自動アナリティクス成熟への3段階
※動画は英語です。
BI業界での自動化や、各ベンダーが拡張アナリティクスや自動アナリティクスに対応する方法を見ていると、その成熟段階が3つに分かれていることが分かります。
フェーズ1:優れたダッシュボードの構築
自動アナリティクス成熟に向けた最初の段階は、ユーザーがプラットフォームにデータを読み込むワークブックモデルであり、そこから自動化が優れたダッシュボードの構築をサポートします。これは手作業でデータを読み込むため、ライブではありません。バックエンドへのアクセス権や知識を持たないビジネスユーザーの場合、基礎となる情報を更新するためには、データアナリストに頼り続けなくてはいけません。一度データを読み込むと、プラットフォームはアルゴリズムを実行して、データに基づくレイアウトを推奨します。これは簡素なモデルであることが多く、タイムシリーズを基にした分析や、複雑なものを作り出すことはできません。
この段階を重宝するのはアナリストです。プラットフォームは、アナリストの分析をサポートし、優れたダッシュボードを構築する方法を提案します。しかし、この段階は、ビジネスユーザーがインサイトを発見するサポートをしません。何かが変化したり、ビジネスに新しい傾向が発生しても、ビジネスユーザーに通知されることはありません。プラットフォームはその時点のデータしか確認しないため、自動アナリティクスが実行するように、継続的に変化をモニタリングし続ける訳ではないのです。
TableauやQlik、PowerBIなど、多くのベンダーは、ダッシュボードのレイアウトに、この手の自動推奨機能を搭載しています。
フェーズ2:自動インサイト
自動アナリティクス成熟への第2段階は、ユーザーが質問をすることで、アプリケーションがデータの分析を実行し、答えを引き出します。基本的に、調査はユーザー主導です。
この機能は、ユーザーが異常値やデータの急増など、質問のトリガーになる事象を既に確認し、プラットフォームに投げかける質問を事前に把握しています。プラットフォームがユーザーに代わり、詳細な調査を行う訳ではありません。プラットフォームは、既存のデータディスカバリープロセスを自動化しますが、質問すべき項目の理解は、ユーザーにゆだねられています。そのためこの機能は、ビジネスユーザーではなく、主にデータアナリストに使用されます。
分析における最大の課題のひとつは、問題がどこにあるかを把握し、製品にそれを確認させることです。この段階のプラットフォームは、この課題に対応しません。多くの場合、ユーザーは、あまりに多くの情報を受け取るだけで終わります。その良い例が、Salesforce Einsteinです。これは、統計的に関連のある情報を際限なく提供しますが、現実的にこれがアクションにつながることはなく、潜在的な影響は非常に小さいため、最終的に得られるインサイトはまったく関係のないものになります。
何かしらの自動インサイトを搭載しているプラットフォームは、ThoughtSpot、Domo、IBM Watoson、そしてYellowfinの自動インサイト機能です。
フェーズ3:異常値や傾向を特定
この段階では、プラットフォームが自動的に異常値や傾向の変化を検知し、ユーザーに注意を促します。これが、成熟した自動アナリティクスです。これは、技術だけの問題ではないため、この機能の開発はベンダーにとって大きな挑戦です。ユーザーがアナリストからビジネスユーザーに変わるということは、完全に異なる考え方を要求されるため、ユーザエクスペリエンスの再考が必要になります。
データ通知を重要と解釈する要因について検討し始めると、その背後にたくさんの英知が詰まっていることに気が付くため、技術的にも大きな挑戦であることに変わりありません。変化を説明できるようにするために、クエリーを発行するデータセットについて、より深く理解しなくてはいけません。これはつまり、適切な情報を表面化させるために、プラットフォームが大量の分析を実行しなくてはいけないことを意味します。
これをうまく機能させるためには、自動分析は、ユーザーに何かを表示する際に、それが十分に価値のあることなのかを判断できなくてはいけません。大規模で複雑なビジネスでは、誰にその情報を表示するかにより、その価値も異なります。CEOにとってはあまり重要ではなくても、組織の下部にいるユーザーにとっては重要かもしれません。適切な情報の提供が課題になりますが、これこそが自動アナリティクスが本質的な価値を生み出す場でもあります。
この段階では、ダッシュボードへの依存も解消されます。ダッシュボードにログインする代わりに、発生と同時にビジネスユーザーに最も関連する通知が、プラットフォームから直接提供されます。これが、分析の未来像です。
わたしたちは、Yellowfin8を通して、この自動分析機能を提供する初期段階にあります。Yellowfin以外でこの分野に対応しているベンダーは、Outlierのようなスタートアップのみです。しかし、既に大手ベンダーは、これらの小規模スタートアップを買収することで、出来るだけ早く彼らのアイデアを内部に取り込もうとしています。SalesforceはDatoramaとBeyondCoreを買収し、WorkdayはStoriesを買収しました。これらの動きからも、自動インサイトが、BI/アナリティクス業界の将来であることが明確に示されています。
BI業界の自動化の流れは、業界内の技術欠如により促進されてきました。充分な数のデータアナリストを確保できないため、多くの人々が可能な限りのプロセスを自動化しようと試みています。しかし、わたしはこの次の段階は、単に機械的なタスクを自動化するよりも遥か彼方にいくと確信しています。これはつまり、重要なインサイトがすべてを見つけてくるため、ユーザーはもはやダッシュボードなど必要なくなることを示唆しています。想像しただけで、ワクワクする展開です。
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