トップBIダッシュボードのデザインベストプラクティス(パート1)

トップBIダッシュボードのデザインベストプラクティス(パート1)

データビジュアライゼーションおよびデータディスカバリーは、ビジネスインテリジェンス(BI)の提供において最も重要な要素であるため、適切であるに越したことはありません。

データビジュアライゼーションは、2017年 BARC The BI Surveyにおけるビジネスインテリジェンス最大のトレンドです。ビジュアライゼーションは、その大部分がダッシュボードを通して提供されるため、これが毎年トレンド一覧の上位に入ります。

酷いビジネスインテリジェンスダッシュボードのデザインや提供に一貫してつきまとう問題は、BI自体の目的である、人々が意思決定を行い、パフォーマンスの向上のためにアクションを実行するときに役立つ、正確で、事実に基づくインサイトを得る、ということに反しています。データインサイトに基づきアクションを実行することで、プロセスを改善し、競争優位性を実現できます。

「ダッシュボードは、ひとつ以上の目的を達成するために必要とされる、最も重要な情報を視覚的に表示します。これを、ひとつの画面に統合して配置することで、情報を一目で監視できます。」

- インテリジェンスエンタープライズマガジン、「Dashboard Confusion:ダッシュボードの混乱」著者、Stephen Few

ダッシュボードの失敗という悲惨な状況を回避するために、把握しておくべきことは、以下の通りです。

ダッシュボードデザインのためのベストプラクティストップ5

1.最優先事項は見た目ではなく、コミュニケーション

みなさんの目標は、事実であるデータを基に、より素早く、正確な意思決定を行えるようになることです。

それは、ダッシュボードが見た目に美しいということではありません。ダッシュボードを見た目に魅力的に作成することで、見ていて楽しいだけでなく、ユーザーが初期段階で使用する可能性を高めることができるかもしれませんが、これはダッシュボードが本来の役割を果たしているとは言えません。ダッシュボードは、最適な方法で、適切な情報を素早く、そして明確に伝える必要があり、簡単に言えば、見た目に美しいことは目的ではありません。

目的は、コミュニケーションです。

それでは、ダッシュボードをどうやってコミュニケーションさせるのでしょうか。それには、ダッシュボードが、ビジネスが直面する質問に答えられるようにデザインしなくてはいけません。ダッシュボード上の各レポートやKPIは、重要な情報を提供する必要があります。つまり、レポートやKPIは、ダッシュボードが構築された目的の質問に答えなくてはいけません。

見た目の魅力は、ユーザー使用率を押し上げるかもしれませんが、機能的には役に立ちません。ダッシュボードは、ユーザーが使用し始める前に、ビジネスの質問に答えることのできる有用性を備えている必要があります。

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2.最新のダッシュボードはウェブベースが必須

ウェブ以外の方法でのBIダッシュボードの提供は、データガバナンスの観点からリスクを伴います。これはまた、限定的でもあります。ダッシュボードがウェブベースでない場合、受け取るデータが中央集約され、管理され、それゆえに信頼できる、ということを、どのように保証できるでしょうか。

ウェブベースのBIからは、リアルタイムに近い情報が得られるため、機会を確認したり、リスクを回避したりできます。これは、インサイトの共有や、他の意思決定者たちとの素早いコミュニケーション、迅速なアクションの実行も可能にします。つまり、データを即座に手に入れることで、データを中心としたリアルタイムのコラボレーションを実現します。

CRMからHRシステムまで、ビジネスのすべてがオンラインで管理されています。これは素早く、スマートで、便利です。そのため、ダッシュボードもオンラインであることを確認しましょう。ウェブベースBIは、オンプレミスでもクラウドでも、公開でも非公開でもホストできます。

 

3.最も重要な情報をトップに配置

優れたジャーナリストが最も重要なニュースを記事の最初の行に置くように、最も重要なレポートや情報は、スクロールしなくても確認できる画面のトップに配置します。これにより、データの素早い閲覧と理解が可能になります。

すべてをダッシュボードのトップに収めることができない場合は、最も重要なレポートをトップに配置し、ユーザーがたくさんスクロールしなくても最後まで確認できるようにしなくてはいけません。ダッシュボードは、質問の回答を示すスナップショットのようなものであり、トピックに関連するすべての情報源からのすべてのレポートの詳細を詰め込んではいけません。

認識の研究によると、相互に関連する情報源をまとめて可視化することで、情報セットの重要点や全体的な意味合いを、より容易に、正確に掴めることが実証されています。また、異なるグラフタイプを容易に比較したり、全体的なデータセット内の傾向や関係を特定することができます。これにより、スクロールしていたら気付かなかったであろう、より深いインサイトを得ることができます。

 

4.全体像から始めて、詳細へと掘り下げる

一連のハイレベルなサマリーレポートに情報を表示することで、社内で起きていることの概要を素早く確認することができます。

最初のポイントで述べたように、ダッシュボードは、ひとつのニーズや質問に答える概要を提供できなくてはいけません。なぜ起きたのか、何が変化を促進したのか、どこに改善点があるのか、をユーザーが把握したいときには、ドリルダウンやドリルスルー、ドリルエニウェアを使用して、詳細へと掘り下げることができます。

 

5.グラフの自然な配置と論理的な順序を確保

優れたデータは優れた情報の基礎になり、その情報のレイアウトは、素早く完全な理解の基礎になります。

ダッシュボード内のグラフは、情報を最速で、最も容易で、最も論理的に使用できる方法で配置します。例えば、一連の5つのレポートをダッシュボードに配置する場合に、最初のレポートの重要性が、4つめのレポートを確認するまで理解できないようでは、情報の理解が遅れるため、優れたデザインとは言えません。

  • 最も重要な情報をトップに配置
  • 人々は左から右、上から下に読むため、重要度の高い順から、これに合わせて情報を配置
  • 目線がジグザクに動かないようにするため、隣接するグラフを水平に配置
  • 画面にまたがりスクロールする必要がないことを確認
  • 閲覧しやすいようにグラフサイズを調整
 
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6.重要なのはカスタマイズ

レポートや関連するビジュアライゼーションでダッシュボードをカスタマイズし、ユーザー(個人やグループ)のニーズや特定の要件に合わせます。すべてのダッシュボードは、人々がタイムリーに意思決定を行い、ビジネスやその効率性を改善するアクションの促進をサポートするよう関連していなくてはいけません。マーケティング部門は、HR部門の取り組みがどれほどうまく機能しているのかを把握する必要はなく、マーケティングキャンペーンのROIに関する情報を提供する、カスタマイズされたダッシュボードが必要です。

 

7.例外とアラート

ダッシュボードは、幅広い範囲の尺度に渡り、ビジネスパフォーマンスを監視するための非常に貴重なメカニズムになり得ます。常に最新の情報を把握するには、事前に定義された尺度に基づき、トリガーになる例外やアラートレポートを設定します。

例えば、営業責任者は、四半期売上が昨年の同じ時期の売上の80%を下回った場合に、メールを通して自動的にアラート通知を送信するように設定することができます。これにより、営業責任者は、即座にアクションを起こして売上を伸ばし、目標を達成することができます。

 

8.色を適切に、控え目に使用することでコントラストを最大化

ダッシュボードデザインに使用する色を選択するときには、注意が必要です。視覚的に最も魅力的な色は、恐らくレポートの理解には役立たないでしょう。色は、重要な変化や傾向、尺度にユーザーの注意を引き付けることで、ダッシュボード上のグラフを読みやすくします。

背景色と前景色の間の強いコントラストは、素早い情報の検索と理解に繋がります。そのため、それぞれのデータポイントや、グラフやダッシュボードの背景、インターフェースを目立たせます。しかし、全体的な美観をシンプルに保つよう気を付けないと、ユーザーに過剰な情報を押し付けることになります。

目を引く場合、ひとつのポイントが他よりも目立つことはありません。そのため、ダッシュボード全体を通して、同じ範囲の色彩を使用します。ひとつのグラフ内で同じ色のグラデーションを使用することで、全体のバリエーションを表現したり、最も重要なメトリック(数値)を同じ色の濃淡を使用して強調します。これにより、すべての色が視覚的に競合するのを防ぎます。

ダッシュボードやレポートを視覚的に魅力的で、読みやすくすることで、ユーザーは確実にこれを使用します。使用しやすく、必要な情報を簡単に提供できるダッシュボードであればあるほど、人々は使用する傾向にあります。

色は、以下に基づき選択しましょう。

  • 共通に受け入れられている象徴的、または比喩的な意味を明確に理解(例:赤=悪い)
  • グラフ上の個々のアイテムの相互関係および、そのグラフのダッシュボード上での他のすべてのアイテムとの関係。(例えば、第2四半期の売上が、あるグラフ上で紫色で表されていた場合、その他のグラフ上で第2四半期の売上結果に関連するデータを示す場合も、紫で表示する。)
  • 色の衝突や、過剰な色付けを回避することで、コントラスト最大化を実現するという目標

 

9.最高の見た目、ではなく最適なビジュアライゼーションを選択

一目で理解できるビジュアライゼーションが最適です。円グラフは、全体に対する割合を示す場合に使用します。しかし、一番大きな要素を示す場合には、棒グラフが良いでしょう。円グラフは見た目にきれいですが、どの断片が他の要素よりも大きいのかを示すのが困難です。何を示したいのかに応じて、最も明確な方法を選択しましょう。

横軸タイプのグラフを使いこなす

ダッシュボードと、関連するグラフタイプを表示する方向が重要です。水平棒グラフとスパークラインは、シンプルな見た目のデータビジュアライゼーションですが、情報を素早く伝え、迅速に吸収するうえで効果的です。これは、人間の目と心が、幼いころからページ全体を読むように訓練されているからです。

 

10.データとインクの比率を下げる

Edward Tufteの名著「The Visual Display of Quantitative Information:Remove anything that isn’t absolutely central to the interpretation of the data (定量的情報の視覚的表示:データ解釈において絶対的に重要でないものはすべて削除する)」のアドバイスに従いましょう。

「完璧を達成するということは、これ以上足すものがないということではなく、これ以上引くものがない状況を指します。」

– Antoine de Saint-Exupery

 

11.コンテキストの提供

コンテキスト無しでは、データビジュアライゼーションの有用性は制限されます。(コンテキストを使用してデータビジュアライゼーションを強化する方法、のブログを参照してください)。関連する情報を理解することで、そのメトリック(数値)がどのように良いのか、悪いのかを把握するコンテキストを追加できます。

例えば、サプライチェーンの有効性をトラッキングするダッシュボードに、「74%」と表示されたレポートがあるとします。これは、今月時間通りに行われた配達の割合を示しています。このままでは、このデータにほとんど価値はありません。この数値は良いのか、それとも悪いのか。どのようにして、先月の値と比較するのか。値は上昇傾向にあるのか、それとも下降傾向にあるのか。

これらの質問に答える追加のコンテキスト情報が無ければ、ユーザーが結果の本質的な意味や、必要とされるアクション、アクションを起こす必要があるのかどうかを理解するのは不可能です。

以下のような、コンテキストや解釈情報を追加しましょう。

  • ラベル - 軸、カラム(列)、ロウ(行)、キー、などのラベル
  • 目盛り - 目盛りの各参照点が均等に分散されていること、および誤解を割けるために目盛りが0から開始されていること
  • 見出し - 各レポートやグラフにヘッダーを追加することで、何を表しているのかを表示
  • 先月、前四半期、昨年の結果、のような関連する他の値との比較
  • グラフツールチップ - ダッシュボード上のビジュアライゼーションにマウスオーバーすることで、ポップアップボックスを表示し、ビジュアライゼーションに関する追加情報を表示

上記によりユーザーは、情報を正確に解釈し、組織の運営や戦略に与える影響を理解することができます。これにより、ユーザーの適切でタイムリーなアクションを後押しすることができ、ダッシュボードを使用してユーザーにデータを提供するという最終的な目標を達成できます。

 

12.サポートと迅速なアクション

注目すべき変更やイベントの根本原因を探るために詳細を掘り下げることで、ユーザーは、それに関する新しい情報や独自の考えを、他のユーザーと共有できます。これによりビジネスは、新しい知識をビジネスアクションに取り入れることができます。

情報のコラボレーションと意思決定のオプションには、以下の機能を含みます。

  • BIプラットフォーム内、またはメールを通して、影響のある関係者にレポートを送付
  • ディスカッションスレッドを使用した注釈やコメントにより、レポートにコンテキストを追加して、通知されたこれらのレポートへのユーザーアクセスを可能にする
  • ディスカッションスレッドに意思決定ウィジェットを追加して投票を可能にし、迅速でコラボレーションのできる意思決定を実現
  • 任意のサードパーティ、またはウェブベースのプラットフォームに完全にインタラクティブなダッシュボードおよびレポートを組み込むことで、外部関係者による課題の確認や、アクションの実行を実現

 

さて、次は?

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