Power BI Embedded は自社に最適?比較ガイド

Power BI Embedded は自社に最適?比較ガイド

Microsoft Power BI は、あらゆる企業にとって分析機能の基盤を構築できる、広く普及したビジネスインテリジェンス (BI) ソリューションの入り口です。Power BI Embedded は、その機能の一部として、データビジュアライゼーションやダッシュボード、レポートをアプリケーションに組み込むことを可能にし、Microsoft Azure のクラウド基盤も活用できます。

しかし、Power BI Embedded の主な課題は、その複雑さにあります。導入アプローチが分散型で、複数の個人やチームが構築するソリューションが相互に関連する可能性があるためです。さらに、価格モデルが複雑で、デザインや埋め込みの柔軟性に欠けることから、新規ユーザーは導入直後に迷ってしまうことも珍しくありません。

現在の市場において、シームレスで使いやすい組み込み分析プラットフォームは、競争力のある差別化要素のひとつです。しかし、その多くの利点を最大限に活用するには、いくつかの要件を満たすモダンなソリューションが必要です。本記事では、Power BI Embedded を詳細に検証し、自社のユースケースにとって最適な選択肢であるかどうかを評価するための助けとなる情報を提供します。

 

 

Power BI Embedded とは?

Power BI は、クラウドベースの SaaS (Software-as-a-Service) 型ビジネスインテリジェンス (BI) および分析プラットフォームで、単体サービスとして、または 2023 年にリリースされた Microsoft Fabric データ分析プラットフォームの一部として利用できます。このプラットフォームには、以下のようなさまざまな構成があります:

  • Power BI Pro および Power BI Premium(ユーザー単位のライセンスプラン)

  • Power BI Desktop(ローカル環境向けの従来型Windowsアプリケーション)

  • Power BI Service(別名 Power BI Online)

  • Power BI Mobile

  • Power BI Embedded(PBIE とも呼ばれる)

Power BI Embedded は、独立系ソフトウェアベンダー (ISV) やエンタープライズ企業を対象としたソリューションで、Power BI の分析エンジンで作成されたダッシュボード、タイル、レポートを、自社のソフトウェア (CRM、ERP、カスタムアプリケーションなど) に組み込み、顧客や社内ユーザーにとって馴染みのあるユーザー体験としてデータインサイトを提供することを目的としています。こうした深い統合は、「組み込み分析 (Embedded Analytics)」と呼ばれるソリューションモデルの一部です。

組み込み分析モデルとは、ユーザーのコアアプリケーションや業務フローに直接分析機能を統合するもので、別のアプリケーションに切り替えてアクセスする必要がある単体の BI ツールとは異なります。近年では、より多くの企業がデータに基づいた意思決定を実現するためにレポートへのアクセス性を高めようとしており、このアプローチは急速に普及しています。

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Power BI Embedded は誰のための製品か?

Power BI Embedded は、Microsoft のソフトウェア群および Azure クラウドと高い親和性を持つ、堅牢な分析ソリューションです。現在は、企業規模の大きな組織と中小規模の独立系ソフトウェアベンダー (ISV) を対象に、異なる埋め込み要件に対応する 2 種類のソリューションが提供されています。

 

1. 顧客向けの埋め込み (Embed for your customers)

Power BI で作成した分析コンテンツを既存のアプリケーションに埋め込むことが可能です。外部ユーザーは、PowerBI.com にログインしたり、Power BI のユーザーライセンスを持っていなくても、Power BI Embedded 容量に保存されたデータを閲覧できます。つまり、Power BI の画面に切り替えなくても、アプリ内でデータを見ることができるというわけです。ただし、埋め込まれたコンテンツから新しいレポートやダッシュボードの作成・編集はできません。

ISV や SaaS 企業にとって、このレベルの Power BI Embedded は、ユーザーが Power BI アカウントを持っていなくても、アプリ内でダッシュボードやレポートを直接表示できる方法として有効です。顧客は個別の認証情報なしで、安全かつシームレスに分析へアクセスできます。

一方で、Power BI は Microsoft Azure に強く依存したアーキテクチャであるため、他のモダンな BI ソリューションと比べて、ダッシュボードやレポートの外観や統合を柔軟かつ簡単にカスタマイズすることが難しいという制約があります。また、Power BI のブランド要素が表示されるため、自社製品としてのブランディングもしづらいです。

 

2. 組織向けの埋め込み (Embed for your organization)

ISV やエンタープライズ企業が、自社のアプリケーション内に Power BI で作成した分析コンテンツを埋め込むことができるソリューションです。ただしこの場合、ユーザーは Power BI の認証情報でサインインし、事前に設定されたユーザー権限に基づいてアクセス制御されます。このモデルは、社内ユーザーに向けて Power BI コンテンツを業務アプリケーションに統合しつつ、ユーザーごとのアクセス権限を厳格に管理したい大企業に適しています。

Power BI Embedded は、Microsoft 製品や Azure インフラをすでに活用しており、Power BI でレポートやダッシュボードを構築できる社内開発チームがある企業にとっては、組み込み型 BI ソリューションとして理にかなった選択です。たとえば、ID 管理に Microsoft Entra ID(旧 Azure Active Directory)を利用している企業や、インフラ基盤として Azure を導入している企業であれば、Power BI Embedded は既存環境との統合がスムーズです。

 

Power BI Embedded の課題とは?

Power BI Embedded(および他のバージョン)は、Azure や Fabric に深く依存しているため、特定のプラットフォーム上での使用が前提となります。そのため、Microsoft の容量プランや Power BI でのダッシュボード・レポート作成に不慣れな企業にとっては、技術的な学習に時間とコストを多く要する可能性があります。

しかし、それを実現するのは簡単ではありません。なぜなら、Power BI には非常に多くの料金プランが存在し、サービス名の再編・変更も多く、Azure 固有の統合が必要になるなど、開始するまでの工程が複雑で、容量に関するコストも膨れ上がる可能性があるためです。

 

Power BI Embedded が適しているユースケースは?

複雑さがあるとはいえ、Power BI Embedded は多くの理由から人気があり、その長所と短所を正しく理解することが重要です。以下では、Power BI Embedded を採用すべきかどうかを評価するためのヒントをいくつか紹介します。

 

1. 高度なデータセキュリティ

Microsoft Azure クラウドの一部である Power BI Embedded は、エンタープライズレベルのデータセキュリティ、ガバナンス、コンプライアンス(GDPR、HIPAA など)に対応しています。また、Microsoft Entra ID(ID およびアクセス管理)とのネイティブ統合も備えています。

そのため、金融、政府、医療などの業界において、社内外のユーザーと共有するレポートやダッシュボードに対して、厳格なロールベースのアクセス制御やデータプライバシーを求める企業にとっては、非常に適した選択肢といえるでしょう。

 

2. データコネクタ

Power BI には多数のデータコネクタが用意されており、ISV や SaaS 企業が様々な分散ソースからデータを統合することを可能にします。たとえば、オンプレミスサーバーやクラウドプラットフォーム (SQL Server、Oracle、SAP、Amazon RedShift など) とのデータベースコネクタや、Salesforce、Google Analytics、Dynamics 365 などのサードパーティサービスとのコネクタが用意されています。これらの広範なデータ接続サポートにより、カスタム統合や ETL 処理が不要になるケースもあり、開発期間の短縮に寄与します。

 

3. Microsoft サービスとの親和性

前述のとおり、PBIE は Microsoft のソフトウェアエコシステムとネイティブで互換性があり、すでに Azure プラットフォームを活用している企業にとって、レポートやダッシュボードの導入を効率化することができます。また、Microsoft テクノロジーに慣れた開発者にとっては学習コストも抑えられます。さらに、Azure や Fabric、Power BI サービス全体は定期的に更新やパッチが提供されるため、常に最新の機能を利用できます。

 

Power BI の代替製品がより適しているユースケースとは?

Power BI Embedded には多くの強みがありますが、ビジネスの状況や特定のユースケースによっては、他の組み込み分析ソリューションの評価を検討すべき場合もあります。以下のような制限を理解することで、より適切な意思決定が可能になります。

 

1. ベンダーロックインを回避したい場合

Power BI Embedded を導入するということは、分析基盤を Microsoft のエコシステムに深く統合することを意味します。Azure とのシームレスな連携という利点はある一方で、Microsoft のプラットフォーム、ツール、価格体系に強く依存することになります。将来的にビジネス要件の変化、コスト面の見直し、または戦略的な方向転換により別の組み込み分析ソリューションへの移行が必要になった場合、そのプロセスは予想以上に複雑かつ手間がかかる可能性があり、ソフトウェアの大幅なリファクタリングを伴うこともあります。

また、Power BI Embedded は Azure 以外の環境にホスティングされたアプリケーションへの埋め込みも可能ですが、最終的には埋め込んだダッシュボードやレポートのホスティングや認証には Azure のサービスに依存しています。このため、開発者が Amazon Web Services (AWS) や Google Cloud など、より中立的なインフラで利用可能な他のツールを柔軟に活用することが難しくなります。

これらの点を踏まえると、BI ベンダーロックインを回避する重要性や、よりオープンなアーキテクチャを提供する代替ソリューションの検討が重要であると言えます。

2. 複雑さを回避したい場合

PBIE で基本的なダッシュボードやレポートを作成し、それをアプリケーションに埋め込むこと自体は比較的シンプルですが、よりカスタマイズされたデータセットやビジュアライゼーション、フィルター、分析体験を構築しようとすると、Power Query の M 言語(データ変換用)や DAX(Data Analysis Expressions:複雑な計算式)といった独自のプログラミング言語が必要になります。これにより、Power BI に慣れていないチームにとっては、必要なスキルセットの習得に時間とトレーニングコストがかかり、迅速な導入が難しくなる可能性があります。

また、Power BI Desktop、Power BI Service、Power BI Embedded の違いや、それぞれの固有機能を理解する必要があるため、すでに急勾配な学習曲線がさらに険しくなることもあります。これは、導入メンバーの技術的リソースや習熟度によっては大きな負担になり得ます。

 

3. 予測困難な価格体系を避けたい場合

Power BI Embedded の価格体系はメリットがある一方で、その仕組みを理解し、変動する利用状況に合わせて適切に管理するのは困難な場合があります。PBIE の料金はユーザー単位ではなく、Azure の SKU(A1〜A6 など)に基づく専用の処理能力に対して支払う「キャパシティベース・従量課金制」です。このモデルは、使用状況が比較的一定な小規模アプリケーションには適していますが、アプリのユーザー数が突然増加したり、データ量が膨らんだ場合などはコストの予測が非常に難しくなります。

埋め込み分析 BI ベンダー間のライセンス形態や価格モデルの違いについて、より詳しく理解したい方は、弊社のガイド「組み込みアナリティクスの隠れたコスト: 価格の比較」をぜひご覧ください。

4. より高度なカスタマイズやセルフサービスBIを求める場合

組み込み型アナリティクスにおける「自社開発 vs 購入」議論において重要な要素の1つは、既に実績のある組み込みアナリティクスソリューションを導入することで、開発工数を削減し、自社アプリケーションの一部のようにBIツールを統合・カスタマイズできることです。これにより、シームレスなユーザー体験を提供し、分析コンテンツを自社ブランドのように見せることができます(いわゆる「ホワイトラベル」アナリティクス)。

Power BI の課題は、このホワイトラベル対応が他ベンダーと比べて不十分である点です。Power BI Embedded で作成されたダッシュボードやレポートにアクセスしたユーザーは、必ず Power BI を使用していることが分かる設計になっており、外観やUIをより深くカスタマイズするオプションは提供されていません。

さらに、Power BI Embedded のダッシュボードやレポートには、セルフサービスアナリティクスの機能が制限されています。ユーザーはアプリ内で分析コンテンツを閲覧できますが、レポートの作成・修正を可能にするには Power BI Pro ライセンス(ユーザー単位)が別途必要になります。これは、PBIE の標準機能には含まれていないため、顧客や社内ユーザーにセルフサービスBIを提供したい場合、追加コストが発生します。

 

Power BI Embedded から移行すべきタイミングとは?

Power BI Embedded は、現在のBI・アナリティクス市場において多くの競合製品と比較されており、各社が異なるニーズに応じた独自機能を提供することで、その弱点を補完しています。主な競合には以下が挙げられます:

  • 柔軟な組み込みアナリティクスを強みとする Yellowfin

  • データ可視化に優れた Tableau

  • データ統合力の高い Looker

最適な選択肢は、貴社のビジネス目標と技術要件により異なります。以下では、Power BI の代替として Yellowfin がどのように優れているのか、組み込みアナリティクスの観点から詳しく見ていきます。

 

Power BI の代替として最適:Yellowfin BI

Yellowfin と Power BI は共存可能であり、それぞれの強みを活かすことで相互補完的に利用することもできます。

Yellowfin は、内部または外部のアプリケーションに対して、高度にカスタマイズされたアナリティクスをホワイトラベルで統合・再設計できる組み込みBIに最適です。ISVやエンタープライズ企業向けに、運用レポートやセルフサービスアナリティクスを支援するアクセスしやすく高度なアナリティクスプラットフォームを構築したい場合に理想的な選択肢です。また、堅牢なデータガバナンス、セキュリティ、分析機能を備えており、幅広いユーザー層に対応できます。

Power BI と異なり、Yellowfin はメタデータモデルに基づいて構築されており、より構造化されたデータ管理とガバナンスが可能です。また、Yellowfin はデータキューブを必要とせず、運用データソースから直接レポートを作成できるため、ライブデータのレポートに最適です。

以下に、Power BI と Yellowfin の主な違い(差別化ポイント)をいくつか紹介します。

 

1)データガバナンスとセキュリティ

BI ソリューションの選定において、データセキュリティ(機密データを保護するための実践・ツール・プロセス)とデータガバナンス(データのライフサイクル管理と責任の明確化)は重要な検討項目です。

Yellowfin はこれらを重視し、データソースの保護と管理責任を強化するための機能を複数備えています。

  • データセキュリティ管理

    Yellowfin の管理コンソールでは、データソース、ユーザー(グループおよびロール)、メタデータレイヤーといったシステム全体の構成を一元的に閲覧・管理・最適化することができます。

  • ロールベースアクセス制御(RBAC)

    個々のユーザーやロールに対して、レポート作成やデータストーリー作成などの機能の可用性を制御できるほか、データの可視範囲(リンクや権限)も管理可能です。RBAC により、部署ごとや業務ニーズに応じて情報へのアクセス制御が柔軟に行えます。

  • 安全なメタデータレイヤー

    Yellowfin では、ユーザーインターフェースとデータベースへのクエリの間にセキュアなメタデータレイヤーを設けています。これにより、各データオブジェクトに関するメタ情報(データ形式、入力日時、列の意味など)が管理され、以下のような機能を実現しています。

    • アクセスフィルター:レポートを実行するユーザーに応じて、行レベルでデータの可視性を制限可能

    • 列レベルセキュリティ:機密情報を含む列へのアクセスを制御し、該当ロールを持つユーザーのみに開示

    • データソース代替:マルチテナント機能により、ユーザーの所属組織に応じてレポートの実行対象データソースを切り替え可能

Yellowfin のセキュリティモデル、各種認証・準拠対応、ユーザー権限・コンテンツ保護の詳細については、リンク先をご覧ください。

Power BI は、Microsoft のクラウドコンピューティング基盤である Azure 上に構築されており、2 クラスター構成により、すべての接続、認証、ユーザーインタラクションを Power BI サービス側で処理します。ユーザー認証と ID 管理には Microsoft 製品である Azure Active Directory (Azure AD) を利用しており、ユーザー情報の保存と管理が行われます。また、データの保存やメタデータ管理においても、Azure BLOB ストレージや Azure SQL Database など、さらに別の Microsoft サービスとの連携が必要になります。

要するに、Power BI のデータセキュリティとガバナンス機能は、Microsoft の SaaS エコシステム全体にまたがって分散しており、自社が Microsoft 製品を全面的に採用していない場合は、設定や運用が煩雑になりやすいという難点があります。

Yellowfin と比較したとき、Power BI が劣るとされる主な点は以下のとおりです:

  • 異なるドメインに属するユーザーのセットアップが難しい

  • 洗練されたガバナンス設計やマルチテナンシー対応が不足

  • マルチテナント環境におけるデータソースとレポートの一元管理が困難

  • レポート作成に対する承認プロセス機能が設計しづらい

総じて、Yellowfin BI は中央集約型のデータガバナンスと複雑なユーザーアクセス制御を前提としたエンタープライズ用途向けに設計されており、Power BI よりも堅牢なガバナンスおよびセキュリティ機能を備えています。

 

2)ホスティング

Yellowfin は完全なクラウド対応の100% Web ベースの BI スイートであり、業界・業種を問わず、既存の内製レポートシステムや老朽化したレガシーなレポートソリューションを、現代の分析ニーズに適応させる手段として設計されています。

Yellowfin の設計思想は「オープン性」と「拡張性」を基盤としており、企業が自社のインフラ構成や要件に応じて、柔軟に組み込み型アナリティクスを展開できるよう支援することを目的としています。

  • 環境に依存しない柔軟性

    Yellowfin は、SaaS 環境、マネージドサービスプロバイダ(MSP)、オンプレミス環境など、あらゆるホスティング形態に対応しています。AWS、Azure、Google Cloud Platform(GCP)など主要クラウドサービスはもちろん、企業の既存データセンター上でも動作可能です。

  • 高度な拡張性

    Yellowfin は、カスタムワークフローの構築、独自のユーザー体験の設計、コード拡張、ノーコード/ローコードによるスクリプト追加など、さまざまな拡張手段を提供しており、自社独自の分析機能を柔軟に追加できます。詳細はこちらをご参照ください(※原文リンクに対応)。

  • ベンダーロックインの回避

    Yellowfin では、万が一ベンダー(Yellowfin社)が事業継続不可能となった場合でも、プラットフォームのソースコードへのアクセス権を企業に提供する仕組みがあります。また、作成したコンテンツやコード拡張に関しても、ユーザーが完全に所有・管理できるため、他プラットフォームへの移行や再構築も可能です。

データの保存先も完全に選択可能で、ユーザーの選んだ任意のデータベースに格納可能です。加えて、Yellowfin はデータの移行・保存・アクセスにあたって、専用データベースや独自スクリプト言語を必要としないため、将来的なプラットフォーム変更時の移行コストや技術的障壁を最小限に抑えることができます。

上図は、Yellowfin のアーキテクチャおよびホスティング構成における主要コンポーネントを視覚的に示したものです。詳細については、Yellowfin の技術アーキテクチャに関するページをご覧ください。

一方で Power BI は、Microsoft Azure クラウドの導入を第一に促進するよう設計されており、ホスティングの選択肢はデフォルトで限られています。そのため、独自の組み込み型 SaaS ソリューションの構築には不向きであり、導入時の実装や技術面での複雑さを招く可能性があります。ホスティング面における Power BI の主な制限事項は以下のとおりです:

  • オンプレミスオプションが限定的であり、将来的に Microsoft がサポートを継続するか不透明

  • 自社製の SaaS ソリューションとしてパッケージ化しにくい

  • Azure に最適化されており、他のクラウドプラットフォームでの活用はデータ連携に限定される

  • 一部のセキュリティはインフラレベルでの管理が必要

総合的に見ると、Yellowfin は「ベンダーロックインなし」や「環境非依存のホスティング」を重視する企業にとって、より柔軟かつ拡張性の高いホスティングオプションを提供しています。一方で、Power BI は既に Microsoft の SaaS エコシステムや Azure クラウド基盤に大きく投資している企業にとっては、依然として有効な選択肢となり得ます。

ホワイトペーパーをダウンロード:BIにおけるオープンアーキテクチャーの重要性

 

3)機能面

BI 製品の機能面は非常に広範であり、各ベンダーは意欲的なロードマップを掲げています。しかし多くの顧客は、「実際には使用されていない機能がスイート全体に多すぎる」とも指摘しており、NLQ(自然言語クエリ)や AI といった新技術の進展も、日常業務に浸透するにはまだ時間がかかると見られています。

以下では、多くの BI 導入において基盤となる重要機能に絞って、現状の課題を整理しています:

  • インポートデータセットにおけるスケジューリング・リフレッシュの回数制限(1日8回/48回)と、それに伴うプレミアムコスト

  • 直接データアクセス(Direct Query)にも制限があり、「Fabric」により改善される見込みだがコストの問題は残る

  • 従来型の帳票(ページネーションレポート)は統合が不完全

  • DAX(関数・演算子・制約の集合)がますます複雑化し、Excel の上位互換のようになってきている

  • 大量データの処理は、データ取り込み vs SQL 生成という根本的なアプローチの違いから、運用コストが高騰しやすい

  • ストーリーテリング機能が標準搭載されているが、導入・活用は容易ではない

Yellowfin BI がその機能性を最大限に発揮するユースケースは以下のとおりです:

  • アプリケーションへの完全な統合とホワイトラベリング

  • 高度なデータアナリストから業務担当者まで、幅広いユーザーを対象とした中央集約型オペレーショナル分析(AI NLQ 対応)

  • データサイエンス用途ではなく、日々の業務に必要なオペレーショナル分析に特化したセルフサービス BI

このように、Yellowfin は日常業務に根ざした BI 活用において、高い柔軟性と拡張性、そして実用性を備えたソリューションとなっています。

Yellowfin vs Power BI の機能とサービスの比較サマリー

 

4) ビジネスモデル

Yellowfin と Power BI は、ビジネスモデルにおいて大きく異なります。Yellowfin は、組み込み型 BI やホワイトラベリング用途を主軸に進化してきたソリューションであり、高い柔軟性と、レベニューシェアやバリューベースの価格設定を可能にする設計が特徴です。一方、Power BI は Microsoft のフリーミアムモデルにより成長してきた製品で、Excel と同様の普及を目指すと同時に、Azure 利用を促進し、エンタープライズ領域での収益化を図る目的を持っています。

以下は、Power BI と Yellowfin を比較する際に考慮すべき主なポイントです:

  • Power BI は導入コストが比較的安価または無料で始められる

    Microsoft 製品群の一部として提供されるため、Pro ライセンスであれば月額 $10 程度から開始できます。ただし、Premium やエンタープライズ機能を追加するにつれて、総コストは急増するため、“同一条件での比較”(apples-to-apples comparison) が重要です。

  • Power BI は最終的に Azure 利用を促進する設計

    Fabric モデルにより、Azure 外での機能制限がさらに強まる傾向があります。

  • レベニューシェアやバリューベースのモデルは制限あり

    Microsoft はカスタムな価格設定や共創型パートナーシップには消極的であり、組み込み型用途や市場戦略と連動した展開には適しません

  • Yellowfin は柔軟な価格設定モデルを提供

    多くの顧客は Yellowfin を自社製品の中核機能として採用しており、顧客独自のKPIに連動した価格設計が可能です。ビジネスニーズに応じてパートナー型や OEM 型など、幅広いライセンスモデルが用意されています。

詳しくはこちら: Yellowfin の価格設定

 

Power BI vs Yellowfin – 結局どちらが良いのか?

Power BI Embedded も Yellowfin BI も、それぞれ強力な機能を備え、顧客の分析ニーズを十分に満たすことができます。Power BI は、すでに Microsoft 製品群を利用している組織にとっては導入しやすく、特定用途に適しています。

しかし、Excel がいかに強力であっても、企業がその上に本格的なアプリケーションを構築しないのと同じように、中央集約型または組み込み型 / ホワイトラベル型のユースケースには、より特化した機能とビジネスモデルが必要です。Yellowfin は、まさにそのニーズに応えるために設計されたソリューションです。

多くのモダン企業は、2〜3種類の BI ツールを併用しており(中にはもっと多くのツールを使っている企業もありますが、必須ではありません)、Yellowfin と Power BI は、それぞれ得意分野で共存しうる関係です。

特に Yellowfin は、本格的な組み込み型 BI ソリューションを求める場合のベストな代替手段であり、より高い自由度、ブランディングの柔軟性、セルフサービス BI、ガイド付き NLQ など、他にはない機能を提供しています。

無料でダウンロードできる資料『Power BI から Yellowfin への移行ガイド』では、移行のステップや、より詳細な機能比較をご覧いただけます。是非ご活用ください。

Power BI ユーザーのための次のステップ:Yellowfin を体験しよう

既存の Power BI 活用をさらに強化・発展させたい方、あるいは Yellowfin が Microsoft 製品とどう違うのかを知りたい方は、ぜひ無料デモをご体験ください。

 

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