Part4:機械学習、AI、自動化がAIアダプションの障壁を打ち破る方法

Part4:機械学習、AI、自動化がAIアダプションの障壁を打ち破る方法

4回構成の本ブログシリーズでは、これまでの3回でアナリティクスの現状やBIアダプション(ユーザー適用率)の欠如に関する調査、BIの歴史と拡張アナリティクス時代に辿り着いた道のり、データ文化の成長を妨げる4つの主要なBIアダプションの障壁についてみてきました。最終回である今回は、AIや機械学習(ML)、自動化がどのようにしてこのギャップを埋めるのかについて紹介します。

AI主導のテクノロジーはどのようにしてアダプションギャップを埋めるのか

アルゴリズムは、膨大な量のデータに隠れたパターンやインサイトを明らかにする際に非常に効果的です。専門家たちは長年にわたりビジネスが直面する課題の解決にアルゴリズムを利用してきましたが、近年見られる処理能力の発達により、これらのモデルの開発や実行はよりアクセス可能になりました。企業がすぐに利用できる汎用ハードウェアプラットフォーム上で実行することもできます。これにより、ML主導のアナリティクスという新しい時代が幕を開けました。

BIベンダーは、高度に直感的な方法で自社のプラットフォームにアルゴリズムを統合し始めており、隠れたインサイトを特定して、インサイトを企業に提供するうえでツールをより効果的にすることを約束しています。複雑なGPSテクノロジーが、携帯電話に必須の標準搭載機能になったのと同じように、アルゴリズムの活用はBIツールに標準の機能になりつつあります。インサイトの取得が自動化されることで、ユーザーはそれがバックグラウンドで稼働していることに気付きもしないでしょう。

AIとMLがアダプションの障壁を克服する4つの方法

アダプションを低下させている4つの課題に対応して、これらのテクノロジーが障壁克服に役立つ4つの方法を紹介します。

1.自然なインタラクション

データとのインタラクションにさらに直感的な方法を提供することで、この基礎となるテクノロジーを活用して、ビジネスは必要なインサイトを表面化させることができます。検索やメニューベースのインタラクションにより、ユーザーは慣れ親しんだ方法でデータにクエリーを発行できます。または、クリックをして回答する機能はデータポイント、つまりデータの急増などをクリックすることで、その発生原因を説明し、その背後にあるデータを自動的に可視化できます。このように、より自然なクエリー手法は、突如として幅広いビジネスにインサイトを明らかにする能力へのアクセスを提供します。

データアナリストのために、エンジンは準備段階中にデータをスキャンし、データに改善や調整が必要な箇所の特定をサポートするプロファイリング情報を自動的に提供します。アナリストに値や範囲、外れ値を即座に知らせ、提案をして、データセットの準備を自動化します。

分析そのものになると、ツールは線形回帰やランキングなどのアルゴリズムを実行し、データがいつ変化するかを判断して、最も関連する結果を表面化させることで膨大な作業をバックグラウンドで自動的に実行することができます。これらはその後、自動的に生成され、インターフェース内でビジュアライゼーションとして表示されます。製品の洗練度に応じて、パターンの類似する相関データを可視化し、これらの情報をユーザーに表示することもあります。相関は必ずしも因果関係を示すわけではありませんが、一致する情報は一般的に表面化する価値があります。

 

2.自然言語アシスタント

自然なインターフェースをさらに一歩進めることで、アナリティクス製品は自然言語機能を含みます。データの解釈にはコンテキストが重要なため、ツールが読者に伝えるための説明文を数行生成し、データに関する優れたコンテキストを提供できれば、アナリティクスが正確に解釈されるアシストをすることができます。

これが、本当の意味での「セルフサービスアナリティクス」です。上記項番1と組み合わせることで、より自然な方法でデータへの質問を提起したり、明確な説明とともにデータの変化を自動的に表面化したりすることができます。これは、ドラッグ&ドロップでクエリーを構築し、手作業でインサイトを見つけるのとは対照的です。

3.データアナリストのためにインサイトまでの時間を短縮

自動化は、データアナリストに自由をもたらします。機械が膨大な作業をこなすことで、アナリストは、実際の分析やデータの解釈、ビジネスのためにそれをアクションへ導くなど、より価値の高いタスクに集中することができます。テクノロジーにより作成が自動化され、データディスカバリータスクが大幅に高速化されるため、すべてのビジネスクエリーに新しいデータビジュアライゼーションを作成するために費やす時間が短縮されます。

4.予測分析から価値を引き出す

BIプラットフォームに予測モデルを統合することで、アナリストとデータサイエンティストとの間に架け橋が築かれました。PMMLモデルのようなデータサイエンスモデルは、データ準備やトランスフォーメーションレイヤーに投入し、本番データに対して実行することができます。企業のデータとともにモデルを本番利用することで、ビジネスは自社のプラットフォーム上で実際のシナリオに基づく価値を即座に確認することができます。ビジネスのアナリティクスに対する最優先事項を示す以下のグラフからも、新しいデータモデルの本番利用は優先度の高い事項であることが分かります。

機械学習のさらなるパワー

既存のアナリティクスのフロントエンドを越えて、アルゴリズムをデータライフサイクル全体に適用することもできます。これはデータの矛盾を検知し、外れ値を特定して、データモデリングに推奨を提供します。また、複数のデータソースに渡る標準化を自動化することで、データ準備を容易にすることもできます。

自動化は人々を退屈な作業から解き放ち、より創造的な作業に時間を割けるようにします。これは、ビジネスが機械が持つ圧倒的なボリュームの力を、人間のこころと組み合わせるのを可能にします。アナリティクスの自動化は、質問が提起されたときに即座に応答することで、インサイトをアクセス可能にします。これはまた、技術のないユーザーでも優れたデータの解釈を可能にすることで、組織のアナリィテクスアダプションを拡大につなげることができます。これはわたしたちが直面する未来であり、わたしたちの分析へのアプローチに革命をもたらし、慢性的なアダプションの欠如を回復に導くでしょう。

残された課題

新しい自動化時代のBIやアナリティクスの発達にも関わらず、未だに課題が残ります。データへの信頼がそのひとつですが、これには新しい理由があります。ユーザーは、隠れた部分にあるものを信頼できることを把握する必要があります。彼らは、使用されているアルゴリズムや方法論を常に確認できるわけではありません。クラウドに対する懐疑論があったように、BIツールのこれら新しい機能にも同様の懐疑論が生まれるでしょう。ユーザーにアルゴリズムの正確性を納得させたり、結果が生成される方法に可視性を提供することは、彼らがツールを信頼し、それにより機械が提供するデータやインサイトを信頼するようになるうえで最も重要になります。

関連性は、アダプションへのもうひとつのカギです。機械は、膨大な量のデータに関する膨大な数の「インサイト」を引き出すことができますが、その情報に関連性が無ければ(例:夏季にエアコンの売上が急増する)、ユーザーは即座にそのツールの使用を止めるでしょう。ML(Machine Learning:機械学習)が生成する結果は見た目に優れ、膨大な量の詳細を説明しますが、インサイトが特定のユーザーに関連しない場合、それは役に立ちません。(中には既に実施しているベンダーもいますが)ツールはフィードバックループの中で構築し、ユーザーにとって重要なインサイトをアルゴリズムが提供できるように訓練する必要があります。

同様に、ユーザーは、機械が提供する無数のアナリティクスに対応したくないので、ユーザー自身がパラメーターを定義できるようにBIツールには柔軟性が要求されます。必要なデータを含めるか除外するか、発行する特定のクエリータイプを指定できる必要があります。

 

ビジネスでのアダプションを加速させる方法

まずは、既存のアナリティクスソリューションを確認し、ビジネスが直面しているアダプションの障壁を特定します。各ビジネスはそれぞれに異なり、それに応じた異なる対応が必要になります。

障壁を特定したら、BIツールのロードマップを確認します。すべてのBIベンダーが、それぞれのプラットフォーム内にMLやAI、NLP(Neuro Linguistic Programing:神経言語プログラミング)といったテクノロジーを既に持っている、あるいは間もなく持つようになるでしょう。しかし、各ベンダーの適用方法は異なり、それを異なる機能のために使用しています。現在使用しているプラットフォームが、ビジネスニーズを満たしていることを確認しましょう。このテクノロジーは、ビジネスがデータとインタラクションを取る方法を根本的に変更するため、アナリティクスツールセットを使用して、アナリストのためだけではなく、ビジネス全体を促進するデータインサイトを収集するには今が絶好の機会です。

すべての人々のために自動化するツールを探す

企業全体にわたるアダプションを実現したい場合、データアナリストとビジネスユーザーの両方を満たすアナリティクスツールを選択しなくてはいけません。

 

データアナリストのための自動化

アナリストは、より価値の高いタスクである実際の分析を行うために解放されるべきで、自動化は膨大な作業を行うことでこれをサポートします。アナリストは一般的に、質問と最終目標を持ってデータディスカバリーにアプローチします。そのため、彼らが使用するツールは、データにターゲットを絞った複雑なクエリーにさえも適用され、求めている関連するインサイトを提供できる能力がなくてはいけません。機械が驚異的なスピードで数百万ものデータポイントを処理することで、アナリストは膨大な時間を要求されるインサイトの探索から解放され、貴重なデータの提供と解釈にその時間を費やすことができます。

ビジネスユーザーのための自動化

ビジネスユーザーは、即座にインサイトを必要とすることが多く、その結果としてアクションポイントが何になるのかをユーザーが解釈できるようサポートする説明を備えている必要があります。ここで、自然言語による説明がデータの解釈をアシストします。

自然言語について言えば、そのすべては機械についてではなく、コンテキストがデータの外側で発生するので、ユーザー主導でなくてはいけません。コラボレーション機能の統合により、ユーザーは機械が生成したものに、独自のコメントやさらに外部のインサイトを追加できるようになりました。

機械を活用するときでさえ、分析パラメーターはユーザーにより定義されるべきです。これにより、ツールが関連するすべてのデータポイントをユーザーに提供し、その中から関連するものを彼ら自身が選択するであろうという想定を防ぐことができます。フィードバックループの中に構築されたツールはそれからテクノロジーをサポートすることで、各ユーザーに関連するインサイトを改善します。

 

すべてのユーザーのためのプロアクティブな自動化

BI業界でのAIや機械学習の継続的な発達により、プロアクティブかつ自動化されたインサイトを見ることができます。Yellowfin シグナルのような新しい自動データディスカバリー製品により、ユーザーは変化の無いダッシュボードを確認し続けることがなくなりましたが、傾向の変化や、外れ値、ステップの変更など、データの変化や、相関するデータなどを即座に通知されるようになりました。これらは標準的なアラートではありません。これらは、これまでのデータから通常を外れたデータの変化に基づき、自動テクノロジーにより自動的に生成されます。これら自動アラートは、追加されたコンテキストツールとともに提供され、他のチームや企業全体に共有できるさらなるコンテキストを追加することができます。

 

アダプションの障壁を打ち壊すカギとなるAI

現在のBIやセルフサービスアナリティクスの世界では、企業全体にわたるBIツールのアダプションの欠如は、ビジネスの成長を妨げる頑固な問題です。データインサイトへ積極的にアクセスをしているのは、データへのアクセス権を持つユーザーの半数以下であり、ビジネスの大部分は未だに直感に大きく頼っています。過去数十年にわたる、利用できるテクノロジーのスピードと洗練度の急速な進歩にも関わらず、アダプションは業界を苦しめ続けています。

データは今までにないくらい膨大になり、高速で提供され、驚異的な多様性を誇ります。これらすべてがデータとクエリーをさらに複雑にし、インサイトを抽出するために形式を整える必要性を追加しました。つまり実際のところ、アナリティクステクノロジーの進歩は、データそのものが成長するスピードにまったく対応できていないということです。これは、アナリティクスツールがよりアクセス可能になったにも関わらず、これを本質的に有効活用するためには、専門的な技術が要求されるということです。

しかし、わたしたちは現在、拡張分析や自動化がアダプション課題のソリューションになりつつあることを確認しています。企業のすべての人々が自動化を利用でき、インサイトの取得という面倒な作業がなくなったとき、多くの人々が以前まで要求されていた労力なしにBIツールやインサイトから恩恵を得ることができるようになるため、アダプションは自然と増加するでしょう。

インサイトは自然言語によるコンテキストとともに通知としてプロアクティブに提供されるようになるため、自動化はインターフェースの難しさの障壁を取り除くでしょう。これらの自由により、日々のビジネスでの意思決定に役立つデータインサイトと対話する従業員数が大幅に増加することが期待されます。データに基づく意思決定により、ビジネスは最適化され、より効果的な競争力を得ることができます。

BI業界の自動化は、人間が行うよりも非常に短時間で膨大な量のデータを正確に機械が処理することで、インサイトまでの時間を劇的に短縮します。データアナリストはこれにより、より多くのクエリーを実行し、以前は膨大な手作業無くして答えることのできなかった質問に回答するためにデータを掘り下げることができるようになります。そして、BIプラットフォームにデータサイエンスモデルを直接統合し、これらが直接企業のデータに適用されることで、ビジネスは予測データモデルの価値を素早く確認できるようになります。

このテクノロジーは人々を退屈な作業から解き放ち、価値の高い作業に時間を割けるようにします。これは、ビジネスが機械が持つ圧倒的なボリュームの力を、人間のこころと組み合わせるのを可能にします。自動化は、質問が提起されたときに即座に応答することで、インサイトへのアクセスを可能にします。これはまた、技術のないユーザーでも優れたデータの解釈を可能にすることで、組織のアナリィテクスアダプションを拡大につなげることができます。

本ブログシリーズのこれまでの投稿は、以下のリンクからご確認ください。

Part1:現在のBIアダプションの状況

Part2:拡張分析時代に辿り着いた道のり

Part3:BIアダプションの4つの主要な障壁

アナリティクスにおける市場をリードする自動化

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