【組み込み事例】株式会社ITC

パチンコホール経営基幹システム「Compass (コンパス)」にYellowfinを組み込み、BI機能を新たに搭載

＜概要＞

余暇の娯楽として昭和の時代から愛されてきたパチンコ・パチスロ。だが時代と共に趣味の多様化が進んだことで、参加人口は徐々に減少傾向にある。その一方で、パチンコ・パチスロ店 (ホール) 1店舗あたりの遊技機の設置台数は増える傾向があり、ホールの大型化が進行している。

ホール経営企業向け基幹システム「Compass」とは

余暇の大衆娯楽として、多くのファンを獲得してきたパチンコ・パチスロ業界。しかし景気の不安定さ、少子高齢化による人口構造の変化に加え、趣味の多様化が進んできたことで、パチンコ・パチスロのファンは減少傾向にあると言われています。その一方で1ホールあたりの遊技機の設置台数は増加傾向にあり、ホールの大型化が進んでいます。

パチンコホールの収益はプレイヤーの遊技の結果 (＝プレイヤーが引き換えた景品の量) によって粗利が変動する仕組みで、一般的な物の売買とは異なる収益構造を持っています。プレイヤーに楽しんでもらいながら、ホールの利益を上げていくという、業界特有の複雑さと向き合うホール経営を支援するために、ITCが開発、提供するのがCompass (コンパス) です。

Compassはホール経営企業向け基幹システムをクラウドサービスで提供。「プレイヤーが遊技した結果のお金の情報や玉の出し入れに関するデータ、ホール自体を運営するために発生している経費、予算や日々の売り上げなどのデータをクラウド上で集約し、一元管理できるのがCompassの特徴です」とITCシステム部執行役員の永峯規之氏は語ります。

警察庁保安課のまとめによると、2023年末現在における全国のホール数は7083店舗。「そのうちの約1000店舗にCompassが導入されています」と永峯氏。これだけの導入実績を誇るのには訳があります。「個々の機能・システムでそれぞれ競合他社はいましたが、当社のように全てがまとまってパッケージ化されたものは少なかったのです。だからシェアを伸ばすことができました。」と永峯氏は語ります。

CompassがBI機能の搭載に取り組んだワケ

15年前に創業した当初から提供してきたCompassだが、その後も顧客のニーズに応え、機能拡張を図ってきました。2023年に行ったBI機能の搭載もその一つです。

きっかけはある顧客 (以下、A社) から「使っているBIツールをCompassに統合できないか」と言われたことです。A社ではオーナーが前日までの営業実績を確認した上で、毎朝の朝礼で、店舗に運営方針の指示を出すということを行っていました。そのレポート作成にBIツールを活用していたのです。ですが、現状のままだとCompassとBIツール双方の費用が発生する。そこでCompassに統合したいと考えたのだといいます。

「この依頼がBI機能の搭載に取り組む直接的なきっかけでしたが、A社に相談を受ける数年前よりBIツール導入の検討はしていました」と永峯氏は振り返ります。

Compassではもともと商圏分析や営業分析などデータに基づいた意思決定を支援する機能も提供していました。しかしA社のように本格的なデータ分析・活用機能を提供するには、BI機能の搭載は不可欠だったのです。

Compassを構成する各システムは自社開発で行ってきたITC。ですが、BI機能については当初から自社開発では無く、既存のBIツールを組み込もうと考えていたといいます。

「Compassはグラフやチャートなど、視覚的な表現は弱いので、BI機能を自前で開発するとなると、かなり作り込まないといけません。それだと開発コストも工期も随分かかってしまいます。ですが、既存のBIツールをCompassに組み込むことができれば開発コストも工期も低減できる。そこでCompassにマッチするツールを探すことにしました」と永峯氏は明かします。

BIツールベンダー数社に話を聞きましたが、導入は見送られました。その理由は「ライセンス体系が合わなかったため」と永峯氏は回答。ITCが考えていたのは、BIライセンスの代理店販売ではなく、ITCがライセンス契約をして、顧客にはITCのサービスとしてBI機能を提供したいということでした。

Compassに組み込まれたYellowfinレポート

※データはサンプル

Compassに組み込むBI機能としてYellowfinを採用

そのためA社のニーズに応えつつ、ITCが望むライセンス体系を持つ企業を探す必要がありました。そんなとき、偶然出会ったのがYellowfinでした。実はYellowfinはITCと同じビルの5階に入居。エレベーターでたまたまドアが開いた5階のエントランスで「ビジネスインテリジェンスをもっと簡単に！」と、コピーが書かれたのぼりを目にしたのです。「同じビルにBIツールの会社が入っていることを知り、まずは同じビルの企業からと、話を聞きに行きました」(永峯氏)

Yellowfinは通常のライセンスとは別に、組み込み利用者 (ISV) 向けの柔軟なライセンス提供の仕組みを持っていました。「Yellowfinなら、当社向けにカスタマイズされたサーバーライセンス契約ができる。しかも、過去の検討と比較してコストも抑えられている。それがCompassへの組み込みBIとしてYellowfinを採用した最大の理由です」(永峯氏)

A社がこれまで他社BIツールでやってきたことを、本当にYellowfinで置き換えることができるのか。「当初は手探りで進めました」と永峯氏。そのなかでもリプレースは順調に進み、２〜３か月後には完成しました。現在、A社では日々の意思決定にYellowfinの組み込みで搭載されたBI機能が貢献しています。「Compassへの統合がご満足いただける結果となったことで、お客様からは更にこういうことができないかというご要望もいただくようになりました」と永峯氏は話します。

その他にもユニークな利用例も登場しています。いずれもCompassを利用している法人2社が、遊技機に関するデータをCompassのBI機能を利用して分析・共有するという事例です。

従来、お互いにどのように使っているのか、どのくらい稼働しているのかなどの状況をタイムリーに共有することは難しかったといいます。そこで、遊技機の稼働率を上げていくためにも、両法人は情報共有したいと考えたのです。

「Compass上に遊技機実績というボタンを設置し、遊技機に関する両法人の全店舗のデータの集計をランキングして、閲覧できるようにしました」(永峯氏)

現在は、両法人の遊技機に関する日々の実績が翌日には見える化され、これまで担当者が手作業で行っていた集計が自動化されたことで、業務効率が大幅に向上したと言います。

お客さまだけではなく、ITCの社内でも、YellowfinをCompassの利用状況分析で活用しています。「どのサービスを誰がどのくらい使っているのかを分析し、今後のサービス提供の参考にしたいと考えています」(永峯氏）

店舗分析レポート

※データはサンプル

1人の開発者を雇ったような感覚。新たなBIコンテンツを増やしていく

Yellowfinの採用により、1人の開発者を雇ったような感覚があるといいます。これまで1-2週間かけて作っていたExcelレポートが、Yellowfinレポートだと一度作ってしまえば翌日には自動で生成されます。また軽微な修正に関しては、開発者の手を煩わせることなく運用の法人担当者自身でできるようになったのも、Yellowfinを採用した効果といえるでしょう。

今後も、「お客さまの要望を鑑み、Yellowfinを使ったコンテンツを増やしていきたいと思います」と意気込みを語る。その一つが、全国データから傾向を分析し、ホール経営の示唆につながるようなレポートを提供することです。「Yellowfinの自動インサイト機能や傾向分析機能などは、ぜひ使ってみたいですね」(永峯氏）

娯楽が多様化する現在において、今後もパチンコ・パチスロ業界が続いていくためにはホール経営企業のデータ活用は欠かせません。BI機能を強化したCompassは、ホール経営企業のデータ活用を促進し、意思決定を支援するツールとして、さらに期待を集めそうです。

“採用の決め手は、当社のサービスにマッチするライセンスにカスタマイズできたこと。Yellowfinを採用したことは1人の開発者を雇ったような感覚があります”

株式会社ITC

システム部　執行役員

永峯 規之 氏

株式会社ITC

東京都千代田区内神田1-14-8　神田スクエアゲート9F

2009年1月設立。パチンコ店のオーナーの悩みを解決する仕組みを作りたいという思いから、パチンコホール経営企業に向け経営基幹システム「Compass」を開発。「強いホール企業を創出し、プレイヤーが安心して楽しめる環境作りに努めて遊技産業の進化発展に貢献する」ことをバリューとして定め、ホール運営に欠かすことのできないシステムを提供・サポートし続けている。

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