【導入事例】株式会社プレコフーズ
『InfoCabina Yellowfin Cloud』で情報分析基盤を構築、顧客の離脱率を大幅改善、 売上増につなげる
<概要>
首都圏の飲食店を中心に、食肉や野菜、鮮魚、冷凍食品などの食材を販売しているプレコフーズ。取り扱っているアイテム数は約7000種。アイテム数の多さに加え、安全、品質、鮮度に優れた食材を扱っていることから、2万4千軒超ものお客さまを抱えており、年々、その数を伸ばしている。同社の売上の大半を支えているのが既存のお客さまだが、これまでは営業の主力は新規開拓に注力していたため、既存顧客をロストすることもあったという。まずは離脱率を改善するための仕組みとして、Yellowfinを導入。ボタンを押すだけで、最近取引が減っている既存顧客の抽出が可能になった。この分析結果と営業支援ツールの情報を元に顧客接点を増やすことで離脱率の大幅改善を実現している。
目次
首都圏で最大級の総合食品卸、プレコフーズ
経済センサス(2016年)の調査によると、東京都にある飲食業(持ち帰りや宅配サービス業も含む)を営んでいる事業所数は6万668軒。神奈川県や埼玉県、千葉県などの首都圏にまで拡げると、その数は約13万軒にもなります。これらの飲食店をはじめ、介護施設、病院、学校、幼稚園、ホテルなどにも、肉や魚、野菜などの食材を提供しているのが、プレコフーズです。プレコフーズの最大の特徴は、総合食品卸として国内最高クラスの衛生管理システムを備えていること。食肉を扱う事業会社プレコエムユニットでは都内6箇所に食肉の加工・配送センターを設置。また野菜・果物を扱うプレコヴィユニットは東京・大田市場に近い東京流通センター内に物流拠点を築き、鮮魚・水産品を扱うプレコエフユニットでは豊洲市場に加工・配送センターをそれぞれ設置することで、商品の入荷から加工、出荷、配送に至るまで徹底した温度管理・品質管理を行い、高品質で安全な食材を届けることができるような仕組みを構築しています。プレコフーズのこの食品に対する「安全」「品質」「鮮度」へのこだわりが顧客からの信頼となり、25年連続で増収と成長し続けています。
「現在、私たちが取引をしているお客さまの数は約2万4千軒。年々、その数は増えており、首都圏では最大級の総合食品卸です。」
(プレコフーズ 経営戦略本部 情報システム部 部長 田中伸二氏)(左写真)
売上の9割を占める既存顧客の離脱率を改善したい
首都圏でさらなるシェアを獲得し、成長し続けるため、同社の営業はこれまで新規獲得に主軸を置いていました。「当社の年間売上の9割を占めているのは元々付き合いのあるお客さまです。そしてその残りの1割がその年に新たにお取引を始めたお客さまです。つまり既存のお客さまが当社の売上を支えているということです。そこで既存のお客さまの離脱を防ぎ、維持していくため、2014年に既存のお客さまに特化した部門を設置しました。そして既存顧客の売上分析を行ったのです。」
こう語るのはプレコヴィユニット営業1課・2課 課長の小川義治氏です。プレコフーズでは「プレコソフト」という基幹システムを構築し、全グループの顧客管理、売上管理を行っています。同システムに蓄積された顧客データを自分のパソコンにインポートし、直近で納品が止まっているお客さまを確認したところ、「ヴィユニットの顧客離脱率は、90%近く顧客が重複するエムユニットと比較して、約3倍も高い値でした。そこでヴィユニットでは、これまで基幹システムに蓄積されたデータを活用して、顧客離脱率改善の取り組みを始めたのです。」と小川氏は語ります。
納品の止まっているお客さまに対しては、なぜ、納品が止まっているのかなど理由を伺うことはもちろん、離脱したお客さまの傾向を分析し、その予備軍のお客さまに対して積極的なアプローチを行ったところ、離脱率が改善しました。ただし、この離脱率の分析を行うには、基幹システムからデータをインポートし、関数などを駆使して計算するという作業が必要です。「他のユニットに展開しようと思っても、それなりにExcelが扱えることが必要になります。もう少しこの作業が簡便にできればどのユニットでも同じような分析ができるようになるという思いがありました。」(小川氏)(右写真)
一方、情報システム部でも、基幹システムに蓄積されたビッグデータを活用するため、情報分析基盤の構築を検討していたと言います。
「当初は売上や利益を分析するための基盤として構築を検討していましたが、ヴィユニットですでに成果が見え始めていた顧客離脱率改善という活動が、BIツールを活用することでエムユニットに横展開することが可能であることを経営トップに説明し、情報分析基盤の構築が決まりました。」(田中氏)
初期費用なしに導入できる『InfoCabina Yellowfin Cloud』を選定
BIツールの要件として田中氏が挙げたのは次の2つ。第一はユーザー部門で使えること。第二がコストです。「まずはスモールスタートで始めたいと思っていました。初期投資なしに始められるクラウドサービスが理想的だと考えました。」と田中氏は振り返ります。複数のBIツールを比較検討し、使い勝手の良さから候補に挙がったのが、Yellowfinでした。しかしYellowfinの場合、サーバーの用意が必要になります。「Yellowfinの担当者に連絡したところ、NTTテクノクロスのクラウド型BIサービス『InfoCabina Yellowfin Cloud』を紹介されました。」(田中氏)
InfoCabina Yellowfin CloudはBIツールのYellowfinをクラウドで提供するだけのサービスではありません。データ連携のためのETLツールとデータを格納するデータベース(Amazon Redshift / RDS)をパッケージ化し、オールインワンで提供。「このソリューションを活用すれば初期のレポート作成費用だけですぐに始められ、スケールアップも容易です。私たちが挙げた条件を満たしていたことから、InfoCabina Yellowfin Cloudを導入することに決めました。」(田中氏)
2018年4月に導入を決定し、まずはデータ分析用のデータベース構築に取りかかりました。「基幹システムのドキュメントが不十分なため、項目名と実際の運用で格納されるデータ内容にギャップがあるなど、構築をサポートしたNTTテクノクロスの担当者の方は苦労したと思います。NTTテクノクロスとは初めてのお付き合いでしたが、非常に丁寧に対応して頂き、感謝しかありません。」と分析情報基盤の開発に当たった経営戦略本部 情報システム部 主任補の松崎有樹氏(左写真)は笑みを浮かべながら明かします。
顧客対応件数が大幅に増加、売上に直結する情報が誰でも得られるように
InfoCabina Yellowfin Cloudによる情報分析基盤の構築が完了したのは2018年7月。まずは小川氏が試しに約1カ月間活用して使い勝手や不具合を修正し、その後、エムユニット、エフユニットにも開放。現在はボタン一つで、対応すべき顧客の一覧が出るだけではなく、ロストしそうな顧客があれば自動でアラートを挙げる仕組みを構築し、顧客対応を行っています。
「従来、時間をかけてExcelで分析をしなければできなかったことが、今ではボタン一つで可能になっています。多くの顧客に対応できるようになり、顧客離脱率も低減することができ、過去最高の実績を残すことができました。」と小川氏はその効果を満足そうに語ります。効果はそれだけではありません。「営業レベルの向上にもつながっており、これが非常に大きな効果だと捉えています。」と小川氏。同社では営業支援ツールも導入しており、その営業日報とYellowfinの数値データを組み合わせることで、売上に直結する情報が手に入るようになり、お客さまに寄り添った提案ができるようになりました。「大学を卒業したばかりで営業経験のない営業担当者でもしっかりと売上につながる提案ができるようになりました。」(小川氏)
InfoCabina Yellowfin Cloud 構成図
将来的には売上分析、仕入れ分析にも活用したい
現在、同社では部門を超えてさらなるYellowfinの活用を進めるべく、月1回の割合で、運用ミーティングを行っています。「本来の参加者はアカウントを持っているマネジャークラスだけでしたが、情報分析に関心のある人たちの参加も認めているので、参加人数がどんどん増えているんです。」と松崎氏は嬉しそうに語ります。
現在は顧客のロスト率改善のための情報分析基盤という位置づけですが、将来的には売上や仕入れの分析にも活用し、「いつでも利益の見える化ができるような仕組みにしたい」と田中氏は意気込みを語ります。一方の松崎氏は、「使用している担当者からは外出先からYellowfinを活用したいという声が届いています。技術的には可能なことなので、より活用が進むような機能を提供することで、そのニーズに応えたいと思います。そして、さらなる実績を積み上げて、Yellowfinを売上向上に役立てていきたいです。」と語ります。
InfoCabina Yellowfin Cloudはユーザー部門活性化の旗振り役になっているという田中氏。経営トップからも「BIツールを回しているか(活用しているか)」という言葉が日常的に聞かれるようになったといいます。ビッグデータを活用して既存顧客をつなぎ止め、安全、品質、鮮度に優れた食材を武器に新たな顧客を開拓していく。プレコフーズの躍進はこれからも続きそうです。
“ユーザー部門でも容易に扱え、スモールスタートで始められる。そのニーズにマッチしていたのが、『InfoCabina Yellowfin Cloud』でした”
株式会社プレコフーズ 経営戦略本部 情報システム部 部長 田中 伸二 氏(左)
“より多くの顧客に対応できるようになり、顧客離脱率も大幅に改善。お客さまに寄り添った提案ができるようになりました”
株式会社プレコヴィユニット 営業1課・2課 課長 小川 義治 氏(中央)
“ユーザー部門のニーズに答える機能を提供していくことで、さらなる実績を積み上げて、Yellowfinを売上向上に役立てていきたいです”
株式会社プレコフーズ 経営戦略本部 情報システム部 主任補 松崎 有樹 氏(右)
株式会社プレコフーズ
本社:東京都品川区南大井6丁目26番3号 大森ベルポートD館4階
代表者:代表取締役社長 髙波 幸夫
設立:1955年(昭和30年)6月
1955年6月、鶏肉店として鳥利商店を創業。62年に卸売業を開始。77年に有限会社鳥利商店を設立し、94年に株式会社プレコフーズへ組織変更。2011年には野菜事業、2014年には鮮魚・水産品事業へ参入。現在、都内を中心に2万4千軒超の取引先を抱える首都圏では最大級の総合食品卸として事業を展開している。そのほか、飲食店の衛生サービスを請け負うサニタリー事業(事業拡大により2014年に株式会社化)にも参入。2014年には飲食店ビジネスサポート事業確立を目的にプレコダイニングラボを設立、お客さまの笑顔を創造する企業集団として、事業拡大を図っている。
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