BIツールといえばダッシュボード……この考え方自体はけっして間違いではない。現在のBIツールについて機能面では「それほど差がない」との声が聞かれ、ダッシュボードのデザインで選ばれる傾向が見られるのも現状だ。BIツールは本当にダッシュボードのデザインで選んでいいのか、と疑問を投げかけているYellowfin Japan株式会社の林勇吾氏に、BIツールの現状と課題、そしてYellowfinのBIツールについて伺った。

ダッシュボードが抱える3つの弱点

──まずはYellowfinという会社の歩みと、リリースするBIツールの特徴を教えてください。

Yellowfin社は2003年に設立されたBI・アナリティクス専業ベンダーで、豪州メルボルンに本社があります。CEOのグレン・ラビーは以前、銀行でBIツールの導入プロジェクトを手がけ、そのときツールの操作が難しかったと感じ、とにかく簡単な操作で完結できるBIツールを目指して会社を設立しました。その後はユーザーの開発生産性を高めることを第一に、BIツール・Yellowfinの開発を続けています。私自身はもともとYellowfinの国内総販売代理店で営業を務め、2014年のYellowfin Japan設立に際して代表職の立場に就任し、今に至ります。

Yellowfin Japan株式会社
東アジア事業責任者 林勇吾氏

──YellowfinのWebサイトで「ダッシュボードの終焉」というインパクトのあるブログを拝見しました。BIツールにおけるダッシュボードは、この言葉の通りに終わりを迎えようとしているのでしょうか?

実のところダッシュボードはBIツールのメインコンポーネントで、今も昔も情報共有に有益な存在ですので、ダッシュボード自体がなくなることはないと思っています。ただ一方でダッシュボードはこの20年、30年という長い間、基本的には進化しておらず、そこに大きく3つの問題があると考えています。

1つ目の問題は、ダッシュボードには数値とグラフが並んでいるだけでストーリーがないこと。2つ目は外部連携していないこと。そして3つ目が、分析スキルを持たないビジネスユーザーがアクセスしたとき、足りない情報があれば分析に詳しい社内のエキスパートに追加でレポートを作成してもらうか、自分で苦労してレポートを作るか、いずれにせよ時間をかけて別のアクションを組み合わせなければうまく活用できない点です。

──あたり前の話ですが、BIツールを使うすべてのユーザーが分析に通じているわけではありませんから、ダッシュボードでただただ数字やグラフを見せられても、そこからインサイトを引き出すのは簡単ではないということですね。

そういうことです。営業やマーケターといった職種の人に対し、データを分析し、かつそこから何か有益な情報を読み取れといっても、ハードルが高すぎます。私自身、Yellowfinを業務で使っていますが、技術者ではないので、複雑な分析をしようとすると時間がかかります。データを知っているコンサルタントに頼むと5分で終わるところ、私だと30分はかかってしまいます。私の本来の業務は管理や営業関連ですから、アナリストのレベルまでツールを習熟するつもりはありませんし、その時間があるならむしろ顧客やパートナーと話す時間に充てたい。同様に営業やマーケターといった仕事をしている人に、データ分析を究めてアナリストになれというのはちょっと違うと私たちは考えていますね。

注目されるストーリー機能と外部システム連携

──そうなると、BIツールは一部の分析スキルに長けたユーザーだけが使えばいいということでしょうか。

それは明確に「No」です。一般のビジネスユーザーもビジネスにおいてデータ分析が絶対に必要な時代です。じゃあ、どうやって? という話なのですが、ガートナーの調査によると、データ分析の自動化が今後は年率22%で成長し、Ventana Researchによると一般の業務部門の担当者による既存システムに組込まれたアナリティクス活用も50%成長するとされています。

ガートナーの調査でもうひとつおもしろいのが、2025年には分析結果を利用するうえでデータストーリーテリングが最も一般的な方法になると予測していることです。これまでのようにBIツールで分析した結果を数値やグラフでダッシュボードに表示するだけでなく、その背景にある情報もストーリーとして伝えていくことが必要になるということです。ガートナーは、BIツールユーザーの75%がそうした使い方をしていくようになるとみています。こういったユーザーを拡張型ユーザーと呼んでおり、BIの利用者の50%がこの層になることが予測されています。データの消費の仕方が変わるということですね。ただ、繰り返しになりますが、現状の多くのBIツールはそれに対応し切れていないのが現状です。

──その中で、個々のBIツールは機能差が見えづらく、だからこそダッシュボードのデザインやUIの違いで選ばれがちだということですね。

ここで考えてほしいのは、BIツールのそもそもの役割は何かということです。企業活動において分析が重要であることは間違いないのですが、分析すること自体が目的ではありません。データを分析し、そこから何らかの気づきを得て、次のアクションにつなげる。これこそが目的であるはずです。ダッシュボードのデザインがいいというだけでは、次のアクションにつながることはありません。

それどころか、先ほど言ったようにダッシュボードはあまり進化していない。ダッシュボードから何かのアクションを起こそうとしても、わざわざ別のツールに移らなければなりません。いうまでもなくこれは大きな手間で、生産性が上がらないのです。そもそも現状のダッシュボードの仕組みでは、ビジネスに必要な全データを詰め込むのは難しいですし、仮に詰め込んでしまうと何を見れば良いのか混乱してしまいます。つまり、完璧なダッシュボードを作るのはもはや限界で、その状況を落とし込んだ表現が先ほどの「ダッシュボードの終焉」というわけです。

逆にいえば、これまでのダッシュボードは終わりを迎え、今こそ新たな進化を模索すべきタイミングだということです。

Yellowfinのシームレスな活用事例

──先ほど登場した「ストーリー」「外部連携」などのキーワードに対して、Yellowfinの強みを教えてください。

まずはストーリーについて。たとえば、ある月の実績が前年比90%だったとして、この減少の原因は何かということは、ダッシュボードを見ただけではわかりません。それを理解するには背景にある情報も必要です。これを補うのがデータストーリーテリングであり、Yellowfinはストーリーという機能を備えています。これは、あるデータについてなぜそうなったかを知っている担当者が、理由や背景をブログ形式でわかりやすく周囲に伝えられる機能です。近年こそ他のベンダーでも注目されるようになっていますが、Yellowfinは10年近く前というかなり早い時期からその重要性に着目し、データストーリーテリング機能を実装しました。

ストーリーは3年前に発表した機能なのですが、リリース前から当社内でも活用しています。Yellowfinは自社ツールなので当然自分たちでも使っていますが、以前までは業務上関係のない社員はあまりアクセスしていませんでした。ただ、実績や営業の数値などがブログでニュース記事のように配信されると、多くの社員が興味を持って閲覧するので、社内でのYellowfinの浸透率もこの機能の活用で大きく向上したのです。

  • ストーリー機能画面

──外部連携についてはいかがですか。

基本的にBIツールは独立しており、人事、給与、勤怠、販売といったシステムとは連携されていません。ですので、別のシステムで管理している数字を利用する場合、BIツールを別途立ち上げ、ツールを行ったり来たりしながら比較や分析を行わなければなりません。ユーザーの立場からすればこれでは非効率です。Yellowfinは、ダッシュボードに他のシステムを連携させることができ、また他のシステムにYellowfinを完全に組み込んでしまうこともできます。これにより、分析したデータを基にネクストアクションをスムーズに起こすことが可能です。

また、Yellowfinでは自動分析機能を提供しており、たとえば売上減少のデータを見てその原因を考えるとき、ユーザーがYellowfinに比較を依頼すれば原因を自動的に割り出してくれます。営業やマーケターがより深い分析を行って必死にレポートを作成したり、エキスパートに尋ねたりする必要もなくなるわけです。

  • 自動分析機能画面

──こうした機能を実際に提供し、評価を得ている事例を教えてください。

ある製造業では、勤怠システムで管理する情報を単に見える化するだけでなく、人事担当が離職リスク等の傾向のある社員を察知し、次のアクションに結びつけたいという要望がありました。そこでYellowfinのダッシュボードとコミュニケーションツール(Microsoft Teams)を連携させました。勤怠システムで残業時間など特定の数値の基準を超えた社員をクリックすると、その社員のデータを保持した状態で専用チャットルームにジャンプし、やり取りできるようにしています。

また、ある酒販メーカーでは販売・発注管理システムにYellowfinを組み込み、過去の統計情報を基にした予測機能で発注数量を提案、そこから発注までダイレクトに行える環境を整えました。そのほか、ある商社では別々のシステムで行っていた予実管理を連携させ、予算と実績の対比をYellowfinからダイレクトに行えるようにしていますし、ある化粧品販売会社ではExcelで属人化していた業務をYellowfinの機能で自動化し、過去の統計情報と異なる数値が通知された場合に在庫を補充することで、機会損失をほぼゼロにしたといいます。

──Yellowfin自体もどんどん進化していることと思います。リリースを予定している機能も含め、今後の展望を教えてください。

2021年内に自然言語を使ったレポートの自動生成機能を搭載する予定です。これは、ごく普通の言葉で表示される質問に対し選択をしていくと、Yellowfinが高度な分析を自動的に行う仕組みで、それこそ従来であれば長時間かけて作っていたグラフなどをわずか10秒、20秒で作成できてしまう機能です。こうした機能も順次加え、データ活用の敷居を下げていきたいと考えていますので、次のアクションにつなげやすいBIツールをお探しであればぜひともお声がけください。

Yellowfin Japan WEBサイトはこちらから
Yellowfinは、行動を促す美しいダッシュボードを構築して、データを使って説得力のあるストーリーを語り、ビジネスをリアルタイムで自動的に監視します。​

[PR]提供:Yellowfin Japan