業務効率化とは?メリット・デメリットや具体的な手順・方法まで徹底解説!
業務効率化と生産性向上の違いを知りたい
業務効率化のメリット・デメリットを知りたい
業務効率化をするための具体的な手順から方法までを知りたい
近年、働き方改革や少子高齢化に伴う労働人口の減少により、ますます業務効率化の必要性が高まってきています。業務効率化を実現させることができれば、注力したいコア事業にリソースを割くことができ、企業の競争力強化にもつながります。
しかし、今まで慣れてきた業務の工程を変えることは、社内の反発が起きる可能性もあり、簡単に業務効率化ができるものではありません。
また、むやみに業務効率化をするために、各業務の工程を見直しても、かえって業務を煩雑にさせてしまうこともあります。
そこで今回は、業務効率化のメリット・デメリットを整理しながら、業務効率化をするための具体的な手順から方法、業務効率化における注意点についてわかりやすく解説します。
目次
業務効率化とは
業務効率化とは、業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を抽出し、省くことでプロセスを改善することをさします。また、結果として企業全体の生産性を向上させることができる取り組みが業務効率化です。
業務における「ムリ・ムダ・ムラ」というのは、下記を意味します。
■業務における「ムリ・ムダ・ムラ」
項目 | 内容 |
ムリ | ・実現不可能なスケジュールや目標が与えられ、従業員に過度な負荷になっている状態
・設置されている機器では対応できない仕事量である状態 |
ムダ | ・不要な会議が定例化している状態
・達成すべき目標に対して人的リソースを投下しすぎている状態 |
ムラ | ・時期によって仕事の負担の増減が激しく、その対応ができていない状態
・適切な人員配置ができておらず、仕事の品質がバラバラな状態 |
たとえば、
- 本来ならば1週間かけてとりまとめを行う資料をその日中に資料を作成し提出しなければならなくなり、ミスが起きて資料の品質が低下している
- 社内の不要な会議に時間をとられており、優先事項の高い取引先の対応が遅れている
上記の状態が業務における「ムリ・ムダ・ムラ」に該当します。
この業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を改善するためには、業務のプロセス全体を把握し、課題を見える化することが大切です。
業務効率化と生産性向上の違い
業務効率化と生産性向上は同じ意味の部分もありますが、手段と成果物のどちらに重きを置くかで意味が異なります。生産性向上は、より少ないリソースで高いアウトプット(成果)を出すことを意味します。
一方で、業務効率化は、成果を出すための手段の「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、より少ないリソースで少なくとも今までと同じ成果を出すことを意味します。そのため、業務効率化は生産性向上のための施策の1つであると言えるでしょう。
業務効率化のメリット
ここでは、業務効率化のメリットについて解説します。
- 時間的なコスト削減
- 従業員の満足度向上
- 生産性向上による利益増大
それでは、1つずつ解説します。
時間的なコスト削減
業務効率化のメリットの1つ目は、時間的なコスト削減です。業務における「ムリ・ムダ・ムラ」を排除することで、残業時間の削減が可能です。この残業時間の削減ができれば、人件費の削減につながり、コスト効率が高まります。
また、従業員にとっては、残業時間が少なくなることで身体的な負担の軽減にもつながり、働きやすい環境になるでしょう。ただし、必要な人件費を減らしてしまうことに該当する場合は、仕事の品質の低下にもつながるため、残業時間削減できた分を、ボーナス等で社員に還元する必要もあることは念頭に置いておくと良いでしょう。
従業員の満足度向上
業務効率化のメリットの2つ目は、従業員の満足度向上です。業務効率化がなされず長時間労働になってしまっている場合は、従業員の心身に大きな負担になっている可能性があります。業務効率化をすることで労働時間が短縮されれば、働きやすい環境にもつながるため、従業員の満足度向上や社員定着率の向上にも良い効果が出るでしょう。
生産性向上による利益増大
業務効率化のメリットの3つ目は、生産性向上による利益増大です。業務効率化により、時間的な余裕が出てくれば、従業員が今まで出してきたアウトプットの質も変わってくるかもしれません。また、人的余裕が無くて取り組めなかった新規事業にも着手することができるようになり、利益を新たに生み出す機会を得ることができるでしょう。
時間や経費などのコスト削減によって生産性が向上すれば、利益が増大する可能性があります。
業務効率化のデメリット
ここでは、業務効率化のデメリットについて解説します。
- ITツール導入のためのコストがかかる
- 新しい方法に慣れるまでに時間がかかる
それでは、1つずつ解説します。
ITツール導入のためのコストがかかる
業務効率化のデメリットの1つ目は、ITツール導入のためのコストがかかることです。業務効率化をするために、ITツールを導入する企業もすくなくないかと思います。しかし、このITツールを導入するにあたってコストがかかることは少なからず企業の負担になるでしょう。また、ITツールを使用することで情報の流出などのセキュリティリスクが出てくることも注意が必要です。
新しい方法に慣れるまでに時間がかかる
業務効率化のデメリットの2つ目は、新しい方法に慣れるまでに時間がかかることです。業務効率化につながるということで、今までの工程を刷新した場合、慣れ親しんでいる方法から急な転換をすることが難しい場合があります。そのため、新しい方法に慣れるまで時間がかかることも業務効率化をする際にデメリットとして出てくる可能性があります。
業務効率化を行うための具体的な手順
ここでは、業務効率化を行うための具体的な手順について解説します。
- 業務の全体像を把握
- 課題をの把握と優先順位付け
- どのような改善方法にするかを決定
- 業務効率化の効果検証を実施
それでは、1つずつ解説します。
業務の全体像を把握
具体的な手順の1つ目は、業務の全体像を把握することです。業務の全体像を把握するためには、現状の業務の棚卸をします。業務の棚卸を行う場合、担当部署・担当者・担当者数・その業務に必要なスキル・作業にかかる工数・時間などをまとめておくと現状が把握しやすくなります。
課題の把握と優先順位付け
具体的な手順の2つ目は、課題の把握と優先順位付けをすることです。成果には直接関係のない工程に多くの時間や人を割いている場合は、改善する余地があります。また、課題の把握をしてから一気にすべての課題を改善すると、現場が混乱するなどの無理が生じる可能性があるため、どの課題から業務効率化していくのか優先順位を決めると良いでしょう。
効率化の効果が出やすい業務や簡単に効率化をすることができる業務は何かを把握すると優先順位が決めやすくなります。具体的には、業務にかかわっている従業員が少ないシンプルな業務やマニュアル化しやすい定型的な業務などが該当します。
どのような改善方法にするかを決定
具体的な手順の3つ目は、どのような改善方法にするかを決定することです。ツールの導入やアウトソーシングなど改善方法は、状況に応じて様々選ぶことができます。その改善方法を考えるための指標として、改善の4原則の「ECRS(イクルス)」を使用してみることも1つの方法です。
■改善の4原則「ECRS(イクルス)」
項目 | 内容 |
E(Eliminate(排除)) | 不要な工程や業務を排除してやめる。コスト削減、利益率向上につながる。 |
C(Combine(結合)) | 関係性・類似性のある業務を一本化してまとめる。 |
R(Rearrange(入替え)) | 作業工程の見直し、工程や担当者を入れ替える。 |
S(Simplify(簡略化)) | 目的を達成することができる範囲で作業工程の簡略化をし、従業員のミス防止・負担の軽減につなげる。 |
E→C→R→Sの順番で改善方法を検討していくと、適切な改善方法にたどり着けるでしょう。
業務効率化の効果検証を実施
具体的な手順の4つ目は、業務効率化の効果検証を実施することです。業務効率化をするために、ITツールを導入して運用して終わりでは、効果があったのかがわかりません。そのため、一定期間、業務効率化の施策を実施したあとは、必ずどの程度効果が出たのか確認し、次の改善をするというPDCAサイクルを回していくことが重要です。
一度業務改善を行ったら終了するのではなく、定期的なモニタリングをすることで業務効率化を効果的に進めていくことが可能となります。
業務効率化を行うための具体的な手段
ここでは、業務効率化を行うための具体的な手段について解説します。
- 無駄な業務をやめる
- マニュアル・業務フローチャートの作成
- 業務の分業化・業務をまとめる
- アウトソーシングの活用
- RPAやツールの導入
- 情報共有の効率化
それでは、1つずつ解説します。
無駄な業務をやめる
業務効率化を行うための具体的な手段の1つ目は、無駄な業務をやめることです。仮に業務効率化をするために、新しい方法にシフトする場合、慣れていないため組織の中に浸透するまでに時間がかかります。それに比べ、無駄な業務をやめることは、今まで行ってきた業務をやめるだけで済むため、ハードルが低く気軽に実行できる業務効率化の具体的な手段です。
たとえば、定例化している会議で必要のないものは思い切ってやめてみたり、ほとんど活用されない資料は作成するのをやめたりすることが挙げられます。
マニュアル・業務フローチャートの作成
業務効率化を行うための具体的な手段の2つ目は、マニュアル・業務フローチャートの作成です。特に定型化できる業務に対しては、マニュアル・業務フローチャートの作成をすることで、誰もが同様のプロセスを踏んで業務をすることができるようになります。また、マニュアルを作成することで、同様のプロセスを踏むことができるため、提供できるサービスの品質も一定にすることが可能です。
業務の分業化・業務をまとめる
業務効率化を行うための具体的な手段の3つ目は、業務の分業化・業務をまとめることです。関係性・類似性のある業務を一本化することで、情報が一元化できるようになります。そのため、こまめな業務連絡を行いながら連携をとっていた場合に、その連絡の頻度が解消されるため、業務付加の軽減につながります。
また、分業を行う場合は、その業務に独立性があったり、各担当者の習熟度を早めたほうが業務効率化につながる場合は、分業を選択すると良いでしょう。
アウトソーシングの活用
業務効率化を行うための具体的な手段の4つ目は、アウトソーシングの活用です。社内の従業員ではなく、外部に定型的な業務を委託することで、コア業務に集中できる環境を作ることが可能です。具体的には、総務・経理・Webサイトの制作など、外部の企業に委託するケースがあります。ただし、アウトソーシングした分野は、社内に知見がたまらなかったり、かえってコストが高くなってしまうケースもありますので注意が必要です。
RPAやツールの導入
業務効率化を行うための具体的な手段の5つ目は、RPAやツールの導入です。RPAは、Robotic Process Automationの略で、データ入力・転記と言ったPC上で行う定型業務をロボットで自動化することです。具体的には、メールの問い合わせ内容をエクセルに転記をしたり、残業の多い社員に自動でアラートを鳴らしたりなど、ルールに基づいて実行してくれます。
また、ITツールでは、チャットやオンライン会議など情報共有やコミュニケーションに関して高い業務効率化をすることが可能です。
情報共有の効率化
業務効率化を行うための具体的な手段の6つ目は、情報共有の効率化です。ITツールを活用して、従業員同士のノウハウや知見を共有できる環境を構築することで、組織全体の業務効率化・生産性の向上につながります。また、新人の教育にかける時間もノウハウの共有が常にアップデートされていれば、時間短縮につながることでしょう。
業務効率化する際の4つの注意点
ここでは、業務効率化をする際の4つの注意点について解説します。
- 業務の担当者への事前説明などを行う
- ITツールを導入する場合は操作性の確認が必須
- 従業員の意識改革
- 効果検証を定期的に実施
それでは、1つずつ解説します。
業務の担当者への事前説明などを行う
1つ目の注意点は、業務の担当者への事前説明などを行うことです。実際に実務を行っている担当者には、業務効率化をするために省いた工程の説明や、ITツールを導入するのであれば、その操作の説明などを事前にしておく必要があります。
もし、その事前の説明が従業員にされない場合は、スムーズに業務効率化の施策に対応することが難しくなってしまうので注意が必要です。
ITツールを導入する場合は操作性の確認が必須
2つ目の注意点は、ITツールを導入する場合は操作性の確認が必須であることです。業務効率化をするために、ITツールを導入しても現場の使用者にとって、使い勝手の悪いツールの場合は、逆に業務が煩雑になってしまいます。
そのため、誰もが操作しやすいITツールなのかは事前に確認しておくと良いでしょう。また、操作性の他に、そもそもの業務効率化をするための機能がそろっているのかは事前に確認しておくようにしましょう。
従業員の意識改革
3つ目の注意点は、従業員の意識改革が必要であることです。ITツールを導入しただけでは、業務効率化は進みません。主体的に従業員も業務効率化を進める目的や業務プロセスを変えることで、どのような業務効率化につながるのかを理解することで、業務効率化の効果が出るようになります。
必ず、従業員に業務効率化の目的を理解してもらいながら業務効率化を進めていくようにしましょう。
効果検証を定期的に実施
4つ目の注意点は、効果検証を定期的に実施する必要があることです。業務効率化をするための施策を実施したからと言って、必ず効果がでるわけではありません。また、業務効率化が一時的にできたとしても、定期的にモニタリングをすることで、新たな課題が見つかる場合もあるため、従業員の声をヒアリングしながら効果を検証していくようにしましょう。
まとめ
ここまで、業務効率化のメリット・デメリット、業務効率化を行うための具体的な手順や方法について解説してきました。まずは、業務全体を把握するために業務の棚卸をする必要がありますし、その中で見つけた課題に対して優先順位をつけながら業務効率化を図る必要があります。また、ITツールを導入するとしても、目的を達成するための機能があるか、まずは確認し、操作性が問題ないか現場担当者と確認しながら導入の検討をしていくと良いでしょう。
業務効率化を成功させ、企業全体の生産性向上につなげるためにも、これまでのことを参考にしてみてはいかがでしょうか。