分析アプリケーションのためにデザインすべきペルソナ
すべての分析アプリケーションのデザインで、考慮すべきペルソナが3つあります。
組み込み分析アプリケーションのデザインにおいて、誰がアプリケーションを使用することになるのかを明確にすることが大切です。
すべての製品がそれぞれに異なりますが、わたしたちのYellowfinでの経験では、分析アプリケーションを使用するペルソナは大きく3つにわけられます。それは、エグゼクティブ、分析ユーザー、業務ユーザーです。アプリケーション構築時には、これらのペルソナを考慮し、それぞれの最適な使用に合わせたアプリケーションやコンテンツを作成する必要があります。
1.長期的視点の高レベルな情報が必要なエグゼクティブユーザー
エグゼクティブは、あなたのプロジェクトを後押しする非常に重要な存在です。彼らは、ビジネス戦略における長期的な決断をするため、ビジネスのパフォーマンス状況や、時間経過に伴い発生する傾向、KPIや指標などのトップレベルな情報すべてが、彼らを優れた意思決定へと導きます。彼らの決断は、長期に渡りビジネスに影響を与えるため、最低でも3年分のデータを検証する必要があります。
エグゼクティブは常に忙しいため、彼らに提供する情報は、視覚的に明確であることが重要です。一目見ただけで、それが意味するところを把握できなくてはいけません。ダッシュボードやモデル、シュミレーションなどは、エグゼクティブに情報を提供する場合に非常に有効な方法です。
情報に深みを持たせることで、彼らは質問に対する答えを素早く見つけることができます。深みのレベルをアーカイブすることはチャレンジであり、既存のアプリケーションでもなかなかできません。彼らの意思決定に価値を与えるために、競合の製品では提供されないであろう質問の答えを検討しましょう。例えば、差し迫った課題に対する早期警告や、ユーザーがデータに関するコメントを共有できるコラボレーション機能は、情報に深みを与えます。ストーリーを提供することで、さらに詳細な情報が必要な場合に、ストーリーとともにデータを検証する機会を与えることもできます。
つまり、エグゼクティブユーザーのためには、より長期的な視点(約3年)に渡る傾向に焦点をおくことが最も重要です。エグゼクティブユーザーは忙しいです。そのため、情報が明確に、素早く活用できる状態で提供されることが大切です。
2.精通した技術とともにデータの検証を必要とする分析ユーザー
分析アプリケーションのパワーユーザーは、大部分がデータアナリストです。彼らは技術を理解し、本質的なビジネス課題を把握しているので、データを掘り下げ、より深いところで検証できる高度な分析ツールを求めています。オンライン分析処理やアドホッククエリー、モデル化などは、彼らの需要に合わせたデータの細かい検証を可能にします。大部分のアナリストは技術に精通していますが、時には彼らにもトレーニングが必要であり、それにより、活用するだけでなく、独自のコンテンツを自ら構築できるようになります。
分析ユーザーは中期的な視点(例:今年と昨年の比較)で意思決定を行うため、最低でも過去12か月分を遡り、関連するデータの詳細を掘り下げたいと考えています。彼らがダッシュボードやスコアカード、その他コンテンツを自ら構築できるようにすることで、彼らは他のユーザーが活用しやすい分析を生み出すことができるようになります。
分析ユーザーは一般的に、そのほとんどの時間を製品に費やし、機能の完全性を最も重視します。また、気に入らない機能や変更に対して、最も意見をするユーザーでもあります。大多数の製品マネージャーは、これらのパワーユーザーに対して、合理的で優れた対応をしていますが、彼らはあくまでペルソナのひとつであることを忘れてはいけません。業務ユーザーやエグゼクティブが意見を述べる機会は少ないですが、顧客に価値を追加する製品を構築するうえでは等しく重要になります。
3.日々の運用を維持する必要のある業務ユーザー
業務ユーザーは、彼らの日々の役割のパフォーマンスを強化するために、情報を使用します。彼らは一般的に短期的な視点に立って作業をするユーザーであり、在庫状況や日々の売上に関心のある在庫管理者や店長、またはセールス担当者のパフォーマンス状況を確認するセールス責任者などが該当します。
業務ユーザーの時間の90%以上は、彼らの作業を管理することに費やされるため、作業を促進するために必要な情報を確認する時間は、残りの10%しかありません。そのため、彼らは分析で行き詰まることなく、今日実施すべきことだけを把握したいと望んでいます。
彼らは、シンプルで的確な情報を求めています。それは、簡単に解釈することができ、彼らの目的に特化していなくてはいけません。彼らにとって扱いづらいダッシュボードやレポートを構築しても、ただ単純に使われないだけです。
これらのタイプのユーザーのために、レポートは様々なソースから提供されます。業務ユーザーに、適切なレポートやダッシュボード、スコアカードなどのビジュアライゼーションへのアクセス権を提供することで、彼らの売上統計や顧客情報などのトラッキングを支援します。彼らには、日時で更新される詳細な業務メトリクスが必要であり、トランザクションレベルの詳細を掘り下げる必要性はあまりありません。
ユーザーを本質的に理解するためには、各特定のペルソナを構築することが重要です。そのためには、これら3つの広範なグループの活用が有効ですが、それでもなお、彼らの課題や、データの使用方法、彼らが行う特定の意思決定を理解するための作業が必要です。これは、彼らに必要なアクセス権や、その頻度、情報の詳細レベルを決定するうえで役立ちます。大部分のペルソナには、すべての機能は必要なく、すべてのデータを利用する必要もありません。
優れた分析アプリケーションは、それぞれのユーザーが、彼らの作業を推進するうえで必要な情報のみを提供します。そのため、適切なペルソナを構築することが重要なのです。