【導入事例】株式会社デンソー特別対談 Pt.1

【ユーザー対談】デンソーのデータ活用基盤の構築とユーザーへの浸透の取り組みを実体験から学ぶ!【Part 1】

デンソーは2014年にホストコンピューターで行ってきたエンドユーザーによるデータ活用基盤をYellowfinにリプレースすることを決め、構築、導入、展開まで行ってきた。

その過程で同社が乗り越えた苦労や成功事例が優れた取り組みであったと認められ、2020年2月に日本データマネジメント・コンソーシアム(JDMC)によるデータマネジメント賞のアナリティクス賞を受賞した。

JDMCでは毎年、データマネジメントにおいて他の規範となる活動を実践している企業・機関の中から優秀な取り組みをしている企業を表彰している。デンソーは2020年データマネジメント アナリティクス賞を受賞。

アナリティクス賞は膨大なデータを分析し、実際のビジネスの現場で活用することにより多大な成果を上げた取り組みに対して授与される。デンソーはYellowfinを導入し、データ分析基盤を構築。利用部門自身によるデータ分析業務を定着させる取り組みが評価されたという。

本来はJDMC主催のカンファレンスでこの取り組みの詳細が発表される予定であったが、コロナ禍によりイベントの開催方式が変更され登壇が叶わなかったため、今回、対談形式でのインタビューを実施した。

Yellowfinを導入したきっかけは何か。またそれをどのように広げ、ユーザー自身が分析できるように定着させていったのか。

デンソー 情報システム部 デジタル化推進室(当時)の香田洋範氏、およびYellowfinの導入を支援したNTTテクノクロスの北川武志氏、石黒博之氏にお話を伺いました。

写真:(左上から右回りにデンソー 香田氏、Yellowfin Japan 林、NTTテクノクロス 北川氏、 NTTテクノクロス 石黒氏)

株式会社デンソー

株式会社デンソー
1949年設立。世界ナンバー2の売り上げ規模を誇る自動車部品メーカー。35の国と地域で拠点を展開。「電動化」「先進安全/自動運転」「コネクティッド」「非車載事業(FA/農業)」の4分野のコア技術開発に注力している。

NTTテクノクロス株式会社

NTTテクノクロス株式会社
2017年4月、NTTアイティ株式会社と旧NTTソフトウェア株式会社が合併するとともに、NTTアドバンステクノロジ株式会社からメディア系技術の事業を譲受して発足。NTT研究所の世界に誇る最先端技術をビジネス活用できるようソリューション創出に取り組んでいる。

 2014年よりデンソーはYellowfinのBIを社内に展開

 

林: 本来はJDMCのアナリティクス賞受賞時に発表いただくことになっていたんですが、コロナの関係でイベントの開催方法が変更になったりとバタバタがありまして、結局発表いただくことができなかったので、デンソーさんでの導入の経緯や苦労、活用事例など、世に出さないのはもったいなさすぎますからね。今回、こういう場を持たせていただきました。

それではまずは皆さんの自己紹介からお願できますか?

 

香田: 1991年に日本電装(現在のデンソー)に入社して以来、ずっと情報部門で働いています。同時期にデンソーはシミュレーションを行うためスーパーコンピュータ「CRAY(クレイ)」を導入し、私はCRAYを使ったシミュレーションの外販活動に従事していました。

 

北川: クレイ…!

 

香田: その後、3次元CADの社内導入プロジェクトに従事。自動車メーカーと3次元設計データのやり取りをするため、データのフォーマット変換のプログラム開発になどに携わりました。

その後、トヨタ自動車に出向し、トヨタ社内での3次元CAD設計の展開に2年間携わった後、デンソーが100%出資する子会社であるデンソーITソリューションズ(現在はデンソーに吸収合併)に出向し、技術系のWebシステムの開発やヘルプデスクを担当。

デンソーに戻り、2014年からYellowfinの社内展開の業務に従事しています。

 

林: ありがとうございます。ではもうお二方ですね。NTTテクノクロスの北川さん、自己紹介をお願いしてもよろしいですか?

 

北川: ええと、これはどこから始めればいいのかな。(笑)

 

香田: 北海道の話 (北川さんの出身地)までは遡らなくても良いと思いますけどね(笑)

 

北川: (笑) 私は1996年に新卒で当社の前身となるNTTソフトウェアに入社して、入社してから14年間くらいですかね、当社の社内システム、いわゆる基幹系や財務系、調達系などのシステムの構築にあたっていたんです。

2000年に入ってから、SAPやSalesforceの導入を経験して、最終的にたどりついたのがBIというところでした。

というのが、基幹系やっててデータが溜まっていっても、なかなか活用してないよねというのがあって。

その当時の当社は経営が悪化しており、その原因をつかむためデータを活用しようとしてもそれが出せないようなシステムだったので、そこでBIを入れてみようという話になり、導入するプロジェクトに携わりました。

その経験を元に、NTTグループ以外のお客さまにソリューションを売る部隊に異動し、以来12~3年ぐらいBIに携わっている感じです。

自社でのそういう経験から始まっているところが、他のSIerとの違いだと思います。

デンソーさんとのお付き合いは3年前くらいになるんですかね。

Yellowfinさんの新製品発表会か何かで当時の神谷室長から、「Yellowfinを活用するとこでお手伝いいただけませんか」とお声がけいただいたことで、それをきっかけにお手伝いさせていただいて今に至るというところになります。

 

林: ありがとうございます。より現場に入られて行くというスタイルの支援をされているんですね。

 

北川: あの時感じた、情報活用しなきゃダメだというのが強いんですよね。

 

林: これまでの累計だと、どのくらいのお客さまをサポートしているのでしょうか。

 

北川: 200社ぐらいだと思います。

 

林: ありがとうございます。ではもうお一方なんですが、実際に、デンソーさんのプロジェクトに入って、現場で支援されていた石黒さん、自己紹介をお願いできますか?

 

石黒: よろしくお願いします。私は、2007年に入社して、最初はコールセンター系のシステム開発などに携わっていましたが、ちょうど今から10年前の2011年から、北川のチームに参画しました。

当時はまだビッグデータと言うキーワードもない時代でしたが、そのときから億レベルのデータを扱うところでBIに携わらせていただきました。

大きいデータをどう効率的に扱うかというのと、北川からもありましたが、お客さまに寄り添って、使い方を拡げていくようなスタイルの仕事の仕方が好きだということもあって、継続してやらせてもらっています。

東京のとある交通系企業のログ分析システムの立ち上げをやらせていただいて、デンソーさんのYellowfin活用のためのプロジェクトに参画したのが2年前の5月。

デンソーさんのユーザーへの教育など、Yellowfinの活用するきっかけのための支援に従事してきました。

 

林: まずはここからですかね。JDMCのアナリティクス賞を受賞されました。受賞の感想をお願いできますか?

 

香田: 正直、なぜ、当社の取り組みが表彰に値するのか、どこがすごいのかわからないというのが本音です。

受賞したといっても、コロナ禍で表彰式にも参加していないですし実感もありません。

私としては普通のことを普通にやってきただけなので、何が評価されたのか未だによくわかりません。

今日も当社のお話をしてみなさん、面白いのかと不安に感じているところです。

デンソーのBI導入は基幹システム刷新プロジェクトの一環だった

 

林: 授賞式がなかったのは残念でしたよね...。

しかし、この対談記事を見られるみなさんは面白いと思うはずですよ! 

Yellowfinは国内では700社以上のお客さまに導入いただいておりますが、その中でもデンソーさんは圧倒的にエンドユーザーの数が多いんですよね。

そして成果も上げていらっしゃいます。その取り組みの中ではさまざまな苦労があったと思いますので、そのお話をいただければと思います。

まずは、BIツールの選定のお話について。2013年ぐらいからですかね?BIの選定をされていたということですが、当時はどういう目的でどのようなポイントでツールを選定していったのでしょうか?

 

香田: 当時、デンソーには30年以上前から使っている、ホストで稼働する基幹システムがありました。

長年使っていたため、データのシステム間連携がとても複雑なっていました。

内部的なコードがシステムごとに異なる上、データの連携はバッチ処理で行うので、1日1サイクルしかデータのリフレッシュができませんでした。

また中の仕組みを理解しているエンジニアが定年退職していくという問題もありました。

そこでコード体系の整備、システム連携のシンプル化、データリフレッシュの短サイクル化、最新技術に置き換えるという目的で、基幹システムの刷新プロジェクトが立ち上がりました。

デンソーでは、基幹システムは情報部門が用意しますが、基幹システムのデータを2次活用する業務はユーザー部門が自分でやるという文化が根付いています。

つまり我々が作った基幹システムのデータをユーザーがダウンロードしてパソコンで加工するというのが、ユーザー部門の一般的なデータ活用の仕方なんです。

基幹システムが旧型のホストからWeb系のシステムに置き換わることは、ユーザーの仕事のやり方も変わることになります。

それに伴い、基幹システムのデータを利用するツールとしてBIツールを導入することに決めました。

 

林: 最初のBIツール導入の対象になったのが、確か生産管理のシステムでしたね。

 

香田: そうです。デンソーには生産管理、調達、経理、営業など旧型のホストで動いている基幹システムがあり、そのいずれもBIツールの導入対象でしたが、最初にターゲットになった基幹システムが生産管理の仕組みでした。

その理由はこれらのシステムの中で最も複雑で、最もデータ活用に問題を抱えていたからです。

だから生産管理のシステムから着手することにしました。

 

選定時に重視していた5つのポイントにマッチしたのがYellowfin

林: 当時、エンドユーザーコンピューティングと言う言葉がよく出ていましたが、エンドユーザーが自分たちでデータを活用できるようにするためのBIツール導入だったのですね。

複数のツールから、Yellowfinを選定された経緯についてお聞かせいただけますか?

 

香田: BIツールをエンドユーザーコンピューティングで利用するにあたって5つの選定ポイントがありました。

  • 第一にユーザー自身が自由にテーブルを結合したり、作ったデータを他のユーザーと簡単に共有できること。
  • 第二にセキュリティという観点から、作成したデータをローカルPCに保存しなくても参照できること。
  • 第三に海外拠点で利用できること。
  • 第四に継続的に、長く使える仕組みであること。
  • 第五は金額的にも安価に導入できることです。

 

 

林:なるほど、そのお眼鏡にかなったのがYellowfinだったと。

 

北川: この当時、デンソーさんでは「IoTで世界130工場をつなぎ、2020年までに生産性を2015年比で30%高める」という目標を掲げた「ダントツ工場」プロジェクトを推進されていましたよね?基幹系システムの刷新もその一つの施策だったのでしょうか?

 

香田: それとはまた別ですね。ダントツ工場はモノづくりにフォーカスした取り組みで、無駄な作業の削減とラインの稼働率向上によって生産性を高めるための取り組みです。

基幹系システムの刷新は、先にも述べたようにシステムの複雑化やバラバラなコード体系、基幹システムを知っている人材がいなくなった、データのリフレッシュが日単位でしかできないなどの課題を解決するためでした。

Yellowfinの導入、そして挫折

 

林: 情報活用がメインと言うより、基幹システムメインで始まったプロジェクトだったのですね。

 

香田: はい。最初に刷新に取り組んだ生産管理のシステムは、拡大・複雑化するデンソーグループのサプライチェーンに対し、グローバルなアクションの迅速化とJIT(ジャストインタイム)強化が狙いでした。

 

林:30年も使っていると業務もユーザーニーズも変わって、機能も次々に追加していく。これは想像するだけで、相当な増改築を繰り返した城のようなものですよね。

 

香田:そうなんです。1カ所直そうと思ってもその影響範囲が多岐に渡っているので、直せないんです。

 

北川: そうですね・・・。

 

香田: だから、まったく違うところに似た機能を作るのです。

そのため、生きているのか死んでいるのか分からないコードがあちこちにあり、ソースコードが肥大化していく。そんな状態です。

 

林: まったく同じではありませんが我々もパッケージソフトウェアを作っているので、ここを変えるとどこに影響があるかといったことは良くありますね。

 

香田: でもYellowfinはそれでも10年とかですよね? うちは30年選手ですからね(笑)

 

一同爆笑

 

林: 一応、我々ももう20年近いんですが。

 

香田:それでも10年の違いがありますね(笑)

 

一同爆笑

 

林: 負けました(笑)

 

香田: もうね、そういう感じですから触れない、触らないというコードが山のようにありますね。

 

林: なるほど。どこの企業さんでも似たようなプロジェクトというか、新しい仕組みに変えていくということはやられていると思うので、今回の内容が参考になれば良いですね。

そんな環境下でBIツールを入れることになったというわけですね。

ですが、情勢の変化があり、一度、BI活用を挫折されたという話をお聞きしましたが、その辺りを詳しくお話いただけますか?

 

香田: デンソーでは基幹システムを利用したエンドユーザーコンピューティングの業務はものすごく裾野が広いんです。

今回、最初にプログラム移行しようとした生産管理のシステムを参照していたプログラムは7600本ありました。

 

林: うわぁー、7600本。それはすごいですね...。

 

香田: もちろん、その中には使われていないプログラムもありますし、バージョン1、2、3と似たようなプログラムもたくさんありました。

つまり複製なども含めた数が7600本でした。これを全部Yellowfinに移行してもらうために、1本1本、プログラムの所有者をリストアップしたところ、所有者がすでに社内にいないプログラムもたくさんありました。

 

林:ちなみに、7600本を調査するだけでも相当な時間がかかりそうですが

 

香田: はい。リストアップは簡単にできるのですが、そのプログラムが必要かどうか、私たち情報部門では判断できません。

そこでYellowfinに移行するプログラムなのか、そのまま塩漬けにするプログラムなのかをユーザー部門で選別をしてもらうことにしました。

次にユーザー部門のYellowfin活用のリーダーに対し、Yellowfinの活用方法について教育を施し、そのリーダーが得たノウハウを部門内で広めてもらうことで、プログラムの書き換えを進めていただくことにしました。

我々情報部門は定期的にユーザー部門を巡回し、プログラムの書き換え状況や困りごとなどをサポートするという仕組みを整え、移行を進めていったのです。

 

林: なるほど。あくまで最終的に作るのはエンドユーザーさんの役割にされたんですね。

 

香田: はい。そうです。まずは選別することで本数を減らして、置き換えは情報システム側でやるのは大変なので、エンドユーザーにやっていただくという方針で進めましたね。

 

石黒: そこでユーザー部門の反発はなかったのでしょうか。

 

香田: 反発はありました(笑) できないと言ってくる人、我々の要請を徹底的に無視する人など様々です。

エンドユーザーは日常業務がある中で、プログラムの移行をするのですから。

しかも今、基幹システムでできていることと同じことをYellowfinでできるようにするのです。

工数をかけてやっても、プラスアルファのうれしさはありません。

 

石黒: 確かにそうですね・・・。

 

香田:移行に協力してくれた人も基幹システムが変わると自分たちの仕事ができなくなるので、仕方なくやっていたというのが本音でしょう。

 

林: エンドユーザーにとってはプラスになる明るい未来があるような、前向きな取り組みではなかったと。

 

香田: そうですね。そう言った中でやってはいただいていたんですがなかなか置き換えが進んでいかなかったんです。

理由を聞くと、そもそも今回の導入のきっかけは基幹システムの刷新だったんですが、どうもそれが遅れてるぞというのがエンドユーザーの間で広まっていまして…

 

林: あるあるですね。

 

香田: そういう情報って早いですよね…

 

石黒: そうですね (笑)

 

香田: 来年から必要だから今年中にやらなきゃいけないはずだったんですが、半年延びたらしいよとか、じゃあ、急いでYellowfinに置き換えなくても自分たちの業務は止まらないとうすうす感じられていたんですね。

結局、このプロジェクトを2年間続けて、Yellowfinに移行できたのはたったの3%でした。

 

林: 7600本のうちのですか? 3%なるほど...。

 

香田: そうですね。あんなに色々教育や進捗の確認など、様々な取り組みを実施してきたんですが、結局、2年間で3%だったんですね。

 

林:その中でも進んでやられた方はいらっしゃったんだとは思いますが、全体的な拡がりには至らなかったんですね。

 

香田:そうなんです。2年間プロジェクトを継続しましたが、基幹システムの刷新プロジェクトは中止するというトップ判断が下されたのでやむを得ないですね。

 

林:そういうことだったんですね。凍結するということは、当然、BI導入も影響を受けますよね。目的がなくなってしまったということで。

 

香田: 生産管理のシステムが変わらないので、プログラムを移行する必要はなくなりました。

一方で、Yellowfinに移行した3%の人は元に戻れないので、Yellowfinを使い続けなければなりません。

Yellowfinを2年前に導入ましたが、ユーザーは少ししかいない、どうしようという感じでした。

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