収益構造の分析とは?2つの分析方法からわかる原因と対策について解説
収益構造の分析のメリットに関して知りたい
収益構造の分析の方法を知りたい
収益構造の分析におけるコストダウンの考え方を知りたい
多くの企業が収益改善のために、日々さまざまな施策を実施し取り組んでいることでしょう。しかし、自社全体として業績が悪くなっていることがわかっても、どの事業や、どの製品の何を改善すべきかわからないこともあるのではないでしょうか。
収益構造がわかれば、自社の事業や製品のどこに課題があるのかも的確に見えてきます。今回は、その収益構造の分析の概要から具体的な分析方法などをわかりやすくまとめてみました。これから収益改善のために自社の収益構造の分析に取り組まれる方などは、是非ご一読いただければと思います。
目次
収益構造の分析とは?
収益構造の分析とは、事業のどの部分に予算をかけて最終的にいくらの利益を稼いでいるのかというビジネスの基本的な枠組みを把握し分析することをいいます。
収益構造の改善を図りたい場合に、この収益構造を理解していないと改善することができません。どの部門が赤字になっているのか、どの製品の販売が芳しくないのかを把握する必要があります。
そのため、収益構造を把握するために、どの事業がどの程度悪化しているのか詳細に調べて確認する必要があります。
収益構造分析のメリット
収益構造分析のメリットとしては、収益改善を図ることができるようになることです。収益構造分析をすることで、足を引っ張っている事業や製品が何かを把握することができます。足を引っ張っている製品の中で物流などの製品の素材以外で費用が膨らんでしまっている場合もあるかもしれません。
収益は、「収益 = 売上 – コスト」になるため、収益改善を図るためには、売上を上げるか、コストダウンするかの二択になります。収益構造分析によって、自社の赤字になっている事業や製品を把握し、売上・コストの課題を把握し収益改善をはかっていきましょう。
収益構造の分析方法
ここでは、収益構造の分析方法に関して解説します。
- セグメント分析
- 損益分岐点分析
それでは、1つずつ解説します。
セグメント分析
収益構造の分析方法の1つ目は、セグメント分析です。セグメント分析は、事業別・商品別・顧客別で損益がどの程度出ているのかを確認します。事業全体として悪化していると捉えるのではなく、不採算になっている事業や売れていない商品、利益が出ていない顧客の取引はどのようなものなのかを把握するようにします。そして、なぜ利益が出ていない状況になっているのかを詳しく調べて原因をつきとめ課題を抽出し、それに対する改善施策を検討します。
損益分岐点分析
収益構造の分析方法の2つ目は、損益分岐点分析です。損益分岐点は、収支がゼロになる売上・販売数量の分岐点のことを言います。その損益分岐点を分析することで、赤字の事業や販売不振の商品がどれだけ売れれば、黒字になるのかが把握できます。なお、売上高から変動費を差し引いた金額を限界利益と言います。限界利益は、固定費を回収するための利益になるため、限界利益が固定費よりも少ない金額の場合は事業の存続が厳しいと言えるでしょう。
収益構造の分析結果でわかる売上高とコストの関係性
ここでは、収益構造の分析結果でわかる売上高とコストの関係性について解説します。
- 変動費型コスト構造
- 固定費型コスト構造
それでは、1つずつ解説します。
変動費型コスト構造
1つ目は、変動費型コスト構造です。変動費型コスト構造は、総コストのうち変動費の占める割合が高いコスト構造のことです。変動費型コスト構造は、売上高に比例して変動費も増えていくため、利益の伸び幅が小さいビジネスモデルです。ただし、売上高の減少によって大幅な赤字が出ることも少ないため、ローリスクローリターンの構造と言えます。課題としては、低収益であるため変動費の調整と販売価格を上げるための他商品との差別化です。
固定費型コスト構造
2つ目は、固定費型コスト構造です。固定費型コスト構造は、総コストのうち固定費の占める割合が高いコスト構造のことです。損益分岐点が低い場合、売上高が伸びれば、大きく利益を確保することができます。ただし、売上高が減少することで固定費の占める割合が大きいため、大きな赤字に転落するリスクも伴います。変動費型コスト構造と異なり、ハイリスクハイリターンの構造と言えます。
課題としては、固定費の占める割合が高いため固定費を削減するのか、もしくは、製造をアウトソーシング化することで固定費を変動費にシフトするなどと言った施策の検討をすることが考えられます。
収益構造の分析でわかる収益悪化の3つの原因と対応策
収益構造の分析でわかる収益悪化の3つの原因と対応策について解説します。
- 売上高が不足している
- 固定費が高い
- 変動比率が高い
それでは、1つずつ解説します。
売上高が不足している
収益悪化の1つ目の原因は、売上高が不足していることです。売上高が不足している場合の対応策としては、販売単価を高めにするか、販売数量を増やすことです。顧客が今まで購入している商品の上位モデルに移行してもらえるように営業活動をしたり、いつも購入している商品に関連した商品を追加で購入してもらうための営業活動をするなどが具体的な対応策として挙げられるでしょう。
固定費が高い
収益悪化の2つ目の原因は、固定費が高いことです。固定費が高く、損益分岐点も高い場合は売上が減少したときに大きな赤字につながる場合があります。そのため、固定費が高い場合は、どの費目が固定費が高くなっている原因になっているのか確認する必要があります。一般的に固定費は、減価償却費、人件費、地代家賃などがあります。
変動比率が高い
収益悪化の3つ目の原因は、変動比率が高いことです。変動比率は、売上に対しての変動費の割合のことですが、変動比率が高い場合は低収益になる場合があります。そのため、変動費を圧縮する必要があります。変動費は、仕入原価、支払手数料などがあります。仕入れ先へ交渉をして仕入れ原価をおさえるか、材料を変更して仕入原価を安くする取り組みなどが改善案として挙げられます。
収益構造の分析におけるコストダウンの考え方
ここでは、収益構造の分析におけるコストダウンの考え方について解説します。
- 現状のコストと標準コストの比較
- 標準コストの引き下げ
- コストダウンに成功した一部を従業員に還元
それでは、1つずつ解説します。
現状のコストと標準コストの比較
1つ目は、現状のコストと標準コストの比較です。現状のコストが標準コストと同等もしくは下回っているのかを確認する必要があります。仮に、標準コストよりも高い場合で、かつ、無駄がある場合はコストコントロールができていないことになります。コストをかけなければ売上・利益につながらないものですが、標準コストと比較したうえで無駄なコストになっていないかを再度確認するようにしましょう。
標準コストの引き下げ
2つ目は、標準コスト自体の引き下げです。現状のコストが標準コストの水準に達している場合、よりコストダウンするとすれば標準コスト自体を引き下げることです。標準コストの引き下げの具体的な方法としては、仕入れ先の変更や原材料の変更による方法があります。海外で商品を製造し、人件費をおさえることも標準コストの引き下げにつながります。
コストダウンに成功した一部を従業員に還元
3つ目は、コストダウンに成功した一部を従業員に還元することです。コストは、本来、売上を創出するために積極的にかけていくものです。そのため、コストダウンに成功した一部を従業員に給与として還元してあげることで社内のモチベーションを高めることも重要です。
まとめ
ここまで、収益構造の分析についてメリット・分析方法のほか、コストダウンの考え方についてまとめてきました。収益構造の分析ができるようになれば、事業や製品のどの部分を改善すればよいか課題を把握することが可能です。
収益改善の大きな方向性としては、売上の拡大、もしくは、コストダウンをすることです。収益構造の分析を的確に行い、どの事業や製品にテコ入れをして売上の拡大やコストダウンを図るのか検討するようにしましょう。