業務の属人化とは？起きてしまう原因・デメリット・解消方法を総まとめ！

業務の属人化の概要について知りたい
業務の属人化が起きてしまう原因について知りたい
業務の属人化のデメリットについて知りたい

前任との引継ぎができていない段階で退職してしまった、クライアントの問合せが来ていたが担当者が長期不在により対応できていなかった等、ご経験がある企業の担当者の方も多いのではないでしょうか。

業務の属人化が進行してしまうと、その担当者にとっては社内のポジションの確立といったメリットはあるかもしれませんが社内全体で考えるとデメリットが大きい場合があります。

今回は、業務の属人化に関して起きてしまう原因・デメリット・具体的な解消方法について解説していきます。

 

業務の属人化とは？

業務の属人化とは、ある特定の人物に特定の業務を任せることを指します。そのため、その人物がいなくなった場合には、その業務をこなすことができなくなるという特徴があります。業務の属人化は、業務のスムーズな運営に有効な場合もありますが、人物の変更や該当者の不在によって業務の遅延や中断が生じる可能性があります。

 

業務の属人化が起きる原因

ここでは、業務の属人化が起きる原因について解説します。

• 専門知識が必要な仕事で対応できる人が限定される
• 担当業務以外は手がつけられないくらい多忙である
• 属人化を解消してもメリットがない

それでは、1つずつ解説します。

 

専門知識が必要な仕事で対応できる人が限定される

業務の属人化が起きる原因の1つ目は、専門知識が必要な仕事で対応できる人が限定されることです。ある特定の業務で、専門知識が必要な業務の場合、その人に仕事が集中する可能性があります。その人物に業務を任せることで業務はスムーズに進みますが、中小企業のように人数が限られている場合は、その人物がいなくなった時の代行者がいなく、業務がストップしてしまう可能性があります。

 

担当業務以外は手がつけられないくらい多忙である

業務の属人化が起きる原因の2つ目は、担当業務以外は手がつけられないくらい多忙であることです。その業務が専門性を有し、かつ業務が多忙な場合は、業務の属人化解消に向けた時間をとることができない場合があります。専門性の高い業務に関しては、マニュアル化ができない場合もあり、社内研修をする必要があるため、専門知識のある担当者の時間的余裕が必要です。

 

属人化を解消してもメリットがない

業務の属人化が起きる原因の3つ目は、属人化を解消してもメリットがないことです。業務の属人化を解消させるには社内研修やマニュアルの作成などが必要になります。このノウハウの共有をしたとしても、社内で評価されない場合は、わざわざ時間を割いてまでノウハウの共有をする社員は出てこない可能性があり、属人化を加速させる原因になりかねません。

また、属人化した業務は代行できる者がいないため、自分の社内での地位を保証する武器にもなりえます。そのため、ノウハウを共有してもインセンティブがない場合は、なおさらノウハウの共有をしない社員が出て来る可能性があり、属人化の解消につながらないでしょう。

そのため、業務の属人化解消に向けた社内の評価制度の改善を検討する必要があります。

 

業務の属人化によるデメリット

ここでは、業務の属人化によるデメリットについて解説します。

• 長時間労働になりやすい
• 担当者の退職によりノウハウが無くなる
• トラブルを抱え込み会社の信用問題につながる可能性がある
• 業務の品質が担保できない

それでは、1つずつ解説します。

 

長時間労働になりやすい

業務の属人化によるデメリットの1つ目は、長時間労働になりやすいことです。業務の属人化は、特定の人物に特定の業務を任せるため、その人物に対して長時間労働を強いる可能性があります。特定の業務を遂行するために必要な専門知識やスキルを持っている人物がいるため、その人物に対して業務を任せることができます。しかし、その人物が他の人物よりも業務をこなすことができるため、その人物に業務が偏り、長時間労働になってしまう可能性があります。

 

担当者の退職によりノウハウが無くなる

業務の属人化によるデメリットの2つ目は、担当者の退職によりノウハウが無くなることです。業務の属人化は、特定の人物に特定の業務を任せるため、その人物がいなくなった場合には、その業務をこなすことができなくなります。それはその人物が持っているノウハウや経験が欠落するためです。

また、その人物がいなくなった場合には、その人物が持っている知識やスキルを持っている人物がいないため、新たにその知識やスキルを身につける必要が生じることもあります。

トラブルを抱え込み会社の信用問題につながる可能性がある

業務の属人化によるデメリットの3つ目は、トラブルを抱え込み会社の信用問題につながる可能性があることです。業務の属人化により、その特定の業務を任されている人が仮にトラブルになっていても周囲の人が気づかない場合があります。

属人化した業務を担っている人が周囲にトラブルを悟られないようにするため、自力で解決をはかろうとして失敗した場合に、会社の信用問題になる程度まで問題が大きくなる可能性があります。

 

業務の品質が担保できない

業務の属人化によるデメリットの4つ目は、業務の品質が担保できないことです。属人化した業務は、その担当者にしかわからないため、周囲の人が品質の良いサービスを提供できているのか判断できない場合があります。また、属人化した業務を行っている担当者が急遽不在になった場合に、その業務に対して専門知識やスキルを持っていない人物の場合、業務の品質を担保することができません。

 

業務の属人化を解消するメリット

ここでは、業務の属人化を解消するメリットについて解説します。

• 業務効率化につながる
• ノウハウが社内全体に蓄積される
• 業務の品質が一定になる
• テレワークにおける適切なマネジメントが可能になる

それでは、1つずつ解説します。

 

業務効率化につながる

業務の属人化を解消するメリットの1つ目は、業務効率化につながることです。業務の属人化を解消することにより、業務を遂行するために必要な専門知識やスキルを持っている人物が複数いる状態ができます。そのため、誰かが休んだとしても、他の人が業務を遂行することができます。

また、1つの仕事を複数人で対応できる状態にしておくことで、各々の視点の違いにより、新たな業務改善ポイントも見えてくる可能性があります。これにより、業務を効率的に遂行することができ、業務の効率化が期待できます。

 

ノウハウが社内全体に蓄積される

業務の属人化を解消するメリットの2つ目は、ノウハウが社内全体に蓄積されることです。業務の属人化を解消することにより、業務を遂行するために必要な専門知識やスキルを誰しもが持つことができます。これにより、社内全体のスキルアップや知識の拡大が期待でき、組織全体のパフォーマンスの向上が見込めます。

 

業務の品質が一定になる

業務の属人化を解消するメリットの3つ目は、業務の品質が一定になることです。特定の人だけではなく、他の人も同様に同じ業務に対する特定の知識を持つことで生み出されるサービスや製品の品質は一定になります。また、複数人で対応することで成果物が製品であればどの程度の生産数が妥当なのか生産管理の面でも目安を知ることができるでしょう。

 

テレワークにおける適切なマネジメントが可能になる

業務の属人化を解消するメリットの4つ目は、テレワークにおける適切なマネジメントが可能になることです。テレワークの場合は、出社勤務と異なり業務の管理をすることがより難しくなる場合があります。そのため、業務の属人化を解消することで業務の内容の把握ができている状態であれば、適切な評価に役立てることができるでしょう。

 

属人化された業務を標準化する方法

ここでは、属人化された業務を標準化する方法について解説します。

• 業務の洗い出し
• 業務のマニュアル化
• マニュアルの運用
• 継続的にPDCAを回し随時改善

それでは、1つずつ解説します。

 

業務の洗い出し

業務を標準化する方法の1つ目は、業務の洗い出しをすることです。属人化している業務を見極めるには、まずは業務を担当している者から話を聞くことです。実際にどのような内容の業務をしているのかヒアリングし、あらかじめ聞きたい項目をリストアップしておき詳細に把握するようにします。業務の洗い出しがまずは第一ステップになります。

 

業務のマニュアル化

業務を標準化する方法の2つ目は、業務のマニュアル化をすることです。業務のマニュアル化とは、その業務の遂行方法や手順を記載したマニュアルを作成し、それを社員に提供し、業務を遂行することを指します。これにより、業務の遂行方法や手順が統一され、業務がスムーズに遂行されることが期待できます。また、業務のマニュアルを更新し続けることで、最新の業務手順や知識を社員に提供することができます。

 

マニュアルの運用

業務を標準化する方法の3つ目は、マニュアルの運用をすることです。マニュアルを作成するだけでなく、それを社員に適切に伝え、社員がそれを適用し、実践することが重要です。マニュアルを適切に運用することにより、業務がスムーズに遂行され、品質が向上します。また、マニュアルの運用によって、社員にとっても業務を遂行するための手助けとなり、ワークライフバランスの向上が期待できます。

 

継続的にPDCAを回し随時改善

業務を標準化する方法の4つ目は、継続的にPDCAを回し随時改善することです。PDCAは、組織のプロセス改善に用いられる手法で、改善のサイクルを繰り返すことで、業務を標準化し、改善を継続していくことを意味します。業務の属人化は、一度改善されたからと言って放置してしまうと、また進行してしまう可能性があります。そのため、マニュアルが陳腐化されていないか、業務のフローチャートに変更がないかを半年から一年に一回は確認し、定期的な見直しをしていくことが必要です。

 

まとめ

ここまで、業務の属人化について、概要・起きてしまう原因・デメリット・解消方法について解説してきました。業務が属人化されてしまうと、その担当者の退職によって企業としてノウハウがなくなってしまったり、成果物であるサービスや製品の品質が一定ではなくなるため、企業としての評判にもかかわってきます。

業務の属人化を解消するためには、各業務で誰が何をしているのかを明確にすることにほかなりません。業務の属人化を解消することでコミュニケーションの活性化や業務効率の向上にもつながります。是非業務の属人化されていないか、まずは自社内のヒアリングから始めてみてはいかがでしょうか。