ビジネスアナリティクスの5つのメリットと活用例!データが導く最適解とは
- 社内にデータは蓄積されているのに、うまく活用できていない
- どの施策が効果的だったのか、感覚ではなくデータで示したい
- 日々の数値は追っているが、次のアクションに結びつかない
市場環境の変化が激しい今、感覚や経験だけに頼った意思決定では、競争を勝ち抜くことが難しくなってきています。そこで注目されているのが、データをもとに最適な判断を導く「ビジネスアナリティクス(BA)」です。
本記事では、ビジネスアナリティクスを活用することで得られる5つのメリットと、実践的な活用例を解説します。
ビジネスアナリティクス(BA)とは
データの活用を始めるときには、ビジネスアナリティクスの特徴や他の手法との違いを把握しておくことが大切です。ここでは、以下3点について、ビジネスアナリティクスを解説していきます。
- ビジネスアナリティクス(BA)
- ビジネスインテリジェンスと(BI)の違い
- ビジネスアナリティクスの4種類
1つずつ、見ていきましょう。
ビジネスアナリティクス(BA)
ビジネスアナリティクス(BA)とは、社内外に蓄積された膨大なデータをもとに、将来の予測や最適な意思決定を支援する分析手法です。統計学や機械学習などを活用して「これから何が起きるか」「どうすべきか」を導き出していきます。
具体的には、統計学やデータマイニング、予測分析などの技術を駆使して、業務の効率化や売上向上、顧客の行動分析などを行っていきます。
データを洞察することで、企業は市場の動向を予測したり、リスクを最小限に抑える戦略を立てることが可能です。ビジネスアナリティクスは、データドリブンな意思決定を可能にし、競争優位性を確保するために不可欠な要素と言えます。
ビジネスインテリジェンス(BI)との違い
ビジネスインテリジェンス(BI)は、企業内に点在するデータを収集・統合し、グラフや表などで可視化・分析することで、現状の把握や課題の発見を支援する手法です。
一方で、ビジネスアナリティクス(BA)は、BIの分析結果をさらに深掘りし、将来の予測や行動を提案することを目的としています。つまり、BIは「今何が起きているか」に焦点を当て、BAは「これから何をすべきか」に焦点を当てている点が大きな違いです。
ビジネスアナリティクスの4種類
ビジネスアナリティクスは主に4種類に分類することができ、それぞれ異なる目的と役割があります。主な4種類の特徴は、下表の通りです。
種類 | 特徴 |
記述的アナリティクス | 平均・変化率などの基本統計。過去のデータを可視化し、全体像をつかむ。 |
診断的アナリティクス | ドリルダウン分析、相関分析などで要因を深掘りし、問題の背景を解明する。 |
予測的アナリティクス | 機械学習・統計モデル・時系列分析などを用いて将来の傾向を予測する。 |
処方的アナリティクス | 複数シナリオの評価、最適化アルゴリズムにより行動の選択肢と推奨を提示する。 |
記述的アナリティクスは、過去に「何が起こったのか」を明らかにするもので、平均値や変化率などを使って現状や過去の状況を把握します。次に、診断的アナリティクスは「なぜそれが起きたのか」を探るもので、相関分析やドリルダウンなどを活用し、原因の特定をする方法です。
予測的アナリティクスでは、過去のデータをもとに機械学習などを活用し「今後何が起こるか」を予測します。そして最も高度な「処方的アナリティクス」は、「どうすべきか」という問いに答え、複数のシナリオを評価しながら最適な行動を導き出していきます。
これら4つのアプローチを段階的に活用することで、より的確なビジネス判断が可能になるでしょう。
ビジネスアナリティクスを活用する5つのメリット
ビジネスアナリティクスを活用するメリットには、以下の5つがあります。
- 意思決定を早められる
- 目標の達成度を確認できる
- マーケティングに活用できる
- 利益率の向上が見込める
- コスト削減が見込める
それぞれ、詳しく解説します。
意思決定を早められる
ビジネスアナリティクスを活用するメリットの1つ目は、意思決定を早められることです。過去の実績や現在の状況や未来の予測までをデータから把握できるため、従来のように経験や勘に頼るのではなく、根拠に基づいた判断が可能になります。
戦略的な意思決定の質が向上するだけでなく、変化の激しい市場や顧客ニーズにも迅速に対応できるようになります。また、顧客に対してもデータを用いた説得力のある提案ができるため、商談や交渉の場で信頼を得やすくなるのも大きな利点です。
目標の達成度を確認できる
ビジネスアナリティクスを活用するメリットの2つ目は、目標の達成度を確認できることです。KPIの進捗や、予算に対する目標の達成率などを視覚的に把握できるため、現状を正確に把握しやすくなります。
リアルタイムで今の状況が分かれば、軌道修正や戦略の見直しが迅速に行えます。全社的な経営判断だけでなく、マーケティングなど部門単位でも活用でき、施策の改善や競争力強化にもつながるでしょう。
マーケティングに活用できる
ビジネスアナリティクスを活用するメリットの3つ目は、マーケティングに活用できることです。顧客データや市場動向を分析することで、ニーズの変化を的確に把握でき、ターゲットに合わせたプロモーションや商品開発に役立ちます。
例えば、購買履歴やWeb上の行動データをもとに効果的な広告施策を立てたり、需要予測をもとに販売戦略を見直したりといった活用が可能です。データに基づいた施策を行うことで、顧客満足度の向上や売上拡大が期待できます。
利益率の向上が見込める
ビジネスアナリティクスを活用するメリットの4つ目は、利益率の向上が見込めることです。顧客ニーズを的確に把握し、効果的な施策を展開することで売上アップにつながります。
また、販売傾向や需要の予測をすることで、機会損失を防ぎながら最適なタイミングで商品やサービスを提供できるようになります。データに基づいた判断を続けていくことで、収益性の高いビジネス展開が可能となり、企業全体の利益構造を強化する手段となるでしょう。
コスト削減が見込める
ビジネスアナリティクスを活用するメリットの5つ目は、コスト削減が見込めることです。経営資源の状況を把握できるため、コストに関するデータや予測に基づいて、無駄な支出を特定することが可能です。
例えば、過剰な在庫や不要な設備投資、人件費の見直しなど、具体的な削減ポイントを特定できます。また、人的リソースの最適配分により業務の効率化が進み、結果的に人件費削減にもつながります。データに基づく判断をすることで、ムダのない経営が実現するでしょう。
ビジネスアナリティクスを導入した事例
- デンソーの事例
- NTTドコモの事例
- バリューコマースの事例
デンソーの事例
2014年にホストコンピューターで行ってきたエンドユーザーによるデータ活用基盤をYellowfinにリプレースすることを決め、構築、導入、展開まで行ってきたデンソー。
現在では、在庫管理や人事部が実施するモチベーション・サーベイの調査結果をダッシュボード化して職場の改善に活かすなど、様々な分野でBIツールを活用し、ビジネスアナリティクス環境を整えています。
デンソーの導入事例詳細はこちら
NTTドコモの事例
NTTドコモが提供している様々なデジタルコンテンツの中でも、人気の高いデジタルコンテンツが「スゴ得コンテンツ」や「dアニメストア」。
BIツール導入によりスゴ得コンテンツやdアニメストアがどんな時間にどんな人たちが活用しているのか、集計系の分析ができるようになり、ユーザー像やユーザー特性が見えたことで理想的なユーザーになってもらうための施策、継続して活用してもらえるような施策を考えられるようになったそうです。
NTTドコモの導入事例詳細はこちら
バリューコマースの事例
アフィリエイトマーケティング(成果報酬型広告)のパイオニアとして成長してきたバリューコマース。
以前の同社では、数字の管理はそれぞれの担当者が管理しており、経営陣が「クライアントの現在の実績を見たい」というと、各担当が管理している数字を集計して提出しなければなりませんでした。
経営陣が見たい時に最新のレポーティング結果が見られる場所を作りたいと思い、BIツールを導入。
今では、Yellowfinでリアルタイムの数字を把握できるようになった同社。以前はもうひとつ課題がありました。
それは、レポートを顧客ごとのレイアウトにするために、レポートのテンプレートをExcelで用意し、マクロでデータを反映する作業をしていたことでした。
業務効率化のため、オープンソースの帳票ツールであるJasperReportsとYellowfinを連携させて、さまざまなテンプレートが求められる顧客へのレポート作成における時短化に成功しました。
バリューコマースの導入事例詳細はこちら
ビジネスアナリティクスを成功させるための5ステップ
ビジネスアナリティクスを成功させるには、以下の5つのステップで進めていきましょう。
- 目的を明確に決める
- データを蓄積する
- データを分析する
- 結果に基づいて改善する
それぞれの工程を、詳しく解説していきます。
目的を明確に決める
ビジネスアナリティクスを成功させるためのステップの1つ目は、目的を明確に決めることです。どのような課題を解決したいのか、どの部門でどのように活用したいのかといった具体的な目的を設定しましょう。
目的が決まると必要なデータや分析手法、ツールの選定もスムーズに行えます。たとえば、過去の業績を把握したいのか、将来の売上を予測したいのかによって、BIツールとBAツールの使い分けも変わってきます。目的が曖昧なままでは、分析の方向性がぶれ、成果につながりにくくなるため、最初にしっかりと目的を定めることが重要です。
データを蓄積する
ビジネスアナリティクスを成功させるためのステップの2つ目は、データを蓄積することです。BIやBAツールを効果的に活用するには、大量かつ多様なデータが必要で、データ量が多いほど分析の精度も高まります。
また、部門ごとにデータが分断されていると、全体像の把握や横断的な分析が困難になります。そのため、部門間でデータを統合し、連携して管理できる仕組みを整えておくことが重要です。蓄積と統合が進むことで、ツールの効果を最大限に引き出せるでしょう。
データを分析する
ビジネスアナリティクスを成功させるためのステップの3つ目は、データを分析することです。目的やデータの特性に応じた分析手法を選び、精度の高い結果を導き出しましょう。
専門知識が必要とされる場面もありますが、近年のBIツールでは分析プロセスの自動化が進んでおり、知見が浅い担当者でも分析項目を選ぶだけで視覚的に結果を把握できるようになっています。得られた相関関係や傾向をもとに仮説を立て、ビジネス戦略の見直しや改善に役立てましょう。
結果に基づいて改善する
ビジネスアナリティクスを成功させるためのステップの4つ目は、結果に基づいて改善することです。得られたデータは、課題の解決や収益向上、業務効率化といったビジネスの現場で活用してこそ意味があります。
また、1回の分析から複数の改善点が見つかることもありますが、すべてを同時に対応しようとするとかえって非効率になることも少なくありません。優先順位や実現可能性を見極めながら、段階的に施策を実行していくことが大切です。
まとめ
ビジネスアナリティクスは、データを活用して的確な意思決定を支援する手法です。経営に取り入れることで、意思決定の迅速化、マーケティングへの応用、利益率の向上などが期待できます。まずは、自社で活用できるデータの洗い出しから始めてみましょう。