BI業界のイノベーションの終焉
BI業界のイノベーションは、30年ほど前に既に終了しています。カラーやフォーマットは異なるかもしれませんが、ビジネスユーザーにはまったく同じものが提供され続けています。これこそ真の問題なのです。これは業界が、データアナリストの仕事をしやすくするための検討に時間を費やしてきた結果、ビジネスユーザーにデータから最大限の価値を引き出だせるようにすることを考慮して来なかったことが原因です。
わたしがビジネスユーザーであれば、この状況に憤ったことでしょう。アナリティクスソフトウェアの成果は、ここ何十年も変化していません。ツールの見た目はまったく同じであり、ダッシュボードもまったく同じで、そこから得られる結果にもまったく変化がありません。アナリティクスは未だに一方通行のツールです。これは提供するだけのツールのため、ビジネスユーザーはそこから自分自身で作業を始めなくてはいけません。ユーザーが実際に意思決定を行い、データに基づくアクションの実行を推進するものは何もありません。唯一のイノベーションは、アナリティクスワークフローやコンテンツの構築方法に注力して行われていますが、これはデータアナリストのエクスペリエンスを向上させるだけです。
なぜイノベーションは止まったのか
そこには、2つの理由があると思います。まず第一に、データアナリストは購入プロセスにおいて重要であるため、ベンダーは彼らを遠ざけるようなことをしたくありません。馬車を作った人々が、車にそれほど興味を示さなかったように、ベンダーがデータアナリストを排除したとしても、彼らはそれほど興味を示さないでしょう。
次に、業界のベンダーは怠慢です。過去数十年で発生したBIの各フェーズを見るに、それぞれは基盤となるテクノロジーの変化により推進されてきました。わたしたちは、デスクトップ型から、クラウドやERPシステムへと移行しました。そのため、BIベンダーは異なる考えを持つ必要がなく、テクノロジーが変化することで市場に衝撃が生まれ、人々がBIの異なるサイクルを購入するのを待つだけでした。このようにして、この業界は生き残ってきたのです。
競合はリリースの度に、同じことの繰り返しに注力しています。Qlikは、マイクロサービスのリリースに非常に活気づいていましたが、これはビジネスユーザーに影響しません。Power BIは、最新のモバイルアプリをリリースしましたが、これはモバイル上でダッシュボードを使用しているだけです。これらは既に実施されてきたことであり、売れないことは周知ですが、色を変えることで、変化を起こしているというフリを続けたいだけです。
業界再編の時期
いずれこのメリーゴーラウンドが止まるときが訪れます。そのとき、BIベンダーは、買い手がテクノロジーをアップグレードしているからといって、ビジネスを勝ち取ることはできなくなるでしょう。そうなれば、BIベンダーは、競争を強いられることになります。そうなって初めて、ベンダーが根本的に異なる製品を市場に投入することで、顧客は継続的に購入する、という説得力のあるニーズが生まれるでしょう。それまで、ビジネスユーザーは、ベンダーが提供するソリューションに不満を募らせることになります。なぜなら、これらはビジネスユーザーがデータから競争優位性を得るサポートをしていないからです。
業界が変化するのは、エンドツーエンドのプロセス、つまりデータがあらゆるところから集まり、ビジネスユーザーがそこからいかに価値を得るか、その方法を考え始めたときです。これは大きな課題であり、業界とその運営方法に劇的な変革をもたらすことになるでしょう。