API、SDK、iFrame:組み込みBIの実践ガイド

API、SDK、iFrame:組み込みBIの実践ガイド

要約

ソフトウェアにアナリティクス機能を組み込みたいと考えていますか?

統合の方法を選ぶ際のポイントは、「コスト」「開発期間」「カスタマイズ性」のバランスです。

  • iFrame:最も迅速で低コストに導入できる方法。基本的な読み取り専用のアナリティクスに最適。

  • API:最大の柔軟性と制御性を持ち、ユーザー体験を深くカスタマイズ可能。ただし、最も多くの開発リソースを必要とする。

  • SDK:APIよりも少ない工数で、ネイティブアプリのような操作感を実現できる開発者向けのツールキット。まさに中間的な選択肢。

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ソフトウェア製品のプロダクトオーナーであれば、組み込みアナリティクスが優れたユーザー体験を提供し、真にデータドリブンなアプリケーションを実現するための鍵であることはすでにご存知でしょう。

いま問うべきは「組み込むかどうか」ではなく、「どのように組み込むか」です。最適な統合戦略を選ぶには、専門用語に惑わされず、本質を見極める必要があります。

このガイドでは、現代の組み込みBIモデルを支える3つの技術的アプローチ ― API、SDK、iFrame ― の実際的な違いとトレードオフに焦点を当て、あなたの製品を変革するための最適な判断材料を提供します。

 

iFrame:なぜ最も簡単にアナリティクスを組み込めるのか?

手軽に、かつローコードでアナリティクスを組み込みたい場合、iFrame が最適な選択肢です。

iFrameは、アプリ内に「ウィンドウ」を設置して、別のウェブページのコンテンツ ― たとえばYellowfinのダッシュボード ― を自社の顧客ポータル内に読み取り専用で表示する仕組みと考えると分かりやすいでしょう。

この方法の最大の利点は導入スピードの速さです。開発リソースが限られていたり、短納期のプロジェクトであっても、数日ではなく数分でアナリティクス機能を追加できます。

ただし、iFrameの「シンプルさ」には限界もあります。ユーザーはダッシュボードとネイティブに対話することができず、アプリの一部というよりは外部コンテンツの埋め込みのような印象になりがちです。また、フレーム内で別アプリケーション全体を動かすため、パフォーマンスが低下する場合もあります。UI要素の一部を非表示にすることは可能ですが、カスタマイズ性は限定的です。

組み込みアナリティクスの全体像や統合レベルについてより詳しく知りたい方は、ぜひ『組み込みアナリティクスの究極ガイド』をご覧ください。

API:柔軟性とコントロールを高める方法とは?

より細かい制御や高度なカスタマイズが必要な場合、API が最適な選択です。

APIは、あなたのソフトウェアとBIソリューションの間をつなぐ「通信の橋渡し役」です。これにより、ソフトウェア製品からBIツールにデータのリクエストを送信したり、結果を受け取ったりすることができます。つまり、単なる埋め込みではなく、製品の一部として自然に溶け込むような組み込みアナリティクス体験を構築できるのです。

APIを利用すれば、データのクエリー実行、ダッシュボードのプログラムによる生成・埋め込み、ユーザーアクセスの管理、特定のイベントに基づくレポート自動生成などが可能です。

開発面では、BIソリューション側のAPIサポートと、ユーザー認証(多くの場合はシングルサインオン・トークン)やスクリプト処理を自分たちで実装する必要がありますが、その分、UIを一から作り直すことなく、シームレスで直感的なユーザー体験を実現できます。

たとえば、YellowfinのJavaScript APIを使えば、ユーザーはアプリの中でデータの操作やフィルタリング、レポートのドリルダウンを行うことができます。外部のBI画面に遷移する必要はありません。

このような統合的でスムーズな操作性は、SaaS型プロダクトにおいて重要な差別化要素となります。

APIは、BI機能を自社アプリにしっかりと統合し、顧客ごとに柔軟なコントロールとパーソナライズを提供したいチームに最適なアプローチです。

関連記事:組み込みBIの未来:オーバーヘッドなしでカスタマイズ

 

SDK:統合をスピードアップさせる仕組みとは?

SDK(ソフトウェア開発キット)は、APIを使いやすくするためのツールボックスです。

BIプラットフォームのAPIを利用する際に必要な、あらかじめ構築されたツールやコードをまとめて提供しており、開発者がより迅速かつ安全に統合作業を進めることができます。

例えばYellowfinでは、JavaScript (JS) API をSDKのように活用でき、レポート・チャート・ダッシュボード・ストーリーなどのコンテンツをウェブアプリ内に直接埋め込むことができます。

具体的には、ページ内に小さなスクリプトを挿入し、YellowfinのJS APIをコンテンツID付きで呼び出すだけです。

Yellowfinは、レポートのUUIDや幅・高さなどのパラメータを含むスクリプトタグを自動生成できます。これをページ内に挿入すると、iFrameを使わずにDOM内に直接Yellowfinのレポートやダッシュボードを描画できます。さらに、関数呼び出しによって事前フィルターを適用することも可能です。

SDKによる統合には多少の開発工数や認証処理(多くの場合SSO)の対応が必要ですが、結果として得られるのはネイティブアプリのような滑らかで統一感のある操作体験です。

このアプローチは、UIを一から構築する手間をかけずに、高度なコントロールとパーソナライズを提供したいチームに最適です。

 

Yellowfin独自の埋め込みアプローチ:REST APIによる統合

最大限の柔軟性を求める場合、Yellowfinは第4の選択肢としてREST APIによる統合を提供しています。

REST APIは、サードパーティ開発者がYellowfinプラットフォームとプログラムを通じて直接連携できる強力で柔軟な手段です。さらに、JS APIと組み合わせることで、既存のシステム連携やユーティリティを拡張・強化することも可能です。

REST APIを利用すれば、データの取得、ダッシュボードの作成、ユーザー管理、システム設定やユーザーロールの構成、タスクの自動化など、あらゆる操作をプログラム的に行えます。

これにより、自社アプリケーションに完全にネイティブな形で溶け込み、データセキュリティやガバナンス要件にも準拠した高精度なバックエンド統合を実現できます。

より詳しい技術情報については、Yellowfin WikiのREST APIのページをご参照ください。

組み込みBIに最適なアプローチを選ぶには?

では、自社製品にとってどの方法が最適なのかをどのように判断すればよいでしょうか?

ポイントは、スピード・コスト・コントロールのバランスにあります。

ニーズを評価する:コスト、時間、カスタマイズ性

  • iFrame は、迅速かつ低コストで導入したい場合に最適です。最小限の工数で分析機能を追加できますが、統合の深さやカスタマイズ性は限定されます。

  • API は、最も高いレベルのコントロールとカスタマイズ性を提供しますが、開発工数の投資が必要です。分析機能をユーザー体験の中核に据えたい成熟度の高い製品や、専任の開発チームを持つ企業に適しています。

  • SDK は、その中間に位置します。APIほどの開発負荷をかけずに、ネイティブで一体感のある体験を実現できるため、効率性と柔軟性のバランスを取りたい場合に理想的です。

 

コア統合以外に考慮すべきポイント

BIプラットフォームを選定する際は、単なる埋め込み方法だけでなく、自社プロダクトの高度なニーズをどの程度サポートできるかも重要です。

例えば、AIを活用したアナリティクス機能を備えていれば、ユーザー自身がサポートチームに頼らずレポート作成やデータ分析を行えるようになります。

また、SaaSプロダクトの場合、各顧客のデータを完全に分離・保護するために、堅牢なマルチテナンシー機能を持つBIプラットフォームを選ぶことが不可欠です。

Yellowfinスタイルは、クライアントのブランドカラーに合わせて再ブランド化でき、サービスとして統一感のある外観を実現します。

エンドユーザーにとってシームレスなUXが重要な理由

最終的に最も重要なのは「ユーザー体験」です。

ユーザーがどのレベルの操作性やインタラクションを期待しているのか、自問してみましょう。

ユーザーが単にレポートやダッシュボードを閲覧するだけで十分な場合は、iFrameで問題ありません。

一方、ユーザーがアプリケーション内の既存ワークフローの中でデータをフィルタリング・探索・操作したい場合には、APIやSDKを活用して、真にシームレスで魅力的なユーザー体験を構築する必要があります。

 

今こそ、組み込みBIでさらなる価値を提供する時です

競争の激しい市場では、単に優れたプロダクトを持っているだけでは不十分です。

iFrameのスピード、APIの柔軟性、SDKの効率性――どの方法を選んでも、最終的な目的は同じです。それは、より優れたデータドリブンな体験を提供し、顧客との関係をより深めること

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