容 |
サービスカタログ管理(Service Catalogue Management) | 提供中のITサービスの一覧を作成・維持し、顧客やステークホルダーに情報を提供するプロセスです。 |
変更管理(Change Management) | ITサービスの変更を管理し、リスクを最小限に抑えながら、効率的に変更を実施するプロセスです。 |
構成管理(Configuration Management) | ITサービスに関連する構成アイテム(CI)の情報を一元的に管理し、変更やインパクト分析を容易に行えるようにするプロセスです。 |
リリースと展開管理(Release and Deployment Management) | ITサービスのリリース計画や展開手順を策定し、運用環境に安全かつ効果的に導入するプロセスです。 |
サービス資産と構成管理(Service Asset and Configuration Management) | サービス資産と構成アイテムのライフサイクル管理を行い、ITサービスの品質と効率を向上させるプロセスです。 |
知識管理(Knowledge Management) | ITサービスに関する知識や情報を収集、分析、共有し、意思決定や問題解決を支援するプロセスです。 |
これらのプロセスを通じて、サービストランジションはITサービスの変更や導入を円滑に行い、ビジネスへの影響を最小限に抑えることを目指します。また、サービストランジションは、組織内での情報共有やナレッジベースの構築を促進し、問題解決やリスク管理の効率化に貢献します。
ITIL:サービスオペレーション(運用)
ITILのサービスオペレーション(運用)は、日常的なITサービスの運用と管理を行うためのプロセスや手順について説明しています。サービスオペレーションの目的は、提供されるITサービスが安定的かつ効率的に運用され、顧客の期待に応える品質を維持することです。
サービスオペレーションには、以下の主要なプロセスが含まれます。
主要なプロセス | 内容 |
イベント管理(Event Management) | ITインフラストラクチャ上のイベント(異常、警告など)を監視し、適切な対応や通知を行うプロセスです。 |
インシデント管理(Incident Management) | ITサービスの障害や問題に対して迅速かつ効果的に対応し、サービスの復旧を目指すプロセスです。 |
問題管理(Problem Management) | ITサービスの根本原因を特定し、再発防止策を策定するプロセスです。 |
アクセス管理(Access Management) | ITサービスやシステムへのアクセス権限を適切に付与・管理するプロセスで、情報セキュリティを確保することを目指します。 |
リクエスト管理(Request Fulfilment) | ITサービスに関するユーザーのリクエスト(情報提供、サービス利用など)に対応するプロセスです。 |
これらのプロセスを通じて、サービスオペレーションはITサービスの運用を効果的に管理し、顧客満足度の向上やビジネス価値の創出を目指します。また、サービスオペレーションは、ITサービスの運用における問題やリスクの特定・対策を行い、サービス品質の継続的な改善に努めます。
ITIL:継続的サービス改善
ITILの継続的サービス改善(Continual Service Improvement, CSI)は、ITサービスの品質や効率を継続的に向上させるためのアプローチや手法について説明しています。継続的サービス改善の目的は、ITサービスがビジネスの変化や顧客の要求に柔軟に対応し、組織の競争力や価値を最大化することです。
継続的サービス改善には、以下の主要なプロセスや要素が含まれます。
主要なプロセス | 内容 |
CSIアプローチ(CSI Approach) | サービスの品質や効率を継続的に改善するための戦略的アプローチです。PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルやデマインクワリティサイクルなどの手法が利用されます。 |
サービスレビュー(Service Review) | ITサービスのパフォーマンスや品質を定期的に評価し、改善点や課題を特定するプロセスです。 |
プロセス評価(Process Evaluation) | ITサービス管理プロセスの効果や効率を評価し、改善策を策定するプロセスです。 |
定量的および定性的なKPI(Key Performance Indicators) | サービスやプロセスのパフォーマンスを測定・評価するための指標です。KPIは、サービス改善の効果や目標達成度を可視化することが目的です。 |
改善のための戦術的および戦略的計画(Tactical and Strategic Planning for Improvement) | 改善活動の優先順位やリソースの割り当てを決定し、目標達成に向けた計画を策定するプロセスです。 |
これらのプロセスや要素を通じて、継続的サービス改善はITサービスの品質や効率の向上を促進し、組織の競争力や価値創出を支援します。また、継続的サービス改善は、組織全体での改善意識や文化を醸成することで、持続可能な成長やイノベーションを目指します。
ITSMツールの種類
ここでは、ITSMツールの種類について解説します。
- オールインワン型
- 機能特化型
それでは、1つずつ解説します。
オールインワン型
オールインワン型ITSMツールとは、ITサービスマネジメント(ITSM)に必要な機能やプロセスを一つの統合されたソフトウェアにまとめたツールのことを指します。オールインワン型ITSMツールは、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、リリース管理、サービスカタログ管理など、ITサービスマネジメントのさまざまな機能を提供しています。
オールインワン型ITSMツールは、ITサービスの運用や管理を効率化し、組織全体で情報共有や連携を促進することができます。ただし、導入コストや運用コストが高くなることがあるため、組織の規模やニーズに応じて選択することが重要です。
機能特化型
機能特化型ITSMツールとは、ITサービスマネジメント(ITSM)の中で特定の機能やプロセスに焦点を当て、その機能に特化したソフトウェアのことを指します。機能特化型ITSMツールは、インシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理など、ITサービスマネジメントの各領域に特化して機能を提供しています。
機能特化型ITSMツールは、特定のITサービス管理プロセスを効率化したり、専門性を高めたりすることができます。ただし、複数の機能特化型ITSMツールを利用する場合、情報の一元化や業務連携が難しくなることがあるため、注意が必要です。組織の規模やニーズに応じて、最適な機能特化型ITSMツールを選択することが重要です。
ITSMツールの具体的な機能
ここでは、ITSMツールの具体的な機能について解説します。
- 記録
- ステータス
- 優先度付け
- 分類
- ワークフロー
- 検索
- 分析
- リポート
- 関連付け
それでは、1つずつ解説します。
記録
1つ目の機能は、記録です。ITSMツールの「記録」機能とは、ITサービスマネジメントに関連する情報やデータを記録・管理する機能のことです。この機能により、インシデント、問題、変更、構成アイテムなど、様々なITSMプロセスに関する情報が一元的に管理されます。
ステータス
2つ目の機能は、ステータスです。ITSMツールの「ステータス」機能とは、ITサービスマネジメントの各プロセスに関連する情報の現状や進捗状況を追跡・表示する機能のことです。インシデントの現状や対応状況、解決の進捗を一覧表示し、関係者が把握できるようにする機能は、ITサービス運用や管理における進捗管理や状況把握を容易にし、効率的な業務遂行を支援します。
優先度付け
3つ目の機能は、優先度付けです。ITSMツールの「優先度付け」機能とは、インシデント、問題、変更リクエストなどのITサービスマネジメントに関連する要素に対して、緊急度や重要度に基づいて優先順位を設定し、効果的な対応やリソース配分を行う機能のことです。
例えば、インシデントの影響範囲や緊急度に応じて優先順位を付け、対応の順序を決定します。これにより、重要なインシデントに迅速に対応し、サービスの安定性を維持することができます。
これらの優先度付け機能により、ITSMツールはITサービス運用や管理における効果的な対応やリソース配分を支援し、ITサービスの品質向上に寄与します。また、優先度付け機能は、他のITSMツールの機能と連携して、効率的な業務遂行や意思決定を実現します。
分類
4つ目の機能は、分類です。ITSMツールの「分類」機能とは、インシデント、問題、変更リクエストなどのITサービスマネジメントに関連する要素を、カテゴリーやタイプに分けて整理・管理する機能のことです。分類機能を使うことで、データの整理が容易になり、分析やレポート作成が効率化されます。
例えば、インシデントを発生原因、影響範囲、システムなどのカテゴリーに分類します。これにより、インシデントの傾向分析や対策の立案が容易になります。
これらの分類機能により、ITSMツールはITサービス運用や管理における情報の整理や分析を容易にし、効率的な業務遂行を支援します。また、分類機能は、他のITSMツールの機能と連携して、データの可視化や意思決定を実現します。
ワークフロー
5つ目の機能は、ワークフローです。ITSMツールの「ワークフロー」機能とは、インシデント管理、問題管理、変更管理などのITサービスマネジメントに関連するプロセスを自動化・効率化する機能のことです。ワークフロー機能により、業務の手順やルールが明確化され、関係者間の協力が促進されます。
例えば、インシデントワークフローでは、インシデントの報告から解決までの一連のプロセスを自動化・効率化します。これにより、インシデントへの迅速な対応や解決が可能になります。
これらのワークフロー機能により、ITSMツールはITサービス運用や管理におけるプロセスの自動化や効率化を支援し、業務遂行のスムーズさや品質向上に寄与します。また、ワークフロー機能は、他のITSMツールの機能と連携して、リアルタイムの情報共有や意思決定を実現します。
検索
6つ目の機能は、検索です。検索機能は、ITSMツールの中でも非常に重要な機能の1つです。この機能を利用することで、ユーザーや管理者は、インシデント、プロブレム、変更リクエスト、ナレッジベース記事、資産情報など、ITサービスマネジメントに関連する情報を効率的に探し出すことができます。
例えば、過去のインシデントや現在進行中のインシデントを簡単に検索し、類似の問題が過去に発生したかどうかを調べることができます。
分析
7つ目の機能は、分析です。分析機能は、データを収集し、分析し、改善点を見つけ出すことを目的としています。例えば、パフォーマンス分析では、システムのパフォーマンスを監視し、遅延や障害などの問題を特定するための機能です。これにより、管理者は問題を素早く解決し、サービスの品質を向上させることができます。
また、インシデント管理分析では、インシデントの原因や影響を分析し、再発防止策を立案するための機能です。これにより、システムの安定性を向上させることができます。
リポート
8つ目の機能は、リポートです。例えば、リアルタイムでシステムのパフォーマンスやインシデント、問題、変更リクエストなどの進捗状況を一覧表示し、管理者や利用者にわかりやすく提示する機能があります。
また、企業のニーズに合わせて、独自のレポートテンプレートを作成し、特定のデータや情報を抽出・分析できる機能も備わっています。
インシデントの発生頻度や解決までの時間、原因分析などの情報を集計・分析し、改善策を立案するためのレポートを作成する機能も含まれます。
関連付け
9つ目の機能は、関連付けです。例えば、インシデントと問題の関連付けでは、 類似性や共通性があるインシデントをまとめて問題として扱い、根本原因分析や解決策の策定を効果的に行うことができます。
インシデントの解決に伴うシステムやサービスの変更を管理し、変更の影響範囲やリスクを把握するための機能もあります。
ITSMツールを利用する際のポイント
ここでは、ITSMツールを利用する際のポイントについて解説します。
- 利用目的の明確化
- 操作性がよいかを確認
- 利用しながら改善していくこと
それでは、1つずつ解説します。
利用目的の明確化
1つ目のポイントは、利用目的の明確化です。これは、ITサービス管理ツールが多くの機能を持ち、企業や組織によってニーズが異なるためです。目的を明確にすることで、適切なツールを選択し、効果的に活用することができます。
例えば、利用目的が明確であれば、必要な機能や要件を絞り込むことが容易になり、適切なITSMツールを効率的に選定することができます。
利用目的を明確にすることで、経営陣や他部門への説明責任を果たしやすくなり、組織全体での理解と支持を得やすくもなるでしょう。
操作性がよいかを確認
2つ目のポイントは、操作性がよいかを確認することです。操作性がよいツールは、効率的な作業や迅速な問題解決につながり、ITサービス管理の品質向上に役立ちます。例えば、操作性が良いツールは、使い方を習得しやすく、スタッフの学習コストや時間を削減できます。
また、直感的な操作でタスクを実行できるため、作業効率が向上し、ITサービスの品質や速度を改善することができるでしょう。
その他、操作性がよいことでスタッフのストレスを軽減し、ユーザー満足度を向上させることができます。デモやトライアルがあれば、まずは試しに使用してみるとよいでしょう。
利用しながら改善していくこと
3つ目のポイントは、利用しながら改善していくことです。。ITSMツールは、ITサービス管理の効率化や品質向上を目指すためのツールであり、組織や環境の変化に柔軟に対応できるよう、継続的な改善が求められます。
例えば、ツールの導入後に運用状況を定期的に評価し、不具合や改善点を見つけ出すことで、より効果的な運用が可能になります。組織や環境の変化に応じてツールを改善・カスタマイズすることで、柔軟に対応する能力が向上していきます。
まとめ
ここまで、ITSMツールの概要、導入するメリット・デメリット、ツールの具体的な機能、ツールの選び方のポイントについて紹介してきました。ITSMツールを活用することでサービスデスクの工数削減につながり業務効率化にもつながっていきます。また、ITサービスを利用者がいつでも快適に使用できるようにするためにも、必要なツールになってきますので、利用目的を明確化し必要な機能が備わっているのか、トライアル含めて確認をしたうえで自社に導入するようにしましょう。